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  • 【レポート】過去最高の年間1,350万人来場!Jリーグに学ぶ、LINEを活用したファンマーケティング戦略

2026年5月12日と13日の2日間に渡り、新宿住友ホール・三角広場にて開催されたLINEヤフー主催のビジネスイベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」。DAY2のオープニングセッションに登壇したのは、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の鈴木章吾氏と、LINEヤフーの橋本久嗣氏。

過去最高の年間1,350万人の動員を達成し、2026年8月のシーズン移行を契機に欧州5大リーグレベルへの成長を目指すJリーグ。その躍進を支えるtoCマーケティング戦略の全体像と、LINE活用の事例をレポートでお届けします。

登壇者情報

鈴木 章吾 氏
公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
執行役員(マーケティング事業担当)兼 マーケティング事業本部 本部長

日本生活協同組合連合会、キリンホールディングス、野村総合研究所にて、一貫してtoCマーケティング領域に従事。2022年にJリーグに入社。現職ではJリーグのプロモーション、集客 CRM、MD/ライセンス事業、デジタルマーケティングプラットフォーム開発など、toCに関わる領域全般を統括。

橋本 久嗣 氏
LINEヤフー株式会社
OA・MINIセールスSBU ソリューション推進ユニット ユニットリード

2009年 レシピサイト運営会社に入社。数十名から300名規模への急成長フェーズにおいて営業マネージャーとして牽引。大手飲料食品メーカーのマーケティングおよびプロモーション支援に従事。2016年 LINEに入社。セールスプロモーション領域の新規事業立ち上げを経て、Enterprise領域の営業責任者に就任。2023年 LINEヤフーにて、ラグジュアリー/ファッション/コスメ業種の営業責任者を経て、2026年より現職。現在は、LINE公式アカウントとLINEミニアプリを中心とした市場開発を担う部門の責任者として、スポーツを始め様々な市場の開発を担う。

LINEヤフーが描く「クリエイターエコノミー構想」

セッション冒頭、登壇したLINEヤフーの橋本氏は、エンターテイメント業界における共通課題として「熱狂的なファンを生み出す」を提示。その実現を支援する取り組みとして、LINE公式アカウントとLINEミニアプリを基盤に、コンテンツ提供から収益化までをシームレスに支援する「クリエイターエコノミー構想」を紹介しました。

▲登壇資料(LINEヤフー株式会社 )

▲登壇資料(LINEヤフー株式会社 )

「LINE公式アカウントは単なる告知配信ツールではなく、ファンとの深いつながりを収益へとつなげていくモデルへ進化しています」と橋本氏。

本セッションでは、LINEを活用したファンマーケティング戦略の一例として、Jリーグの事例が詳しく紹介されました。

過去最高動員のJリーグが見据える、世界5大リーグへの挑戦

1993年に開幕したJリーグは、コロナ禍で大きく入場者数を落としたものの、近年V字回復を遂げ、過去最高となる年間1,350万人を動員。売上もJリーグ全体・クラブ合計で2024年に1,900億円を突破し、2025年には2,100億円を超える見通しで、こちらも過去最高を更新しています。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

年間来場者数と売上高でみると、Jリーグは現在、プレミアリーグを頂点とする欧州5大リーグの次のグループの筆頭格に位置しており、2026年8月のシーズン移行を契機に5大リーグレベルへの成長を現実的な目標として掲げています。

シーズン移行は、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)とのカレンダー一致、欧州移籍マーケットとのタイミング合わせ、猛暑回避によるパフォーマンス向上の3点を狙いとし、フットボール水準の向上やリーグ売上拡大につなげていく構えです。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

メインミッションは「ファンベースの拡大」

鈴木氏がマーケティング戦略のメインミッションとして掲げるのは、toCマーケティングによる「ファンベースの拡大」です。

Jリーグ売上に占めるtoC売上構成比は約17%程度だが、ここを最大化することで来場者・視聴者が増え、協賛や放映権の価値が上がり、競技レベル向上という循環が起き、結果的にリーグ全体の収益増に繋がっていく。toC領域はエコシステム全体のトリガーだと強調しました。

▲鈴木 章吾 氏_公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)執行役員(マーケティング事業担当)兼 マーケティング事業本部 本部長

