「モーショントラッキング」とは映像編集における技術の1つ。この記事では、モーショントラッキングの基本から、具体的な使用例、おすすめのソフトなどを解説しています。初心者から上級者まで、映像編集のスキルアップをしたい方はぜひ参考にしてみてください。
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モーショントラッキングとは? 動画編集のやり方やコツ、使用例を紹介
モーショントラッキングとは
動画編集におけるモーショントラッキングとは、被写体の動きにあわせて画像やエフェクト、文字などを追従させる編集機能です。トラッキングする範囲の指定など一部の操作は手動で行う必要がありますが、被写体の追従はAIが自動で行ってくれるケースが多いため、比較的手軽に設定できるのが魅力。
「キーフレーム」機能でもモーショントラッキングと同じ効果を得られますが、すべて手動で操作するため、高度な編集技術と労力が必要になります。モザイクなどで被写体を追従する編集を行いたい場合には、自動的にモーショントラッキングが行える動画編集ソフトを活用しましょう。
モーショントラッキングの使用例
モーショントラッキングはどのようなシーンで使われているのでしょうか。具体的な使用例を見ていきましょう。
YouTubeやテレビ番組での個人情報保護
モーショントラッキングは、YouTubeやテレビ番組などの映像で頻繁に利用されています。例えば、屋外での撮影で通行人や車のナンバーを隠したり、コラボ相手の家や自宅周辺の建物を隠したりするときに、モーショントラッキングでモザイクが追加されています。
映画やテレビ番組での特殊効果(CG)
映画やテレビ番組では、実写映像にCGキャラクターやオブジェクトを追加する際に、モーショントラッキングが活用されるケースもあります。CGと実写映像が自然に融合し、視覚的なリアリティを高めるのに効果的です。
スポーツ分析
スポーツ分析では、選手の動きを追跡し、パフォーマンスを評価するためにモーショントラッキングが使用されます。選手の動きの分析に使用され、トレーニングや戦略の改善に役立てられています。
バーチャルリアリティ(VR)
VRでは、ユーザーの頭部や手の動きを追跡するためにモーショントラッキングが使用されます。自分の動きに応じてバーチャルな世界を体験するために、必須の技術と言えるでしょう。
モーショントラッキングおすすめソフト4選
モーショントラッキング編集はどのようなソフトを使えばできるのでしょうか。ここでは、モーショントラッキング編集におすすめのPC用動画編集ソフトを4つ紹介します。
Adobe Premiere Pro
Adobeが提供する動画編集ソフト。エフェクト・トランジション・BGMの挿入・アニメーションのテンプレートなど、動画編集に必要な機能はすべてそろっています。高度な動画でもシーケンスを拡大してより詳細な編集が可能。趣味の動画から企業のPR動画まで、幅広いシーンで活用されています。
こんな人におすすめ
モーショントラッキングの精度が良好。通行人や車にモザイクをかけたい人におすすめ。
After Effects
モーショングラフィックス制作に長けた動画編集ソフトです。テキストやロゴ、イラストに動きを追加することで、映像ワンランク上の仕上がりにしてくれます。用途が限られているため、同社製品の『Premiere Pro』と併用することで真価を発揮します。
こんな人におすすめ
文字や図形などを自由に動かせる。動く特殊効果を追加したい人におすすめ。
PowerDirector
無料でも高性能な機能を備えた動画編集ソフト。フォントの加工やモーション追加など、細かな部分まで自由に調整できるのが魅力。有料版では関連ソフトがすべて使用可能になるほか、プレミアム限定素材の利用や、透かしなしでのアウトプットが可能になります。
こんな人におすすめ
サポート機能が充実。初めてモーショントラッキング編集に挑戦する人におすすめ。
Filmora
Wondershareによって開発された、非常に使いやすい動画編集ソフトです。初心者から上級者まで幅広い編集者に対応した豊富な機能を提供しています。
