毎月決まった金額を先に貯金する先取り貯金を実践すれば、無駄遣いを減らした確実な貯蓄につながります。さらに効率よくお金を貯めるには、毎月かかり続ける固定費の見直しが効果的。
この記事では先取り貯金の方法と、貯蓄につながる節約術を紹介します。貯蓄のコツがつかめたら、お金を「増やす」投資に挑戦しましょう。

老後貯蓄2,000万円には「先取り貯金」がおすすめ! 銀行の金利&つみたてNISAを紹介
先取り貯金を実践して貯蓄の仕組みづくりを
貯蓄を無理なく続けるには、毎月決まった金額を先に貯金する「先取り貯金」がおすすめです。先取り貯金を実践すれば、無駄遣いをせずに効率よく貯金ができます。
銀行の定期預金、つみたてNISA、iDeCoは低リスクで始められるため、初心者に向いているでしょう。
→つみたてNISAの概要(金融庁のページ)
→iDeCoの概要(iDeCo公式ページ)
家計簿をつけて収支を明確に!
毎月貯金する金額を明確にするために家計簿をつけましょう。家計簿をつけるには、入力の手間が少ないアプリが最適です。『マネーフォワード ME』を使えば、毎月何にお金を使っているかをグラフで見やすく整理できます。
月々の貯蓄にまわせるお金がはっきりするので、先取り貯金がスムーズにできるでしょう。
▲プロフィール入力は1分程度で完了。普段使っている銀行やカードを選ぶと、連携作業がスムーズ。
▲費目ごとの支出をグラフで表示できる。収支を把握すれば、毎月の貯蓄額を決めやすい。
定期預金で計画的な貯金ができる
銀行の定期預金を使えば、計画的な貯金ができます。定期預金とは1か月~10年など、預け入れ期間を決めて預金する方法で、普通預金に比べて金利が高いのが特徴。また万が一銀行が破たんしたときに、元本1,000万円までは保証してもらえる「預金保険制度」が整っています。
しかし原則、満期までお金を引き出せない点には注意。定期預金は将来必要になるものの、しばらく使う予定がないお金を管理するのに適しています。
定期預金の選び方
銀行の定期預金を選ぶ際は、金利の高いネット銀行や地方銀行がおすすめです。ネット銀行の定期預金の金利は0.2%を超えるところもありますが、大手都市銀行は0.002%程度。100万円を1年間預けた場合の利息は、以下の通りです。
●利息0.2%:2,000円(税引き後1,594円)
●利息0.002%:20円(税引き後16円)
また銀行に預金するにあたっては安全性を見極めることも大切。その基準のひとつが格付け会社による「信用格付け」です。なお格付け会社によって表記が違ったり、格付けが見直されたりします。それぞれの格付け会社の最新情報を参考に、信用格付けのランクが高い銀行に預金しましょう。
つみたてNISAのメリット
先取り貯金には、最長20年間、非課税で投資できるつみたてNISAがあります。通常の投資の分配金や得た利益には20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAで運用した利益には税金がかかりません。メリットは、
●1,000円など少額から始められる
●つみたて型のため、投資タイミングに迷わない
●運用期間が長く、長期投資が可能
など。低コストでコツコツと長期投資したい人に向いています。
→つみててNISAの概要(金融庁のページ)
つみたてNISAと一般NISAの違い
NISA口座の比較 | つみたてNISA | 一般NISA |
---|---|---|
運用期間 | 20年 | 5年(最長10年) |
投資の上限額 | 年間40万円 | 年間120万円 |
買い方 | つみたて方式 | 自由 |
対象の商品 | 金融庁が認めた商品 | 幅広い商品 |
つみたてNISAと一般NISAの違いは表の通りです。初心者は運用期間が長く、金融庁が認めた安全性の高い商品から選べるつみたてNISAがおすすめ。一般NISAは幅広い商品から自由に選び運用できるので、投資経験者に適しています。
なおつみたてNISA口座と一般NISA口座は同時に持てません。またあくまで投資のため、元本が保証されていない点は注意しましょう。
2024年にスタートする新NISAに注目!
