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  • 課金ユーザー数前年比150%超! パーソナライズを軸とした『レシピー』の成長戦略

AIの普及によって、英語学習アプリ市場は大きな転換期を迎えています。AI英会話をはじめとする機能が急速に普及し、学習体験そのものの差別化が難しくなりつつある中、各社は「何を学べるか」だけでなく、「どう学び続けてもらうか」を問われています。

そうした環境下で、英語学習アプリ『レシピー』は大規模なリニューアルを実施。ホーム画面の変更などを行った結果、課金ユーザー数前年比150%超、年間プラン選択ユーザー数前年比350%という成長を遂げました。

なぜ『レシピー』は、リニューアルに踏み切ったのか。その背景や、課金ユーザー数・年間契約者数の増加につながった施策、さらに教育機関向けサービスへと広がる事業戦略について、株式会社ポリグロッツ 取締役CMOの市村祐介氏に伺いました。

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▼『レシピー』とは?

株式会社ポリグロッツが提供する、累計250万ダウンロードを超える英語学習アプリ。記事・単語・リスニング、AI英会話など多彩なメニューを備えるほか、ユーザーの英語レベルや趣味嗜好に合わせて毎日の学習メニューをAIが自動提案する「Myレシピ」機能も搭載。

公式サイト:https://www.polyglots.net/app/recipy/index.html

今回お話を伺った方

株式会社ポリグロッツ 取締役CMO
市村 祐介氏

松下電器グループで入社1年目から新規事業(EC)とネットワークエンジニアを従事。日本全国を飛び回り複数のECサイトを立ち上げ、ECビジネスに関して私立高校で授業を開講。2008年にアパレル通販イマージュグループにマーケティング責任者として参画。デジタルハリウッド大学院で講師として活躍し、2011年にはアパレルに特化したマーケティング会社を設立。2018年10月にポリグロッツにCMOとして参画。2020年7月、取締役に就任。

パーソナライズ機能をメインコンテンツに据えた理由

▲ホーム画面トップに「Myレシピ」を設置(左)。右はリニューアル前のホーム画面

今回のリニューアルで『レシピー』は、パーソナライズ機能「Myレシピ」をホーム画面の中心に据え、学習体験の入口を刷新しました。

このような決定に至った背景として、アプリを開いた際、「自分は最初に何を学べばいいのかをユーザーが決めきれない」という学習の入口部分に課題があったことを市村氏は挙げます。
記事・単語・リスニングなどの学習機能が充実している『レシピー』では、それがホーム画面を開いたときの選択肢の多さにつながり、学習開始前の迷いが生まれることが継続の壁になっていたのです。

ここに新機能を増設するとホーム画面はさらに複雑になり、「何から始めるか」をユーザーがより決められなくなります。
そこで『レシピー』では、新機能を追加するのではなく、ホーム画面で最初にユーザーの目に入るコンテンツを「Myレシピ」に変えるという判断をしました。「Myレシピ」とは、一人ひとりに合わせたユーザー専用の学習カリキュラムをAIが自動作成してくれる機能です。
つまりこの変更は、数ある機能のひとつだったパーソナライズを、アプリの背骨そのものへ格上げしたことを意味します。

この変更に関して社内では、「機能の足し算では差別化しきれない」「ホーム画面の中心コンテンツの刷新こそが効果的」の意見のほか、「大がかりな施策になる」などの懸念もあったそうです。
議論の末、実装負荷が最も大きい反面、効果も期待できることからリニューアルの実施が結論付けられ、部署をまたいだプロジェクト体制のもと注意深く進められることとなりました。

ユーザージャーニーを見据えて機能を設計

▲「Myレシピ」(左端)、「What's new」(中央)、「ライブラリメニュー」(右端)

リニューアルは、ホーム画面のUI変更だけでなく、「Myレシピ」「What's new」「ライブラリメニュー」という3つの機能を中心に据えるという設計面の変更も行われました。市村氏によると、これらの機能はそれぞれ役割が明確に割り振られており、「入口~習慣化」「再訪・継続」「定着」というユーザージャーニーの異なる段階で効果を発揮できるように設定されたものとのことです。

①Myレシピ
入口〜習慣化の段階を担う。何を学ぶかで迷わせないための「ユーザー専用学習カリキュラム」

②What's new
再訪・継続の段階を担う。ユーザーが選んだ興味ジャンルに合わせて、最新の記事がピックアップ・表示される。毎日の「今日やること」の起点

③ライブラリメニュー
旧「自習メニュー」。定着の段階を担い、豊富な学習コンテンツから自分の学習したい内容・スキルを選択可能。より習熟したユーザーが学習資産を蓄積・深掘りするための受け皿

リリース後、期待どおりの効果を発揮したのは「Myレシピ」でした。
「予想以上に多くのユーザーに使われ、課金にもしっかりつながりました。施策検証を重ねる中で、『ユーザーを確実に動かすのは、パーソナライズ価値の再提示とスキマ時間で学べる設計である』という、当初の想定よりシンプルな勝ち筋が見えてきたのは大きな学びでした」と市村氏は振り返ります。

パーソナライズ体験を支えるのが、これまで蓄積してきた学習データです。これらを「Myレシピ」の出題内容やレベル最適化の精度向上に直接活用。データがユーザー体験を向上させ、それがさらにデータを生む循環が生まれているといいます。

