AI技術が進化するにつれて、私たちの生活はますますデジタル化し、自動化されていきます。しかし、その仕組みや利用方法、そして法的な問題はどうなっているのでしょうか。
この記事では、そんな疑問を解決するため、AIイラストに関する情報を徹底解説。自動生成の基本的な仕組みから、具体的な技術の種類、商用利用の可能性、そしてAIイラストが抱える社会的問題まで、幅広く詳しく紹介します。
AIがイラスト画像を自動生成する仕組みと種類 応用事例や社会的な問題も解説
ジェネレーティブAI(生成AI)とは
ジェネレーティブAIは、新しいデータを「生成」するAIの一種です。これは、AIが学習したデータを基に、新たなデータを創り出す能力を指します。この技術は、音楽、文章、そしてイラストなど、さまざまなクリエイティブな領域で活用されています。
多くのAIは、特定のタスクを効率的に遂行することを目指している一方、生成AIは新しいデータを「創造」することが目標です。
AIによる画像生成の歴史
年代 | 主な出来事 | 主な技術・概念 |
---|---|---|
1950年~1960年 | - AIの基本概念が提案される - 人工知能という名前が誕生 |
- 推論・探索 - チューリングテスト |
1960年~1970年 | - 第1次AIブーム - イライザが誕生 |
- イライザ(ELIZA) |
1970年~1980年 | - AIの性能に疑問が生じる - 研究支援が減少 |
- 初のエキスパートシステム開発 |
1980年~1990年 | - 第2次AIブーム - エキスパートシステム普及 |
- エキスパートシステム - 誤差逆伝播法 |
1990年~2000年 | - AIの限界により冬の時代へ | - 統計的自然言語処理 |
2000年~2010年 | - 第3次AIブームの始まり - ディープラーニングの提唱 |
- 機械学習 - ディープラーニング |
2010年~2020年 | - GoogleがDeep Dreamを発表 - ディープラーニングが進化 |
- Deep Dream |
2020年~ | - Web3.0・ChatGPT登場 - 画像生成AIが飛躍 |
- Web3.0 - ChatGPT |
画像生成AIの歴史は、1950年代にアラン・チューリングがAIの基礎「チューリングテスト」を提案したことから始まります。
1960年代の第一次AIブーム、1980年代の第二次AIブーム、そして2000年代から現在まで続く第三次AIブームがあり、革新的なAI技術が生まれてきました。
2010年代にはGoogleが「Deep Dream」を発表し、2020年代にはWeb3.0とChatGPTが登場。画像生成AIも2020年代から急速に進化しており、今後もその可能性は広がり続けるでしょう。
AIによる画像生成の仕組み
AIが新しいイラストを創造するメカニズムは、人間が絵を描くプロセスと似ています。まず、AIは大量のイラストデータを観察。そして、そのデータの特性やパターンを学習します。
この学習データは、AIが新しいイラストを生成するための原材料です。AIは学習したデータを基に、新しいイラストを生成します。この生成プロセスは、AIが学んだ知識を応用するステップです。ここでAIは学んだ知識を基に、新しいイラストを描きます。
AIによる画像生成の種類
AIによるイラスト自動生成の技術は、そのアルゴリズムによってさまざまな種類が存在します。以下に、主な技術をいくつか紹介します。
GAN(Generative Adversarial Networks)
GANは生成側のAIと識別側のAIに分かれ競争させることで、高品質なイラストを生成する方法です。生成側のAIは新しいイラストを生成し、識別側のAIはそのイラストが本物か偽物かを判断します。
この競争により、生成側のAIはより本物に近いイラストを生成する能力を向上させます。GANはその強力な生成能力から、AIによるイラスト生成の主流となっています。
VAE(Variational Auto Encoder)
VAEはイラストデータの潜在的な特性を学習し、それを基に新しいイラストを生成する方法です。VAEは、元のイラストデータを低次元の潜在空間にマッピングし、その潜在空間から新しいイラストを生成します。
これにより、VAEはさまざまなスタイルのイラストを生成することが可能です。VAEはその生成の多様性から、多種多様なイラスト生成に対応しています。
CNN(Convolutional Neural Network)
