生成AIとは?活用メリットや課題点、活用例などを解説

生成AIとは?活用メリットや課題点、活用例などを解説

最終更新日:2024年07月10日

昨今、生成AI市場においては、評価額10億円を越えるユニコーン企業も続々と登場してきています。総務省によれば、世界全体の生成AIの市場規模は2030年までに約14兆円まで拡大するといわれています。国内でも、大手企業を中心としてビジネスに活用する事例が多く見られるようになりました。

しかし、「自社でも活用したほうが良さそうだけど、具体的な方法が思い浮かばない」「いまいちメリットがわからない」と導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、生成AIの概要やメリット、問題点、実際の活用事例などについて詳しく解説します。生成AIについての理解を深めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

生成AIとは、ゼロからコンテンツを制作できるAIのこと

生成AIとは、「ジェネレーティブAI(Generative AI)」とも呼ばれて、学習済みのデータをもとに新たなコンテンツを生み出せるAIのことです。

普段から新しい技術にアンテナを張っている人でなくても、テキスト生成AIの「ChatGPT」や画像生成AIの「DALL·E」といった話題性の高い生成AIの名称は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

生成AIが生み出せるデータは、テキストから画像、音声、動画まで多岐にわたり、目的に応じて使い分けることで理想的な成果物を自動的に作り出すことができます。人の手を介さず、かつ人が思いつかないような魅力的なコンテンツを量産できる生成AIは、ビジネスを大きく進展させる可能性を秘めているといえるでしょう。

実際、生成AIによる省力化、顧客満足度の向上、競争力の強化といったメリットに期待する企業は多く、国内でも活用が進んでいます。

生成AIの仕組み

生成AIは、ディープラーニング(深層学習)によってAI自身で学習を重ね、新たなオリジナルコンテンツを作り出すことができます。

人間が提供していない情報やデータまでもAI自らインプットし、新しいコンテンツを生み出せる点は、従来のAIにはない、生成AIならではの特徴です。

従来のAIと生成AIの違いは、オリジナルコンテンツを作れるかどうか

生成AIブームの火付け役となった対話型AI「ChatGPT」をOpenAI社がリリースしたのは、2022年のことです。これをきっかけとして、それまで専門的に研究されてきたAIが、一気に世間に普及しました。企業がビジネスにAIを活用する動きも、生成AIの誕生と大衆化を起点としています。

生成AI以前のAIは、人間が提供した、あるいはインターネット上から収集した膨大なデータをインプットし、その中から最適な答えを返すものです。よって、正しい答えを導き出すには、正確で質の良いデータを大量に用意する必要がありました。

一方、生成AIは、インプットしたデータから学んだ知識を生かして、0から1を生み出すサービスです。つまり、これまで人間の役割だった「アイディアを創造する」というプロセスから、生成AIに任せられるようになったのです。この点が、従来のAIと生成AIの最大の違いです。

人間が積極的に関わらなくてもオリジナルコンテンツを生み出せるところまで生成AIが進化したことで、一気にビジネス活用への気運が高まったといえます。

生成AIの種類

ここからは、生成AIの種類と概要、それぞれの代表的なツールを整理しておきましょう。

各生成AIの特徴を知ることで、より有効に使い分けをすることができます。

文章生成AI

文章生成AIは、自然言語処理技術を活用し、まるで人間が描いたような文章を自動生成する生成AIです。

例えば、テキストボックスに入れた質問に答えてくれたり、投げかけたテーマに沿った文章を執筆してくれたりします。

文章生成AIの代表的なツールは、下記のとおりです。

■文章生成AIの代表的なツール

ツールの種類 主な機能
ChatGPT OpenAIが開発した対話型AIツール。まるで人間と対話しているかのように自然なやりとりが可能
Claude3 アメリカのAnthropic社が提供する大規模言語モデル。テキスト、画像、音声といった異なるデータを同時に使えるマルチモーダル入力に対応しており、応答の迅速性が魅力
Gemini Googleの対話型AI。マルチモーダル機能を備え、簡単に質の高いコンテンツを作成できる

画像生成AI

画像生成AIは、ユーザーの頭の中にあるイメージを文章化したテキストや、参考画像をもとに、極めてイメージに近い新規画像を生成する生成AIです。例えば、「田舎道で自動車を運転するネコ」といった現実にはありえない画像でも、まるで本物のように作成することができます。