リニューアルを起点に課金と年間契約を拡大

リニューアルの成果は大きく、課金ユーザー数、年間プラン選択ユーザー数ともに飛躍的に上昇しました。その成長を支えたのは、施策同士を連動させた成長戦略と、年間プランへの誘導設計の見直しです。

施策の実施順が課金ユーザー数を底上げ

課金ユーザー数がここまで伸びた理由として市村氏は、「リニューアル」「AI英会話の追加」「CM展開」という複数施策が重なった結果だと述べる一方で、施策実施順の重要性を強調します。

「一連の施策の土台はあくまで『Myレシピ』のリニューアルで、これが課金ユーザー数そのものを底上げしました。そこに『CM展開』が新規流入の蛇口を開き、さらに『AI英会話』の追加で継続して使い続けるための価値を高めたという構造が、今回の成長の背景です」(市村氏)
どれか1つが単発で効果を上げたというより、プロダクトの中心といえるホーム画面を刷新したからこそ、後続の施策が生きたと捉えています。

仮に土台を整えないまま広告で流入だけを増やしても、入口で迷うユーザーが増えるばかりで課金にはつながりません。順番が異なっていれば、同じ投資をしても結果が違った可能性があるのです。

導線の整備とメリットの訴求で年間契約を獲得

▲年間プランを3ヵ月プランよりも上部に掲載し、割引率を記載。下部でプラン内容を比較

『レシピー』では契約プランとして、3ヵ月単位で支払う短期プランと1年単位で支払う長期プランを用意しています。アプリの収益基盤を固めるうえで、一度で長期の契約ができる年間プランへの誘導は重要です。

この点について、『レシピー』では短期プランから長期プランへのアップセル導線を整備し、年間プランのお得さ・継続メリットをUI上でわかりやすく伝える内容に変更。その結果、年間プラン選択ユーザー数が大きく増加したとともに、継続率の改善も見られています。

プロダクトからCMまで貫く「パーソナライズ」思想

英語学習アプリ市場では、近年AI英会話機能を搭載したものが増えています。いまや「AIと英語で話せる」こと自体は当たり前となり、機能面での差別化が難しくなっています。

このような状況で『レシピー』が軸に据えるのは、日本人学習者に最適化されたパーソナライズです。
「内製の学習設計エンジンである『Myレシピ』と、日本人特有のつまずきに合わせてチューニングをしたAIによって、単なる『話す場』ではなく『続けられる自分専用カリキュラム』を提供します。ここが、他アプリには簡単に模倣されない『レシピー』の強みだと考えています」と市村氏は語ります。

この考え方は、マーケティングのクリエイティブにも反映されています。『レシピー』では、CMを「続かない人」編、「伸び悩む人」編、「実践で使えない人」編の3バージョンに分けて展開。この3つは、英語学習でつまずく典型的なパターンとされます。

それぞれでCMを制作したのは、1本のCMで全パターンを対象に語ると、誰にも刺さらないものになってしまうためです。「視聴者が自分の悩みとして受け取れるよう、あえて対象を切り分けて訴求しました」と市村氏は狙いを述べます。
万人向けの1本より、特定の悩みに深く刺さる3本。「自分専用」というプロダクトの思想を、そのまま広告の設計にまで貫いています。

個人向けサービスと法人向けサービスでデータを循環

出典:PR TIMES

アプリの新たな収益源として、個人向けサービスで蓄積したデータやAI技術を法人・教育機関向けに展開する動きが事業者のあいだで広がりつつあります。
ポリグロッツもこのアプローチで事業を拡大。『レシピー』で培ったAIパーソナライズ技術を、教育機関向けの『レシピー for School』や、ベネッセコーポレーションと共同開発した英語学習プラットフォーム「GELP」に活用し、2025年度は両サービス合わせて約300校に導入されるまでになりました。
株式会社アルクのベストセラー単語帳「ユメタン」シリーズを搭載するなど、教育現場で定着した教材との連携も進めています。

個人向けサービスの技術が教育機関の課題に合致

教育機関への導入が広がった背景には、「一人ひとりに合わせた指導がしたい」という教育現場のニーズと、『レシピー』で培った技術の強みが合致したことがあります。

学校現場では、生徒ごとに習熟度や苦手分野が異なる一方、限られた授業時間や教員リソースの中で個別最適な学習支援を行うことは容易ではありません。そうした課題に対する解決策として評価されたのが、『レシピー』のパーソナライズやAIです。
実際の導入事例が次の導入を呼ぶ循環も生まれており、サービスの拡大につながっています。

個人向け・教育機関向けそれぞれがサービスを互いに強化

同社では、『レシピー』と『レシピー for School』のあいだでデータと知見が循環する仕組みを構築。個人向けサービスが持つ幅広い学習ログでAIエンジンを鍛え、その精度を『レシピー for School』として教育機関に提供し、現場での使われ方や成果が再びAIエンジンの改善に還元されるといったように、互いを強化し合う両輪となっています。

ポリグロッツは、『レシピー』と『レシピー for School』のデータ循環を強化しながら、パーソナライズエンジンを軸とした教育機関や法人向けのサービスを拡大していく方針です。このような循環こそが同社の競争優位性であり、これを強みとして、ポリグロッツは「一人ひとりに最適な学習体験」の提供をさらに広げていく考えを示しています。

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