▲鈴木 章吾 氏_公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)執行役員(マーケティング事業担当)兼 マーケティング事業本部 本部長

Jリーグのマーケティング戦略の考え方

ファンベースの拡大に向けて活用しているのが、顧客起点マーケティングのフレームワーク「9segs®」です。Jリーグではコア層とライト層でデモグラフィック属性に差がないため、属性ではなく関心と行動でファン層を捉えています。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

観戦回数に応じ「コア層」「ライト層」「離反層」「認知未利用層」「未認知層」の5階層に分類し、さらに直近1年以内の観戦意向の有無で左右に分割。セグメントごとに打ち手を変えています。

認知→関心→リード→来場→リピートのファネル全体に施策を配置するなかで、特に注力するのは「認知未利用/低関心層(8番)」を「高関心(スタジアムで観戦してみたい)(7番)」へ動かし、初回来場促進で「ライト層(3番)」へ転換していく導線です。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

施策設計においては2つの考え方が示されました。1つ目は「関心喚起型施策」と「獲得型施策」の分離。獲得型施策だけでは見込み層を獲得しきってしまうため、メディア露出やSNS、IPコラボなどの関心想起型施策で関心の裾野を広げ、関心が高まった層に大規模招待施策などの獲得型施策を展開する設計です。

2つ目は「ストック型」と「フロー型」の両輪での実施。ブランドやサービス・プロダクトでベースを強くするストック型と、開幕戦・夏休み・GWキャンペーンなど消費活動が活発になる時期に山をつくるフロー型を組み合わせ、ビジネス成長を加速させています。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

そして、これらを支えるのが、リーグで統一して構築されたマーケティングプラットフォームです。全60クラブで共通利用され、起点となる「JリーグID」は約530万を蓄積。プロスポーツ最大規模の顧客基盤として、多様な顧客接点で得られるデータの集約とメール・アプリ・LINEを通じた配信を担います。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

JリーグがLINE活用で描く、新規層・ライト層の獲得戦略

プロスポーツ最大規模のID基盤を持ちながらも、なおLINEを活用する理由について、「JリーグIDはサッカーに関心がある方への有効なアプローチですが、それだけを続けているとライトユーザーや新規層へのアプローチがどうしても不足してくる」と鈴木氏。

未認知層・認知未利用層へリーチするには、国民の多くが日常的に利用するLINEが不可欠だったと言います。LINEヤフー橋本氏も、「ユーザーが体験したいと思った瞬間が一番熱量の高い瞬間。ダウンロード不要のLINEミニアプリなら、最も熱量が高い瞬間にそのまま体験へつなげられる」とLINEミニアプリの優位性を補足しました。

LINE活用にあたっては、リーグとクラブで役割を明確に分担。JリーグLINE公式アカウントは「認知未利用層→ライト層」の引き上げ、つまり初回来場までを担い、各クラブのLINE公式アカウントが2回目以降のリピートからファン化を担当します。リーグが入口を、クラブが定着を担うことで、ファネル全体を効率的に動かす仕組みです。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

JリーグがLINE上で提供する顧客体験は、チケット購入から来場翌日まで一気通貫。試合前のキャンペーン応募、スタジアムでのQRチケット表示・会員証管理・デジタルペンライト、試合後の結果配信や推し選手動画まで、一連の体験がLINEで完結します。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

フェーズ別・LINE活用の4つの施策

鈴木氏は、9segsの各フェーズに紐づき、関心喚起から初回来場、定着までを段階的に動かす4つの施策を紹介しました。

施策1:新規来場2.5倍を生む「大規模招待施策」

Jリーグは2025シーズンに開幕・GW・夏休みなど年間3回の大規模招待施策を実施。GWの招待キャンペーンでは15万名規模のキャンペーンを展開しました。

これは「ばらまき」ではなく、JリーグIDをベースとしたサンプリング戦略。応募時のID登録とお気に入りクラブ登録により、応募後のCRM接続を実現しています。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

LINE経由の応募はメール経由と比較して、申し込み完了率が約1.4倍、新規来場率は約2.5倍に向上。2025シーズンの年間応募280万件、15万もの新規JリーグIDを獲得し、初回招待者の2〜3割が定着・リピートという高いパフォーマンスとなりました。