画像生成AIの代表的なツールは、下記のとおりです。

■画像生成AIの代表的なツール

ツールの種類 主な機能
Stable Diffusion Stability AIによる、オープンソースの画像生成AI。画像生成AIブームの旗振り役となったツールといわれている
Midjourney 文章をもとに、スピーディーに画像を生成することができる。Discord上で利用可能
DALL·E 3 OpenAI社が提供する画像生成AI。ChatGPTのサブスクリプション。テキストにあった画像を自動生成できる

音声生成AI

音声生成AIは、録音した多数の音声データから特徴を学び、新たな音声を人間の声で合成する生成AIです。

従来のような機械的な音声ではないため、特定の人の声を学ばせれば、まるでその人が話しているような音声データを作成できます。また、欲しい楽曲のイメージをテキストで入力し、新たな曲をアウトプットすることもできます。

音声生成AIの代表的なツールは、下記のとおりです。

■音声生成AIの代表的なツール

ツールの種類 主な機能
VALL-E Microsoftが提供する音声合成AI。少ないサンプルからでも、感情の起伏や抑揚を含めた人の声を再現できる
Voicevox エンジニアのヒホが開発した、日本発の音声合成ソフトウェア。自分の好きなキャラクターの声で音声を再生できる

動画生成AI

動画生成AIは、イメージに沿った動画を自動で生成するAIです。ユーザーが入力したテキストや画像などのデータをもとに、ユーザーからの指示に適した動画を生成します。

動画生成AIの代表的なツールは、下記のとおりです。

■動画生成AIの代表的なツール

ツールの種類 主な機能
Sora 2024年2月にOpenAI社から発表された、テキストから動画を作成するAI。単純なテキストからでもリアリティのある動画を作成できる。2024年5月現在、まだ一般公開はされていない
Lumiere 2024年にGoogle Researchが発表した動画生成AI。シームレスで自然な動画を自由に編集できる

生成AIツールを選ぶ際のポイントや、用途別におすすめのツールについては、下記の記事をご覧ください。

生成AIツールとは?おすすめのツールを用途別にご紹介

生成AIをビジネスで活用するメリット

生成AIの活用が進む背景には、生成AIによって得られるさまざまなメリットがあります。

ここでは、生成AIをビジネスにおいて活用する上での主な3つのメリットについて、それぞれご紹介します。

コストを削減できる

コスト削減につながる点は、生成AIをビジネスにおいて活用するメリットのひとつです。

これまで人が時間と手間をかけて取り組んでいた作業を生成AIに任せることにより、業務プロセスの効率化によるコスト削減が実現できます。また、業種によっては、設備投資にかかるコストを抑えられる可能性もあります。

アイディアのブラッシュアップに活用できる

アイディアのブラッシュアップができる点も、生成AIをビジネスにおいて活用するメリットです。

生成AIは、学習したデータをもとにまったく新しいアイディアを生み出すことができる技術です。ユーザーからの問いかけに対してスピーディーに回答してくれるため、アイディアの壁打ちに利用することで新しい視点を得ることができるでしょう。

利用者の満足度が向上する

生成AIをビジネスにおいて活用することによって、自社の商品やサービスに対する利用者の満足度が向上するケースもあります。

生成AIを活用することで、顧客の好みに応じて簡単にコンテンツをパーソナライズでき、顧客の体験の質が高まります。そのため、結果として、成約率や継続率の向上といったプラスの効果が期待できるのです。

生成AIの主な課題点

生成AIは便利で画期的なツールですが、いくつかの課題点もあります。

ここでは、生成AIの主な5つの課題点について、それぞれ説明します。

すべての回答が真実とは限らない

生成AIは、決して万能ではありません。読み込んだデータの質などによって、誤った情報を生成することもあります。

そのため、生成AIが出したデータを鵜呑みにするのではなく、必ず真実性をチェックするようにしてください。

著作権に抵触するおそれがある

文化庁が2023年に公開した「AIと著作権」では、「AIを利用して画像等を生成した場合でも、著作権侵害となるか否かは、人がAIを利用せず絵を描いた場合などの通常の場合と同様に判断されます」としています。

すなわち、既存の著作物との「類似性」や「依拠性」が認められた場合、著作権侵害に当たる可能性があるということです。

そのため、生成AIによって制作した成果物は、必ず複数人で客観的にチェックしたのち、世間に発表するようにしましょう。

情報漏洩やサイバー攻撃のリスクがある

AIに情報を入力する際、ネットワークを通じて情報が流出するリスクがあることを知っておきましょう。個人情報や機密情報の安易なアップロードはしないようにしてください。

