Adjust、Braze、Moloco、Moonplateが運営するモバイルアプリマーケター向けコミュニティ「MOBILE STARS」による第7回目となるイベント「MOBILE STARS SPRING 2026」が、2026年4月21日に渋谷ヒカリエのJustCoにて開催されました。
アプリ外課金に関する最新トレンドやグロース戦略がテーマの第1弾セッションに続き、第2弾セッションではBraze株式会社の佐藤 洋介氏をモデレーターに、ポイポイ株式会社の福田和生氏が登壇。
リリースからわずか1年ほどで300万ダウンロードを突破したポイ活アプリ『おぢポ』。その急成長の裏側が語られました。
【レポート】リリース1年で300万DL! ポイ活市場で「おぢポ」が爆伸びした理由(MOBILE STARS SPRING 2026)
アプリ未経験から300万DLを実現した初期グロース戦略
▲福田 和生 氏(ポイポイ株式会社)
セッション冒頭、福田氏から『おぢポ』がリリースされた経緯が語られました。
レッドオーシャン市場であるにもかかわらずポイ活アプリにフォーカスしたのは、若年層への集客に強みを持っていたことやWinner-takes-all(勝者総取り)の市場ではないことが理由とのことです。
元はコスメ分野や学習塾などへのウェブ・SNSを利用した集客といった、広告代理業に特化したキャリアを歩んできた福田氏。アプリ事業は『おぢポ』が初めてでしたが、それまでに培った広告運用の経験は、アプリ事業にも応用できたといいます。
そのほか、事業開始当初の情報が何もないタイミングでは、各アドネットワーク会社の担当者に直接会い、アプリビジネスについてヒアリングを行うなど、泥臭いアプローチも急成長を後押ししました。
具体的には、Meta広告から検証をスタート。その後、『X(旧Twitter)』で効果のあったクリエイティブを『TikTok』など他の媒体に横展開し、安定的な流入を確保していきました。
約3日間で約8万DLにつながったコアバリューと独自性
競合の多いポイ活アプリ市場で生き残るためにポイポイ株式会社がまず徹底したのが、「ユーザーが稼げる」というコアバリューの最大化です。広告予算をユーザーへ還元し、根本的なニーズを満たせるようプロダクトを構築しています。
一方、金銭的インセンティブだけでは継続につながりにくいユーザー向けに実装したのが、「布団からおじさんが生まれて育つ」というキャラクター育成要素と「おぢ図鑑」です。
稼ぎたいユーザーにも、キャラクター育成を楽しみたいユーザーにも応えられる設計が、幅広い層への訴求を可能にしています。
このユニークさは、メディア露出という思わぬ形で実を結びました。
2025年9月、日本テレビ「ヒルナンデス」の街頭インタビューをきっかけに取材が実現し、約3分の特集が放送。3日間ほどで約8万件のダウンロードを獲得しました。
さらに、放送で親子での利用が取り上げられたことで、それまで若年層中心だったユーザーが主婦層にも広がるといった波及効果も生まれました。
コアバリューに強い独自性を掛け合わせたプロダクトにより、メディア露出と新たなユースケースの獲得につながった形です。
キャリングキャパシティを軸に獲得とリテンションの両立をめざす
セッション中盤、ユーザー獲得以外にポイント交換などでコストが発生するポイ活アプリでは、LTVや投資対効果が予測しづらくなることが述べられました。
これに対し、会員プログラムとの共通点や相違点を利用するアイディアが語られた後、福田氏が指標としている概念として「キャリングキャパシティ(Carrying Capacity)」が取り上げられました。
「キャリングキャパシティ」とは、流入数と離脱率から算出されるDAUの上限値のことです。例えば、新規ユーザー1万人に対して離脱率が10%であれば、DAUは10万人で収束します。福田氏はこの「キャリングキャパシティ」を意識して事業を運営しています。
さらに、事業成長期はDAUの上限を意識しつつ、新規獲得とリテンション改善の両輪を回し続けることの重要性が語られました。
獲得とリテンションのどちらを優先するかという議論において福田氏は、獲得チームとプロダクト改善チームが同時並行で施策を進める、「殴り合い」の体制を意図的に設計しているといいます。一方が結果を出せば他方に「なんとかしなければ」というプレッシャーがかかる相互作用の結果、組織全体に良い緊張感とスピーディーな成長がもたらされており、現在のめざましい成果につながっているようです。
最新AIで分析を自動化し「顧客9セグマップ」で成長拡大へ
直近の取り組みとして福田氏が紹介したのが、AIを組み込んだデータ分析の自動化です。
施策の実施期間や内容などの定性データは『Notion』で、定量データはBigQueryで管理。『Notion』とBigQueryを連携させ、自動でレポーティングを行うシステムをClaude Codeで構築しました。
さらに、『Notion』にSlackや会議の内容も集約し、MCP経由で各種ツールの情報を読み込ませることで、指標ごとの弱点に応じた改善施策を自動提案。
実装レベルまで落とし込める仕組みを作り、データ収集から打ち手の提示までを効率化しています。
セッションの最後に福田氏が語ったのは、自身の施策検討の土台となっているフレームワーク「顧客9セグマップ」と、各セグメントに合った施策を考えることの重要性です。 9セグマップは西口一希氏が著書『実践 顧客起点マーケティング』で提唱するもので、顧客を「認知・購買状況」と「ブランド選好(次回も同じブランドを買いたいか)」の2軸で9つに分類し、販売促進とブランディングを同時に可視化・マネジメントするマーケティングフレームワークです。
具体的な活用例として、「未認知層」へのアプローチを挙げました。これまでTikTokのみで配信していた訴求を、同じ内容のままXやYouTubeなど別の媒体に展開することで、新たなユーザー層に届く可能性が広がります。さらに、SNSというオンラインの枠を超えてオフライン施策へとリーチを拡張する発想も、未認知層を取り込むうえで有効だと述べました。
広告を見たものの利用に至っていない層についても、検索や検討を進めているユーザーは一定数おり、文言の調整など最後の一押しとなる工夫が有効だと述べました。加えて、 興味を持ちやすい層を狙った広告配信を活用すれば、ポジティブな反応を得やすい質の高いユーザーにピンポイントでリーチできるとも語ります。
一方で、データにもとづく分析だけでなく、突発的な拡散などによる伸び(パルス型消費)も踏まえた施策の組み合わせが、成長には欠かせないと、福田氏はまとめました。
アプリマーケターが集うコミュニティ“MOBILE STARS”
セッション終了後には、参加者同士が食事とドリンクを楽しみながら交流するネットワーキングの時間が設けられました。
今回のネットワーキングは「NETWORKING sponsored by Mixpanel」として、ユーザー行動をリアルタイムに可視化するプロダクト分析プラットフォーム「Mixpanel」のサポートのもと開催されました。
Mixpanelは、非エンジニアでも直感的に分析できるセルフサービス型のダッシュボードや、Adjust・Brazeといったツールとの連携によるマーケティング施策の高度化を支援するサービスです。
「MOBILE STARS」は、Adjust、Braze、Moloco、Moonplate, Inc.の運営のもと、アプリマーケターにとっての学びとつながりの場を継続的に提供する取り組みです。今回のSPRING 2026は、Mixpanelがネットワーキングスポンサーとして参加し、アプリブがメディアパートナーとして関わる形で開催されました。
アプリ業界の発展を願う多くの関係者の支援により本イベントが実現していることに、この場を借りて深く感謝申し上げます。
次回のMobile Starsは2026年8月に開催予定です。
アプリマーケティングに従事するみなさんの成長をサポートする場として、今後も継続的にこうしたイベントを届けてまいります。