「早寝早起き朝ごはんアプリコンテスト」の授賞式が2月19日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されました。本コンテストは、子どもたちが「早寝・早起き・朝ごはん」を楽しく習慣化できるようなアプリやアイデアを募集するもので、小学生対象の「アイデア部門」と、中高生対象の「開発部門」の2部門で構成されています。
今年度の応募総数は724作品。アイデア部門には663作品、開発部門には61作品が集まり、厳正な審査の結果、最優秀賞(文部科学大臣賞)をはじめとする20作品が選ばれました。表彰式では、受賞した子供たちが緊張しながらも誇らしげな表情で作品を発表。アイディアの発想背景やアプリの工夫点を語る姿が印象的でした。
コンテストでどのようなアプリが受賞したのか、早速見ていきましょう。

子どもたちの発想が生活習慣を変える! 「早寝早起き朝ごはんアプリコンテスト」授賞式レポート【追記あり】
「早寝早起き朝ごはんアプリコンテスト」とは
子供たちの生活リズム向上を目的とした「早寝早起き朝ごはんアプリコンテスト」は、「早寝」「早起き」「朝ごはん」の習慣を楽しく身につけるためのアプリやアイディアを募集する全国規模のコンテストです。
本コンテストは、「アイデア部門」と「開発部門」の2つの部門に分かれており、全国から寄せられた応募作品の中から、優れたアイデアや技術をもつ作品を選出。最優秀賞(文部科学大臣賞)をはじめとする各賞が授与されました。
アイデア部門
「アイデア部門」は、小学生を対象に、「こんなアプリがあれば『早寝早起き朝ごはん』が楽しく習慣化できる」という自由な発想を募る部門です。応募は文章やイラストなど、形式を問わず受け付けられます。
例えば、早寝が1週間続いたら褒めてくれるアプリや、生活リズムの大切さをゲーム形式で学べるアプリなど、子供ならではのユニークなアイディアが集められ、審査員によって創造性や実現可能性、生活習慣の改善につながる工夫などの観点で評価されます。
開発部門
「開発部門」では、中学生・高校生(小学生の応募も可)を対象に、実際に動作するアプリの開発を求められます。応募作品は、アプリの機能やユーザーインターフェースの工夫、生活習慣改善への貢献度などが審査のポイントです。
応募者は、自らプログラムを作成し、そのアプリの仕組みや特徴を説明する動画とともに提出。生活習慣を楽しく改善できるアイディアを、実際のアプリとして形にする力も必要とされます。受賞作品の一部は、教育現場や家庭での活用が期待されるものもあり、子供たちの発想と技術の融合に注目です。
表彰内容と受賞者発表
最優秀賞(文部科学大臣賞)
みんなでつなごう!早ね早起き

所属:愛知県刈谷市立亀城小学校
学年:5年
氏名:加藤 遥乃
【受賞者によるアプリ解説】

「一人だと続かない早寝早起きも、友だちと一緒なら楽しく続けられるはず!」。そんな思いから生まれたのが、このアプリです。
アバターを設定し、毎日の起床・就寝時間を記録。1週間継続するとグラフで習慣の変化を確認できます。1人ではなくチームで記録をつければ、アイテムを交換したり、睡眠時間のグラフを見比べたりといったことも。
また、早寝早起きがうまくできないときの不安を解消する「相談部屋」機能も搭載。情報を交換したり、悩みを共有したりしながら、自然と生活リズムを整えられる仕組みになっています。
睡眠について悩んでいる方の気持ちをラクにできればと思っています。なかでも、夜遅くまで働いている先生に使ってもらいたいです。
shareYourLIFE
所属:島根大学教育学部附属義務教育学校 後期課程
学年:1年
氏名:俵 恵太
【受賞者によるアプリ解説】

