iPhoneをポケットWi-Fiのように使える「テザリング(別名:インターネット共有)」機能をご存知でしょうか。タブレットやノートPC、2台目のスマートフォンなどをインターネットに接続でき、外出先などで活躍する便利な機能です。
わざわざポケットWi-Fiなどの機器を使う必要がなくなり、Wi-Fiがない場所でもデータ通信を可能にしてくれる優れもの。この記事ではテザリングの仕組みや使い方、あらかじめ知っておくべき注意点などを丁寧にご紹介します。
iPhone テザリング設定のやり方と3つの注意点 できない・繋がらない時の対処法
通信契約のプランによってはテザリングできないことも
テザリングは通信キャリアとの契約プランや、製品(iPhoneの種類)によってテザリングできる場合・できない場合があります。特定の手続をすることで使えるようになるケースも多いです。
携帯電話の大手3キャリア、第4のキャリアとなる楽天、そして格安SIM(MVNO)それぞれで最新のテザリング事情を調べました。
docomo
docomoはテザリングを無料で提供しており、ウルトラデータパックL/LLなど一部のプランを除き、申し込み・登録などの作業は基本的に不要です。
また、利用したデータ量が一定の値に近づくとメールで通知が届く「データ量到達通知サービス」も無料で利用できます。テザリングをよく使う方は合わせて検討してみると良いでしょう。
au
auはテザリングに申し込みが必要です。契約しているプランによって無料または月額500円で利用できます。
テザリングが無料で使えるプラン
●データMAX 5G ALL STARパック(P)
●データMAX 5G ALL STARパック
●データMAX 5G テレビパック
●データMAX 5G Netflixパック(P)
●データMAX 5G Netflixパック
●データMAX 5G with Amazonプライム
●データMAX 5G
●ピタットプラン 5G
●ピタットプラン 5G(s)
●データMAX 4G LTE テレビパック
●データMAX 4G LTE Netflixパック
●データMAX 4G LTE
●ピタットプラン 4G LTE(新auピタットプランN)
●ピタットプラン 4G LTE(s)
●ケータイシンプルプラン/ケータイカケホプラン
●VKプランS(N)/VKプランM(N)
テザリングに月額500円かかるプラン
●タブレットプラン20
●上記以外のデータ(パケット)定額サービス または料金プラン
※受付終了プラン
●auフラットプラン20
●auフラットプラン25 Netflixパック
●データ定額20/30
申し込み窓口
PC・スマホから申し込む
My auより申し込めます。
20時までに手続きが完了すれば、5〜10分後にiPhoneを再起動するだけですぐテザリングが使えるように。
20時以降に手続きが完了すれば、翌朝9時頃から使えるようになります。
auショップで申し込む
本人確認書類、印鑑、テザリングを申し込むiPhone本体を持参すれば、auショップで手続きしてもらえます。
電話で申し込む
KDDIお客さまセンターより手続きしてもらえます。
スマートフォン・携帯電話に関するお問い合わせ
ソフトバンク
ソフトバンクはテザリングに申し込みが必要。契約している料金プランによって無料または月額500円で利用できます。
テザリングが無料で使えるプラン
●データ定額ミニ 1GB/2GB
●データ定額(おてがるプラン専用)
●データ定額 5GB
●データ定額S(4Gケータイ)
テザリングに月額500円かかるプラン
●データプランメリハリ
●データプランミニフィット
●データプラン50GB+
●データプランミニ
●データプラン1GB(スマホ)
●データプラン1GB(ケータイ)
●データプラン100MB
●データ定額 50GBプラス/ミニモンスター
●データ定額 20GB/30GB/50GB
●データ定額スマホデビュー
●家族データシェア 50GB/100GB
●法人データシェアギガパック(50)/(100)
申し込み窓口
PC・スマホから申し込む
My Softbankより申し込めます。
加入した当日よりテザリングを利用可能。
ソフトバンクショップで申し込む
本人確認書類、印鑑を持参すれば、ソフトバンクショップで手続きしてもらえます。
チャットで申し込む
チャットサポートで申し込めます。オペレーターの対応時間は8時〜24時(年中無休)、21時以降の手続きは翌朝から使えるようになります。
楽天モバイル
第4のキャリアに名を連ねる「楽天モバイル」では、テザリングが無料で利用できます。料金プラン「Rakuten UM-LIMIT」であれば、データ量・速度は無制限です。
楽天モバイルはテザリング利用時に申し込みが必要ありません。
格安SIM(MVNO)
主要なサービスをいくつか調べてみた限り、格安SIMはいずれも無料かつ申し込み不要なところばかりでした。格安SIMなら基本的に無料でテザリングが使えると考えていいでしょう。
ただしiPhoneの通信キャリアと格安SIMの通信キャリアが異なっている場合(例:docomoで購入したiPhoneにau系回線のSIMカードを挿す)、iPhoneのSIMロック解除が必要になるのでご注意ください。
テザリングの方法
テザリングの契約ができていれば、早速テザリングを試しPCやタブレットをネットに繋いでみましょう。Bluetoothを活用した機能で、使い方はとても簡単です。
ちなみにiPhone内の名称としては「インターネット共有」と記されていますが、これがテザリングのことです。
iPhoneの通信容量に注意!
