GPTsとは?初心者でもできる開発方法や活用事例を解説

GPTsとは?初心者でもできる開発方法や活用事例を解説

最終更新日:2024年07月10日

ChatGPTは2022年11月にアメリカのOpenAI社が発表した生成AIで、大規模言語モデルのGPTを使用し、チャット形式で回答を生成できることが特徴です。ChatGPTは、人間と話すときと同じように会話を投げかけるだけで、テキストから質問の意図を読み取って適切な答えを返してくれます。

ChatGPTにはさまざまな機能がありますが、2023年11月に新機能「GPTs」が新たに実装されました。GPTsは、目的に合わせてChatGPTをカスタマイズできる機能です。GPTsを活用することで、プログラミングの知識がなくても簡単に独自のチャットボットを開発できるようになりました。

今回は、GPTsを使ってできることや、初心者でもできるチャットボットの作り方、GPTsの具体的な活用事例について解説します。

GPTsとは、目的やニーズに応じた独自のチャットボットを作成できる機能のこと

GPTsとは、ChatGPTをカスタマイズし、特定の目的やニーズに応じたチャットボットを作成できる機能で、2023年11月にOpenAI社によってリリースされました。

プログラミングの知識がなくても、ノーコードで簡単にオリジナルのチャットボットを構築できる点がGPTsの最大の特徴です。これにより、エンジニアがいなくてもアプリケーションの開発ができるようになり、さまざまな業界や個人のニーズに対応するツールとして利用されています。

GPTsは無料版でも利用できる?

GPTsは、2024年5月13日のアップデートにより、無料版でも利用できるようになりました。しかし、無料版では、ほかのユーザーが作成したチャットボットを使うことはできますが、自分でチャットボットを開発してほかのユーザーに共有することはできません。

より高度なカスタマイズやほかのユーザーとの共有を行いたい場合には、有料版の登録が必要となります。なお、有料版の「ChatGPT Plus」は2024年6月時点では月額20ドルで利用できます。

GPTsを使ってできること

GPTsは、ノーコードでChatGPTをカスタマイズできるツールです。そのため、プログラミングの知識がない初心者でも、簡単にチャットボットを作成することができます。うまく活用することで、個人から企業まで幅広いユーザーが、効率的かつ効果的にAI技術を活用することが可能です。

ここでは、GPTsの主な機能とその活用方法について詳しく解説します。

ノーコードでチャットボットを開発できる

GPTsの最大の特徴は、プログラミングの知識がなくても、ノーコードで簡単にチャットボットを開発できることです。GPTsを開発する際に、ユーザーが自然言語で指示を出すだけで、カスタマイズされたチャットボットを作成できる仕組みとなっています。

GPTsには、「Knowledge(知識)」という機能があり、ファイルを読み込ませてAIを学習させることができます。この機能により、プログラミングの知識がなくても、高度な応答や専門的な知識を提供するチャットボットが作れるようになりました。

開発したChatGPTを公開できる

GPTsで作成したチャットボットは、簡単に公開することができます。公開までの所要時間は約5分で、全世界のユーザーにオリジナルのチャットボットを提供することが可能です。

2024年6月時点ではまだ実装されていませんが、将来的には自身で作成したGPTsを多くのユーザーに使ってもらうことで、報酬を得られる可能性があるといわれています。

外部APIと連携できる

GPTsの「Custom Actions」という機能を使うことで、外部APIと簡単に連携することができます。これにより、ほかのシステムやサービスと統合して、より多機能なチャットボットを構築することができます。

例えば、天気情報APIを連携して天気予報を提供するチャットボットや、eコマースAPIを利用して商品の検索や購入サポートを行うチャットボットを作成することが可能です。

また、API経由で正確な情報を取得できるため、ChatGPTが間違った情報を答えるリスクも減らすことができます。

必要に応じたツールを効果的に活用できる

GPTsでは、「Code Interpreter」「Web browsing」「DALLE」機能のオンオフを設定することが可能です。これにより、ユーザーは必要な機能だけを有効にし、ほかの機能を無効にすることで、作業の効率や安全性の向上が叶います。

例えば、コードの実行が必要な場合には「Code Interpreter」をオンにし、インターネットから最新情報を取得したいときは「Web browsing」をオンにできます。画像生成が必要な場合は「DALLE」をオンにすることで、状況に応じた柔軟な対応が可能です。これにより、特定のタスクに集中し、必要に応じたツールを効果的に活用できます。

