2024年現在、日本でマッチングアプリが誕生してから12年を迎えました。未婚化・少子化の進行やコロナ禍、また「マッチングアプリ疲れ」など、この12年で婚活市場も大きく変化してきました。

マッチングアプリを10年近く紹介し続けてきた『アプリブ』が、マッチングアプリでも結婚相談所でもない第三の婚活サービス『ヒトオシ』の代表、伊藤早紀さんに話を伺いました。

※18歳未満の方はマッチングアプリを利用できません。
このページはアフィリエイト広告を利用していますが、記載されている情報は一切その影響は受けておりません。

聞き手:福田士朗

アプリ情報メディア『アプリブ』のマッチングカテゴリ責任者。2015年の頃からマッチングアプリが流行すると予測して、マッチングアプリの紹介に注力する。

伊藤早紀氏

伊藤早紀氏

株式会社Parasol代表取締役社長。パーソナライズ婚活サービス『ヒトオシ』責任者。

マッチングアプリのメディア『マッチアップ』の編集長と恋愛婚活ラボの所長も務める。

『ヒトオシ』とは?

マッチングプランナーがオンライン面談を通して、相性の良い相手を紹介してくれるサービス。月に2人とオンラインデートで顔合わせができ、専属プランナーに二人三脚でサポートしてもらいながら、パートナーを見つけることができる。

>>『ヒトオシ』公式サイト

マッチングアプリは数年前までキワモノ扱いされていた

――2012年、日本でマッチングアプリの先駆けとなる『Omiai』や『Pairs』が開始してから12年が経ちました。振り返るとどんな変化を感じていますか?

伊藤早紀氏

2018年頃までは「出会い系」として警戒されることが多く、キワモノ扱いされることも多かったと記憶してます。私がテレビにマッチングアプリ専門家として出演した際には、出演者の方から「マッチングアプリやってる女性とは出会いたくない」なんてことを平気で言われていました。

でもコロナ禍以降では、大御所の芸能人の方から「俺のマネージャーもマッチングアプリで付き合ったよ」なんて声をかけてもらったんです。昔ながらのテレビ業界の人までも受け入れてくれるようになったんだと思い、マッチングアプリも市民権を得たと実感しましたね。

――出会いの手段が制限されたコロナ禍では、特にマッチングアプリでパートナーを探す人が増えましたよね。マッチングアプリの良い変化は何だと考えていますか?

マッチングアプリでも魅力的な人たちと気軽に出会えるようになったのは、良かったことかなと思います。一般に広く普及したことで、現実社会で恋愛に恵まれている人たちもマッチングアプリを利用するようになってきました。

マッチングアプリユーザーのリテラシーも非常に上がってきていて、どの年代の人も魅力的な写真を載せているし、プロフィールも丁寧に書くようになってきています。

選ばれない男性と選べない女性の「マッチングアプリ疲れ」

――反対に、マッチングアプリのネガティブな変化はなんだと思いますか?

マッチングアプリユーザーの平均レベルが上がった分、恋愛を苦手とする人たちは、アプリ内でもマッチングするのが難しくなってしまったと考えています。

2017~19年頃のマッチングアプリでは、プロフィール写真が真顔で自撮りしたものだったり、自己紹介文も適当に書いていたり、イマイチな使い方をしている人が多い環境でした。そのため、少し写真やプロフィールに気を使うだけで、誰でもマッチングしやすい環境だったと思います。

いまは多くのユーザーが写真にもプロフィールにも気を使っていて、さらに現実社会で恋愛に恵まれている人たちもマッチングアプリを使うようになってきているので、ライバルが強力です。

見た目や年収などわかりやすいスペックで比較されてしまうと、どうしてもモテ格差が生まれてしまいます。

――その結果として「マッチングアプリ疲れ」という言葉も最近よく耳にするようになりましたね。

男性はライバルが強力になってきた分、女性から選ばれるのが難しくなり、パートナーがなかなか見つからないという課題があります。逆に女性は、多くの男性からアプローチは受けるものの、誰が良いのかわからず選べないという悩みを抱えています。

数人会ってみて良い相手が見つからないと、婚活そのものに疲れてしまいますよね。

――「100人と会って、運命の1人を見つけました」のような数を打って成功した話も聞きますが、実際はなかなか厳しいですよね。

100人も会える人っていうのは、メンタル的に非常にタフな人だと思います。みんな2人会っただけでも疲れてるので、そもそも量をこなせる人が稀です。

ヒトオシでも最大で月に6名※まではマッチング可能なんですが、6名でも「そんなに会わなくて大丈夫です」と言われることがほとんどです。

※ヒトオシで紹介される人数は月2名が基本だが、担当以外のマッチングプランナーからのオファーとして最大で月4名(合計6名)まで紹介される場合もある。

――ちなみに最近は行政でもマッチングアプリを展開する動きがありますよね。

行政の婚活支援サービスは、年間1万円程度の低価格で利用できるのがメリットですが、その分、比較的年収の低い方たちが集まっています。しかし、結婚と年収はやはり密接な関係なので、年収をそもそも上げないと結婚が厳しい現実があります。

年収が上がれば、見た目の改善などマッチングに直結する要素にもお金を使えるようになるので、年収を上げるような支援も併せてあると、成婚により結びつきやすいのかなと考えています。

自分を客観視できて自己肯定感が高い人は、マッチングアプリでうまくいく

――マッチングアプリでうまくいく人、いかない人の違いは何だと考えていますか?

