2026年4月16日、アプリビジネスの最前線で戦うプロフェッショナルたちが一堂に会する「App Growth Annual Tokyo 2026(通称:RAGA)」が東京・京橋のTODA HALLにて開催されました。
収益化の世界的リーダーであるRevenueCatをはじめ、業界を牽引する企業がタッグを組んだ本イベント。国内外のトップマーケターやCXOが登壇し、アプリ成長の真髄が多角的に語られた一日を振り返ります。
本記事では、イベントの幕開けを飾ったオープニングと、RevenueCat CTOによるキーノートをレポートします。
レポートは本記事を含む全6本で構成されています。各セッションの詳細レポートは、以下をご覧ください。
■Global Track 前編|PMF・ペイウォール・M&A――世界で勝ち抜くための戦略論
■Global Track 後編|広告収益・最適化・サブスク・プロダクト設計――成長を加速させる実践知
■Japan Track 前編|感情設計・VC・UA・ファン――現場が覆す4つの常識
■Japan Track 後編|グローバル・収益・AI――問い直すチームだけが勝つ理由
■クロージングレポート(coming soon)
【レポート】アプリ成長の最前線が東京に集結。「App Growth Annual Tokyo 2026」
オープニング|RevenueCatが仕掛ける、国内最大級のアプリグロースの祭典
RAGAの幕開けとなるオープニングセッションには、本イベントの主催であるRevenueCat 日本代表の上田善行氏が颯爽と登壇し、カンファレンスの見どころや歩き方が語られました。
主体的な学びと繋がりが、アプリの未来を切り拓く
▲RevenueCat 上田氏
まずは本日のカンファレンスについて説明。海外から招いた主要アプリのマーケターやCXOが実践的な戦術を語る「Global Track」と、日本の最前線で活躍するエキスパートたちが多角的な視点で議論を交わす「Japan Track」の2会場で開催されるとの案内がありました
▲adjust株式会社 高橋氏
続いて、今回のイベントを0から共に企画してきた2人のキーマンもステージに登場。アプリ計測ツール「Adjust」を提供するadjust株式会社 Sales Lead Japanの高橋将平氏は多岐にわたるセッションラインナップに触れ、参加者に向けて「グローバルの知見からただ学ぶだけでなく、自分が考えていたことの答え合わせにしたり、『自分の方が先に行っていた』と自信に繋げたりするようなきっかけの場にしてほしい」と、主体的な学びの姿勢を熱く呼びかけました。
▲コミスマ株式会社 坂本氏
2人目のキーマンとして登場したのは、オランダからこの日のために駆けつけたコミスマ株式会社 海外事業室 室長の坂本達夫氏。坂本氏は現在、マンガやアニメ領域において「日本からグローバルへ」というテーマにまさに最前線で挑戦している自身の立場を語り、「日々悩みながらチャレンジしている最中であり、今日は自分自身も学びつつ、一緒に挑戦する仲間を見つけたい」と、本イベントの大きなテーマである「日本発グローバル」への強い意気込みを表明しました。
そして最後に上田氏からは、参加者同士が積極的にネットワーキングを行い、新しいコネクションを作ってほしいというメッセージが送られ、「App Growth Annual Tokyo 2026」がスタートしました。
グローバルチームからのメッセージ
▲RevenueCat David Barnard氏
次のキーノートセッションに移る前に、RevenueCatのグローバルチームを代表して、RevenueCat Growth AdvocateのDavid Barnard氏からも挨拶がありました。
サンフランシスコ、ニューヨークに続く世界ツアー開催地として、東京に来られたことがうれしいと発言。また、本イベントの目的は、日本の開発者がアプリの改善や実験を通じて収益を最大化できるよう支援することだと話し、参加者同士や運営チームとの新たな繋がりを築き、活気あるコミュニティをともに楽しむことを呼びかけました。
Keynote 1|原点回帰:iモードから現代のアプリ経済へ
オープニングに続き、アプリの収益化プラットフォームを提供するRevenueCatの共同創業者 兼 CTOであるミゲル・カランサ氏が登壇。日本が世界に先駆けて築き上げたモバイルサブスクリプションの歴史と、AI台頭による最新のアプリ市場動向について語るキーノートセッションが行われました。