テザリングはiPhoneのインターネット接続を、他のデバイスでも可能にする機能です。つまりテザリングを使えば使うほどiPhoneの通信量が増えるので、月々の通信量残高にはご注意ください。
基本の接続手順
1. [設定]アプリを開き[インターネット共有]を選択
2. [ほかの人の接続を許可]をオンにする
少し紛らわしいですが「ほかの人の接続を許可」と言っても、赤の他人にインターネット接続されるという意味ではなく、単純にテザリング機能をオンにするということです。
「Wi-Fiのパスワード」には、好きなパスワードを設定してください。このパスワードを他人に教えれば、他人でも接続できるようになります。
3. テザリングの準備完了
iPhoneの名前はそのままSSID(ネットワーク名)化。iPhone名はカフェなど公共の場で他人に見られます。
iPhoneの名前は初期設定だと「田中太郎のiPhone」といったふうに自分の名前が表示されているので、それが嫌な方は変更しておくといいでしょう。変更方法は後述します。
4. インターネットに繋ぎたいデバイスで、Wi-Fi設定を開く
タブレット、ノートPC、ゲーム機など、テザリングでインターネット接続したいデバイスからWi-Fi設定を開きます。
するとテザリングの準備をしたiPhoneの名前が出てくるはずです。
5. パスワードを入力
先ほどiPhone側で設定したパスワードを入力します。
6. 接続完了
これにてテザリングが完了しました。iPhoneのデータ通信を利用して、他のデバイスでインターネット接続できます。
なおテザリングが行われている最中は、iPhone上部のステータスバーが青くなります。
テザリングを切断するには、iPhone側で[ほかの人の接続を許可]ボタンをオフにしてもいいですし、接続しているデバイス(パソコンやタブレット等)をスリープさせても切断されます。
またテザリングはiPhoneの電波を利用しているので、接続できるエリアや速度は当然そのiPhoneでの契約内容に基づいたものとなります。
【補足】iOS 13ではテザリング中のAirDropが可能に
iOS 12までは、テザリングをしているときはAirDrop(Bluetoothを使った、Apple製品間でのファイル受け渡し)ができませんでした。
しかしiOS 13ではそれが可能に。たとえば外出先でMacBookをテザリングしながら、iPhoneで撮った写真をMacBookに移す……といった使い方ができます。
MacやiPadでの簡単な接続方法(Instant Hotspot)
MacやiPadであれば、iPhone側で一切操作することなくテザリングのオン・オフを切り替えられます。
それはズバリ「Wi-Fi接続画面を開いて自分のiPhone名を選択する」たったこれだけなんです。
●それぞれのデバイスで同じApple IDにサインインしている
●それぞれのデバイスでWi-Fi、Blutoothをオンにしている
この2つを確認のうえ操作してください。
場合によってBlutooth接続やUSB接続も役立つ
基本的にはWi-Fi接続で使うのが便利だと思いますが、Blutooth接続やUSB接続という手段もあるので、特徴と接続方法を簡単にご紹介します。
Blutooth接続
Wi-Fi接続のテザリングだと、ノートPCを閉じたりスリープ状態にするだけでテザリングが切断されてしまいます。PCを開くたびにテザリングをやり直すのは面倒に感じるもの。Blutooth接続であれば切断されることなく、再接続の手間がかかりません。
ただしWi-Fi接続より通信速度が劣ってしまうのが難点。
1. PCのBlutoothメニューを開き、iPhoneとペアリングする
2. PCに表示されたコードを、iPhoneで入力する
3. PCからiPhoneに接続する
これによりBlutooth接続できます。
USB接続
電波状況の良くない場所では、無線のWi-Fi接続よりUSBケーブルによる有線接続のほうが安定しています。
