• アプリブ BizJournal
  • ゲーム会社が「ポイ活」を作る必然――株式会社ドリコムと『ちょこドリ!』が示す知見横展開の設計思想

「なぜゲーム会社がウォーキングアプリを?」――この問いに、株式会社ドリコムの担当者たちは明確な意図をもって答えましたます。
2026年3月5日にリリースされた『ちょこドリ!』は、位置情報連動型のウォーキングポイントアプリ。歩いてビットコインが貯まる仕組みで、ゲーム習慣のない層にも広くアプローチするライフスタイルアプリです。

モバイルゲームの開発・運営で15年以上の実績を持つドリコムは、自社開発の位置情報プラットフォーム「AROW」と、コインチェック株式会社との協業を組み合わせ、「位置情報×ウォーキング×暗号資産」という新しい体験を設計しました。

ゲームアプリで磨いてきた知見が非ゲーム市場でどう活きているのか。『ちょこドリ!』の立ち上げと設計の舞台裏を伺いました。

このページはアフィリエイト広告を利用しています。

今回お話を伺った方々

株式会社ドリコム 執行役員 バリューサイクル本部 本部長
櫻井 理映子氏

ドリコムの新規事業開発やWeb3事業の部長を歴任。テクノロジーを活用した最先端エンタメ事業への参入を積極的に牽引し、数々の新規事業を立ち上げる。プライベートでは愛猫家の一面も。

株式会社ドリコム バリューサイクル本部 MILE部 部長
近藤 佳秀氏

ゲーム事業のプロデューサーとして長く活躍し、2025年より『ちょこドリ!』の開発・運用責任者に。 過去には『ダービースタリオン・マスターズ』『Disney STEP』などを担当。
趣味はウォーキング。

▼『ちょこドリ!』とは?
位置情報と連動してコインを収集し、貯めたコインをビットコインに交換できるウォーキングポイントアプリ。株式会社ドリコムが2026年3月5日にリリース。自社開発の位置情報プラットフォーム「AROW」を活用し、コインチェック株式会社との協業でビットコイン交換機能を実現。農場育成・ジャックポットなどゲーミフィケーション要素を組み込み、健康・娯楽・経済的メリットの3軸を一体化したライフスタイルアプリ。

公式サイト https://www.chocodre.com/

なぜ今、ゲーム外に打って出たのか――『ちょこドリ!』立ち上げの意思決定背景

株式会社ドリコム_近藤 佳秀氏と櫻井 理映子氏

▲左:近藤 佳秀氏/右:櫻井 理映子氏

『ちょこドリ!』の出発点は、ドリコムが社内に積み上げてきた2つの資産でした。自社開発の位置情報プラットフォーム「AROW」と、2017年頃から続けてきたWeb3・ブロックチェーン研究の蓄積。その2つがどう結びついて今回のプロダクトに至ったのか、立ち上げの背景を聞きました。

――ゲーム領域を一歩出て、ライフスタイルアプリという形で踏み込んだ理由は何だったのでしょうか。

櫻井:きっかけとしては、もともと「AROW」というマップデータのプラットフォームがあったことが大きいですね。これをゲーム以外の領域でも活用できないかという点と、『Disney STEP』の運用を通じて「マップ上に何かあるとユーザーはそこへ動く」というデータが見えていたので、そういった人の動きをポイ活のような形で活かせないかと考えました。
また、Web3事業でコインチェック(株式会社)さんとお付き合いがあり、「お金を使わずに仮想通貨を獲得できる入口を作ってユーザー層を広げたい」という意向が弊社のアセットと合致して、今の形にたどり着きました。

――ジャンルをゲームではなくライフスタイルアプリとした理由はなぜですか?

櫻井:ゲームを普段しないような、もっと広いターゲット層にアプローチしたいという意図があります。ゲーミフィケーションを組み込みながら、ゲームではない体験として届けることは、最初から設計の根幹でした。ブロックチェーンゲームが課金前提(NFTを買わなければ始められない)になりがちな課題を横目に、お金を使わずに仮想通貨と出合える場所というポジションを意図的に選んでいます。

自社開発の位置情報インフラ「AROW」が横展開を可能に

『ちょこドリ!』のプロダクト設計で特徴的なのが、コイン収集の方式とゲーミフィケーション設計です。「農場」や「ジャックポット」という独自機能の狙いとあわせて見ていきます。

――ほかの歩く系のポイ活アプリとは異なり、『ちょこドリ!』ではあえてタップして拾う形にしていますね。その意図は?

