AI技術は日々進歩しており、まるで人間が描いたようなイラストも、AIで生成できるようになりました。こうした画像生成AIを活用すれば、テキストを入力するだけで、短い時間でハイクオリティなイラストが簡単に作れます。
本記事ではAIでイラストを自動生成できるアプリや、生成の方法を紹介します。
写真からAIイラストを自動生成、写真・動画も編集できる万能アプリ
BeautyPlus(ビューティープラス)
AIイラストの作り方とおすすめツール・アプリ10選 テキストから自動生成
Pixocial Technology (Singapore) Pte. Ltd.
AIイラストはどのように作られる?
AIイラストが生成される流れは、簡単にいうと、ユーザーがプロンプト(テキスト)を入力して画像の要素を指定し、AIはそのプロンプトに従って今まで学習したデータをもとにイラストを出力するというもの。
AIは既存の写真や画像を学習データとして取り込むことで画像の差異を学び、造形や画風など学習データの要素を取り入れつつ、新しいイラストを作れるようになります。とはいってもAIの学習自体は、AIを使って画像生成できるアプリやツールがリリースされる前の段階で既に行われているので、基本的にユーザーはプロンプトを入力するだけでOKです。
AIイラストが作れるおすすめツール5選
AIイラストが作れるツールは多くの企業や団体が開発しており、いずれも違った特徴があります。ここでは特におすすめのAI画像作成ツールを紹介します。
『Midjourney』
『Midjourney』はチャットサービス『Discord』を利用してプロンプトを入力・送信し、AIでの画像生成が行えるサービス。イラストからリアルな写真風など幅広い画像を作成できるのが強みです。またバージョンアップが繰り返され品質の水準が向上しており、シンプルなプロンプトでクオリティの高い画像が作れるため、初心者も安心です。
既存の画像をベースに似た画像を新たに生成する、プロンプトで指定する要素に優先度をつけられるなど機能面も充実。1回で4枚ずつ生成されるので、スピーディに生成を重ねられるのもポイントです。
『Midjourney』は、現在は有料プランのみで利用可能です。また無制限に生成できるプランは、ほかのサービスに比べ料金が高いのが難点。ただプランに登録さえしてしまえば後述の『にじジャーニー』もまとめて利用できるようになるため、多彩な作風を求める人にはぴったりでしょう。
『にじジャーニー』
『にじジャーニー』は『Midjourney』から派生したモデルで、よりアニメ・漫画調のキャラクターイラストに特化しています。線と塗りのくっきりしたアニメ調や、重厚な質感の厚塗り風など、幅広いテイストのキャラクターを出力可能です。
『Midjourney』とほぼ同じ多彩な機能を持ちつつ、一部機能はよりキャラクターイラストに特化した内容となっています。
料金プランは『Midjourney』と共通で有料版のみ。登録すれば『にじジャーニー』と『Midjourney』の両方を使えます。基本的にはアニメや漫画のキャラクターが好きな人向けのツールですが、作りたい画像に応じて『Midjourney』との使い分けができます。
『Stable Diffusion』
『Stable Diffusion』はブラウザ上で動作するAI画像生成サービス。ブラウザで『Stable Diffusion Online』のページを開き、画面にプロンプトを入力して画像を生成できます。無料で利用でき、生成回数の制限もないのが大きなメリットです。
またオープンソースAIであるため、アプリケーション内や各自のPC内など、さまざまな環境で使えるのもポイント。AIを使って画像を生成できるスマホアプリのほとんどは、この『Stable Diffusion』を採用しています。
『Adobe Firefly』
『Adobe Firefly』は『Adobe Photoshop』などのAdobe製品内で利用できる画像生成AIです。クリエイターファーストを志向しており、学習に使われている素材はAdobe Stockに登録された画像と、オープンライセンスの作品および著作権の切れた作品のみ。
ほかの画像生成AIが著作物を無断で学習していることについて倫理的な問題が議論されている中、著作権的にクリーンな素材が学習に使用されている点は安心感があるといえます。
『DALL・E2』
『DALL・E2』はブラウザ上で利用できる画像生成サービス。ウェブページから利用できる点は『Stable Diffusion』と似ていますが、こちらは有料のクレジットを購入することで一定回数の生成が可能になるクレジット制。そのぶん生成した画像のバリエーションを作成したり、画像の一部を削除・編集したりと機能が充実しています。
AIイラストを簡単に作れるおすすめスマホアプリ5選
画像生成AIはスマホアプリでも手軽に利用できます。専門的な知識は必要ないので、誰でもすぐにさまざまな画像が作れます。
『BeautyPlus』
写真加工アプリ『BeautyPlus』には「AIスケッチ」機能が搭載されています。これは簡単なスケッチをもとに、AIが自動でイラストを生成してくれる機能。プロンプトがわからなくても使えるほか、手軽に大まかな構図を指示できます。
また顔写真をもとにAIがイラストを作成してくれる機能もあります。アニメ調やSF調など多彩なスタイルで、あなたの顔から似顔絵が作れるでしょう。一風変わったSNSアイコンなどを作るのにもおすすめ。
『WOMBO Dream』
『WOMBO Dream』は無料で何度でもイラストを生成できるアプリ。油絵風やコミック風など幅広いスタイルを指定してオリジナルの画像を作れます。画像にウォーターマークは入りますが、無料で使える範囲が特に広く、気軽に画像生成を楽しめるのが大きな特徴。有料プランに登録すればウォーターマークを消せるほか、使えるスタイルも増えます。
『GoArt』
『GoArt』はクレジット制の画像生成アプリ。有料で画像生成の回数を補充するシステムですが、無料でも広告を見ることで1日5回までの生成が可能です。クオリティを上げられるプロンプトをショートカットから入力できるなど、初心者にも優しい機能が充実。生成回数に限りこそありますが、手軽にクオリティを上げたい人にはぴったりです。
『AIイラスト Plus』