2023年に一般NISAの投資枠が終了し、2024年から新NISAが始まります。変更点は以下の2つです。
●口座を開設できる期間が5年間延長される
●年間の投資上限額の構造が変わる
現行の一般NISAには年間投資枠120万円が設定されており、幅広い商品から選択できます。一方で新NISAの投資枠は1階の20万円と2階の102万円になり、扱える商品の種類が変わります。原則1階でつみたて投資をしないと2階の投資枠は利用できません。
より詳しいNISAの仕組みを理解したい人は、金融庁のページを参考にしましょう。
→NISA全体の概要(金融庁のページ)
iDeCoで老後に向けた資産形成を
iDeCoとは老後資金を作るために任意で加入できる年金制度。掛金と運用商品を自分で選んで運用していき、60歳以降に運用した利益を受け取れます。iDeCoの節税メリットは、以下の3つです。
●掛金が全額、所得控除の対象になる
●運用した利益に税金がかからない
●受け取るときも控除が受けられる
一方で原則60歳までは引き出せない点には注意。安定した収入の基盤があり、資金に余裕がある人に向いている方法でしょう。
→iDeCoの概要(iDeCo公式ページ)
効率よくお金を貯める4つのコツ
先取り貯金の概要がわかったら、効率よくお金を貯める4つのコツを見ていきましょう。まずは毎月かかり続ける固定費の見直し方法を紹介。口座ごとに資産を分類し、具体的な目標に向けて貯金をしましょう。
固定費の見直し以外にも毎日の買い物の工夫次第で、貯蓄を増やせる可能性があります。
1. 毎月必ず出費がある固定費を見直す
効率よくお金を貯めるためには、毎月かかり続ける固定費の見直しから始めましょう。固定費を月5,000円節約できれば、年間で6万円の見直し効果になります。一度の見直しで節約効果が長く続き、効率的な貯蓄につながるでしょう。
固定費のなかでも効果の大きいスマホ代、電気料金、保険の見直し方法を紹介します。
格安SIMへ乗り換えで、スマホ料金を約5,000円節約
格安SIMへの乗り換えで、月々のスマホ料金を約5,000円節約できます。SIMカードとは携帯電話会社が加入者に発行するもので、電話番号や加入者の情報が記録されています。サービスを安く提供できる理由は、大手の携帯電話会社に設備を借りてコストを抑えているからです。
端末はそのままでSIMカードだけの差し替えや、オンラインでの乗り換え手続きが可能。毎月の通信費を抑えたい人は試してみましょう。
新電力への切り替えで、年間1~3万円の節約
新電力へ切り換えると年間1~3万円の節約効果を期待できます。新電力とは2016年の電力の自由化により、電気の小売事業を始めた企業です。電力の自由化で、消費者は電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました。
解約届などの面倒な手続きがいらず、ネットで切り換えできるのがメリット。地域や家族構成で契約できる会社やプランは異なるので、各会社のサイトでシミュレーションしてみましょう。
保険を正しく見直し、生涯で数百万の節約
生命保険を正しく見直せば、生涯で数百万円の節約につながります。2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、一世帯が年間に払っている保険料は約37.1万円。30年間払い続けた場合、1,000万円を超えます。月の保険料を1万円安くできれば、30年で360万円の節約に。
保険とは死亡リスクや交通事故など、確率は低くても発生すると損失が大きい出来事に備えるものです。病気やケガはできるだけ公的保険と貯金で備え、「なんとなく不安だから」で入っている保険を見直しましょう。
2. 資産を3つの口座に分類して管理
資産を管理する際は「使う」「貯める」「増やす」の3つの口座に分類しましょう。口座を分けることでそれぞれの目的が明確になり、家計の管理がしやすくなります。
「使う」口座は生活費用で頻繁に引き出すため、手数料が無料になる回数が多いネット銀行がおすすめです。一方で「貯める」口座は将来の目的のために貯蓄するもの。満期までは引き出さないため、期間を設定した定期預金がいいでしょう。
「増やす」は投資で資産を増やすお金。なお投資を始める前に、以下で説明する「生活防衛資金」を準備しましょう。
「生活防衛資金」の準備を忘れずに
3つの口座とは別に、働けなくなったときのリスクに備えて「生活防衛資金」を準備しましょう。生活防衛資金があれば会社が倒産したり、病気で働けなくなったりなど、もしものリスクに対応できます。