近藤:通勤経路やコンビニの往復といった日常の中に、3Dマップでコインを拾うというアドベンチャー体験を入れたかったんです。自動で貯まるだけだと歩数計アプリと変わりませんが、自分の住んでいる場所にコインが落ちていることを意識して、自分で拾いに行くという遊びを残したいと思いました。

――一方で「農場」のような放置要素もありますね。

近藤:歩いて貯めるのが主軸ですが、歩けないときでもポイントを貯められる要素も入れたかったんです。

櫻井:雨の日は外に出たくないですしね(笑)

近藤:「1日1回、自宅でログインしてポイントをもらう」といったように、継続性も意識した設計になっています。

――農場の獲得効率を天気と連動させるような仕掛けはないのでしょうか。

近藤:技術的には可能ですが、今のところは入れていません。獲得効率が変動しすぎると、かえってユーザーさんを惑わせてしまうかなと。上がることに敏感な方は下がるときにも敏感なので、誤解を与えず、安心して使ってもらうことを大事にしています。

ちょこドリ!画面

▲3Dマップ上にコインや卵形のジャックポットが配置されている

こうした設計の根底にある考え方は「健康・娯楽・経済的メリットの3要素」です。位置情報ゲームが「健康と娯楽」を両立してきたところに、ビットコインで得られる経済的メリットを加えることで、従来のウォーキングアプリともポイ活アプリとも異なる体験を設計しています。

――「ジャックポット」への反響はいかがですか?

近藤:思った通りにきているなと感じています。「数万円当たった」「本当に当たるんだ」といった声もよく聞きます。実際、「次の予定まであと5〜10分あるから、あそこのジャックポット回してくるわ」というように、ちょっとしたスキマ時間に活用するシーンが見られています。
「もしかしたら大当たり、そうじゃなくてもそこそこもらえる」という「行けば必ず得をする」「行って損はない」という設計にしていることで、「あそこまで寄り道してみよう」という動機づけをしているんですよね。
今後は当選金額と当選率のバランスを調整して、より当たりやすいジャックポットなども検討していきたいと思っています。

コインチェックとの協業が生んだ「安心」の設計

ちょこドリ!ジャックポット

▲ジャックポットで当たればもらえるコインは桁違いに大きい

『ちょこドリ!』の報酬はポイントではなくビットコインです。「将来値上がりするかもしれない」という期待感を込めた設計と、仮想通貨特有のネガティブな印象をどう払拭するか。コインチェック株式会社とのパートナーシップの経緯も改めて聞きました。

――報酬をポイントではなくビットコインにした理由は?

櫻井:ポイントがそのまま円になるだけじゃなくて、「将来上がるかもしれないから持っておこう」という仮想通貨トレードの入口のような体験を提供したいんです。価格が変動するビットコインを報酬にすることで、もらえたという体験が資産形成への入口としての意味を帯びてほしいと思っています。

――仮想通貨に対して「あやしい」「難しい」という印象を持つ層も多いですよね。その払拭はどう設計していますか。

株式会社ドリコム_櫻井氏

櫻井:社内でもWeb3チームメンバーの多くはNFTやトークンの価格変動に一喜一憂したことがありますし、暗号資産の冬の時代も経験しています(笑)。そういう厳しい側面を見てきたからこそ、『ちょこドリ!』では無料で手に入るから安心という見せ方を大切にしています。

近藤:デザインもあえてあやしくないように工夫しています。キャッチーでかわいらしいキャラクターを使ったり、コインチェックさんという信頼感のあるブランドと一緒にやることで、クリーンなイメージを作っています。
「あ、本当に無料でビットコインもらえるんだ!」と驚く層がまだ多く残っているので、そこが伸びしろだと考えていますね。

――コインチェックさんとの協業はどのような経緯で始まったのでしょうか。

櫻井:最初にも触れたように、もともとブロックチェーンゲームのプロジェクトでお取り組みしていた背景があったことが一番のきっかけですが、ゲームへの理解が非常に深い方たちなので、金融とゲームという異なる領域でもスムーズにお話ができたのもよかったですね。