『AIイラスト Plus』はキャラクターイラストに特化した、無料の画像生成アプリ。作風がいわゆる萌え系に絞られている分、安定感も高いのが特徴です。「ツインテール」や「膝立ち」など、特定の要素を指定して適切なプロンプトを自動入力できるサポート機能があり、初心者にもおすすめ。また「指が多い」など品質を下げる要素を排除して安定感を高めるネガティブプロンプトなど、高度な機能も備えています。
『UniDream』
『UniDream』はクレジット制の画像生成アプリで、1日3回まで無料での生成が可能です。回数の制限こそ厳しいものの、人物のイラストに長けており、さまざまな作風で魅力的なキャラクターの画像を作れます。また参考画像からポーズを指定できるなどの便利機能もあります。
『WOMBO Dream』でテキストからAIイラストを作る方法
『WOMBO Dream』ではテキストを入力するだけで、イラストを生成できます。以下のような手順でテキストを入力し、スタイルを指定して、好きなイラスをを作ってみましょう。
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STEP1
イラスト作成画面にテキストを入力
まずは画面下の「+」から、イラスト作成画面に進みます。次に「Enter prompt」欄に、作りたいイラストに含まれる要素を入力します。画像では「少女、黒髪、笑顔、セーラー服、青空」を入力しました。
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STEP2
スタイルを選ぶ
「Choose an art style」からスタイルを選びます。選んだスタイルに基づいて、イラストの画風が決定されます。画像では「Anime v2」を選びました。次に「Create」をタップしてイラストを生成します。
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STEP3
イラストを保存する
イラストが生成されたら、右上のアイコンをタップし、「Download Image」でスマホに保存できます。もし気に入らなければ、前の画面に戻って、同じ条件で再び生成し直せます。
プロンプトを変更すれば、イラストの要素を変えられる
プロンプトを変更すれば、イラストの構成要素も変わります。上記の画像は「少女、黒髪、笑顔、セーラー服、青空」のプロンプトを使い、「Anime v2」のスタイルで生成したイラストと、同じスタイルでプロンプトを変えたイラストです。
画像では髪の色や服装、ポーズなどが変わっているのがわかります。ほかにもプロンプトを工夫すれば、まったく別のキャラクターやシチュエーションも作ることができるでしょう。
スタイルを変えて違った作風を表現できる
『WOMBO Dream』ではスタイルを変えると、画風を大きく変えられます。上記の画像は「少女、黒髪、笑顔、セーラー服、青空」のプロンプトを使い、「Anime v2」のスタイルで生成したイラストと、同じプロンプトでスタイルを変えたイラストです。
「Anime v2」では親しみやすいアニメ調のイラストに、「Realistic v2」では写真のようなリアルな画像になります。「Ink v3」や「Expressionism v2」ではグラフィックのようなおしゃれな画像が作れました。
『BeautyPlus』で手描きイラストからAIイラストを作る方法
ここでは『BeautyPlus』の「AIスケッチ」機能を使ってAIイラストを生成する方法を紹介します。細かい絵柄のスタイルは選べませんが、誰でも簡単にオリジナルのイラストを作れます。
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STEP1
「AIスケッチ」を開く
アプリを起動し、トップ画面を下にスライドさせます。表示されたメニューから「AIスケッチ」をタップします。
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STEP2
簡単なスケッチを描く
「描き始める」をタップして、キャンバスに簡単なスケッチを描きます。画像にあるような、ごく単純なものでもOK。なお「アップロード」をタップして、元になる画像をアップロードすることも可能です。
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STEP3
説明を追加する
「説明を追加する」をタップして、何を書いているかの説明を入力すると、より希望どおりのイラストが生成されやすくなります。「猫の顔」など単純な説明文で構いません。
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STEP4
イラストを生成する
「作成」をタップするとイラストが生成されます。同時にいくつかのイラストが生成され、画面下の小さなサムネイルをタップすることで切り替えが可能。気に入ったイラストを表示した状態で「保存」をタップすると、そのイラストを保存できます。
『BeautyPlus』で写真からAIイラストを作る方法
続いて『BeautyPlus』でイラストを作成する手順を紹介します。ベースになる画像を選択し、スタイルを決めるだけなのでお手軽です。
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STEP1
「BeautyPlus AI」を開く
アプリを起動し、トップ画面を下にスライドさせます。表示されたメニューから「BeautyPlus AI」のバナーをタップします。
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STEP2
変換したい写真と好きなスタイルを選択する
スマホ内から元となる画像を選びます。次に好きなイラストのスタイルを選択します。
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STEP3
写真がイラストに変換される
「作成」をタップすれば、選んだ写真が、スタイルに沿ってイラストに変換されます。
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STEP4
写真を保存する
「保存」ボタンをタップすると、変換後のイラストをスマホに保存できます。またほかのスタイルをタップすると、別のスタイルに再度変換できます。
AIイラストの著作権は?
