生成AIはビジネスに活用できる?日本企業における活用事例を解説

生成AIはビジネスに活用できる?日本企業における活用事例を解説

最終更新日:2024年07月05日

ChatGPTが登場した2022年を境に、生成AIは一気に身近な存在になりました。テキストを入力するだけで、ユーザーが求める情報を導き出せるシンプルな仕組みから、生成AIは専門知識のない一般の人にもどんどん身近な存在になりつつあります。

また、ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズできる柔軟性の高さから、生成AIのビジネスへの応用も一気に進みました。追随する形で登場した画像生成AI、動画生成AIなどの躍進と相まって、国内でも多数の企業が生成AIを業務に取り入れています。

今回は、これからビジネスでの生成AI活用を検討したい方に向け、実際に生成AIを活用している日本企業の事例をご紹介します。自社の課題に合う生成AIの選び方や、活用方法のヒントとしてご活用ください。

生成AIとは、学習データをもとに新たなコンテンツを生み出すAIのこと

生成AIとは、みずから学習した膨大なデータをもとに新しいコンテンツを生み出すAIのことで、別名「ジェネレーティブAI(Generative AI)」とも呼ばれています。生成AIが登場する以前のAIは、人間に与えられた学習データの中から、質問に対する適切な回答を検索していました。一方、生成AIの場合は、みずから学習した情報をもとにオリジナルなコンテンツを生み出すことができます。

また、生成AIが生み出すデータは、テキスト、画像、音声、動画など多岐にわたります。

テキスト生成AIの「ChatGPT」や画像生成AIの「DALL·E」をはじめ、大手テック企業や新興企業からリリースされているさまざまな生成AIを用途や目的に応じて使い分けることで、ユーザーが求めるさまざまなデータをごくわずかな時間で自動生成することができます。

生成AIをビジネスに活用すると何ができる?

生成AIをビジネスに活用すると、時間と手間がかかっている作業を効率化してコストを削減したり、人間が思いつかないような斬新な着想を得たりすることができます。

ここでは、より具体的なビジネスへの活用の仕方について、マーケティング、広告制作・運用、データ分析、営業活動の4つの領域からそれぞれ解説します。

マーケティング業務の効率化

生成AIをマーケティング業務に活用することで、顧客満足度の向上や業務効率化につながります。

生成AIを使えば、企業が蓄積してきた情報から顧客一人ひとりの趣味嗜好、購買行動などを瞬時に分析し、パーソナライズしたコンテンツの提案ができます。自分との関連性が高い情報を受け取った顧客の満足度は高まり、企業に対するロイヤルティの向上も期待できるでしょう。

さらに、ウェブサイトのデザイン、コンテンツ制作などにおけるアイディア出しや、アイディアのブラッシュアップに生成AIを活用すれば、時間と労力のかかる業務の効率化につながります。そうした一部の業務を生成AIで行いつつ、より生産性の高い業務に人員を集中させることで、マーケティング業務全体の精度も高まるはずです。

また、予測分析を得意とするAIと生成AIを組み合わせれば、学習の元となる良質なデータを大量に生産でき、予測精度が高まります。予測結果を生成AIでのコンテンツ制作に生かせば、より効果的なマーケティング戦略の立案も可能になります。

広告制作・運用の効率化

生成AIを広告の制作や運用の領域において活用することで、オリジナリティの高いアイディアの量産、ユーザーデータの収集・分析の効率化などが実現できます。

AIには敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Networks)と呼ばれるアルゴリズムがあり、これによって、元となるデータを参考に類似的なデータを生み出すことが可能です。この生成データは、本物との区別がつかないレベルでありながら実際には存在しないため、人物画像であっても誰の許可も得ることなくウェブページなどに掲載できます。撮影の被写体となるモデルを探したり、モデルの掲載許可をとったりするなどの作業が不要になるため、広告制作をスムーズに行うことが可能となります。

データ分析の効率化

広告制作に際して行われる顧客データや競合データ、市場の状況などの分析作業を生成AIに一任すれば、スピーディーで質の高い調査や分析を行うことができるため、容易にターゲットを選定でき、無駄を省けます。

また、生成AIの活用によって、商品企画や商品のパッケージデザインなども効率化できるため、商品展開のサイクルも早くなるでしょう。

営業活動の生産性向上

営業活動において生成AIを活用することで、ノンコア業務の効率化や、コミュニケーションの質向上による成約率アップなどが期待できます。

営業が行う作業は多岐にわたるため、場合によっては、コア業務である利益の創出がおろそかになってしまうこともあります。そのため、文書の作成、営業先を選定するための顧客データ分析、商談相手の情報の整理といったノンコア業務をAIが担うことで、営業は商談に注力できるようになるでしょう。

