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  • 「ゲームコミュニティは置くだけでは動かない」~数十万人を相手に運営するプロ「ギルドロケット」が語る、Discord活用の現実と“熱狂”の作り方

スマートフォンのゲームタイトルにおいて、今やDiscordを活用したゲームコミュニティ運営は欠かせないマーケティング施策のひとつとなっています。しかし、「コミュニティを作ったのに誰も発言しない」「最初だけ盛り上がってすぐ静かになった」という悩みを抱える企業は少なくありません。

なぜそうなるのか。どうすれば変わるのか。数々のゲームコミュニティを立ち上げ、累計参加者数10万人規模の運営実績を持つ「ギルドロケット」の現場担当者に、コミュニティがもたらす真の価値と、成功のために必要な「現場の解像度」について聞きました。

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今回お話を伺った方々

ギルドロケット コミュニティマスター 笹本 勇人(ささもと はやと)
ゲームライター歴10年。ゲーム公認Discordコミュニティの管理人として、数万人規模のサーバー運用経験あり。書籍『Discord活用ガイド』(インプレス)にも好例として掲載。

ギルドロケット ディレクター 保坂 陽介(ほさか ようすけ)
ギルドロケットの事業設計・クライアント対応を担当。連動キャンペーンの設計から特設サイト制作、DiscordBotの開発まで、技術面を含めたコミュニティ施策全般を手がける。

ギルドロケットについて知る

コミュニティは「燃料補給」の場所。リテンションに与える影響

コミュニティは、単なる情報の受け皿としての存在ではありません。特にDiscordは、従来のSNSとは異なる「クローズドな熱狂」を生む装置として機能しています。

そもそもDiscordがコミュニティの場として定着し始めたのは、ここ5年ほどのことです。コロナ禍で人と直接会えなくなったこともあり、ゲーム内の仲間とオンラインで集まれる場所へのニーズが急速に高まりました。

保坂

Discordは招待制のクローズドな環境でボイスチャットが楽しめるので、そのゲームが本当に好きな、熱量の高いユーザーが集まりやすいんです。攻略情報を深く議論したり、一緒にプレイする友達を見つけたりすることで、ユーザーのゲーム体験は劇的に変わりますね。

笹本

そうなんです。コミュニティがあるタイトルとないタイトルで明確に違うのは、ユーザーがゲームの話をする場所を持っているかどうか。話す場所がある人は、そこで燃料を補給し続けられる。つまり、コミュニティはゲームへの熱量を持続させる装置なんです。

実際、ゲーム連動企画に参加したユーザーとそうでないユーザーでは、課金継続率やリテンションレートに明確な差が出るというデータも出ているとのこと。

ギルドロケットリテンションの実例

コミュニティへの投資は、ゲームの長期的な収益にも直結しているのです。

「作っただけ」では動かない、日本特有の難しさ

では、Discordのサーバーを開設さえすれば、コミュニティは育っていくのでしょうか。この問いに対し、二人は首を横に振ります。

笹本

残念ながら、日本のDiscordコミュニティ特有の難しさがあって、そう簡単にはいきません。私たちが運営してきた感覚では、実際に発言するアクティブなユーザーは全体の約5%ほど。残りの95%は「見る専」、つまり自分からは発言しない層なんです。

保坂

海外だとDiscordを作るだけでみんなしゃべってくれるようですが、日本人は何らかの投稿ネタや後押しを運営側が用意しないと、なかなか能動的な行動にはつながらないんですよ。

コミュニティ立ち上げ直後は、入ったばかりのユーザーが比較的活発に動きます。しかし、やがて話題が尽きると、大半のユーザーはコミュニティに来なくなってしまうといいます。

笹本

テンプレ構成で箱だけ作って「あとは皆さんどうぞ」というスタイルのコミュニティは、ゲームの話題がなくなったタイミングで本当に動かなくなるんです。そしてユーザーは運営の意欲低下を敏感に察知して離脱し、ゲームへのモチベーションも一緒に下がっていってしまう。これは典型的な「失敗するコミュニティ」のパターンです。「置けば勝手に動く」という誤解が、運用失敗の第一歩になってしまうんですね。

雑談チャンネルだけが用意されていて、いつも同じメンバーだけが話している――そんなコミュニティに、新しいユーザーは長居をしません。
コミュニティは、作ることよりも動かし続けることの方がずっと難しい。まずはこの前提を共有することが、コミュニティ運用のスタートラインとなります。

プロの運用を支える「現場の解像度」と3つの武器

コミュニティを動かし続けるためには、ゲームのアップデート内容を熟知し、ユーザーと同じ目線で語れる「現場力」が不可欠。さらに、ユーザーを引き込む設計と、独自の企画を実現する技術力も求められます。

圧倒的なゲーム理解度と、話題を作り続ける企画力

ギルドロケットでは、運営担当者がゲームをやり込むことを鉄則としているといいます。

笹本

スタッフは全員、コアユーザーと同等、あるいはそれ以上にゲームをやり込んでいます。だからこそ、ユーザーが今何を欲しているかの空気が読める。その上で、独自のキャンペーンや盛り上げ施策を実施し、「入ったけれどやることがない」という状態を潰していくのが私たちのスタイルです。