近藤:『ちょこドリ!』の構想が出たのは2025年の初めくらいですね。ほかの位置情報ゲームをリリースしていましたので、マップとWeb3を組み合わせたら面白いよねとトントン拍子で進みました。

櫻井:研究開発自体はAROWもブロックチェーンも2017年頃から始めていました。ブロックチェーンは一度クローズした時期もありましたが、2022年に再始動して今に至ります。今回のプロジェクトは、発想からリリースまで約9ヵ月のスパンでした。

ゲームの「継続させる力」はポイ活でどこまで通用するか

ゲームアプリで磨いてきた知見のうち、何が『ちょこドリ!』で通用し、何が通用しなかったのか。運用・マネタイズ・ユーザー体験設計それぞれについて話していただきました。

――これまでのゲーム開発の知見はどのように活かされていますか。

株式会社ドリコム_近藤氏

近藤:一番はスピード感です。キャンペーンやイベントを数週間のスパンで形にする力、あとはKPIの予測精度ですね。今回のリリースでも、驚くほど予測通りの数値が出ています。ゴールデンウィークの施策も、直前に決めてすぐに反映させました。これができるのはゲーム運用で培った基盤があるからこそだと思います。
アプリの3Dモデルや演出といったアセットの差もあります。ヘルスケアやライフスタイルアプリの中ではリッチなものが作れていて、クオリティが高い状態でスタートできたのもゲーム会社ならではだと思います。

――逆に、ゲームとは違うと感じた部分はありますか。

近藤:模索しているのが広告のバランスです。今までのゲームのような直接課金ではなくアドネットワーク広告やオファーウォール中心なので、広告の見せ方ひとつでユーザー体験が大きく変わります。

櫻井:広告ばかり見せられていると感じさせないよう、いかに楽しいという体験とセットにして提供するか。そこは常に試行錯誤ですね。広告単価や見せ方のバランスはA/Bテストを繰り返しながら最適化を進めています。ゲームで磨いた課金させる力を、広告を自然に見せる力に転換していく感覚です。

ゲームを超えて――ドリコムが描くテクノロジー×エンタメの次の地図

『ちょこドリ!』はドリコムにとって、単体のプロダクトではありません。自社アセットの横展開という観点から、今後の事業展開の方向性を伺いました。

――『ちょこドリ!』は事業戦略の中でどう位置づけられているのでしょうか。

櫻井:「AROW」というマッププラットフォームを軸に、ゲーム以外の領域へもゲーミフィケーションを広げていきたいです。今回の『ちょこドリ!』はその第一弾。人が楽しみながら動く仕組みを、もっと多くのビジネスシーンにつなげていければと思っています。

――次に狙っている領域はありますか。

櫻井:ECなど別の文脈でゲーミフィケーションを活用できないかも模索中です。自社IPの展開や商品化の取り組みと同様に、自社でどう作るかという話になってくるので、まだ具体的な形は決まっていませんが、チャレンジを続けたいと考えています。


「無料でビットコインがもらえる」と驚く層がまだ多く残っている市場を前に、ドリコムが手にしているのは「AROW」という独自インフラと、ゲーム運用で積み上げたリテンション・KPI・スピード感という実践知の組み合わせです。
「長年ゲームで培ってきた知見をそのまま使いつつ、ゲームではない領域で通用するかを試している」という立ち位置は、「ゲーム会社の知見横展開」という問いに対して、具体的な答えのひとつを示しています。

株式会社ドリコムについて

株式会社ドリコムは、「with entertainment~人々の期待を超える~」というミッションの下、IP×テクノロジーを軸として、エンターテインメント・コンテンツをグローバルに提供する企業です。ゲームをはじめとしたIPコンテンツビジネスに10年以上の実績を持ち、さらには出版、アニメ、MD(マーチャンダイジング)など、IPを作り、育てる事業を展開しています。

大規模なモバイルゲーム開発・運用のノウハウを活かしたBtoB事業、Web3や生成AIなどのテクノロジーの活用によってエンターテインメントの幅を広げ、ユーザーを魅了する新しい価値を提供します。

企業サイト https://drecom.co.jp/

ちょこドリ! - 歩いてビットコインがたまるポイ活アプリ

Drecom Co., Ltd.

iPhone
Android
App Storeを見る
Google Playを見る

TAG