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  • 畑違いの領域で「DL数至上主義」に挑む BBSSの発見型アプリストア「あっぷアリーナ!」の戦略

Google PlayやApp Storeに並ぶ選択肢が、いよいよ現実味を帯びてきました。法改正により国内でもサードパーティストアの参入障壁が下がる中、多くのアプリ事業者が注目しているのは「ユーザーはランキング以外の何を基準にアプリを選ぶのか」という問いです。

この問いに「発見型ストア」という答えを出したのが、セキュリティ・みまもり事業を主軸としてきたソフトバンク株式会社のグループ傘下であるBBSS株式会社です。一見縁遠く見えるゲームの領域へ、同社はなぜ本格的に踏み出したのか。ポルトガルのAptoide社との提携の狙いを聞きました。

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今回お話を伺った方

BBSS株式会社 事業開発本部 本部長
橋本 雅斗氏

「あっぷアリーナ!」運営責任者。ソフトバンク株式会社にて多数の新規事業を立ち上げた実績を持ち、現在はその経験を活かして「あっぷアリーナ!」の運営及び、事業推進を担う。日本市場における新たなアプリ流通の可能性拡大に取り組む。

▼「あっぷアリーナ!」とは?
ゲームとの新しい出会い方を提案する、発見型のアプリストア。ソフトバンク株式会社のグループ傘下であるBBSS株式会社が、ポルトガルのAptoide社と提携して開発。専門編集チームによるゲーム解説記事、クラウド試遊、ポイント還元を軸に、ランキングに依らない評価軸を打ち出す。

公式サイト:https://www.app-arena.jp/

法改正が開いた「サードパーティストア」という選択肢

「あっぷアリーナ!」トップ画面

▲「あっぷアリーナ!」トップ画面。ランキング表示ではなく、専門編集チームによるゲーム紹介記事が並ぶ

GoogleやAppleの審査を経ないアプリストアを、日本のユーザーが当たり前に使う時代。そんな光景が現実になりつつあります。2025年12月に施行された「スマートフォンソフトウェア競争促進法」により、アプリの配信チャネルはGoogle PlayやApp Store以外にも広がりました。BBSS株式会社(以下、BBSS)が「あっぷアリーナ!」の検討を始めたのも、この流れが起点だったといいます。

「まずは法改正をきっかけとしたユーザーの選択肢拡大の流れを踏まえ、『ビジネスチャンスが広がる可能性がある』というところから、この領域に新たな価値を提供できるかどうかの議論をスタートさせました」と事業開発本部 本部長の橋本氏は振り返ります。

もっとも、ストアを一から作るには時間もコストもかかります。ゼロからの開発ではなく海外パートナーとの提携という判断に至った背景には、EUのデジタル市場法(DMA)と軌を一にする世界的な潮流があったことも大きいでしょう。日本の法整備も、この潮流の延長線上にあります。海外にはすでに同種の規制環境の変化を経験したプレイヤーが存在しており、この地殻変動が、BBSSが海外パートナーとの提携に踏み切る後押しとなりました。

この判断が、後に大手アプリストアAptoideとの提携につながっていったといいます。

海外アプリを日本へ、日本のアプリを世界へ――Aptoide提携で描く新たな流通構想

複数の海外パートナー候補をリサーチする中でBBSSが選んだのは、ポルトガル発、世界で4億人超のユーザーを抱えるAptoideでした。
「日本市場への参入を目指すAptoideの思いと、弊社のビジョンには重なる部分が多かったことからご縁に恵まれた」と橋本氏は語り、通常では考えられないタイトな時間軸での調整を経て、「あっぷアリーナ!」のローンチにこぎつけることができたそうです。

Aptoide社の英語サイト

▲Aptoide社の英語サイト
出典:Aptoide

提携によって生まれる価値は一方通行ではありません。橋本氏が憂慮していた「日本には数多くの優良なコンテンツが存在するが、海外に出ていけるのは一部の大手デベロッパーに偏りがある」という状況も、本提携により、海外で評価の高いコンテンツを日本に持ち込むだけでなく、日本の優良コンテンツを海外ユーザーに届ける経路となるのです。
国内の中小デベロッパーに海外展開の足がかりを提供する――これも、Aptoideという世界的プラットフォームと組んだからこそ描ける構想です。