AIで生成したイラストは、基本的に生成したユーザーが自由に利用できます。詳しい利用範囲はサービスごとに決まっているので、各アプリやツールの利用規約を確認しておきましょう。一方で法律の整備はまだ追いついていないのが現状。AIで自動生成したイラストが著作物と認められ、法的に保護されるかは現在も議論の最中です。
文化庁によると著作物とみなされる基準は、プロンプトの入力などAIで画像を生成する一連の流れが「創作的寄与」に該当するか否か。複数生成された中から画像を選択するなどの行為は創作的寄与とみなされるとする意見もあれば、単なるパラメータの設定は創作的寄与ではないとする意見もあり、AIイラストを著作物とするかは検討が重ねられている段階です。
SNSにアップロードする程度ならリスクは低いでしょうが、法的な扱いが不明瞭な現状では、作成したイラストを有料販売するなど商用利用するのは避けるのがベターといえます。
AIイラストは既存の著作物の著作権を侵害しない?
文化庁によれば、既存の著作物を学習したAIでイラストを生成すること自体は、著作権者の権利を不当に害しない限りは合法とされています。しかし生成したイラストに「類似性」と「依拠性」が認められ、こうしたイラストを、権利者からの利用許諾を得ずにアップロードしたり、イラスト集などとして販売したりした場合、人間が描いたイラストと同様に著作権侵害と判断されます。
類似性とは、構図や構成要素といった他者の著作物の本質的な特徴を、作った作品から感じられること。依拠性とは、既存の著作物に接した上で、その要素を自己の作品に用いていることを指します。
ただし例外として、公開や販売を行わず個人的な鑑賞のためだけにイラストを用いる場合は、既存の著作物と類似したイラストを生成しても問題ありません。
AIイラストの可能性
AIイラストによる効率的なイラスト生成は、多くの可能性を秘めています。例えば、ウェブデザインや広告といった分野では、イラストを発注するコストや手間を省けるでしょう。
クリエイティブな面においても、ラフを取り込んでブラッシュアップしたり、作画の資料にしたりするといった活用法があります。またアニメの動画に利用するなど、労力を補い、人の負担を軽減する面でも注目されています。
AIイラストの課題
AIイラストは有用な一方で、いくつかの課題や問題点も抱えています。例としては以下のような点が挙げられます。
倫理的な問題
大きな課題としては、倫理的な問題が挙げられます。たとえば教材に偏りがあるなどの原因から、意図せぬ著作権侵害およびプライバシーの侵害が発生しうるため、利用者のモラルや注意が求められます。LoRAなど、特定クリエイターの画風の模倣に特化した技術が問題視されるケースも。
またAIは、ステレオタイプなイメージにとらわれやすい傾向があり、プロンプトによっては生成された画像の人種や属性が固定化されてしまうなど、偏見を助長するおそれがある点も指摘されています。
画像の品質
生成される画像の品質は相応に高いものですが、それでも作画の崩れや不自然な点はしばしば生じてしまいます。手動で修正することもできますが相応の技術が求められるため、手軽さを考えると今後の改善が待たれるところ。
またAIで生成された画像をさらにAIが学習することで、品質や多様性が悪化する可能性も懸念されています。
雇用の減少
イラストを単に広告に使いたいだけなどこだわりのない企業は、AIで生成したイラストでも事足りてしまうため、イラストレーターなどへの仕事の発注は減少するでしょう。こうしたクリエイターの雇用機会の減少も、懸念事項のひとつです。AIによるクリエイターの代替に関する問題はイラスト分野に限らず、2023年5月に起きたハリウッドのストライキでも論点のひとつに挙げられました。
アプリやツールを使って、お手軽にAIで画像を生成
いまださまざまな議論がされている点もありますが、画像生成AIは誰でもお手軽にテキストからイラストを生成できる便利なツールです。好きなイラストを描いてみたいけど、絵を描くのは苦手……という人でも安心。無料で使えるアプリやサービスも多いので、自分に合ったものを選んでイラストを作ってみましょう。
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