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  • レビューでは解けない「選び方」の壁――トリビューが医師相談とCRMで描くBtoBtoC戦略

美容医療に特化した口コミ・予約プラットフォーム『トリビュー』が、2026年2月に「ドクター質問箱」、4月に「トリビューオンライン」を相次いでリリースしました。

累計GMVは400億円と事業を拡大する中で、同社が次に向き合ったのは、口コミや予約機能だけでは解ききれない「自分に合う施術がわからない」というユーザー課題です。

なぜ、口コミプラットフォームがユーザーからの質問受付機能とオンライン処方支援サービスへ拡張するのか。新機能の狙いと、リリース後3ヵ月で見えてきた実像や新たな課題について、代表の毛氏と執行役員 クリニックグロース担当の下永田氏に聞きました。

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株式会社トリビュー 代表取締役 CEO
毛 迪氏

大学卒業後、リクルートやベンチャーキャピタルを経て2017年に株式会社トリビューを創業。
累計230万ダウンロード美容医療の⼝コミ・予約プラットフォーム「トリビュー」を運営。
トリビュー利用クリニック数は1,100院以上、トリビュー経由のユーザー施術金額は400億円以上。

株式会社トリビュー 執行役員 クリニックグロース担当
下永田 真人氏

リクルートの人材事業で事業企画、商品企画に従事した後、Ed Techのエナジードで取締役COOとしてビジネスサイド全般(セールス、マーケ、CS)、資金調達に携わる。その後、婚活・恋活イベントプラットフォームの代表を経て、2026年7月よりトリビューの執行役員 クリニックグロース担当。

▼『トリビュー』とは?
美容医療に特化した口コミ・予約プラットフォーム。施術の口コミ閲覧からクリニックの予約まで一貫して利用できる。累計230万DL以上、提携クリニック1,100院以上。2026年に「ドクター質問箱」「トリビューオンライン」をリリースし、ユーザーからの質問受付機能と提携医療機関による美容内服薬のオンライン処方を支援するサービスを新たに加えたプラットフォームへと進化を続けている。

公式サイト:https://tribeau.jp/

「施術選び」を阻む情報の壁――口コミと予約では解けなかったユーザーの悩み

株式会社トリビュー 毛氏と下永田氏

▲左:毛 迪氏/右:下永田 真人氏

美容医療では、まず「どの施術を受けるか」を考え、そのうえで「どのクリニック・医師を選ぶか」を決める必要があります。口コミと検索でこのプロセスを支えてきたトリビューは、どこに既存モデルの限界を見たのでしょうか。新機能リリースの背景にあった課題を探ります。

―― 口コミ・予約モデルを運営する中で、どのようなユーザー課題が見えてきたのでしょうか。

毛:ユーザーの方は、我々のプラットフォーム上でまず施術を選び、次にクリニックを選ぶという2つの段階を踏みます。施術選びは、悩みを起点にどういう解決策があるかを知ること。クリニック選びは、施術ごとに専門が異なるクリニックから、自分の悩みに合ったクリニックを探すことです。
これまでは口コミと検索でこれらの行動を支えてきたのですが、この過程において「選ぶ基準がわからない」と悩む方が非常に多くいることが見えてきたんです。

下永田:口コミを読んで「この先生が優しかった」「効果があった」という情報で絞り込むことはできますが、そもそも自分の悩みに対してどの施術がいいのか、どのクリニックに行っていいのかわからないという状態の方も少なくありません。口コミはあくまで経験者の情報なので、施術選びの入口の問いには答えられないんですよね。

―― そうした課題に対して、「ドクターへの質問」という形を選んだ背景を教えてください。

毛:ドクターとユーザーのマッチング診断のような機能を昨年から提供しています。しかし、ユーザーニーズとしては「人に相談したい」というのがやはり大きくて。高い買い物ですし、痛みや不安も大きい領域なので、最終的には誰かに聞いて安心したいという深層心理があるんですよね。
例えていうなら、家電量販店で詳しいスタッフに相談すると「あなたに合ったものはこれです」と案内してもらえる、あの体験に近いものをやりたかったんです。「施術に詳しいドクターに相談する」というのがどれだけユーザーにハマるのか検証したいという意味もあって、今回リリースしました。