「ダウンロード数至上主義」からの脱却という発想

Aptoideという基盤を得られたことは、「あっぷアリーナ!」を形にするための一歩に過ぎません。次に問われたのは、そのストアの中身をどう設計するかという点でした。
既存のアプリストアの評価の仕組みに対して、BBSSはどのような課題感を持っていたのでしょうか。

橋本氏はストア運営上、仕組み自体を否定するわけではないと前置きしつつ、「一般的なアプリストアでは、ダウンロード実績や話題性などの指標が重視されやすい構造があると認識しています。一方で、魅力的なコンテンツであっても十分に認知される機会を得られないケースもあるのでは」という課題感を挙げます。

橋本氏

市場環境の変化によって流通チャネルの多様化が進む中で、より多くのデベロッパーに発見の機会を提供できるストアも必要なのではないかと考えたのが、このコンセプトに至ったきっかけです。

また、「あっぷアリーナ!」がアプリ内の記事やコンテンツを通じてゲームの内容そのものにフォーカスしているのも、ユーザーに新たな発見を届けると同時に、優れたコンテンツを持つデベロッパーへ価値を還元する狙いがあるといいます。

専門編集チーム・15分試遊・ポイント還元、3つの仕掛けの設計思想

エディトリアルタブ

▲エディトリアルタブから読める解説記事例

この課題感を形にしたのが、専門編集チームによるゲーム解説記事です。選定基準はランキングではなく、実際にゲームに触れた編集チームが「ゲーム好きにとって面白い」「多くの方に知ってもらいたい」と感じるかどうかという一点。数値化しにくい魅力に人の目で光を当てる仕組みです。

クラウド上で15分間試遊できる機能も、同様の課題感から生まれています。

試遊画面の例

▲「ザ・アンツ:アンダーグラウンド キングダム」の試遊画面のキャプチャ例。「クラウド上でプレイ」から試遊でき、途中で残り時間の確認などもできる

橋本氏

私自身、ダウンロードした後に『思っていた体験と違った』と感じたことが何度もありました。容量の大きいゲームが増える中、ダウンロードにかけた時間が無駄になる徒労感は小さくありません。試遊機能は、そうしたミスマッチを減らすための設計です。

また、課金額最大10%のポイント還元も、日本のポイ活文化をストアに組み込む狙いから採用されたとのこと。
3つの仕組みはいずれも単独の機能ではなく、ダウンロード前に納得して選んでもらうための一連の設計として組み立てられています。

セキュリティ・みまもり事業が育てた「海外対応力」

海外プラットフォームを国内で展開するにあたっては、法令対応や運用体制の整備が欠かせません。Aptoide社はヨーロッパ企業であることから、こうした対応の重要性は一層増すといいます。

橋本氏

弊社は創業以来、海外メーカーのサービスを取り扱ってきた実績に加え、自社アプリケーションの運用経験も持っています。これらのノウハウは、ストア運用に活きていると考えています。

ゲームというジャンルは、BBSSにとって未経験の領域です。それでも、海外サービスを国内向けに整える経験は、決して未知の作業ではありませんでした。長年、通信キャリア経由でセキュリティ・みまもり製品を提供してきた知見が、こうした体制の構築に転用されています。

ゲーム特化から広がる、BBSSの次の一手

BBSSはこの「あっぷアリーナ!」を、「今後の成長領域のひとつ」と位置づけています。これまでの主軸だったセキュリティ領域とは異なる、新しい挑戦です。

現在はゲームに特化しているものの、アプリストアである以上、対象ジャンルの拡大は既定路線です。既存事業との接続も視野に入れているといい、「これからはAIを活用したサービス等もストアと紐付けていければ」と橋本氏は続けます。セキュリティ・みまもり事業で蓄積した技術基盤を、新規事業の運営にも波及させる考えです。

ゲーム以外のジャンルへの展開、AIを活用した新機能――BBSSは「あっぷアリーナ!」を、その第一歩としました。セキュリティ・みまもり事業で培った運用力を武器に、次のフェーズへの構想を着実に進めています。

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