自分を客観視できる人、そして自己肯定感が高い人はうまくいってるなと思います。

客観視の話でいうと、例えば「このアプリにはいい人がいない!」と言う人がいますよね。「このアプリは女性がLINEを返してくれなくてフェードアウトしちゃう」みたいな。

それって客観的に見ると、女性側が悪いわけではなく、恐らく男性がちゃんと振る舞えていなかったケースも多いと思うんです。

何か問題が起こったときに、すぐ相手のせいとかアプリのせいにしてしまうと、本当は自分が原因だったとしても、自分自身を改善することができなくなってしまいます。客観視できないとはそういうことだと考えてます。

ヒトオシでも会員の人にさまざまなアドバイスをしますが、アドバイスをちゃんと受け入れてくれる人は、パートナーができて退会していってます。うまくいかない現実を素直に受け止めて、自分を改善していける人がやはり婚活もうまくいっていますね。

――では自己肯定感についてはどうでしょう。

自己肯定感が低いと、どうしても初対面で会話をするときにしんどくなってしまうんです。

ちょっとでも相手の嫌なところを見つけると、それは自分の手に負えない有害なものに思えてしまうみたいな。

例えば「お店を予約してくれなかったということは、私を雑に扱ってるんじゃないか?」など疑ったり。また、女性の「子どもはほしいと思ってる」といった一言だけで、男性がプレッシャーを感じて傷ついてしまうなども良く耳にします。

マッチングアプリでは嫌なことも時々起こりますが、自己肯定感が低いと傷つきやすいので、その結果疲れてしまうのかなと思います。

マッチングアプリでうまくいかない人は、結婚相談所なら結婚できるのか?

――マッチングアプリでパートナーを見つけられない人が、結婚相談所に行くケースもよく耳にします。アプリで結婚できない人は結婚相談所なら結婚できると思いますか?

マッチングアプリでうまくいかず、結婚相談所に駆け込むのはあるあるですね。

弊社でも大手連盟の傘下として、結婚相談所を立ち上げたことがあったんです。そこでわかったのが、結婚相談所もマッチングアプリ化しているということです。

結婚相談所の昔からのイメージである「お節介おばちゃんが面倒みてくれる場所」というのは実態ではなくて、結婚相談所もほとんど自力で婚活を頑張る場所になってきています。

スペック的に条件の合う人を提案してくれますが、会員同士を深く知っているわけではないので、肝心の「相性の良さ」ではマッチングさせてくれないんです。

マッチングアプリで自力でパートナーを見つけられない人が結婚相談所に行っても、結局自分でパートナーを見つけないといけないので、うまくいかないケースが多いです。

婚活がうまくいかない人のためにヒトオシを立ち上げた

――ではマッチングアプリでも結婚相談所でも結婚が難しい人は、どうしたらいいと考えていますか?

そんな婚活がうまくいかない人のために、ヒトオシを立ち上げました。昔ながらの結婚相談所の「お節介焼きおばさん」をオンライン上でやるのがヒトオシのコンセプトです。

相性の良い相手を厳選して紹介する分、会員としては月に2人としかやり取りしなくていいので、婚活に疲れてしまうことも防げています。

――ヒトオシはどんなユーザーが多いのでしょうか。

28~32歳くらいの男女がメイン層で、男女比はほぼ一緒です。婚活サービスは女性が多く集まりがちなんですが、ヒトオシは珍しく男性がちゃんと集まっているサービスだと思います。

マッチングアプリだとバリバリモテるユーザーに押し負けてしまうような、優しく誠実な男性が多いです。年収もあるし清潔感もあるんだけど、自己PR力が高くなくて、アプリにいる華やかな人たちと比較されて、結果的に選ばれないという方が多いです。

ヒトオシではマッチングするまで相手の顔写真を見れないので、他の会員と比較されることがありません。そのため、自己PRが苦手な人であっても、うまくパートナーを見つけられています。

――逆に女性はどういったユーザーが多いのでしょうか?

女性は結婚願望は高いものの、自分なりにライフスタイルや価値観がある自立したタイプの人が多い印象です。結婚相談所で「花柄ワンピース着ましょう」など言われるのが嫌な人が入ってきますね。年収も高めで、共働き希望といった人が多いです。

ヒトオシでは「理想を言語化する」お手伝いをしている

――女性はマッチングアプリでも男性からよく声がかかると思うのですが、女性は何を求めてヒトオシにやってくるのでしょうか。

女性にとってマッチングアプリでモテる・モテないというのはあまり意味がなくて、自分で選べないから悩んでいるケースが多いんです。男性からたくさん声をかけられても、その中のうち誰一人として良いと思えなかったら、それは意味がないですよね。

「好きな人と付き合いたい」とは言うものの、どんな人が好きなのか自分でも分からなくなってしまっています。

――それは理想が高いからですか?