CNNは、主に画像認識タスクに使用されるAI技術ですが、イラスト生成にも応用されています。CNNは、イラストの局所的な特徴を捉えることが得意で、これを利用してイラストの特徴を学習し、新しいイラストを生成します。
CNNはその強力な特徴抽出能力から、詳細なイラスト生成に対応可能です。
Pix2Pix
Pix2Pixは、入力した画像と出力した画像のペアを学習し、異なる画像を生成する技術です。例えば、線画からカラー画像を生成することが可能です。Pix2Pixは変換能力から、特定のスタイルのイラスト生成に対応できます。
TransGAN
TransGANは、GANの一種で、画像生成にトランスフォーマーという自然言語処理で使用されるモデルを用いています。トランスフォーマーは、画像を一連のパッチに分割し、それぞれのパッチを言葉として扱います。
これにより、TransGANはより詳細なイラスト生成が可能になりました。また、トランスフォーマーの自己注意機構により、画像全体の関係性を考慮した生成も実現しています。
StyleGAN/StyleGAN2
StyleGANとStyleGAN2は、高解像度の画像を生成する技術です。リアリティのあるイラストを生成する際に、有効的な技術でしょう。
イラストデータのスタイルを学習し、そのスタイルを元に新しいイラストを生成します。実在しないキャラクターのイラストを生成する時などに使ってみてください。
画像生成AIの主なサービス
DALL・E2
『DALL・E2』は、OpenAIによって開発されたAIイラスト生成サービスです。自然言語の説明からイラストを生成することが可能。その生成能力は非常に高く、具体的な要求に応じたイラスト生成に対応できます。
例えば、「二本足のキウイの形をしたロボット」など、具体的な指示に基づいてイラストを生成することが可能です。そのためユーザーの具体的な要望に応じたイラストを生成することができます。
Stable Diffusion
『Stable Diffusion』は、Diffusion Modelを用いてテキストから画像を生成するサービスです。高品質な画像生成が可能で、生成された画像は自然であり、リアルな印象を与えます。GANよりも高速かつ画像生成の品質も高いため、非常に高い注目を集めています。
「犬の画像を生成する」というテキストを入力すると、そのテキストに対応する犬の画像を生成します。
AIが生成した画像は商用利用できるのか
AIイラストの商用利用可能な場合があります。ただし、商用利用する際には学習データの著作権状況や、生成されたイラストの独自性などを考慮してください。また、利用するAIサービスの利用規約を確認し、商用利用が許可されているかを確認することも重要です。
AIが生成するイラストは、AIが学習したデータに基づいています。そのため、学習データが他人の著作物であった場合、その著作物の著作権を侵害する可能性も。AIの学習データが他人の著作物であるサービスは、商用利用を避けましょう。
AIの生成するイラストの著作権は?
AIが生成するイラスト自体には、原則として著作権は発生しません。これは、著作権法が人間による創作活動を保護するものであり、AIによる自動生成はその保護対象外であるためです。
しかし、人間が独自性をもって細かく指示をした場合、その結果生成されたイラストは著作物となる可能性があります。
AIによる画像生成技術の応用事例
AIによるイラスト自動生成技術は、その高度な生成能力と多様性から、さまざまな領域での応用が可能です。以下に、その具体的な応用事例をいくつか紹介します。
Webデザインの自動化
AIによるイラスト自動生成技術は、Webデザインの自動化に大いに役立ちます。ユーザーの要望や特定のテーマに基づいて、独自のイラストやグラフィックをAIが生成し、それをWebサイトのデザインに組み込むことが可能です。
これにより、デザインの作成時間を大幅に短縮し、よりパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを提供することが可能になります。
具体的な事例としては、AIがユーザーの閲覧履歴や好みに基づいて、個々のユーザーに合わせたWebデザインを自動生成するといったものが考えられるでしょう。
マーケティング資料の作成
具体的な商品やサービスのイラストを自動生成し、マーケティング資料に使用できます。マーケティング資料の作成にかかる時間と、コストを削減することが可能です。
具体的な事例としては、AIが商品の特徴や利点を視覚的に表現するイラストを自動生成し、それをパンフレットやプレゼンテーション資料に使用するといったものが考えられます。
ECサイトの商品写真加工