「早寝早起きは、自分との戦い」と考えている人も多いかもしれません。しかし、みんなで協力すれば、もっと楽しく続けられるはず。そんな思いからアプリを開発しました。
このアプリでは、朝ご飯や起床・睡眠時間をみんなとシェアして、健康的な生活を送る人の投稿を参考にしながら、自分の生活リズムを整えていきます。Eメールとパスワードでアカウントを作成し、食事の記録や就寝時間を入力することでバッジを獲得。毎日続けることで、より良い習慣が身につく仕組みになっています。
現在は、日付が変わって最初に寝た人が1位になるランキングを採用していますが、今後は職業やライフスタイルに合わせ、目標の就寝時間との差で順位が決まるよう改善したいと考えています。スマホだけでなく、PCやタブレットからもアクセスできるので、多くの人に使ってもらえるアプリになればうれしいです。
「早寝早起き朝ごはん」全国協議会賞
早寝早起き朝ごはん村
所属:香川県高松市立多肥小学校
学年:2年
氏名:高橋 あい
早起き選手権
所属:名古屋大学教育学部附属中学校
学年:2年
氏名:川口 明莉
パナソニック教育財団賞
stop!global warming
所属:愛知県岡崎市立六ッ美中部小学校
学年:6年
氏名:清水 瑛斗
年中健康状況アプリ
所属:熊本県立第一高等学校
学年:2年
氏名:中原 政隆
国立青少年教育振興機構賞
すくすくようせい
所属:東京学芸大学附属竹早小学校
学年:3年
氏名:森田 小春
つくろう!せいかつタウン
所属:愛知県飛島村立飛島学園
学年:1年
氏名:伊藤 愛依子
審査委員会賞
きゅうしょく だいすき!アプリ
所属:東京学芸大学附属竹早小学校
学年:1年
氏名:小島 璃莉子
スライムといっしょ!早寝早起き朝ごはん
所属:愛知県刈谷市立刈谷南中学校
学年:1年
氏名:清水 翔馬
奨励賞
●「早寝早起」をして植物を育てよう!アプリ
●朝ごはんマスターアプリ!
●早寝早起きできるよアプリ
●脳内から目覚めようアプリ
●早寝早起き朝ご飯海賊
●Quick
●Sleep Garden
●朝活マスターCLSH
●自分の生活リズムを見てみよう
●長商(ながしょう)早起きアプリ
審査委員長からのコメント

▲東京工業大学教授・赤堀侃司氏
本コンテストには、全国から724作品が集まりました。審査委員長を務めた東京工業大学教授・赤堀侃司氏は、その応募数の多さに喜ぶとともに、子供たちの発想力や技術力の高さに驚いたと語ります。
「子供たちは最高のアイディアを出し切ってくれました。審査に参加した先生方からも『まるで大人のプログラミングコンテストのようだ』との声が上がるほど、完成度の高い作品がそろっていました」
小中学校でもプログラミング教育が本格化していますが、ゼロからアイディアを形にし、実際に動くアプリを作るのは簡単なことではありません。赤堀氏は、最新の技術を駆使してアプリを完成させた子供たちの努力を称え、こう続けます。
「子供の頃の体験は、人生を豊かにする大切な基盤です。プログラミングはもちろん、自然の中での体験や読書、地域行事への参加、家族との関わりを通じて、学びの幅を広げてほしい。今の時代、デジタルとアナログをうまく組み合わせることで、子供たちの世界はもっと広がるはずです」
今回のコンテストで得た経験は、未来につながる大きな一歩。これをきっかけに、子供たちがどんな可能性を広げていくのか、今から楽しみですね。
スマホで生活リズムを正す、子どもたちの新たな視点
今回の表彰式には、多くの学校教育関係者が参加しました。食事や睡眠は、子供の健やかな成長に欠かせない要素。それだけに、「早寝早起き朝ごはん」をテーマにした本コンテストへの関心も高かったように感じます。
筆者自身、子供の教育に関わる立場として、生活リズムの乱れを身近に感じています。スマホの普及により、テレビ以外のエンタメにも手軽に触れられるようになった今、子供たちの睡眠習慣が変化しているのは確かです。
しかし、そのスマホを「生活リズムを崩すもの」ではなく、「生活をより良くする道具」として考える。そこに、このコンテストの意義があると感じました。プログラミングが学校教育に導入された今だからこそ、子供の柔軟な発想が活かされ、実際の課題解決につながるアプリが生まれていくのではないでしょうか。
初めての開催にして、すでに優れたアイデアが集まった本コンテスト。子供たちはスマホとの付き合い方をどう考え、どんなアプリを生み出していくのか。これからの展開が楽しみです。
(文・かがわまなみ 撮影・福原瑶子)
2025年3月3日追記:最優秀賞2作品の画像・動画を追加しました
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