「何がいいかわからない」が正確だと思います。マッチングアプリで男性のプロフィールを見ても、良いか悪いか判断できなくて、実際に1,2人会ってみても「なにか合わない」と感じてしまう。

そのうちマッチングアプリ自体が面倒になって、メッセージも義務感になり「どうせ会ってもまたピンとこないんだろう」と思ってアプリを辞めてしまうケースはよく見ます。

――そういった人をヒトオシではどうサポートしていますか?

まず面談して1時間ほど話を聞くようにしています。プランナーと「理想の人生ってどんなものですか」とか、「理想の方はどんな人ですか」など聞いて、それを共にできるパートナーってどんな人かと、言語化のお手伝いをさせていただくんです。

例えば「年収がすごく高い人がいい」といったな条件を言われたときに、プランナーは基本的にはそれを受け入れるんですけど、「でもこういった考え方もありますよね。こういう人はどう思いますか?」など条件の調整をしていきます。

条件だけを聞くと、年収や学歴の話などスペックの話が出てきやすいですが、なぜその条件なのか?を深堀って聞いてみると、「学歴の高さではなく、地頭がいい人が好きだった」など本当の理想が見えてきます。

まず面談を行って、毎月2人ずつ30分のオンラインデートしていただくんですが、その時も振り返りアンケートをして「こういう人がいいと思っていたけど、やっぱりこれは違いました」など、さらに相性のいい相手のイメージが明確になってきます。

LINEでプランナーとやり取りをしていく中で、だんだんプランナーの解像度が高くなるし、会員自身も解像度が高くなって、結果的に相性が良い人と巡り合えるといった感じです。

――確かに「どんな理想の人生を送りたいか」から聞いていけば、必ずしも年収が重要ではなかったというのは全然ありますよね。

そうですね。条件を深堀りしていくことで、本当に相性の良い人が見えてくると思います。

また、男性ですごく垢抜けてうまくいくパターンもあります。見た目がちょっと絶望的な感じだったとしても、眉毛を整えて髪型をセットして服を変えたらめっちゃ変わるので、それでうまくパートナーが見つかる方もいますね。

男性会員はお付き合い経験がゼロの人も2割ほどいるので、その人たちはプランナーのアドバイスによって見違えるように変わっていきます。

マッチングアプリ、結婚相談所、ヒトオシ、それぞれを使うべき人とは?

――こういう人はマッチングアプリを使ったほうがよく、こういった人は結婚相談所を使うべきというイメージはありますか?

マッチングアプリは、見た目を重視していて、自分自身もスペックが高めな人には良いと思います。つまり、自力でPDCAを回してパートナーを見つけられる人ですね。ユーザー数は多いので、誰かしら良い相手と出会えると思います。

結婚相談所は、仮交際の期間やプロポーズまで本当に全部ルールが決まっているので、ルールの上で何も考えずに進めたい人向きですかね。ルールがあった方が安心な人は相談所に行った方がいいかなと思います。

結婚相談所なら「相手が実はヤリモクや既婚者だった」というリスクもないし、とりあえずルールに従っていれば、3ヶ月後にはプロポーズするかしないかが見えてくるので、安心できる人もいると思います。

――ではヒトオシを使うべき人はどんな人でしょう?

ヒトオシは、マッチングアプリでうまくいかなかった人はみんな来てほしいです(笑)。自分自身を見つめる客観視のお手伝いもするし、本当に相性がいい人も一緒に見つけるし、月に2人はマッチングも保証するので。

マッチングアプリでうまくいかない様々なパターンを、ヒトオシならフォローできると考えています。

恋愛は本来楽しいもの。しんどい思いはしてほしくない

――今後ユーザーに対してどんなサービス提供をしていきたいか、ビジョンを最後に教えてください。

もともと恋愛って楽しいものなのに、辛い気持ちになったり疲れてしまうというのが、自分の中で嫌だなと考えていて、婚活も楽しくやってほしい!と思っています。

やっぱり心に余裕がないと、人のことは好きになれないし、自分自身も変わっていこうと思えないですよね。あくまで心は常に前向きで楽しいと思いながら活動して、結果的に良い相手を見つけられるようにしたいなと思っています。

結婚相談所だとどうしても、お尻を叩かれてしんどい思いをしながら、それでも踏ん張って頑張るような体験をしがちかなと思います。

ヒトオシではみんなが自分の人生を主体的に生きて、前向きに楽しく婚活してくれて、その結果として素敵なパートナーが見つかるという体験を目指しています。「楽しい婚活」が当たり前の世の中にしていきたいですね。

『ヒトオシ』公式サイト