「閑散期を埋めるのではなく、最も良い体験ができる試合に招待の機会を設定している」と鈴木氏。体験価値が高い注力試合に招待を行い、良質な初回体験で定着率の高さを実現する、ストック型とフロー型の両輪設計を体現するフロー型施策の典型例です。

施策2:観戦動機トップを可視化する「誘い誘われ」機能

観戦のきっかけアンケートで常に上位にくる「誰かに誘われたから」という動機を、データで可視化するため、LINEミニアプリ内に「誘う機能」を実装。LINEの友だちリストから相手を選んで招待リンクを送り、条件クリアでチケットを分配できる仕組みです。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

ネイティブアプリでは相互でアプリをダウンロードするハードルが立ちはだかりますが、LINEなら日常の友だちネットワークをそのまま動員導線に変換できる点が、決定的な強みとなっています。

施策3:IPコラボで未認知層を一気に獲得

未認知→関心層への関心喚起施策として、人気IP「アイドリッシュセブン」とコラボを実施。LINEスタンプの無料配信を入り口に、IP仕様の登録メッセージでブロックを抑制し、ナーチャリングへつなぐ設計です。

ダウンロード者の約8割が女性層となり、普段は男性比率6〜7割のJリーグにとって新たな顧客層の開拓に成功しました。

施策4:「推し選手動画」で翌日に熱狂を再燃

LINEミニアプリ上でお気に入り選手を登録すると、試合翌日に該当選手のプレーを切り取った個人ハイライト動画が自動配信される機能。

盛り上がった瞬間の熱量を逃さず、翌日に再燃させることで、スケーラブルにOne to Oneのエンゲージメントを設計できるLINEならではの仕組みです。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

スタジアムDXと「One to One」CRMへ、進化するLINE活用

鈴木氏が今後の展望として挙げたのは、「スタジアムDX」「エンターテイメント体験」「One to One CRM」でのLINEミニアプリ活用です。

17年ぶりに開催される「JリーグオールスターDAZNカップ」(2026年6月13日開催)に向けたLINEミニアプリでのファン投票では、約1,200万票もの参加を記録。

ファン投票やデジタルペンライトなどエンタメ体験の領域はすでに手応えがあり、今後は物販の整理券や飲食モバイルオーダーなどスタジアム内のストレス解消にも活用領域を広げます。

さらに、JリーグIDと連携した観戦履歴・購買履歴をもとに、「観戦間隔が空いたユーザーへチケット優待オファーを自動配信する」など、一括配信からOne to Oneパーソナライズへの進化も視野に入れています。

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

▲登壇資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ )

小野伸二氏が語る、Jリーグの新しい一歩

セッションの最後には、スペシャルゲストとして元日本代表でJリーグ特任理事の小野伸二氏が登壇。

17年ぶりのオールスターやシーズン移行への期待を語り、「Jリーグとしての新しい一歩。支えてくれる皆さんに協力していただいて、最後に形にしていただけたら嬉しい」とコメントし、会場から大きな拍手がわきました。

▲小野 伸二氏(Jリーグ特任理事)

▲小野 伸二氏(Jリーグ特任理事)

Jリーグが示す、ファンマーケティング設計の解

過去最高の1,350万人動員を支えるJリーグの戦略は、顧客起点の構造把握(9segs®)、関心喚起型と獲得型の施策分離、ストック型とフロー型の両輪という、緻密に組み立てられたファネル設計でした。

LINE活用によって、JリーグIDだけでは届かないライト層・新規層へのリーチ、アプリ不要のシームレスな体験提供、蓄積されたデータを活かしたOne to Oneコミュニケーションと、新規獲得から定着、LTV向上まで、ファネル全体で機能するファンマーケティング・プラットフォームとして領域を広げています。ファンとのつながりを資産に成長を目指すBtoCビジネスにとって、参考になる事例といえるでしょう。

イベント概要

イベント名:Hello Friends! W!th LINEヤフー
開催日時:2026.5.12(火)~2026.5.13(水)
開催場所:新宿住友ビル、新宿住友ホール・三角広場
公式サイト:https://pages.lycbiz.com/hellofriends2026/