日本企業における生成AIの活用成功事例

では日本において、どのような企業がどのように生成AIを活用しているのでしょうか。

ここからは、生成AIを導入している日本企業の成功事例について、マーケティング、広告制作・運用、データ分析、営業活動の4つの領域から、それぞれご紹介します。

マーケティング分野への生成AI活用事例:江崎グリコ株式会社

大手総合食品メーカーの江崎グリコ株式会社は、創業家の江崎悦朗氏の社長就任で若返りを図るとともに、プリファード・ネットワークス出身の長谷川順一氏を常務執行役員として商品開発へのAI活用を進めてきました。これまでに、商品開発のためのデータ分析、社内向けの問い合わせ対応へのAIチャットボットの採用など、積極的にAIの導入を進めています。

そのひとつが、生成AIによる商品の需要予測です。商品の在庫量や流通量の適正化には、分析に用いるデータの精度と量を確保し、極力誤差を小さくする必要があります。同社では、生成AIによる豊富で精緻なデータをもとに需要を予測して生産計画を立てることで、収益悪化の原因となる売れ残りや廃棄を防いでいます。

広告制作・運用への生成AI活用事例:サントリー食品インターナショナル株式会社

サントリーホールディングス傘下で清涼飲料事業を行うサントリー食品インターナショナル株式会社では、以前から「ヒトの仕事をAIに置き換えるのではなく、ヒトの業務ノウハウと協業してはじめてAIは有効活用できる」としてAI活用に最適な業務プロセスの洗い出しとAI導入を進めてきました。

2023年7月には、生成AIで炭酸飲料「C.C.レモン」を擬人化したキャラクターを制作し、期間限定でプロモーションを展開して話題を呼んでいます。また、同時期には、斬新な発想をする「AI部長」をChatGPTによって生み出し、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」のユニークなウェブCMを展開しました。

人間の頭では思いつかないような斬新なCMを、人の手をかけずに制作することで、話題づくりと業務効率化に成功しています。

データ分析への生成AI活用事例:株式会社セブンイレブン・ジャパン

データ分析業務への生成AI活用の代表例としては、株式会社セブンイレブン・ジャパンの事例が挙げられます。

小売業界では、ユーザーニーズに合った新たな商品を継続的に投入していく必要がありますが、従来は商品企画のためのデータ分析と企画に時間がかかり、タイムリーな商品投入につながらないことがありました。また、分析の精度によっては、顧客ニーズとの微妙なズレによる売上の低迷、廃棄の増加といったリスクもあります。

そこで、株式会社セブンイレブン・ジャパンでは、店舗で販売された商品と購入者のデータや、SNS上での反応などをもとにした分析作業、および新商品企画に生成AIの技術を取り入れました。また、新商品のパッケージや広告に使用する文章や画像なども生成AIで作成することにより、商品企画にまつわる時間の大幅な削減に成功しています。

また、2024年5月には、生成AIは今後の流通を確信するための重要な技術であるとして、親会社である株式会社セブン&アイ・ホールディングスが「生成AIファースト」を宣言しました。人手不足が続く小売業界では、生成AIの活用による生産性の向上への期待が大きく、同社ではすでにマーケティング、社内業務効率化、データ分析、カスタマーサービス業務の効率化、顧客体験向上などの領域でもAIの活用が進んでいます。

営業活動への生成AI活用事例:株式会社宮崎銀行

営業業務への生成AI活用事例としては、株式会社宮崎銀行の取り組みが挙げられます。

株式会社宮崎銀行では、融資業務において最も重要な業務である対面での営業時間を増やすために、融資関連書類の作成に生成AIを導入しています。

融資業務における書類を作成するには、財務データや交渉履歴、取引履歴などを確認した上で稟議書を上げる必要があり、事務作業の負担が非常に大きいことが課題でした。そのため、社内のデータを一元化して生成AIを活用することで、作業の大幅な効率化を実現しています。

また、データの分析、稟議書の作成などの業務の属人化が解消され、アウトプットの質が均一化したことも、生成AI導入による成果のひとつです。

生成AIの導入を検討している方は「ナイルの生成AIコンサルティング」にご相談を

生成AIは、アイディアの創出や、属人化しがちな作業、コストがかかるノンコア業務などの効率化を助け、ビジネスの成長に貢献します。生成AIの特性を理解し、自社のビジネスの飛躍を目指していくことが大切です。

ナイル株式会社では、生成AIを導入する際の障壁に対して全方位的に支援する「生成AIコンサルティング」を提供しています。具体的には、ChatGPTなど生成AIに関するセミナー実施や推進チームづくり、生成AI活用に適した業務の選定、対象業務内容のヒアリング、現状の業務を生成AIに置き換えた際のコスト削減効果の可視化など、さまざまなサポートを行っています。

ChatGPTなど生成AIを導入しようと検討している方は、ナイルの「生成AIコンサルティング」にご相談ください。

こちらの記事もおすすめ

新着記事

無料相談会実施中!
ChatGPTや生成AIの社内活用でお困りの際は、下記フォームからぜひお気軽にご相談ください!