GPTsの基本的な使い方

では、GPTsは具体的にどのように使用すればいいのでしょうか。ここでは、GPTsの基本的な使い方をご紹介します。

1. ChatGPTを起動する

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ChatGPTを起動すると、上記のような画面が表示されます。なお、日本語版にしたい方は以下の手順で設定してください。

<ChatGPTを日本語設定に変更する方法>

(1)画面右上の自分のアイコンをクリック

(2)「Settings」をクリック

(3)「Language」のタブで「日本語」を選択

2. 「GPTを探す(Explore GPTs)」を選択する

https://appliv-gai-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/articles/1OJTZnI1lWaeXFuF4MChUxzdk3HCndergj0Ue8hW.png

左サイドバーにある「GPTを探す(Explore GPTs)」を選択すると、公開されているGPTsが表示されます。ランキング上位には英語のGPTsが見られますが、日本語で検索窓に入れると日本語向けのGPTsを表示することができます。

3. 使いたいGPTを選び、「チャットを開始する(Start Chat)」を選択する

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使いたいGPTを選び、「チャットを開始する(Start Chat)」を選択します。すると、入力画面に移行するので、質問を入力することで利用できるようになります。

オリジナルのGPTsをつくる方法

ここからは、GPTsでオリジナルのチャットボットを開発する方法について解説します。なお、有料版のみでしか開発はできないため注意しましょう。

1. ChatGPTを起動する

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まずはChatGPTを起動します。

2. 「GPTを探す(Explore GPTs)」を選択し、右上の「作成する(Create)」を選択する

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左サイドバーの「GPTを探す(Explore GPTs)」を選択すると、GPTが表示された画面に遷移します。その後、右上の「作成する(Create)」を選択します。

3. 作りたいGPTsの目的を入力する

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ここでは、開発するGPTの「目的」を入力する必要があります。しかし、英語で表示されているため、日本語でやりとりを行えるように指示しましょう。例えば、「日本語で設定したいので、以後日本語で書いてください。」といった文言を入力することで、日本語でのやりとりが可能になります。

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なお、ChatGPTは基本的に英語が得意なため、英語で入力できる場合は、英語版のまま使用するのがおすすめです。

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続いて、開発するGPTの目的を入力します。

例えば、「生成AIの比較を日本語でわかりやすく紹介してくれるツールを作りたい」と指示します。すると、GPTsは生成AIの比較するツールを作成することを返答した上で、ツールのタイトルを提案してくれました。問題ない場合は「問題ない」と回答し、変更したい場合は変更案を提案します。

4. GPTsのタイトルとアイコンを設定する

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タイトルが決定すると、GPTのイメージに沿ったプロフィール画像を生成してくれます。

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画像を変更する際は「アニメ風」などの条件をつけると、希望に沿った画像を生成してくれます。生成された画像で問題ない場合は、その旨を回答しましょう。

5. GPTsの方針を決める

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続いて、GPTの応答スタイル、行動について具体的に設定していきます。今回の場合は、GPTsに以下のように指示しました。

<GPT開発のためのGPTsへの指示>

  • 強調すべき情報:生成AIのことを詳しく知らない方が、生成AIを搭載したツールの違いを明確に理解できるように強調してほしい

  • 避けるべき情報:特定の生成AIのみをすすめることをしてほしくない

6. 動作・設定確認を行う

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GPTの方針が決定したら、画面右側のウィンドウにプレビュー画面が表示されます。この段階では下書き状態ですが、公開状態にすることも可能です。

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修正がある場合は指示を出しましょう。特に問題なければ、「追加の修正なし」の旨を伝えます。

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その後、さらに細かく文章を書き換えて設定できる画面に遷移します。左ウィンドウの設定を変えると、右ウィンドウのプレビューに反映されるため、簡単にチェックができるのが特徴です。

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また、作成したGPTの精度を上げるためには、前述した「Knowledge(知識)」の機能を利用して、ファイルをアップロードし、学習させることも可能です。

7. 公開する

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GPTの細かな設定が完了したら、ウィンドウ右上の「作成する」ボタンで公開へと進むことができます。

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GPTの公開範囲は、「Only me(自分のみ)」「Only people with a link(リンクを知っている人のみ)」「Public(GPTストア)」の中から設定が可能です。GPTストアを選択し、カテゴリーを選んだのち「保存(Save)」を押すと全世界に公開されます。

