意外に知らないスマートフォンの正しい除菌方法。毎日使うものだからこそ、きっちりとした手入れが大切です。
特に2020年の新型コロナウイルスの流行により、世界中で除菌の意識が向上。スマホ業界でもAppleが一部消毒液の使用を新たに認めるなど、除菌に対する各スマホメーカーの見解が変化しました。
そこで本記事では各スマホメーカーや専門家による、スマホの除菌方法をまとめて紹介します(2020年4月7日時点のまとめ)。正しいやり方を覚え、スマホを清潔に保ちましょう。
スマホの正しい除菌方法 各メーカー、専門家の見解まとめ【iPhone/Android】
毎日触るスマホには細菌がいっぱい。トイレ以上という調査結果も
毎日使うスマホは空気中のホコリ、指紋や皮脂、汗などさまざまな汚れにさらされています。その中には細菌も含まれており、海外の調査によると、なんとトイレ以上の菌が付着していたという結果も出ています。
今や日々の生活に欠かせないスマホ。これからは手洗い、うがいと同等に、スマホに対する除菌の意識を高める必要があります。
ティッシュはNG! 手入れを誤ると故障やキズの原因に
除菌に限らず、スマホの手入れは正しく行う必要があります。誤った手入れはキズやコーティングのはがれ、さらには故障の原因になり、スマホの寿命を縮めかねません。
スマホ含め電子機器全般の手入れでNGとされているのが、ティッシュペーパーでの拭き取り。
ついやりがちですが、ティッシュは繊維が粗いためキズ付きの原因になるばかりか、かえって汚れを引き伸ばしてしまい逆効果になってしまいます。
ウェットティッシュも注意。おすすめは柔らかいクリーニングクロス
またアルコール入りのウェットティッシュの使用も気をつける必要があります。
ティッシュペーパーよりも表面が繊細で除菌効果もありますが、内部に含まれる界面活性剤やエタノールが、スマホのコーティングを剥がしてしまう可能性があるからです。
布に関しては、マイクロファイバー製のクリーニングクロスやメガネ拭きなどを用意しておくと安心。消毒液はメーカーによって見解が異なるので、各メーカーの項目を参考にしてください。
iPhone全般の除菌方法
iPhoneの除菌については、公式サイトのサポートページに詳細なお手入れ方法が載っています。
以前は消毒剤の使用の可否は公表されていませんでしたが、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一部消毒剤の使用が公式的に可能となりました。
他にも機種ごとに若干の違いがありますが、全機種で共通のお手入れ方法をまとめると以下の通りです。
使用可能な洗剤・消毒剤
・水もしくは温かい石鹸水
・70%イソプロピルアルコール含有ワイプ
・クロロックス除菌ワイプ
イソプロピルアルコール(IPA)はアメリカで主流な消毒液で、「70%イソプロピルアルコール含有ワイプ(パッド)」はAmazonなどのネットショップやホームセンターで販売されています。
また猛威を奮う新型コロナウイルスも、70%のアルコールで感染力を失うとされています。
クロロックス(CLOROX)はアメリカの洗剤・漂白剤メーカーです。つまり「クロロックス除菌ワイプ」はクロロックスが販売する除菌布の事。筆者が確認した限りでは、『Qoo10』で販売されていました。
また温かい石鹸水でも良いとの事。除菌効果は落ちるかもしれませんが、消毒液が無い時の代用品として覚えておいて損はありません。
拭き取りに使える布
・レンズクロスなど、糸くずの出ない柔らかい布
レンズクロス以外ではマイクロファイバー製のメガネ拭きやクリーニングクロスも繊維が柔らかくおすすめです。
なお布が汚れていては意味がないので、綺麗な状態で使うようにしましょう。
除菌方法
1.ケーブル類をすべて取り外し、iPhoneの電源を切る
2.布を少し湿らせて、開口部に湿気が入り込まないように優しく拭き取る
除菌力を高める為、布を湿らせる際は推奨の消毒液を使用すると良いでしょう。
ライトニング端子やスピーカーなどの開口部は水に弱い内部構造に繋がっているため、湿気が入り込まないよう注意。また洗剤類の中に直接iPhoneを浸すのもNGです。
使用NGの洗剤・クリーナー
・漂白剤
・洗浄用品
・研磨剤
・エアダスター
・ガラスクリーナー
・家庭用洗剤
・スプレー式の液体クリーナー
・溶剤
・アンモニア
・過酸化水素水を含む洗剤
洗浄用品や研磨剤はコーティングのはがれ、キズの原因になるおそれがあると発表されています。ほかにも多くの洗剤・クリーナーがNGとなっているため、Appleが使用を許可している消毒液以外は使わないほうが良さそうです。
Androidの除菌方法
Google Pixel(グーグル)
Google Pixelシリーズでは公式の「Pixel Phone ヘルプ」にて汚れ落としと共に除菌についても触れられています。まとめると以下の通り。
使用可能な洗剤・消毒剤
・一般的な家庭用除菌シート
・濃度70%のイソピルアルコールベースのシート
(※)漂白剤配合タイプは使用不可
一般的な家庭用除菌シートのほか、アメリカでは主流なイソピルアルコールの除菌シート(iPhoneでも使えるものと同様)を使用可能。どちらもネットショップやホームセンターで販売されています。ただし漂白剤配合タイプは使えません。