また、外部からのサイバー攻撃による流出のリスクもあるため、十分な注意が必要です。

生成AIのセキュリティリスクや情報漏洩が発生する主な要因については、下記の記事をご覧ください。

生成AIのセキュリティリスクは?主な要因や行うべき対策を解説

法整備が遅れている

生成AIに関する法律は、現時点ではまだ存在しません。そのため、高い利便性の一方で偽の情報が広まるなど、さまざまな問題も起こっています。使い方によっては、犯罪につながる危険性もあるでしょう。

2024年5月には、政府が生成AIの法整備の検討に入ることを発表したため、今後の展開に期待がかかっています。

生成できないコンテンツがある

生成AIにも、生み出せないコンテンツは存在します。

例えば、生成AIは感情を乗せたコンテンツを生成できません。生成AIには、人間のように心情を理解して言葉を選ぶことができないからです。

そのため、感情を乗せたコンテンツを制作する際は、ユーザー側が言葉を足して内面の感情を表現する必要があります。

ビジネスにおける生成AIの活用例は?

ビジネスシーンにおいて、どのように生成AIを活用できるのでしょうか。

ここからは、ビジネスにおける生成AIの活用例をご紹介します。

必要な社内データの抽出

膨大な学習データを有している生成AIは、必要なデータを収集するのに便利です。

欲しいデータの内容をテキストで入力すれば、膨大な社内データの中から関連性の高いデータだけを抽出してくれるでしょう。

キャッチコピーなどのアイディアの創出

生成AIは、キャッチコピーやフレーズ案など、数がほしいアイディアの創出にも活用できます。

入力した言葉から連想できるアイディアを豊富に示してくれるため、幅広い選択肢からより良いものを選ぶことができるでしょう。

文章の要約

長い文章の要約作業は、生成AIが得意とする業務のひとつです。

例えば、会議の概要や社長スピーチ、セミナーの内容なども生成AIに入力して要約を指示すれば、要点を抑えてまとめてくれます。

画像素材の作成

ウェブサイトや広告などで使う画像も、生成AIを使って作成することができます。

そのため、生成AIを活用すれば、イメージに合う画像を探す時間や、撮影の手間、煩わしい本人確認作業などを行わずに済むでしょう。

プログラミングのコード生成やデバッグ

ChatGPTの新機能「Advanced data analysis(旧Code Interpreter)」を使えば、ファイルの分析やグラフ化に必要なコードの作成、デバッグなどを誰でも容易に実行できます。

そのため、ChatGPTを活用すれば、プログラミングに詳しい従業員でなくても、簡単な作業であれば、システム開発業務に関与できるでしょう。

議事録の作成

会議の録音を文字起こしツールでテキスト化し、議事録を作成してほしい旨、文字数、必要項目などのプロンプトと併せて生成AIに入力すれば、簡単に議事録を作成できます。

なお、有料版でプラグインを利用すれば動画からの文字起こしも可能ですが、文字数制限がある点に注意しましょう。

生成AIをビジネスで活用するメリットや活用方法については、下記の記事をご覧ください。

生成AIのビジネスでの活用方法は?業界別の活用事例とともに解説

また、日本企業における生成AIの活用事例については、下記の記事をご覧ください。

生成AIはビジネスに活用できる?日本企業における活用事例を解説

生成AIの導入を検討している方は「ナイルの生成AIコンサルティング」にご相談を

話題の生成AIにはさまざまな種類があります。ビジネスの活用シーンに応じた種類を選べば、業務の質や効率を飛躍的に向上させることも夢ではありません。それぞれの生成AIの特徴を把握して、自社の業務に取り入れましょう。

ナイル株式会社では、生成AIを導入する際の障壁に対して全方位的に支援する「生成AIコンサルティング」を提供しています。具体的には、ChatGPTなど生成AIに関するセミナー実施や推進チームづくり、生成AI活用に適した業務の選定、対象業務内容のヒアリング、現状の業務を生成AIに置き換えた際のコスト削減効果の可視化など、さまざまなサポートを行っています。

「どの生成AIが適しているのかわからない」といったお悩みにも丁寧にアドバイスしますので、まずはお気軽にご相談ください。

生成AIコンサルティングの概要や依頼できる内容、選定のポイントについては、下記の記事をご覧ください。

生成AIコンサルティングとは?必要な理由や選定のポイントを解説

また、生成AIセミナーの主な内容や受講するメリットなどについては、下記の記事をご覧ください。

生成AIセミナーとは?受講するメリットや選ぶポイントを解説

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