生成AIのセキュリティリスクは?主な要因や行うべき対策を解説
最終更新日:2024年07月05日
近年、生成AIに対する注目度が急速に高まっています。個人だけでなく企業でも、生成AIを業務効率化やクリエイティブ制作に活用しようという動きが増えているのです。しかし一方で、生成AIを利用する際には「セキュリティリスク」についても十分考慮しておかなければなりません。
今回は、生成AIの概要や3つのセキュリティリスク、情報漏洩が発生する主な要因、セキュリティリスクへの対策について解説します。
生成AIとは、文章や画像、動画などのコンテンツをAIによって創造する技術のこと
生成AIとは、文章や画像、動画などのコンテンツをAIによって創造する技術のことです。
生成AIにはさまざまな種類があり、得意とする分野も異なります。例えば、生成AIとして最も有名なChatGPTは、文章出力を得意としています。画像生成を得意としている生成AIとしては、MidjourneyやDALL-E3などが挙げられます。つまり、目的や用途によって生成AIを使い分けたり、ときには併用したりする必要があるのです。
生成AIによるセキュリティリスク
生成AIによるセキュリティリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、生成AIによる主な3つのセキュリティリスクについて、解説します。
外部からの攻撃による情報漏洩
セキュリティリスクの1つとして挙げられるのが、外部からの攻撃による情報漏洩です。
例えば、生成AIを活用した「AIチャットボット」は、外部から攻撃されることによって情報漏洩のリスクがあります。ハッカーはそこを突いてアクセスを試みるため、場合によってはビジネスデータや個人情報などが漏洩する可能性があります。
AIチャットボットを利用する際は、アクセスを制御したり、データを暗号化したり、定期的にセキュリティ監査を行ったりするなどの対策が必要です。
企業内部による情報漏洩
外部だけでなく、内部による情報漏洩のリスクもあります。
企業や組織の中で生成AIを使用する場合、誰かが機密情報を入力してしまうと、その情報がAIの学習データとして取り込まれてしまう危険性があります。その結果、AIの学習データが他者との対話で使われ、意図しない形で機密情報が外部に漏れてしまうかもしれません。
このような問題を防ぐには、生成AIに入力するデータを厳格に管理したり、AIの応答を監視して機密情報が外部に漏れないようなシステムを構築したりするなどの対策が必要です。
偽情報の発信
偽情報の発信も、生成AIを用いるリスクのひとつです。
偽情報の発信とは、生成AIが作成した偽の画像や動画、音声などを本当の情報として発信してしまうことです。最近ではディープフェイク技術が発達しており、「現実には存在しない人物の画像」や「実際には発言していないのに、あたかも実在する人物が話しているように見える動画」を生成することが可能になっています。生成AIの使用により偽の情報が拡散され、信頼性の低下や名誉毀損につながってしまうおそれがあるのです。
場合によっては社会的な混乱を招く可能性もあるため、生成 AI を利用する際は管理体制の構築やガイドライン作成が必要です。
生成AIによって情報漏洩が発生する主な要因
生成AIを用いることによって、情報漏洩が発生してしまう場合があります。ではなぜ、生成AIの利用によって情報漏洩が発生してしまうのでしょうか。
ここでは、生成AIによって情報漏洩が発生する主な3つの要因について、それぞれ説明します。
生成AIの学習方法
情報漏洩の要因のひとつが、生成AIの学習方法です。
AIは過去に入力されたデータを学習して、新しい回答を生成します。そのため、入力した情報が知らない間にほかの利用者の回答として活用されてしまう可能性があります。もし企業の機密情報や個人情報が含まれていると、第三者に漏洩してしまうおそれもあるのです。
クラウド上でのデータ保管
生成AIは、基本的にはクラウドサービスです。つまり、利用者が入力した情報はインターネット上のデータベースに保管されることになります。利用する生成AIのセキュリティ対策が不十分だと、不正アクセスなどにより情報漏洩のリスクが生じます。
