日本の出生数が2023年で75万8631人となり、8年連続で減少。歯止めの効かない少子高齢化は、日本にとって由々しき事態です。
東京都は、2024年からマッチングアプリや婚活サービスを主催となって提供すると発表。恋愛や出会い方も、昭和から平成、そして令和になり行政がサポートする時代へと進んでいます。
本記事では、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃さんに東京都の主催するマッチングアプリについて執筆いただきました。
2024年から始まった東京都のマッチングアプリとは?専門家が詳しく解説
一足先に東京都のマッチングアプリを利用しているのはどんな人か
2023年12月に東京都がマッチングアプリを提供すると発表し大きな話題になりました。正式名称は『TOKYOふたりSTORY AIマッチングシステム』です。
この記事を執筆している2024年2月時点では、先行利用者限定に提供中で、一般募集は始まっておりません。
先行利用者とは、過去に東京都が開催した婚活イベントの参加者などになります。
東京都はこれまでも、婚活イベントを開催してきました。
民間の婚活イベントと異なるのは「独身証明書」という本籍地の役場で取得する公的書類の提出が必要な点と参加費が男女同額である点です。
先行利用した方から聞いた話ですが、2024年3月末までが利用料無料だそうです。4月頃に本格スタートするのではないでしょうか。
料金について東京都から正式な発表はありませんが、同じようなシステムを導入している他県の場合、利用期間2年で利用料は1~2万円ほどのところが多いです。
東京都のマッチングアプリは安心重視
東京都のマッチングアプリは民間のマッチングアプリと比較すると、相手探しをスタートするまでやる工程が多いです。
民間のマッチングアプリの場合、登録したその日のうちに相手探しスタートすることができます。身分証も保険証、免許証など手元にある証明書で十分ですし、年収は自己申告です。
しかし、保険証や免許証は既婚か独身かを見分けることができません。年収を盛って登録することもできてしまいます。
東京都のマッチングアプリはWEB上から申し込みをしたら、次は面談予約をしなければなりません。オンラインで担当者と面談して本人確認を行い、本籍地の役場で取得できる独身証明書と源泉徴収票などの所得の証明書をアップロードします。
婚姻状況や年収を偽ることはできず、安全ですが逆にそのため、思い立ったその時に始めてその日のうちに相手探しをすることができません。
『Pairs(ペアーズ)』などのマッチングアプリを使ったことがある方なら分かると思いますが、10人マッチングしてもデートまでたどり着くのは1人いるかどうかぐらいではないでしょうか。マッチングしてもメッセージが途絶えることは多々あり、【マッチング】の重みは薄いのです。
東京都のアプリは、民間アプリほどたくさん「いいね」を送れるわけではありません。その代わり、マッチングすると高確率で初回デートに進みます。
手軽さ重視の方であれば民間のマッチングアプリの方が向いているのではないでしょうか。安心重視なら東京都のマッチングアプリはお勧めですし、民間サービスと併用でもよいと思います。
東京都のマッチングアプリは結婚相談所に近いサービス
東京都のマッチングアプリは独身証明書の提出が必須で、どちらかといえば結婚相談所に近いサービスだと思います。
民間の結婚相談所は登録に10万円前後、月会費1万円~、成婚料20万円の高額サービスです。その点、かなりリーズナブルといえると思います。
結婚相談所は初デート(いわゆるお見合い)がホテルのラウンジなどで行われることが多く、コーヒー代は1000円以上します。お見合いのドリンク代は男性が奢ることを推奨され男性の役割、女性の役割がわりと明確です。
東京都のマッチングアプリは今のところ、そこまで踏み込んだデートのルールはないようです。
ただし、ルールがないからといって他の男性が奢っているところを割り勘にしようとする男性はエスコートができないとお断りされかねません。男女別の役割ルールないとはいえ、ライバルがいることに変わりがないことは覚えておいた方がよいでしょう。
東京都のマッチングアプリは何がすごいの?
個人的に一番、インパクトがあったと感じたのは行政が運営する婚活支援システムを「マッチングアプリ」と紹介したことです。
出会い方の中で最も浸透して一般的な出会いのツールがマッチングアプリです。
しかし、これまでマッチングアプリはネガティブなイメージも多く、他県であれば「マッチングアプリとは異なります」と強調したりすることが多い印象があります。
東京都のアプリもアプリストアの申請通過はまだのようで、今はブラウザでの利用になるそうです。今後はアプリになる予定はあるようですが、厳密にはまだアプリではありません。
他県であれば呼び方も「出会いサポートセンター」など浸透しにくい名称をつけるところが多いです。
埼玉県では東京都が採用したシステムと同じシステムを採用してマッチングサービスを2018年に導入しています。埼玉県が1対1のマッチングシステム導入を発表した際は、マッチングアプリではなく「AI婚活」と紹介しておりました。
もし、「東京都が出会いサポートセンターを開設します」という報道であればこんなに注目されることもなかったはずです。
東京都の判断もすごいことだと思いますが、マッチングアプリ各社が安心安全の対策を行い、一般に普及の努力をしてきた結果なのかなと思います。
都道府県が運営しているマッチングシステムは割と多いのですが、PRが下手で20~30代の県民がほとんど知らないことが多いのです。その点、出だしで注目を集めた東京都は素晴らしいと思います。
利用はお勧めなのか?
使った方がいいのかどうか迷う方もいらっしゃるかもしれません。
東京都に限らず、自治体のマッチングシステムのおすすめのポイントはライバルが弱いという点です。
「Pairs(ペアーズ)」で希望する相手に合えて付き合えるようなモテる人ならば、わざわざ独身証明書などを準備して東京都のマッチングアプリには登録しないのです。
推測ですが、医師、弁護士といったハイスぺ男性や商社、航空業界、テレビ業界、広告代理店といった華やかな業界の人は会員にいないのではないしょうか。
民間サービスでは人気偏差値45の人が、自治体のマッチングサービスでは人気偏差値が50以上になる可能性もあります。
また自治体婚活サービスの多くは男性利用者の方が多めです。東京都の場合、男女比がどうなるかは未知数ですが女性の方は特に民間より有利かもしれません。
安全ですし過剰に期待は持たず試しに登録してみてはいかがでしょうか。物足りなければ民間サービスと併用してもよいと思います。
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