以上でGPTsの作成手順は終わりです。

GPTsの具体的な活用事例

GPTsは、初心者でも簡単にオリジナルのチャットボットを作成できるツールです。プログラミングの知識が不要なため、多くの人がさまざまな用途で活用できます。うまく活用することで業務の効率化も叶うでしょう。ここでは、GPTsの具体的な活用事例をご紹介します。

スケジュール管理

GPTsを利用することで、個人やチームのスケジュール管理を自動化できます。例えば、会議のスケジュール調整やリマインダーの設定など、日常的なタスクを効率化できます。ユーザーがカレンダーに予定を追加すると、自動でリマインダーが送られるように設定することも可能です。

データ分析

データ分析の分野でもGPTsは大いに役立ちます。大量のデータを入力し、GPTsに解析を依頼することで、即時に結果を得ることができます。これにより、データ分析の担当者は機械的に計算できる分析はGPTに任せて、人にしかできない重要な業務に集中できるようになるでしょう。

なお、データ分析の精度はプロンプトの精度によって変わるため、注意が必要です。

コンテンツ作成のサポート

ブログ記事やマーケティング資料の作成においても、GPTsは強力なツールです。簡単な指示を入力するだけで、AIが文章を自動生成してくれるため、コンテンツ作成の時間を大幅に短縮できます。ただし、ChatGPTはあくまで「それらしい回答をするAI」のため、情報の正誤や他サイトの著作権を侵害していないかについては、必ずチェックしましょう。

また、コンテンツ作成においては、ユーザーの悩みを解決するような一次情報のコンテンツが望ましいとされています。GPTが出した回答をそのまま使うのではなく、自分なりの一次情報などを盛り込むなど工夫することが大切です。

プログラミングコード作成

プログラミング初心者でも、GPTsを使えばコードの生成が可能です。前述のとおり、専用のGPTを使えば、必要に応じたプログラミングコードを簡単に生成してくれます。

なお、プログラミングの知識がなくても、プログラミングの知識に特化したチャットボットを作成し、プログラミングについて教えてもらうこともできます。

GPTsを活用する際の注意点

GPTsはうまく活用できれば、業務の効率化に大いに役立ちます。その一方で、GPTsを活用する際にはいくつかの注意すべきことがあります。きちんと注意点を理解した上で、GPTsを上手に活用しましょう。

GPTsの開発・共有は有料版しかできない

GPTsの開発や公開は有料版でしか利用できません。無料版ではほかのユーザーが作成したGPTの利用のみとなります。

そのため、本格的なアプリケーションを開発したい場合や、ほかのユーザーにGPTを共有したい場合には、有料版の契約が必要です。2024年6月時点でChatGPTの有料版は月額20ドルとなっています。企業が大規模に使いたい場合のプランも用意されているので、使用用途に応じてプランを選択しましょう。

利用制限がある

GPTsの利用にはいくつかの制限があります。トークン数が多い場合は入力や出力を分割する必要があるでしょう。もし、出力時に文字数が足りないなどの問題があった場合は、「続きを書いてください」と指示することで続きを生成してくれます。

この制限によって、大規模なプロジェクトや多数のユーザーが利用するシステムでは、追加のリソースが必要になることがあります。利用する前に、どの程度の使用が想定されるかを確認し、適切なプランを選ぶことが重要です。

情報漏洩する場合がある

ChatGPTは、ユーザーによって入力された情報を学習するプロセスで成り立っているため、ユーザーが機密情報や個人情報を入力した場合、そのデータがほかのユーザーの出力に反映されるリスクがあります。そのため、ChatGPTを使用する際には、機密情報や個人情報の入力を避けるのが基本です。

また、アカウント情報の流出によっても情報漏洩が発生する可能性があるため、業務での使用には特に注意が必要でしょう。

自分だけのGPTsを作って業務の効率化を目指そう

GPTsは無料ユーザーでも十分に活用できますが、ビジネスに活用したい場合にはカスタマイズしたオリジナルGPTを作成して業務効率化を図ってみるのもいいかもしれません。

GPTsの活用法に興味はあるけれど、どのように業務に落とし込めばいいかわからないという方は、まずは生成AIの専門知識を持ったコンサルタントに相談してみることをおすすめします。

ナイル株式会社が運営する「生成AIコンサルティング」では、ChatGPTを業務でどのように使うかの洗い出しや、それによる売上向上やコスト削減効果の可視化についてご相談いただけます。また、生成AIの知見のあるエンジニアによるマイクロアプリケーションの開発もでき、生成AIを使って業務効率化が図れるでしょう。

業務でChatGPTの導入を検討されている方は、まずは気軽に無料相談にお申込みください。

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