富士フイルム株式会社は、「写ルンです™」の現像注文と写真の画像データ受け取りをスマホで完結できるアプリ『写ルンです+』をリリースしました。SNSでは「修学旅行の記録に便利」「フィルムの質感が面白そう」といった期待の声がある一方で、「富士フイルム製以外のフィルムも対応してほしい」「料金はちょっと高め」といった指摘も見られます。
この記事では、実際に使ってわかった特徴や注意点を詳しく解説します。

富士フイルム新アプリ『写ルンです+』ならデータ化&フィルム現像がスマホで完結! 料金や使ってわかった注意点を解説
写ルンです+とは? スマホだけで現像依頼〜データ化が完結
『写ルンです+』はこのような方におすすめ
- 富士フイルム製フィルムを愛用している方
- フィルム現像〜データ管理をスマホで完結させたい方
『写ルンです+』は、レンズ付きフィルム「写ルンです™」や富士フイルムの一部フィルムに対応した現像注文アプリです。
これまではカメラ店などで依頼していた現像作業を、すべてスマホ上で完結できるのが特徴。アプリ内で注文して、コンビニから発送する仕組みになっており、約1週間で写真の画像データがスマホアプリに届きます。画像データを整理・編集する機能も充実しており、フィルムカメラ初心者にも使いやすいサービスです。
ここからは、写ルンです+に搭載されている主な機能を紹介します。
特徴① データ整理がラクになる「マイフィルム」機能
▲現像したフィルムは、アプリ内で名前やコメントがつけられる
画像データは、アプリ内でフィルムごとに名前やコメントを付けて管理できます。写真は個別に選択して、『LINE』や『Googleフォト』などの外部サービスで共有することも可能。
必要に応じてダウンロードもできるため、家族や友人との思い出のシェアもスムーズです。
特徴② スマホで簡単にスライドショー動画を作成
▲動画のテンプレートは全部で4種類
「フォトムービー」機能を使えば、受け取った画像データをスライドショー動画にまとめられます。
操作は簡単。フィルムの質感を活かした4種類のテンプレートから1つを選んで、使用したい写真を指定するだけ。
動画編集のスキルがなくても、SNSでシェアしやすいおしゃれな動画を作成できます。
特徴③ アプリからそのまま写真プリントも注文可能
撮影した写真は、そのままアプリ上からプリント注文できます。
現像注文する際は、撮影した全カットをLサイズプリントにまとめて注文可能。データ受取後は、お気に入りの写真だけを選んで、手のひらサイズのハーフサイズプリントを注文できます。
部屋に飾ったり、プレゼントに添えたりと、プリントならではの楽しみ方もできますよ。
写ルンです+で写真をデータ化してみた
ここからは、実際に『写ルンです+』を使って現像から画像データの受け取りまで試してみました。使用したのは、こちらの「写ルンです」です。
まずはアプリ内で現像の注文を行います。手順は以下のとおり。
注文が完了すると、発送用のQRコードが発行されます。コンビニなどで販売されている「宅急便コンパクト専用BOX」(70円)を用意し、写ルンです本体を入れてコンビニのレジから発送します。
発送が完了したら、あとは現像が終わるのを待つだけ。筆者が利用した際は、発送から4日で画像データの受け取り通知が届きました。混雑状況や祝日によって前後しますが、おおむね1週間前後で受け取れると考えてよさそうです。
写ルンです+を実際に使ってわかった注意点・デメリット
『写ルンです+』は手軽に現像・データ化ができる反面、実際に利用してみるといくつか注意しておきたい点も見えてきました。ここでは、使う前に知っておきたいデメリットや制約を紹介します。
他社より現像・データ化にかかる費用は高め
『写ルンです+』を利用した場合、現像とデータ化を合わせた費用は決して安くありません。参考までに、カメラのキタムラで依頼した場合と比較してみました。
データ化の費用だけでもカメラのキタムラを上回る金額に。頻繁に現像を利用する場合は、コスト面も踏まえて検討するとよいでしょう。
対象商品は富士フイルム製の一部のフィルムだけ
現像に出せるフィルムは富士フイルム製に限られており、他社製やモノクロフィルムは基本的に対象外でした。2025年6月現在、『写ルンです+』で対応しているフィルムは以下のとおりです。
対象フィルム
- フジカラー写ルンです
- FUJIFILM 400 36枚撮り
- FUJICOLOR 100 36枚撮り
- フジカラーSUPERIA X-TRA400 36枚撮り
- フジカラーSUPERIA PREMIUM400 36枚撮り
対象外フィルム
- 黒白フィルム ネオパン100 ACROS II
- フジクロームシリーズ(販売終了)
なお、すでに現像済みのネガフィルムは、対象フィルムであっても『写ルンです+』での利用はできません。
対象外のフィルムを送付してしまうと、送料は利用者負担で返送されてしまうので注意しましょう。
解像度は標準330万画素のみ
カメラのキタムラなどでは最大1,300万画素の高画質版も選択できますが、『写ルンです+』では330万画素のみ。
高画質を重視する方にはやや物足りなく感じる可能性がありますが、写ルンですならではのフィルムの質感を重視するなら十分な解像度ともいえます。実際にスマホと写ルンですで同じ場所を撮影して比較すると、仕上がりの雰囲気が大きく異なるのがわかります。
▲上:写ルンですで撮影した写真 下:Androidスマホ(Pixel9)で撮影した写真
スライドショー動画のテンプレートはシンプルで物足りない
▲『写ルンです+』で作成したスライドショー動画の例
『写ルンです+』では、4種類のテンプレートから選んでスライドショー動画を作成できますが、機能はいたってシンプルで、画像の並び替えができる程度。テロップの挿入やフィルター加工といった、一般的な動画編集アプリにあるような機能は搭載されていません。
素朴で味わいのある仕上がりにはなりますが、演出や表現にこだわりたい場合は、画像データをダウンロードして他の動画編集アプリで仕上げるのがおすすめです。
本格的な動画編集アプリをお探しなら
令和の時代にエモい写真を撮ろう!
スマホでの撮影が当たり前になった今でも、フィルムならではの味わいに惹かれる方は少なくありません。『写ルンです+』は、そうしたフィルム写真の楽しさを令和の時代に合わせて進化させたサービスです。アプリひとつで現像からデータ化、整理、プリントまで完結する手軽さは魅力といえます。
一方で、料金や対応フィルム、注文できるプリントサイズなどにはいくつか気になる点もありました。自分の使い方に合っているかを確認したうえで活用すれば、エモい思い出をスマホに残す新しい選択肢として活躍してくれるでしょう。
(文・撮影:かがわまなみ)
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