AIに商品写真を学習させて、異なる角度や照明条件下での商品イラストを生成可能です。これにより、商品の魅力を最大限に引き出すことができます。
具体的な事例としては、AIが商品写真を基に、商品を異なる角度から見たイラストを自動生成し、それを商品の詳細ページに使用するといったものが考えられます。
ゲームデザイン・開発
ゲーム内のキャラクターや背景、アイテムなどのイラストを自動生成することが可能です。これにより、ゲームの開発時間を大幅に短縮し、より多様なゲームの世界を作り出すことができます。
具体的な事例としては、AIがゲームの世界観に合わせたキャラクターや背景のイラストを自動生成し、それをゲームの開発に使用するといったものが考えられます。
動画広告やアニメーションの制作
動画の各フレームのイラストを自動生成することが可能です。これにより、アニメーションの制作時間を大幅に短縮し、より高品質な動画を制作することが可能となります。
具体的な事例としては、AIが広告のメッセージに合わせたイラストを自動生成し、それを動画広告やアニメーションの制作に使用するといったものが考えられます。
インテリアなどの製品デザイン
具体的な製品のイラストを自動生成し、それをデザインの参考にすることが可能です。デザインの作成時間を大幅に短縮し、より多様なデザインを提案できます。
具体的な事例としては、AIが製品の特徴や利点を視覚的に表現するイラストを自動生成し、それを製品のデザインに使用するといったものが考えられます。
SNS投稿の画像生成
ユーザーの投稿内容を学習させることで、いつもの投稿に合ったイラストを生成できます。そのため、SNSの投稿の魅力を最大限に引き出すことが可能。投稿を作成する時間を短縮できるので、より多くの投稿ができるようになります。
AIによる画像生成が抱える社会的問題
AIによる画像生成は、著作権侵害やフェイク画像の悪用という問題を引き起こす可能性があります。以下で、その問題点を詳しく説明します。
著作権・肖像権などに関する問題
AIによるイラスト自動生成技術は、著作権や肖像権の侵害という問題を引き起こす可能性があります。AIが学習するためのデータとして使用されるイラストや画像が、他人の著作物であった場合、その著作物の著作権を侵害しているとされるかもしれません。
また、AIが人物の肖像を無断で使用し、それを基に新たなイラストを生成すると、肖像権を侵害する場合もあります。これらの問題は、AIが自動生成するイラストの使用に制限をもたらすだけでなく、法的なトラブルを引き起こしてしまう可能性も秘めています。
フェイク画像の悪用に関する問題
AIによるイラスト自動生成技術は、フェイク画像の生成という問題も引き起こす可能性があります。AIが生成するイラストが、実在しない人物や物体を描いたものであった場合、それが現実のものと誤認されることも多いはずです。これは、情報の誤伝播や誤解を引き起こしかねません。
また、フェイク画像が悪意を持って使用された場合、詐欺や偽装といった犯罪行為を助長する可能性まで秘めています。
画像生成AIアプリおすすめ3選
BeautyPlus
自撮りはもちろん、風景や食べ物などの加工にも対応したカメラアプリ。デザインもすっきりしているため、操作しやすいのが嬉しいところ。自撮り機能に関しては顔補正や美肌、体型補正など充実しています。
またAIによるイラスト加工もクオリティが高いです。SNSのアイコンなどにぴったりなので気になった人は、使ってみてください。
WOMBO Dream
キーワード&アートスタイルを選ぶだけで、AIが美しいアートを作成してくれるアプリです。パステルや浮世絵風といったさまざまなスタイルを収録しています。何気ないキーワードを入力するだけでも、アーティスティックな仕上がりになるのが魅力。
SNSへの投稿もスムーズにできるため、お気に入りの作品をシェアしてみてはいかがでしょうか。
GoArt
ピカソやゴッホなど、画家のタッチを再現した写真加工アプリ。1枚フィルターをかけるだけで、本物の絵画のようなタッチに仕上がります。背景を変えてアレンジを楽しむことも可能。SNSで思わず目に留まってしまう、有名絵画風の写真を作ってみてはいかがでしょう。
出典情報
総務省|平成28年版 情報通信白書|人工知能(AI)研究の歴史
コラム 「人工知能(AI)」の歴史
自然言語処理の歴史的変遷
Research Blog_ DeepDream - a code example for visualizing Neural Networks
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