StarUnionより配信されている、アリの習性を細かく再現したシミュレーションゲーム『ザ・アンツ:アンダーグラウンド キングダム』をレビュー。
2021年の7月にリリースされ、「Google Play ベスト オブ 2021」クリエイティブ部門の部門賞も受賞した人気シミュレーションゲームです。
蟻塚を発展させて新たなアリ帝国を作れ!『ザ・アンツ』をレビュー!!
1から蟻塚を作って大きくしていく異色のゲーム
『ザ・アンツ:アンダーグラウンド キングダム 』(以下、ザ・アンツ)は、新たな生息地を探す女王アリとともに、新しい蟻塚を作り出すシミュレーションゲーム。
女王アリを筆頭に、多くのアリを強化することで蟻塚の規模を大きくしていき、最強のアリ帝国を目指すことが最終目標となっています。
アリの生態に沿った施設の建設や、ほかのプレイヤーとの資源の奪い合いと、シミュレーションゲームとしての完成度も高い作品です。
注意点として、本作はアリの描写がやけにリアルです。時折画面いっぱいに映るアリに、虫が平気な筆者でもドキッとしたので、虫が苦手な方は注意しましょう。
蟻塚を広げながら資源回収のサイクルを作ろう!
蟻塚を大きくすると言っても、そもそも最初に何をすれば良いのか分からずに困惑する方が多いでしょう。筆者もアリには詳しくないので、全くもって生態は分かりません。
ただ、本作には蟻塚がある程度の規模に成長するまで、しっかりとゲームの進め方をレクチャーしてくれる手厚いチュートリアルが用意されています。
まずはチュートリアルに沿って進めていけば、基本的なアリの生活サイクルなどは学ぶことができるでしょう。
基本的な進め方は、女王アリの周辺から土を掘り進めて、アリたちが活動できるエリアを広げていきます。
蟻塚を広げる過程で、生活に必要な資源の回収ポイントが見つかるので、施設を建設して資源を定期的に回収できる環境を作り上げていきましょう。
資源は、肉・水・植物・湿土・砂・菌類・甘露の7種類が存在。資源の種類は少し多いですが、どれも実際にアリが生きるために必要とするものたちです。
これらの資源は女王アリや各種施設のレベルアップ、新しいアリの孵化や育成と使用用途がとても多いので、しっかりと回収できるサイクルを作り上げる必要があるでしょう。
蟻塚が広くなってくると、各種施設の配置が曖昧になってくるでしょう。そこで便利なのが「蟻塚レイアウト」。
現在の施設たちを見やすいレイアウトに自動で変更してくれる機能です。新しい施設を建設した後でも、再度「蟻塚レイアウト」を押すことで綺麗に並べてくれます。
もちろん、各種施設を長押しすれば移動させられるので、配置をこだわりたい方は自分で動かすのも良いでしょう。
筆者は整理整頓が苦手なので、施設が増えるたびに「蟻塚レイアウト」で並べてもらいましたが、全体が見やすくなったおかげで格段に効率がアップしました。
色取り取りのアリが登場!さらにアリ以外の生物も!?