「人に相談する」体験が抱える利用率の壁

ドクター質問箱

▲「ドクター質問箱」の回答例
※画面はイメージ

2026年2月にリリースされた「ドクター質問箱」は、ユーザーの意思決定を支える機能として成果と課題の両面が見えてきています。しかし、相談機能は実装すれば自然に使われるというものではありません。利用を広げる上で何が壁になっているのか、リリース後のユーザー行動から見ていきます。

―― リリースして数ヵ月、検証の結果についてお聞かせください。

毛:「ドクター質問箱」を使ったユーザーと使っていないユーザーを比較すると、使っている方の熱量は高く、予約率にも有意差が出るなど、想定どおりにいっていると感じました。一方で、利用率という観点ではまだ低いといわざるを得ません。
「選び方がよくわからない」ドメイン(領域)では、ユーザー自身も「何を聞けばいいか」を整理できていないことがあります。だから言語化自体が結構難しいんですよね。例えばクリニックに行くと、カウンセラーさんが対話しながら要望を引き出してくれますが、テキスト上で自分のニーズをうまく伝えるとなると、人によって差が出ます。

―― たしかに、カウンセラーのような存在は心強いですよね。その解決策として、次のフェーズで考えていることはありますか。

毛:ドクターを指名して質問できる形への拡張を考えています。広く意見を聞きたい施術選びの段階と違い、ある程度絞り込んで「この先生がいいかも」と思える段階まで来ていたら、「私こういう状態なんですが、適応がありますか」のようなより具体的な質問を、クリニックへ行く前にできるようにしたいんです。

―― これまでにも、試行錯誤しながら見直してきた機能はあったのでしょうか。

毛:「カウンセリングレポート」という機能がありました。施術は受けなかったけれど、カウンセリングには行った方の感想を集める機能です。ただ、「決めなかった理由」ばかりが集まってしまって……。見たいというニーズはあっても、実際そのコンテンツを見ても予約などのKPIにはつながらなかったので、これはなくしました。
ほかにも、ユーザー同士のQ&A機能を提供したことがあるんですが、「おすすめはどこですか」のような一言質問が多くなりがちで、意味のある回答が生まれにくかったんです。その反省が今の設計につながっています。

医師を「発信者」として動かすインセンティブ設計

「ドクター質問箱」が機能するかどうかは、ユーザーだけでなく、回答する医師側の参加にも左右されます。医師の回答をどう促し、ユーザーにとって価値ある情報として届けるのか。供給側を動かす設計には、どのような工夫があるのかを伺いました。

―― ドクターが積極的に回答し続けるための設計として、どんな工夫をされていますか。

下永田:回答の質が結果的にドクターの露出につながるという構造を作れているのが大きいと思っています。
ドクターは、回答するほど『トリビュー』のページ内での露出が積み上がっていきます。そこにユーザーが「参考になった」ボタンを押せる仕組みがあって、どれだけ質の高い回答をしたかによって露出が変わってくるんです。リリース当初は回答数の多いドクターの露出が高くなりやすかったのですが、3ヵ月ほど経つと、参考になったものを見たいというユーザーの行動が増え、自然と質の高い回答のほうが目に触れやすくなっていきました。

下永田氏

―― 露出が上がることで、実際に集患への効果も出てきたのでしょうか。

下永田:「ドクター質問箱」を見ているユーザーは、見ていないユーザーに比べてドクターの指名率が1.5倍ほど高いというデータが出ています。定性的なところでは、質問箱で回答した先生の手術を受けた患者さんから「あの時回答してくださってありがとうございました」というお声をいただくケースも出てきていて。ドクターのほうも「回答することが自分の集患に直接つながるんだ」という実感が持てるようになっていますね。

―― 一方で、ユーザーの声が集まる場である以上、投稿の質や信頼性を保つ難しさも気になります。対策はどうされていますか。

下永田:ユーザーが質問を投稿した後、ドクターが回答して初めてサービス上に公開される仕組みにしています。不適切な内容にはドクターも回答しないので、表に出ることはありません。

月1回の施術を日常ケアにつなげるCRM設計

トリビューオンライン

▲アプリでは右下の「おうちケア」をタップすると「トリビューオンライン」が立ち上がる
※画面はイメージ

口コミ・予約を起点にしたサービスにとって、ユーザーとの接点をどこまで広げるかは重要な問いになります。そこで打ち出されたのが「トリビューオンライン」です。提携医療機関による美容内服薬のオンライン処方を支援するサービスとして2026年4月にリリースされました。