会社員であれば生活費の6か月分が目安です。なお生活防衛資金は、貯蓄用の口座と別の口座で管理するのがおすすめ。通常の貯蓄と分けることで、目的に応じた貯蓄ができます。
3. 目標金額と期間の設定が大事
貯金を始めるときは目的を明確にしましょう。目的が明確になれば目標額と期間がわかり、それに応じた毎月の貯金額を決められます。
毎月の貯金額は「目標額÷12か月÷年数」で計算可能。老後の生活費2,000万円を25年で貯める場合は、「2,000万円÷12か月÷25年」で毎月約67,000円が必要です。
4. 食費の予算の立て方
食費を節約するには大まかな食費の予算を立てましょう。食費の予算を決める際は、エンゲル係数を参考にできます。エンゲル係数とは、家計全体の支出における食費の占める割合のことです。
エンゲル係数は「食費÷総支出×100」で計算可能。たとえば総支出が32万円のうち食費が9万円の場合は、「9÷32×100」で約28%です。一般的な目安は25%で、数値が上がるほど食費の割合が高めの傾向があります。各家庭の状況に応じて、食費を見直す指標のひとつにしましょう。
食品は週1程度のまとめ買いで節約
食品の買い物を週1程度に減らせば、節約と時短効果が期待できます。まとめ買いをするコツは、毎回買う食材を決めておくこと。あらかじめ1週間分の献立をもとに食材の買い物リストをつくれば、無駄なものを買うリスクが減ります。
また毎回買う食材がある程度一緒であれば、家計の管理もしやすくなるでしょう。
生活費の支払いをキャッシュレスで統一
家計簿アプリと連携して生活費をキャッシュレスで支払えば、家計の管理がしやすくなります。『マネーフォワード ME』はクレカや電子マネーなど、2,500以上の金融関連サービスと連携可能。連携した支払い方法で決済すれば、食費や日用品などのカテゴリ別に、自動で家計簿を作成してくれます。
連携の際は、ユーザー自身が金融サービスにログインしてアプリとの連携を許可する「API連携」方式を採用。金融機関と安全に連携できる仕組みが整っています。
▲「口座」画面の「追加」をタップ。銀行やカードなどから連携したい提携先を選ぶ。
▲金融機関のIDとパスワードを入力。オンラインバンキングとの連携作業は数分で完了する。
投資でお金を「増やす」力を身につける
低リスクで運用したいなら投資信託がおすすめ
投資初心者には低リスクで運用できる投資信託がおすすめです。投資信託とは投資家から集めた資金をひとつにまとめて、投資のプロに運用してもらう商品のこと。
●1万円程度の少額から運用可能
●分散して投資するためリスクが少ない
●資産価値や値動きがわかりやすい
などのメリットがある一方で、定期預金の「預金保険制度」のように、投資した元本が保証されていない点は注意です。
『マネーフォワード ME』は資産管理にも使える
『マネーフォワード ME』は投資信託サービスと連携して、資産管理ができます。たとえばつみたてNISAの口座で保有している残高を、証券口座のページにログインせずに、チェックすることも可能。
つみたてNISAの場合は日々の値動きを細かくチェックする必要はありませんが、持っている資産がどのくらい増えているかを把握したい人にはおすすめです。
外貨投資は、将来のリスクヘッジにつながる
日本円を海外通貨に両替して預金する外貨預金は、将来のリスクヘッジになります。日本円と比較して金利が高く、満期に金利収入を確実に受け取れるのがメリットです。
しかし万が一銀行が破たんした場合の預金の払い戻しは保証されておらず、損失になる可能性があります。複数の通貨に分散して投資したり、定期的に金額を分けて投資したり、長期的視野で運用しましょう。
よくある質問
貯蓄方法は何から始めればいいの?
先取り貯金の仕組みを知るためにも、銀行の定期預金から始めましょう。慣れてきたところでつみたてNISAなど、お金を「増やす」方法を実践するのがおすすめです。
貯蓄を増やすためにできることは?
まずは毎月かかり続ける固定費を見直しましょう。毎月の支出を節約できれば、ハンドメイド作品の販売などの副業で、収入を増やす選択肢もあります。
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記事監修:伊藤真二
ファイナンシャルプランナー。介護福祉士資格を所有していることから、老後の暮らしや節約・資産運用など、安心できる未来、無駄のない今を生きるためのご提案を多く行う。 また、ニュースメディア、採用メディア、自動車メディアなどのライター・編集者の経験から記事執筆・監修も広く行っている。