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  • 【レポート】リバティーンズが語る、AI時代に成果を生むクリエイティブ戦略(MOBILE STARS)

Adjust、Braze、Moloco、Moonplateが運営するモバイルアプリマーケター向けコミュニティ「MOBILE STARS」による第6回目となるイベント「MOBILE STARS Christmas 2025」が、2025年12月12日に開催されました。

本セッションでは、広告自動配信ツール『V.O.X(ヴォックス)』を提供するリバティーンズ株式会社 小川智朗 氏が登壇。

生成AIの急速な浸透によって、クリエイティブを“量産できる”環境は整いました。しかしその一方で、「量は増やせたが成果が伸びない」「どのクリエイティブを採用すべきか判断が遅れる」といった課題が顕在化しつつあります。

本セッションでは、こうした状況を踏まえ、AIを“速く・正しく”活用し、最適解に最短でたどり着くためのクリエイティブ戦略を具体的な事例とともに解説。AI時代に成果を生むクリエイティブ戦略のポイントが示されました。

AI大量生産時代、なぜ“作っても成果が出ない”のか

リバティーンズ株式会社
マーケティング事業部 リーダー
小川 智朗 氏

リバティーンズ株式会社は、2007年にアプリ開発企業として創業し、2011年には自社アプリで世界1,000万ダウンロードを突破した実績を持ちます。現在は、AIを活用したASO機能搭載型の広告自動配信ツール『V.O.X(ヴォックス)』を提供し、Apple Ads 認定パートナーにも選定されています。

リバティーンズ株式会社 マーケティング事業部 リーダー 小川 智朗 氏

小川氏はまず、最近のマーケティング現場で頻繁に聞く質問――「AIをどう活用していますか?」に触れました。実際、多くの企業がAIを活用し広告クリエイティブを大量生成し、静止画・動画を量産して配信に使う流れが定着しつつあります。

しかし、その一方で「せっかく大量に作ったが、活用されないクリエイティブが多い」「広告と遷移先ページとの訴求不一致による機会損失」という、AI時代のクリエイティブ運用における新たな問題点を指摘。

▲現在のクリエイティブ運用の問題点(リバティーンズ株式会社)

▲現在のクリエイティブ運用の問題点(リバティーンズ株式会社)

1. クリエイティブ未活用問題:インプレッションが溜まらず評価不能
大量に作りすぎた結果、インプレッションが少ないクリエイティブは評価対象にもならず、「ユーザーに当たらないから何も分からない」という状態に陥る。

2. 訴求の一貫性の欠如:広告と導線(LP/App Store)がズレている
広告の訴求は良いが、遷移先のLPやアプリストアのメッセージが別方向を向いていると致命的な機会損失が発生する。

小川氏によると、ある人材系企業では広告クリエイティブを3パターン配信した結果、CPAに3倍の差が生じていたという。

このことからも、クリエイティブを大量に作成しても、広告と遷移先(LP/アプリストア)の訴求が揃っていなければ成果に結びつかず、むしろ機会損失を生むと指摘。だからこそ、量産よりも“訴求の整合性を確実に担保すること”が何より重要であると強調しました。

最短で最適解に辿り着くために:まず改善すべきは“全員が通る場所”

最適解に最短でたどり着くためにはどうするべきか。小川氏は、改善には正しい順番があると説明し、理想のクリエイティブフローを紹介しました。

広告運用では、クリエイティブ改善や配信ロジックの最適化に注力しがちですが、それよりも優先すべきは“全てのユーザーが必ず通る地点”であるアプリストアやランディングページ(LP)の改善だといいます。

▲理想のクリエイティブフロー(リバティーンズ株式会社)

▲理想のクリエイティブフロー(リバティーンズ株式会社)

ユーザーの行動は、「広告 → アプリストア(LP) → インストール → アプリ利用」という一連の導線で構成されています。この中で、インストールの成否に最も直接的な影響を与えるのは、アプリストア/LPです。

どれだけ優れた広告を作っても、遷移先のストアページが魅力的でなければ、ユーザーは離脱してしまい、獲得効率は上がりません。

そのため、小川氏は「広告からストア、そしてアプリ利用までの流れを“一気通貫でストーリーとして設計すること”が不可欠」だと説明します。

▲理想のクリエイティブフロー(リバティーンズ株式会社)

▲理想のクリエイティブフロー(リバティーンズ株式会社)

ユーザーが広告を見て、興味を持ち、ストアに遷移し、最終的にインストールを決断するまでの過程をひとつの物語として設計することで、全体的な改善に繋がります。

そして、このストーリー設計の巧拙こそが、最短で最適解に辿り着けるかどうか、さらには獲得効率をどれだけ引き上げられるかを左右する決定的な要素になると語りました。

AIは“意思決定の速度と精度”を上げる道具へ

セッションの最後に、小川氏はAI時代のクリエイティブ戦略を次の2点に整理しました。

競争が激化するアプリマーケティング市場において、AIの使い方は成果を大きく左右します。小手先の大量生産ではなく、最短で最適解にたどり着くためのアイデア出しにAIを活用していくことが、これからの広告クリエイティブ運用に求められています。

アプリストア/LPなど“全員が通る地点”から改善すること。
どれだけ広告改善を行っても、遷移先のストアの説得力が弱ければ成果は出ない。獲得効率の最大化には導線全体の見直しが必須。

AIを大量生産の道具ではなく、意思決定を速く・正しくするための“思考パートナー”として活用すること。
ユーザー心理の解像度を高め、勝ち筋の方向性をAIで素早く導き、最適なクリエイティブ設計に活かす。

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▲「ASO対策の教科書」(リバティーンズ公式note)

▲「ASO対策の教科書」(リバティーンズ公式note)

アプリマーケターが集うコミュニティ“MOBILE STARS”

モバイルアプリマーケターのためのコミュニティイベント「MOBILE STARS」は、今回で6回目の開催となりました。本イベントは、Moonplate, Inc.を中心に、Adjust、Braze、Molocoといった運営企業が連携して運営しています。

MOBILE STARSでは、今後もマーケターにとって、学びとつながりが得られる場を継続的に提供していく予定です。今回のクリスマス特別企画は、Adjust、Braze、Moloco、Moonplate, Inc.の運営に加え、スポンサーであるRevenueCatとLiberteenz、そしてメディアパートナーであるアプリブの協力のもと開催されました。

アプリ業界の発展を願う多くの有志・関係者のご支援により、本イベントが実現していることに、この場を借りて深く感謝申し上げます。

次回のMobile Starsは2026年4月21日(火)に開催予定です。
アプリマーケティングに従事するみなさんの成長に貢献できるコミュニティとして、今後も継続的にこうした場をつくってまいります。

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