今回が3回目の来日だと語るカランサ氏は、「普段はエンジニアチームとPCの前にいることが多いので、今日東京で皆さんとご一緒できるのは非常に特別」と挨拶。さらに、以前友人の投資家に日本行きを勧められた際、距離や言葉の壁から当初は乗り気でなかったものの、結果的に「人生が変わる体験」になったというエピソードを披露し、場の空気を和ませました。
プロフィール
日本が発明したモバイル・サブスクリプションの歴史
ミゲル氏はまず、世界第3位という日本のアプリ市場規模に触れ、「私たちは日本に教えに来たのではなく、学びにきたのだ」と切り出しました。その根拠として挙げたのが、1999年に誕生した「iモード」の歴史です。モバイルインターネットとモバイル決済を普及させ、電話料金と合算してデジタルコンテンツの代金を支払う仕組みは、日本が世界に先駆けて生み出したもの。これはいわばアプリ内課金の原型であり、モバイルにおけるサブスクリプション経済の始まりだったといいます。さらに、絵文字(Emoji)の発明や、2011年の『LINE』誕生によるスーパーアプリの概念など、今日のアプリ経済の基礎は日本が築いたと説明しました。
AIがもたらすアプリ開発の民主化と二極化
続いて話題は、App Storeの最新動向へ。現在、世界のApp Storeでは「3分に1つ」のペースで新アプリがリリースされており、リリース数は過去4年間で月間約2,000本から15,000本超へと7倍以上に急増しています。この背景にはAIの進化があり、コードを書かずともアプリ開発が可能な時代になったことが要因だと指摘します。
一方で、市場は二極化が進んでいます。上位25%のアプリが収益を約80%伸ばす反面、中間層のアプリは収益を落としています。勝ち残っている企業に共通するのは、ペイウォールや価格設定の最適化、解約(チャーン)・再開(リアクティベーション)戦略のPDCA、長めのトライアル期間の設定など、マネタイズ戦略の地道な検証と改善を続けていることだと分析しました。
AIアプリの課題と、日本市場特有の「勝ち筋」
また、AIを活用したアプリはユーザーの課金意欲を引き出すスピードが通常のアプリより10%早い一方、継続率(リテンション)の維持に苦戦しているというデータも示されました。 その上でカランサ氏は、日本市場に特化した3つの重要なインサイトを提示しました。
①リアクティベーション率が約24%と高水準
解約ユーザーが戻ってくる割合が高く、新規獲得よりも離脱ユーザーへの再アプローチが効果的です。
②AndroidユーザーがiOSユーザーの支出を上回る
アメリカとは異なり、日本ではトップ層のAndroidユーザーの課金額がiOSユーザーを超えているという点は、プラットフォーム戦略にも影響し得る知見です。
③非ゲーム領域に大きな成長余地
日本のアプリ収益の67%は依然としてゲームが占めているものの、ヘルスケア・生産性・教育といった非ゲーム領域のサブスクリプションに大きな成長機会があると強調。世界的にはすでに2025年に非ゲームの収益がゲームを追い越しており、日本市場でも同様のトレンドが到来しつつあるとして、数年以内にこの波を捉えられるかが重要だと述べました。
データとコミュニティの重要性
最後にミゲル氏は、複雑化するグローバル市場を勝ち抜くためには、データだけでなくコミュニティの存在が不可欠であると提言。「今日ここで3人の新しい人と出会い、月曜日にすぐ自分のアプリや会社で試せるアイデアを1つ持ち帰ってほしい」と参加者に呼びかけ、多くの関係者への謝意を述べてキーノートを締めくくりました。
App Growth Annual Tokyo 2026 レポート一覧
オープニングで語られた「2つのトラック」では、国内外のリーダーたちによるさらに具体的な戦略が明かされました。自社の課題や目的に合わせ、ぜひ各セッションの詳細レポートもあわせてご覧ください。
Global Track:世界市場のトレンドと収益化の真髄
Japan Track:国内最前線のエキスパートが語る実践知
基調講演②&クロージング
(近日公開)
ミゲル・カランサ(RevenueCat 共同創業者 兼 CTO)
2018年、Jacob EitingとともにRevenueCatを共同創業。Y Combinatorに採択され、モバイルアプリ向けサブスクリプション実装を支援するプロダクトを立ち上げた。現在はCTOとして、10カ国以上・複数タイムゾーンに分散するエンジニアチームを率い、プロダクトおよび技術戦略を統括している。創業以前はサンフランシスコのMindSnacksおよびElevateでエンジニアリングをリードし、Elevateは2014年にApple App of the Yearを受賞。スペイン・セビリア出身、Cranfield Universityにてソフトウェアエンジニアリング修士号を取得。