生成AIの技術的なバグ
生成AIの技術的なバグを要因として情報漏洩が起きる可能性もあります。
例えば、生成AIの運用および開発中に何らかのバグが生じることがあるかもしれません。技術的なバグにより、不正なアクセスや意図しない情報漏洩が起こるリスクもあるのです。
生成AIセキュリティリスクへの対策
生成AIを活用する場合は、セキュリティリスクへの対策が重要です。
ここでは、主な対策を5つ紹介します。
生成AIで機密性が高い情報を扱わない
生成AIを活用する際は、機密性が高い情報を扱わないようにしましょう。
なぜなら、生成AIは入力データを学習して新たな回答を生成するため、情報を入力することで外部に漏洩してしまうおそれがあるからです。生成AIを扱う際は、機密性が高い情報の入力を避け、一般的な情報に限定して使用することをおすすめします。
ガイドラインを作成しておく
生成AIを安全に活用するためには、ガイドラインの整備が不可欠です。
社内の機密情報や誤情報が外部に漏洩しないよう、入力情報の取り扱い方などを定めたガイドラインを作成しましょう。従業員がセキュリティリスクや情報漏洩のリスクを理解し、適切な対処をすれば、安全に生成AIを活用できます。そのためには、ガイドラインを遵守するための教育など、意識を高めていくことも重要です。
生成 AIのセキュリティレベルを上げておく
生成AIのセキュリティレベルを上げておくことも、重要な対策のひとつです。
具体的な対策として、まずOSやアプリは必ず最新のものにしておきましょう。これらが古いバージョンのままだと、さまざまな攻撃を受ける可能性が高まってしまうため、注意が必要です。
また、最先端のセキュリティ動向を追っておくことも重要です。AI技術の進化に伴い、サイバー攻撃も常にアップデートしています。そのため、日頃からセキュリティに関する情報を収集した上で、自社のセキュリティ対策に活かすことが大切です。
AIセキュリティサービスを導入する
対策として、AIセキュリティサービスを導入するという手もあります。AIセキュリティサービスとは、セキュリティ担当者の作業をAIが代行し、システムやネットワークに対する攻撃を効率的に識別するサービスです。
AIは高い分析能力を有しているため、どのような経路で攻撃者が侵入したのか、どのような影響を受けているかを迅速に特定できます。その情報をもとに、侵入ルートを封じるセキュリティ対策や、感染したデバイスを隔離する対処などを行います。AIセキュリティサービスの導入は、リスク対策への強力な武器となるでしょう。
AIコンサルタントに依頼する
AIコンサルタントに依頼することも、セキュリティリスク対策として有効です。
AIコンサルタントは、セキュリティや情報漏洩に関するガイドラインの作成、ポリシーの策定を支援してくれます。AIコンサルタントの支援を受ければ、生成AIのセキュリティリスクを最小限に抑えることができ、安全に活用できるでしょう。
生成AIの導入を検討している方は「ナイルの生成AIコンサルティング」に相談を
生成AIのセキュリティ上の主なリスクは、「外部による情報漏洩」「内部による情報漏洩」「偽情報の発信」の3つに分けられます。リスクを低減するためには、「生成AIで機密性が高い情報を扱わない」「ガイドラインを整備する」「AIコンサルタントに依頼する」といった対策が有効です。
生成AIにはセキュリティリスクがありますが、適切に管理すれば、ほかのツールが持つリスクと同等であるといえます。正しいセキリュティ対策を行った上で、生成AIをフル活用しましょう。
ナイルでは、生成AIを導入する際の障壁に対して全方位的に支援する「生成AIコンサルティング」を提供しています。具体的には、生成AI基礎研修の実施や推進チームづくり、生成AI活用に適した業務の選定、対象業務内容のヒアリング、現状の業務を生成AIに置き換えた際のコスト削減効果の可視化など、さまざまなサポートを行います。もちろん、セキュリティリスクへの対策についても支援いたします。
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