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  • 【イベントレポート】Luupのデータドリブン戦略と次世代CRMプロジェクト【Braze City x City Tokyo】

2025年11月13日、Brazeが主催するリアルとデジタルを融合した顧客体験(CX)の高度化およびAI・リアルタイムデータ活用をテーマにしたカンファレンス「Braze City x City Tokyo ~デジタル・ボディランゲージ x AI で実現する次世代CX~」が開催されました。

本記事では、本イベントのセッションの1つ「Luupのデータドリブン戦略と次世代CRMプロジェクト」の模様をお伝えしていきます。

他セッションの模様はこちら

【イベントレポート】Braze City x City Tokyo ─ デジタル・ボディランゲージ × AI が拓く次世代CXの最前線 - アプリブ

電動キックボードや電動アシスト自転車をスマホ1つで好きな場所で借りて返せるシェアリングサービス「LUUP」は、全国15,500以上のポートを展開し、街じゅうの“短距離移動”を支えるインフラとして存在感を高めています。

電車やバスといった公共交通機関ではアクセスしづらい「交通空白地帯」を埋め、街全体を“駅前化”することをミッションとして掲げ、三輪・小型のユニバーサルカー「Unimo」も発表。本格的に「すべての人の移動課題の解決」を目指すフェーズに入りました。

今回登壇したのは、株式会社LuupでCOO補佐として主に戦略面を担当している菅原 葉 氏。Luupが取り組む“データを起点にした事業成長”と、“次世代CRMの在り方”について語りました。

LUUP/ループ:シェアサイクル &電動キックボードシェア

Luup, Inc.

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菅原 葉 氏
株式会社Luup
COO室 COO補佐 戦略担当 兼 プロダクトマネージャー

廣川 侑 氏
Braze株式会社
ソリューション コンサルティング部
リードソリューションコンサルタント

データを基盤にしたLuupの成長戦略

▲菅原 葉 氏(株式会社Luup COO室 COO補佐 戦略担当 兼 プロダクトマネージャー)と廣川 侑 氏(Braze株式会社)_Braze City x City Tokyo_アプリブ

LUUPは街中で目にする機会が増え、ポート数の拡大とともに自然と利用者も増えてきました。

しかし菅原氏は「そうした自然増だけでは中長期の成長は作れない」と語ります。そこでLuupが挑んでいるのが、“データを起点にしたオーガニック以上の成長”です。

LUUPの成長を支えているのは、サービス利用データ・位置情報・車両稼働状況・天気・交通量など、多様なデータの統合活用です。

一例としては「好きな場所で乗って、好きな場所で返せる」というユーザーのコア体験を守るため、ポートの空き状況や車両の偏りを予測し、需給バランスが最適になるようロジックを組んでいるそうです。

過不足が出やすい時間帯や曜日を分析し、特定のポート間を利用した場合に料金を25%割引するなど、ユーザー体験を損なわない形で車両再配置を促す“協力インセンティブ”も取り入れ、車両再配置を自動化することで、いつでも利用しやすい状態を作っていると話しました。

Braze導入の背景

LuupがCRM強化に舵を切ったのは、ユーザー行動の変化がLTV(顧客生涯価値)に直結することが明確になったためです。

「アプリDL → 利用準備 → 初回ライド → 価値発見(定着) → 習慣化」といったユーザーステータスを定義し、1段階進むごとの価値を試算。CRMが事業成長の主要ドライバーであると判断しました。

そこで2025年7月にBrazeを導入しました。アプリ内のバナー表示(シートバナー)やポップアップ型のIAM(In-App Message)など複数チャネルでの高速PDCAを実現し、BigQueryと連携することで、データに基づいたセグメント配信を柔軟に設計できるようになりました。

“価値発見”を支えるコミュニケーション

Luupでは「LUUPなら、いつもの移動がもっと便利になる」というコアな価値を、いかにしてユーザーに実感してもらうかを重視されているそうです。

その1つが「目的地サジェスト機能」です。現在地から「LUUPなら最寄り駅まで◯分で行けます」といった提案を行い、日常の中で便利さに気づいてもらう仕掛けが整えられています。

また、ビギナーユーザーに向けては、メールで読みやすい「マガジン形式のコンテンツ」を配信しています。オウンドメディアの記事からCRMに転用できそうなものを活用して、「具体的にこんなシーンでも実は便利」といった気づきを与えることを狙っています。

行動データに応じた価値訴求

データ分析から、定着したユーザーには「電動アシスト自転車だけ乗る層」「電動キックボードだけ乗る層」が存在し、両方体験したユーザーほどLTVが高いことが判明したといいます。

そこで、それぞれのユーザーに未体験の価値を丁寧に訴求し、行動変容を促すメッセージを届けています。

さらに、累計ライド数など行動指標をトリガーに訴求タイミングを重視した施策も実行。

例えば「3回乗ったユーザーにその達成感を得たタイミングに合わせて友達招待キャンペーンを案内する」といった形の訴求はクーポン内容やクリエイティブを見直すこと以上に、体験の広がりを後押ししていると話しました。

CRMからプロダクト改善へ

▲菅原 葉 氏(株式会社Luup COO室 COO補佐 戦略担当 兼 プロダクトマネージャー)_Braze City x City Tokyo_アプリブ)

LuupはCRMを利用促進のための配信施策としてだけでなく、プロダクト改善の起点としても活用していて、BigQueryに集約されたデータとBrazeを連携させることで、天気データ連動のクーポン自動配布のような構想も進行中です。

このように、LuupはCRMによるユーザーコミュニケーションの成果を丁寧に測定しながら、得られた知見をサービス改善や次の施策立案にフィードバックするループを回し続けています。

データに基づいてユーザーが何に反応し、どんな価値提供で継続利用してもらえるのかを学習し、それをまた新たな施策やプロダクトのアップデートにつなげていくサイクルです。

菅原氏の言葉どおり、データ基盤を元にBrazeのリアルタイム性に優れたセグメント配信機能を使い、ユーザー体験とプロダクトの双方を磨き続け、サービスをさらに成長させています。CRMで得た学びをサービスに循環させるこのループこそ、Luupの強さの源泉と言えるでしょう。

イベント概要

名称:Braze City x City Tokyo
~デジタル・ボディランゲージ x AI で実現する次世代CX~
URL:https://www.event-site.info/cbc2025/
日時:2025年 11月13日(木)12:15-19:30(受付11:45)
場所:ウェスティンホテル東京
〒153-8580 東京都目黒区三田1丁目4−1
主催:Braze株式会社