『ザ・アンツ』の醍醐味の一つでもあるのが、「アリの孵化」。特定の施設を建設するとアリの孵化が可能になり、アリの種類を増やせます。
アリも女王アリと働きアリだけでなく、さまざまなアリが登場します。なんと100種類近いアリがいるため、すべてのアリを手に入れるためにプレイするのも面白いでしょう。
アリたちは大きく、「働きアリ」「偵察アリ」「兵隊アリ」「特化アリ」の4種類に分けられます。
働きアリは蟻塚の発展に貢献、偵察アリはほかの蟻塚の様子をチェック、兵隊アリは戦闘時に大きく活躍、特化アリは特殊なスキルで各行動をサポートといった具合で、それぞれ役割が違います。
中でも「特化アリ」は、特殊なスキルで蟻塚の発展をサポートしてくれたり、ほかのアリの攻撃力や防御力を強化したりと、1匹いるだけでも大きな恩恵があります。
また、兵隊アリはさらに「シューターアリ」「キャリヤーアリ」「ガーディアンアリ」の3種類が存在。
シューターアリは攻撃能力に優れた戦士、キャリヤーアリは資源の運搬をしつつ戦闘も可能、ガーディアンアリは蟻塚の防衛役と、これまた役割の違うアリたちです。
アリが少ないうちは難しいですが、種類が増えてきたら特性を活かした隊列を組み上げて、目的に合わせて使い分けられるといいでしょう。
『ザ・アンツ』は蟻塚の発展をするゲームなので、メインになるのは当然アリたちですが、実はアリ以外の生物も多数登場します。
例えば、序盤からお世話になるのはダンゴムシ。肉資源として蟻塚内で飼育することになり、彼らがいなければ肉資源は確実に枯渇してしまうでしょう。
そのほかにも、外から資源を持ってきてくれるテントウ虫や、甘露を作り続けてくれる油虫など、さまざまな生物が蟻塚の発展を手助けしてくれます。
しかし、こちらに友好的な生物だけが出てくるわけではありません。外には「中立生物」と呼ばれる敵があちこちに滞在しています。
彼らは倒すことで資源やアリの経験値を入手できますが、レベルが高いほど強敵となるため、戦闘に参加するアリたちの育成は欠かせないでしょう。
外の世界へ新たな資源を求めて
女王アリのレベルが5になると、外の世界へと出ることが可能に。
外の世界に出ると、ほかプレイヤーの蟻塚や資源の回収ポイントなどが点々と存在しているので、兵隊アリたちを向かわせて資源の回収・略奪を狙っていきましょう。
前述した中立生物たちも多く存在するので、勝てそうな生物には積極的に攻撃を仕掛けて、アリたちのレベルアップに利用すると良いでしょう。
また、女王アリのレベルが7になると、アリの「習性」を選択できます。習性は「栽培」「略奪」「牧畜」の全部で3種類。
簡単に言うと、「栽培」は資源の生産効率などがアップ、「略奪」はほかの蟻塚から奪える資源量などがアップ、「牧畜」は甘露での商品購入や、ほかプレイヤーの援助が可能になるというもの。
いわゆる蟻塚の方針を決めるようなものなので、自分がどんな蟻塚を作っていきたいかで決めると良いでしょう。
とはいえ、一定時間経過するか専用アイテムを消費すれば習性は変えられるので、そのタイミングで必要な要素を優先して決めても問題ありません。
アリのように共に行動する協力関係「アライアンス」
ほかプレイヤーの蟻塚に侵入して資源を奪うのは可能ですが、略奪に集中しすぎて防衛が疎かになってしまうと、奪った分だけ持っていかれて資源は一向に貯まりません。
そこで大切になってくるのが、複数のメンバーで構成される「アライアンス」という、ほかゲームではギルドに近い機能です。
アライアンスに加入することで、メンバーの蟻塚が1箇所に固まって配置されるため、互いに仲間の蟻塚を守れる構図を作ることができます。
仮に誰かが攻撃された場合は、メンバー複数人で取り返すために反撃を仕掛けることもできるので、1人で活動するよりも格段に攻撃されにくくなるでしょう。
また、メンバー同士で建設時間短縮のヘルプができたり、習性が「牧畜」なら資源の援助をできたりと、互いに効率よく蟻塚を発展させていくことができるようになっていきます。
入るだけでもメリットとなる要素だらけなので、常にどこかのアライアンスには所属するようにしておくのがいいでしょう。
メンバーとはチャットによるコミュニケーションも取れるので、仲間たちと交流しながら一緒に蟻塚を大きくしていきましょう。
ちなみに、日本人以外の方も多いですがチャットに翻訳ボタンがあるので、外国の方の発言でもなんとなく意図を読み取ることが可能です。
人とかけ離れた世界だからこそ見られる新たな景色
シミュレーションゲームの中でも、“アリ”を題材にするという異色のゲームでもある『ザ・アンツ』。
アリに全く詳しくなかった筆者でも、生態や種類を覚えてきてしまうほど、アリの生き方をリアルに映し出しています。
単体では決して強くない生き物ですが、仲間と協力しながら女王のために生きる、そんな儚くも美しいアリの生態を体感できる、数少ないゲームです。
シンプルにシミュレーションゲームとしても奥の深い作品なので、気になる方は一度プレイして、アリの見ている景色を味わってみましょう!