―― プロダクト戦略における 「トリビューオンライン」の位置づけを教えてください。

毛:クリニックでの施術は、お肌に刺激を与えるものなので期間を空けないとなりません。頻度が高くても月1のスペシャルケアなんですね。残りの期間はホームケアが重要で、「トリビューオンライン」はそのホームケアにも医療を取り入れてもらおうという位置づけです。
シミ予防の薬やビタミン剤など、日常使いのものをオンラインで受け取れる仕組みになっていて、施術で貯まったポイントが薬の購入に使えたり、オンライン処方で貯まったポイントを施術に使えたりと、双方でポイント利用ができるようにしました。

行動変容を軸に据えたKPI設計と、次の拡張の方向性

新機能の価値は、どのような指標で判断されるのでしょうか。予約という最終成果だけでなく、その前段階の行動をどう捉えるか。トリビューが重視する指標と、今後のプロダクト拡張の方向性を聞きました。

―― 2つの新機能の成否は、どのような指標で見ているのでしょうか。

毛:最終的には予約という売上指標で見るんですが、美容医療は検討リードタイムが長いので、予約まで追うと判断に数ヵ月かかってしまうんです。そこで先行指標として、利用率と機能を使った方の行動変化を見ています。
機能を使う前の30日と比べて閲覧ページ数が増えているか、検索のような能動的な行動につながっているか。使っていない方との比較もしながら、機能が想定どおりの行動変化を引き起こしているかを確認しています。

毛氏

―― 行動変容を見ていくと、ユーザーごとの嗜好の違いも見えてきそうですね。マッチング精度の向上はどう考えていますか。

毛:ユーザーの「嗜好性」をもっと細かくマッチングできるようにしていきたいです。コスパ重視の方もいれば、高くても安心感を優先される方もいますし、痛みの軽減より、痛くても効果を早めに実感できるほうを選択したいという方もいます。AIを活用し、対話形式でニーズを引き出して提案につなげる機能を検証しています。

―― そうした検証の積み重ねから、今後の中長期的なプロダクト方針をどう描いているかお聞かせください。

毛:現在、Webとアプリの利用率は半々程度ですが、継続利用の観点では圧倒的にアプリが上です。グルメ系のプラットフォームと同様、コアユーザー以外はWeb検索でサービスにたどり着き、そのままアプリへ移行しないケースが多い。この層をアプリに誘導できるかどうかがカギになるので、Web強化は優先したい施策ですね。
もう一つ注目しているのが友達紹介です。美容医療を受けた後に、グループLINE等で写真を送り合い、そこで紹介コードをシェアしてくれるケースが増えています。プラットフォーム主導ではなく、ユーザー自身が自発的に広げてくれる、本来の意味での口コミです。

―― 一方、クリニック側へのアプローチはどうでしょう。蓄積されたデータのBtoB活用は視野に入っているのでしょうか。

毛:はい。私たちは「どのエリアで何の施術の検索が多いか」といったマーケティングデータを保有しています。それをクリニック側に提供して、集客やポジショニングのサポートをしていきたいと考えています。競合クリニックと相対比較しながら自院の強みを把握できる情報は、クリニック経営にとっても価値が高いと思っています。

情報提供から意思決定支援へ――口コミ型プラットフォームに問われる次の設計

口コミやレビューを起点にしたサービスが次の成長を目指すとき、問われるのは情報量を増やすことだけではありません。ユーザーが意思決定に詰まる場所を見極め、適切な接点を設計できるかどうか。それは2サイドプラットフォームという構造を持つプロダクトにとって、供給側・需要側の双方を動かす設計が問われるということでもあります。
トリビューの取り組みは、口コミ型プラットフォームが「検索される場」から「相談しながら選べる場」へ進化するためのひとつの事例といえるでしょう。

株式会社トリビューについて

株式会社トリビューは、「ありたい自分でいられる世界を実現する」というミッションの下、美容医療領域の情報プラットフォームを提供する企業です。2017年の創業以来、口コミ・予約アプリ『TRIBEAU』を軸に、価格の不透明性や情報格差といった美容医療特有の課題解決に取り組んでいます。

・サービスサイト(Web): https://tribeau.jp
・コーポレートサイト:http://corp.tribeau.jp/
・採用サイト:https://corp.tribeau.jp/career/

トリビュー(美容医療の口コミ予約アプリ)

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