漂白剤が使えない理由は述べられていませんが、おそらく変色やコーティングはがれの原因となるからではないかと推測されます。
拭き取りに使える布
・糸くずの出ない柔らかい布
マイクロファイバー製のメガネ拭きやクリーニングクロス、レンズクロスが拭き取りに適しています。
除菌方法
1.スマホをオフにして、電源を抜く
2.スマホを拭いてきれいにする
・筋、汚れ、ほこりには乾いた布を使用
・メイクやジーンズなどの色移りには、湿った布を使用
3.除菌シートなどでスマホを除菌する
除菌効果を高めるためにも、先にスマホをきれいにして菌の原因となる汚れを落とすと良いでしょう。
除菌時の注意点
・漂白剤、強力な洗剤は使用不可
・スマホに向けて洗剤や圧縮空気を吹き付けない
・ゴシゴシこすらない、除菌シートの場合は画面を拭きすぎない
・USB-Cポートなどの隙間に湿気や洗剤が入らないよう注意する
「強力な洗剤」が具体的には不明ですが、水で薄めて使うタイプの洗剤は控えた方が良さそうです。「使用可能な洗剤・消毒剤」として挙げたもの以外は使わないのが無難。
またUSB-Cポートなどの開口部はカバーに保護されていない精密機械の部分に繋がっているため、湿気や洗剤が入り込まないよう注意しましょう。
AQUOS(シャープ)
シャープのスマートフォンシリーズ「AQUOS」では、元々「AQUOS sense2」などの一部機種でアルコール除菌シートが使えると公開されていました。
加えて2020年4月3日に「スマートフォン・携帯電話機のクリーニングについて」として、公式サイトにお知らせが追加されました。
それによると、2017年度以降発売のスマホ・携帯電話でエタノール70%で1,000回の拭き取り試験をしたところ、塗装の剥がれや変色、退色に大きな変化はなし。アルコール除菌シートの使用が可能との事です。
ただしすべての条件で変色や剥がれを保証するものではないという旨の記載もあります。そのため拭き取りの際は、隙間や開口部に湿気が入らないように注意しながら、優しく拭き取ると良いでしょう。
Huawei(ファーウェイ)
記事執筆時点(2020年4月7日)、Huaweiのウェブサイトなどでスマホの除菌方法について公開はされていません。
そこでファーウェイジャパンへ問い合わせを行ったところ、「OA機器用のクリーナー液を、乾いた布へ染み込ませて拭き取ってください。またスマートフォンは精密機器のため、除菌液を直接かける事のないよう注意してください」という旨の回答を頂きました。
OA機器用のクリーナーは除菌効果の記載があるものを選ぶと確実です。
石鹸水でも除菌効果があると、ロンドンの微生物学者が発表
2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ロンドンの微生物学者レーナ・シリック氏がスマホの除菌に対して解説動画を公開しました。動画はYouTubeにて日本語字幕付きで視聴できます。
解説によると、石鹸水でも除菌効果があるとの事。
除菌方法はマイクロファイバー製の布に水と石鹸水を染み込ませ、電源を切ったスマホの表面をやさしくこする(開口部に水が入らないよう注意)。あとは綺麗なマイクロファイバー布で拭いて乾かせば完了です。
スマホに付着した微生物の数を装置で調べたところ、洗浄後はかなり綺麗になったとの事です(例:138→7)。
開口部に水が入らないように気をつければ、かなりお手軽な除菌方法となりそうです。
除菌時の注意点・NG行動
それぞれの機種で紹介した除菌方法と重複する部分もありますが、除菌時の注意点、NG行動を改めて確認しましょう。
推奨以外の消毒液を使わない
エタノールや洗剤には除菌効果がありますが、コーティングや印刷部が剥がれる可能性があります。スマホを長持ちさせるのであれば、各メーカー推奨の消毒液を使うようにしましょう。
推奨以外の布を使わない。布を清潔に保つ
布も大事。冒頭で述べたようにティッシュペーパーはかえって汚れを広げてしまうため手入れには適していません。マイクロファイバー製のレンズクロスなどの柔らかい布が最適です。
また布に菌が溜まっていたら意味がありません。布は1回ごとにきちんと洗うか、消耗していればすぐに取り替えましょう。
開口部に湿気が入り込まないように注意
スピーカーやUSBの接続端子などに湿気が入り込むと、内部に水分が入り込み大きな故障の原因になりかねません。
消毒液を塗るのは外側のケース部分だけにし、内部に入り込まないように注意しましょう。
スマホ専用の除菌クリーナーもある
消毒液を使う以外にも、スマホの除菌クリーナーを使う手もあります。「スマートクリーナー」は本体に置くだけで除菌と充電が同時に行えるというもの。
6分間で99%以上除菌と、高い除菌効果が謳われています。気になる値段も5,980円と、長期の使用を考慮するとなかなかお手頃。
スマホに消毒液を使うのに抵抗のある人には十分検討の余地があります。
除菌だけではなく、綺麗に使い続けるのも大事。手も清潔に
スマホを除菌するのも大事ですが、綺麗に使う意識も忘れてはいけません。汚れた手で触らない、手をこまめに洗う、スマホをトイレに持ち込まないなど、そもそも菌やウイルスが繁殖しにくい環境を作るようにしましょう。体もスマホも、清潔感を保つのが大切です。
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