特にオーディオの調整・編集・ノイズ除去・オーディオイコライザーが充実しているのがポイント。フェードイン・アウトなどのエフェクトも提供されています。
こんな人におすすめ
操作方法が簡単なため、手軽にモーショントラッキングを利用したい人におすめ。
Premiere Proを使ったモーショントラッキングのやり方
ここでは動画編集ソフトの『premiere Pro』を使い、車のナンバープレートをモザイクエフェクトでトラッキングする方法を紹介します。
1.「タイムラインパネル」に動画を追加する
まずは動画素材を「タイムラインパネル」に追加します。フォルダーからドラッグ&ドロップで素材を移動させましょう。
2.「エフェクトコントロールパネル」にモザイクを追加する
「エフェクトパネル」の中から、「ビデオエフェクト」→「ブラー&シャープ」→「ブラー(ガウス)」の順で選択。「ブラー(ガウス)」を「エフェクトコントロールパネル」にドラッグ&ドロップします。
『Premiere Pro』はUIをカスタムできる関係で、初期状態では「エフェクトパネル」や、「エフェクトコントロールパネル」が表示されていない可能性があります。万が一表示されていない場合は、下記のショートカットキーを試してみてください。
●エフェクトパネル:「shift」+「7」で追加
●エフェクトコントロールパネル:「shift」+「5」追加
3.ブラーの数値を調整する
ブラーの数値が高いほど強めのモザイクがかかります。お好みでモザイクの強さを変更してみましょう。カーソルを数値付近に持っていき、左クリックを長押しした状態でマウスを移動させると、数値の微調整がしやすくなります。
4.「長方形マスク」で範囲指定をする
画面全体にかかっていたモザイクをナンバープレートだけに適応するため、「長方形マスク」(赤枠)を適応します。プレビューに「長方形マスク」が追加されたら青枠の四隅にある丸をドラッグして、ナンバープレートの位置に合わせましょう。
5.動画全体にモザイクを適応させる
モザイクの範囲指定ができたら、「▶」をクリックしてください。被写体の動きに合わせてモザイクをトラッキングしてくれます。処理時間はクリップの長さに依存するので、再生時間が長い場合は処理に数分程度かかる場合があります。
「▶」は開始位置から最後までトラッキングを適応するボタンなので、開始位置より前の映像もトラッキングしたい場合には、「◀」をクリックしましょう。
6.最終チェックと微調整を行う
プレビューの再生ボタンを押して映像を確認します。モーショントラッキングは自動で追従されますが、まれに被写体からズレてしまうケースがあります。そういった場合には、画像左側のキーフレームを活用しながら微調整を行いましょう。
モーショントラッキングを活用した映像編集のテクニック
モーショントラッキングは活用することで、映像制作のクオリティを大幅に向上させることが可能です。以下に、モーショントラッキングを活用した映像編集のテクニックをいくつか紹介します。
特定のオブジェクトを追跡
モーショントラッキングを使用すると、映像内の特定のオブジェクトを追跡し、その動きに合わせてテキストや画像を動かすことができます。これにより、特定のシーンの強調や注目を引くエフェクトを作成することが可能です。
背景の変更
モーショントラッキングとクロマキー(緑色の背景)を組み合わせることで、背景を自由に変更することができます。これにより、リアルタイムで背景を動かすことが可能となり、よりリアリティのある映像を作成することができます。
エラー効果の追加
モーショントラッキングを使用して、映像にあえてエラー効果(グリッチエフェクト)を追加することも可能です。これにより、映像に独特の雰囲気やスタイルを加えることができます。
モーショントラッキングを使えば表現の幅がグッと広がる
モーショントラッキングはテキストやエフェクトなどを被写体に追従させる編集技術です。グリッチエフェクトや背景変更などはちょっぴり高度な技術が必要ですが、テキストやモザイクをモーショントラッキングするのは比較的簡単。本記事を参考に、編集の練習をすることで、制作する映像のクオリティをより一層高めることができますよ。
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