私が出会い系サービスの運営として関わっていたときに「ここまでやるのか!」と感心したことがありました。それは何重にも張り巡らされた罠、つまりサクラオペレーションがあまりにも完成されたものだったからです。

しかし、私が出会い系サービスにいたのは10年近く前です。そのため、今回サクラの手口についての記事を書くにあたり、いまもサクラとなるオペレーターを大量に雇っている会社の管理職の人に会い、調査をしました。

「サクラなんてすぐ見分けがつくから自分が引っかかることはない」
そう思っている人ほど注意してください。あなたは過去に何度かサクラに騙されたり騙されそうになったりした経験があると思いますが、相手は何百人と騙してきた“サクラのプロ”だということを忘れてはいけません。

巧妙に仕掛けられたサクラの包囲網

ひとくちにサクラといっても目的によっていくつかのチームに分けられています。そのなかで主要な4つのチームが下記になります。

1.登録したばかりのユーザーに入金させる新規チーム
2.課金を癖付けさせる継続チーム
3.逆援助交際や処女、ナースや秘書などの魅力的なステータスがついたアタックチーム
4.サクラばかりにあたり疑心暗鬼なユーザーを担当するフォローチーム

この4つのチームの中に役割が違ったキャラクター(サクラアカウント)が存在しますが、この4つのチームについて紹介します。

1.登録したばかりのユーザーに入金させる新規チーム

このチームはサービスに登録したばかりのユーザーに声をかけ、メッセージのやりとりを行わせることで、最初の課金をさせることを目的としています。

入金をさせることを目的としているため、サービスによっては”メッセージを送信させるためのメッセージ”を送ったり、無料ポイントがあるところは何度かやりとりをして、課金をさせるためにさまざまな手を使います。

ここで重要なのは“即時性”です。サクラは「今すぐ会おう」とか「いまLINE交換できる?」などといって、一通でもメッセージを返したらすぐに会える状況になる、という状況を作ります。

一通でも返事をする(=課金をする)ことで、このサイトでもうやりとりをしなくていい、という嬉しさと、気が変わらないうちに早く返事をしなきゃ、という思いから「●●円ぐらいなら」「これでダメなら諦めよう」という気持ちになり、多くのユーザーは騙され課金を行います。

課金を行うためにこちらの気持ちを揺さぶり、一度目の入金をさせるためにあらゆる手を使ってくるのがこの新規チームです。

2.課金を癖付けさせる継続チーム

ゲームアプリはごく一部のユーザーからの課金によって成り立っているといわれています。出会い系サービスも同様です。出会い系サービスを支えているのは一部の重課金ユーザーです。

多い人で10万円や20万円を超えて課金する人は決して少なくありません。私の記憶しているなかでは600万円を超えて課金しているユーザーが2〜3名いました。

出会い系サービスは重課金ユーザーをどれだけ増やすかによって収益が大きく変わってきます。なので、この課金を癖付けさせる継続チームはとても重要な役割を担っています。

継続チームは最低一度は課金したことのあるユーザーを相手にするため、最初からサクラだと疑われている状態です。新規チームではモデルのような美人や、アイドルのような可愛い子の設定が使われる場合が多いですが、継続チームではリアルさが求められます。そのため美人すぎない、可愛すぎない子でありつつ、プロフィールなどがリアルに作り込まれています。もちろん会話もリアルさを感じられるようになっています。

継続させるための落としどころ(課金させるテクニック)は新規チームと同じように「会うこと」や「連絡先の交換」です。その理由としては「会うこと」「連絡先の交換」は相手が一番望むことだからです。

3.逆援助交際や処女、ナースや秘書などの魅力的なステータスがついたアタックチーム

出会い系サービスに登録していなくても、皆さんは一度は迷惑メールからありえないような内容のメールが届いたことはないでしょうか?

「女社長です。仕事でストレスが溜まる一方ですが、発散する場所がありません。割り切りでいいので一回5万円でセッ◯スしてくれませんか?」
「アイドルの◯◯です。こんなところでしか言えない秘密があるんです。絶対内緒で私のお願い聞いてくれませんか?」

こういったありえないメッセージを送るキャラクターはアタックチームのしわざです。こうしたメールは登録している全ユーザーに対して送信されます。もちろんほとんどのユーザーが「あきらかにサクラでしょ」ということで返事をしてくることはありません。

しかし、1%にも満たないユーザーが返事をします。こういったメッセージは送信する母数が多いため、返信数も少なくありません。送った数分後に100通近い返信がくることもあり、そうしたユーザーにはあらかじめ用意していたテンプレートによってキャラクターが返事をします。

このアタックチームの目的は何だと思いますか?それは主に課金したユーザーのポイントを削るためであったり、サイトへのアクセス回復です。逆援助交際の申し入れやアイドルが出会い系サービスをやっているなんて普通に考えてありえません。

しかし、そういったメッセージでも興味を持つ人が多くいます。「返事をしたらなんて言ってくるんだろう」や「どんなプロフィールを書いているんだ」とサービスへアクセスするユーザーが著しく増えるのです。

4.サクラばかりにあたり、疑心暗鬼なユーザーを担当するフォローチーム

最後はフォローチームです。このチームはその名の通り、サービスに登録したのに一度も会えていないユーザーや、何度も騙されてしまい疑心暗鬼になっているユーザーがサイトを辞めないように心のケアをするチームです。

具体的には継続チームと似たところがありますが、このチームは課金をさせるよう促したり、できもしない約束をしたりしません。基本的には日常会話であったり、聞き役に徹することで傷ついたユーザーのフォローを行います。そうすることで、いままでやりとりしたキャラクターとは違った性格に惹かれ、「こんな子もいるんだ」と安心感を得ることができます。

もちろん、そんなに上手いことはいかず離れるユーザーも多くいます。そういったユーザーはいずれ離れてしまうので無理に追いません。あくまでもリアルさを演じ、フォローすることがこのチームの役割だからです。

疑ってかかる意識が重要


以上が悪質出会い系サービスが行っているサクラのオペレーションです。もちろんこれは一部のサービスについてで、すべてのサービスがそうだとはいえません。しかし、複数の出会い系サービスから話を聞いた限り、これに近いオペレーションを組んでいるところは多いのも事実なのです。

今回はサクラを例とした手口を紹介しましたが、優良サービスでもマルチ商法を行う人や援助交際を斡旋させるような悪質な業者が潜り込んでいるケースもあります。

「不自然にやりとりを引きのばす」「突然お金持ちの異性から体の関係をもちかけられる」などといった、不自然に感じることがあったら、相手は一般ユーザーではないかも?と疑うようにしてください。