ケーブルで接続する手間がかかること、1台しか接続できないことが難点ですが、Wi-Fi接続がうまくいかないときはこの方法が便利。
1. iPhoneとPCをUSB接続する
2. PCのネットワーク設定からiPhoneを選択する
これによりUSB接続できます。
テザリング利用時の注意点
iPhone名は周囲に対して公になる
iPhoneの名前(SSID)は、周囲の誰にでも見られます。デフォルトでは「太郎のiPhone」などと自分の名前が表示されていることが多いので、情報セキュリティの観点から変更しておくといいでしょう。
変更方法は次の通りです。
1. 設定アプリを開き[一般]を選択
2. [情報]を選択
3. [名前]を選択して、iPhone名を編集
日本語や絵文字を使っても構いません。自由な名前に変更できます。
iPhoneのバッテリー消費が激しい
テザリング(Wi-Fi接続)を利用しているとバッテリーの消費速度が明らかに早いです。
長時間の外出を予定しているなら、モバイルバッテリーを携帯しておくのがおすすめ。iPhone購入時についてくる1mのLightningケーブルを持ち運ぶより、10cm程度の短いケーブルがあるとコンパクトで便利ですよ。
知らないうちに通信量を消費してしまう可能性
パソコンでテザリングをするときに注意したいのが通信量。
PCソフトはバックグラウンドで通信するものも少なくありません。使っているつもりはなくても知らないうちに通信量を消費し、気がついたら通信制限にかかってしまう可能性も考えられます。
隙間時間でちょっと使うくらいなら通信量がかさばることもないと思いますが、一応注意しておきましょう。
テザリングできない場合の対処法
テザリングできないときにはいろいろな原因が考えられるので、次の項目をチェックしてみてください。
テザリング契約をしているか、デザリング可能な端末か
通信事業者との契約にテザリングオプションが含まれていなければテザリングはできません。記憶が曖昧な場合は、契約内容をチェックしてみてください。
また格安SIMを使う場合、docomo系の回線ならdocomo版iPhone、au系の回線ならau版iPhoneを使う必要があります(手数料がかかることがありますが、SIMロックを解除すればどの組み合わせでも使えるようになります)。
もちろんテザリングに成功したことがあるのであれば、テザリング契約はちゃんとできています。
Wi-FiとBlutoothはオンになっているか
iPhone、テザリングしたいデバイス共にWi-FiとBlutoothがオンになっているか確認します(USB接続をする場合はオフでも可)。
1. 設定アプリを開き[Wi-Fi][Bluetooth]を選択
2. それぞれスイッチがオンになっているか確認
インターネットに接続したい側の端末でも、Wi-FiやBluetoothがオフになっていないか確認してみてください。
速度制限をされていないか
「テザリング自体はできているみたいだけど、Webサイトが開かない」という場合は速度制限の問題かもしれません。
たいていの通信事業者では、速度制限にかかると通信環境が悪すぎて満足にネットサーフィンできなくなります。
端末の再起動で直ることもよくある
テザリングは必ずしも動作が安定していないことがあり、ふいに接続が切れたり、うまく接続できなかったりすることもあります。
何かしら不具合が起きたらまずは再起動してみてください。iPhone側、またはテザリングしたいデバイス側を再起動すると何事もなかったかのように直ることもあります。
またそれぞれのデバイスで、Wi-Fi・Blutoothをいったんオフにして再度オンにすると直ることも多いです。
テザリングを活用して、どこでも快適なネット接続を
筆者もテザリングを長年活用しており、出先でノートPCを快適に使っています。複数のデバイスを持つ人にとってテザリングはとても便利な機能。ぜひ活用されることをおすすめします。
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