ユーザーの興味を惹く話題を提供し続け、継続的に「来る理由」を作ること。コミュニティが活性化するかどうかは、この地道な積み重ねにかかっています。

業界でも数少ない、緻密な集客・導線設計

ギルドロケットの集客キャンペーン例

そもそもコミュニティを動かすには、適切な集客が必要です。ギルドロケットでは特設サイト制作に加え、ゲーム内報酬と連動した複雑な導線設計を手掛けるのはもちろん、ゲーム内ミッション設計にまで踏み込んだ提案を行っています。

企画を確実に形にする、オリジナルBot開発

さらに、Discordというツール自体への深い理解も欠かせません。ギルドロケットでは、ビンゴ大会や宝くじといった企画を実現するためのオリジナルDiscordBotも自社開発しています。

Discordbotイメージ

▲DiscordBotを使った実際のイベント例

笹本

こういう企画をやりたいとなったとき、それを技術的に実現できる体制があることで、提案した企画を確実に形にできるのは、うちの大きな強みになっていますね。

この「企画から実装まで」の一貫した対応力が、コミュニティの体験品質を底上げしています。

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内製と運用代行の違いは「構造的な制約」

ここまで外部運用代行の事例を紹介してきましたが、内製との違いはあるのでしょうか。
この点について、保坂は「現場にある『大きな壁』が違いを生む」と話します。

内製運用における大きな壁は、「公式を背負う重み」です。ゲームの公式が運営するコミュニティでは、管理人の発言が即座に「公式の言葉」として受け取られます。

また、開発や運営といった本来の業務と並行しながらコミュニティをケアし続けるのは、工数的に大きな負荷になってしまうだろうことも予想できます。

しかもコミュニティは、途中で閉鎖するとゲーム自体が終わるようなネガティブな印象を与えてしまうため、簡単にはやめにくい側面もあります。そのため、常に継続のプレッシャーがつきまとうという、公式運営ならではの「退路のなさ」が担当者の重荷になっているケースも少なくありません。

保坂

公式だと、あらゆる対応が「公式見解」になってしまいます。そのため慎重な対応が求められ、結果、社内確認に時間がかかって初動が遅れたり、回答がテンプレ的になったりしてしまう。それが積み重なると、ユーザーがいらだって炎上の火種になることもありますね。

「公認」という立ち位置が生む、柔軟さと熱量

公式運営が「正確性」や「ブランド担保」を重視するなら、外部の運用代行が担えるのは「柔軟さ」と「ユーザーとの距離の近さ」です。

公認ならではの自由度とスピード感

ギルドロケットが主に運営するのは「公式」ではなく「公認」コミュニティです。この立ち位置の違いが、ユーザー体験に差を生みます。

笹本

たとえば不具合への問い合わせが来たとき、公式であれば基本、各所確認を経てから回答します。一方、公認では状況把握しながらできる限り早く反応し、ユーザーの隣に立って寄り添うことができます。
最終的な解決はゲーム運営側へのエスカレーションになるとしても、「ちゃんと見ている」という安心感を素早く届けられることが、コミュニティの健全性を守ることにつながるんです。

「やらなきゃ」ではなく「やりたい」という熱量

もう一つの強みは、数値では見えにくい「チームの熱量」です。

笹本

チームメンバー全員、ゲームやコミュニティ運営を心から楽しんでいます。その「やりたい」という熱量がユーザーの皆さんにも伝わっているようで、どのコミュニティでも管理人への評価がすごく高いんです。

ユーサーからは、管理人の親身さやコミュニティの居心地の良さを評価されたほか、「管理人が24時間いるみたい」という驚きの声もあったほどだといいます。

実績が証明する、コミュニティの可能性

現在、ギルドロケットが運営するあるタイトルでは、コミュニティの累計参加者が10万人に迫ろうとしています。この規模を実現できたのは、IP人気に頼るだけでなく、戦略的なキャンペーンによる誘導と、現場での質の高い運用を積み重ねてきたからです。

また、この実績が業界内で知られるようになり、新規デベロッパーからのアプローチにもつながっています。ここまでの運用スタイルが単なる「ゲームの盛り上げ役」を超えて、リテンションやLTVに貢献する強力な武器となることの証明といえるでしょう。

鉄は熱いうちに打て。リリース直後の「初動」がタイトルの命運を握る

「コミュニティは、後から立て直す方が数倍の労力がかかる。だからこそ、開設時期はユーザーの熱量がピークに達する『リリース直後』であるべきだ」と彼らは断言します。
リリースから時間が経つほど、ユーザーをコミュニティへ誘導するハードルは上がっていきます。最初から戦略に組み込み、早い段階でコミュニティの好循環を生み出しておけるか。この「初動の設計」が、タイトルの寿命を左右するといっても過言ではありません。

保坂

リリース直後は開発側も多忙を極めますが、そこを私たちが並走し、Discordへの導線をしっかり作ることで、長期的なタイトルの成功確率を底上げできます。
ですので、Discordがよくわからないという段階からでも構いません。コミュニティを作るべきか悩んでいたら、まず相談していただきたいですね。やるかやらないかも含め、一緒にベストな形を考えていけると思っています。

コミュニティは、設計次第で強力な資産にも、形だけの箱にもなります。「やるべきかどうか」を迷っている間にも、ユーザーの熱量は刻一刻と変化してしまう。成功のカギは、その熱量を逃さず、受け止める場所をいかに早く、正しく用意できるかにかかっています。
まずは自社の状況に照らし合わせながら、どのようなやり方が最適かを考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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