GoogleのAI『Gemini』に搭載されている「Deep Research」 は、質問を入力するだけで関連情報を収集・分析し、エビデンスのあるレポートを自動生成してくれる機能です。従来はPCブラウザ版でのみ提供されていましたが、ついにアプリ版でも利用可能になりました。
アプリに対応することで、移動中や外出先でも、思いついたタイミングでスマートフォンから素早く調査を進められるため、日常のスキマ時間を活用した情報収集がより手軽に行えるようになります。
この記事では、アプリ版「Deep Research」の使い方や、筆者が実際に使ってみた感想をご紹介します。
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信頼できるレポートが数分で完成! アプリ版 『Gemini』の「Deep Research」は月額2,900円でも使う価値あり
『Gemini』の「Deep Research」とは
『Gemini』の「Deep Research」は、AIがWeb上の情報を調査し、包括的でわかりやすいレポートを生成する機能です。ユーザーが質問を入力すると、AIが自動でリサーチ計画を作成し、それに沿って構造化されたレポートを生成します。処理には数分かかる場合がありますが、アプリを閉じても調査が継続するため、結果を待つ間にほかの作業を進められます。
作成されたレポートには、AIが参照した情報源のリンクが明示されており、根拠のあるデータを出力したいときに便利です。
アプリ版『Gemini』の「Deep Research」の使い方
2025年2月20日現在、「Deep Research」を利用するにはGoogle One AIプレミアムプランに加入する必要があります。なお、「Gemini Advanced」が利用できる環境であっても、Google Workspace BusinessエディションおよびEnterpriseエディションでは利用できません。
プランを変更する場合は、『Gemini』アプリを起動し、画面中央上に表示されるモデル名をタップしてGemini Advancedの「アップグレード」から手続きしましょう。

ここからは、『Gemini』アプリの画面を確認しながら、「Deep Research」の使い方を解説します。
STEP1
モデル名をタップして「1.5 Pro with Deep Research」を選択
アプリのトップ画面でモデル名をタップし、利用可能なモードの中から「1.5 Pro with Deep Research」を選択します。
STEP2
入力欄にレポートのテーマを記入
調査したい内容を入力します。詳細に記載するほど、より的確なリサーチ結果が得られます。今回、筆者は「有酸素運動におけるエネルギー消費」というテーマでレポート作成を依頼しました。
STEP3
リサーチ計画を確認
『Gemini』がリサーチ計画を自動で作成します。この計画をもとに、レポートの章立てが決まるため、内容を慎重に確認しましょう。「計画を編集」をタップすれば、リサーチ計画の変更が可能です。問題がなければ「リサーチを開始」をタップします。
STEP4
『Gemini』アプリがリサーチを開始
リサーチの完了には数分かかります。アプリを閉じても処理は継続されますが、『Gemini』アプリにはリサーチ完了の通知機能がないため、適当なタイミングでアプリを開いて確認しましょう。筆者の場合は約5分待って開いたところ、リサーチが完了していました。
STEP5
リサーチ完了後、「開く」をタップして内容を確認
リサーチが完了すると、画面に「開く」ボタンが表示されます。これをタップすると、生成されたレポートの詳細を確認できます。本文内の「∨」マークをタップすると、AIが参照した情報源が表示され、レポートの末尾には参考文献リストが自動生成されます。
STEP6
(任意)Googleドキュメントに保存
作成したレポートを保存する場合は、画面右上の「︙」をタップし、「Googleドキュメントにエクスポート」を選択します。このオプションが表示されない場合は、Google Workspaceの拡張機能をONにしましょう。設定方法は以下の通りです。

「Deep Research」の実力を検証 使いこなすにはトピック選びが重要!
実際に「Deep Research」を試してみると、学術論文や科学的なデータが充実している分野では、エビデンスに基づいた高品質なレポートを作成できることがわかりました。
例えば、「有酸素運動におけるエネルギー消費」に関するリサーチを依頼したところ、最新の論文や公的機関のデータを参照し、構成もしっかりしたレポートが生成されました。以下は、実際に「Deep Research」で作成したGoogleドキュメントです。
『Gemini』出力:運動強度とエネルギー源の関連性
このレポートには、「この記述を裏付ける参考文献は見つかりませんでした」という注記が表示されている箇所があります。一見するとネガティブな印象を受けるかもしれませんが、裏を返せば「根拠がない情報を無理に生成しない」という姿勢が感じられ、信頼感がもてるポイントだと感じました。
一方で、「芸能人の◯◯さんの交友関係」「2025年に話題の最新ガジェット情報」など、エビデンスの不確かなトピックを依頼すると、結果の質が大きく下がります。情報源として示されたサイトの多くは有名な企業が運営しているものではあるものの、推測的な内容や曖昧な表現が目立つため、納得感が薄い仕上がりだと感じました。
また、Webサイトによっては、「情報の更新頻度」や「記事作成時のリサーチ方法」が異なるため、Deep Researchがどの程度の精度で情報を抽出しているのかは、これまでWebサイトを閲覧しているときと同様、ユーザー側でのチェックが必須だと感じました。
「Deep Research」は超便利! ただし、鵜呑みにしてはいけない
2025年2月、OpenAIのChatGPTも「Deep Research」機能をリリースし、大きな話題となりました。しかし、ChatGPTの「Deep Research」を利用するには、月額200ドル(日本円で3万円超)のChatGPT Proプランに加入する必要があります。一方で、GoogleのGeminiなら月額2,900円で利用でき、コスト面でのハードルが低い点が魅力です。
Web上の情報を収集し、レポートを作成する作業は、人が行うと数時間かかる大変なタスクです。それをわずか数分で済ませられるのは非常に画期的。テーマによっては、学術論文レベルの精度で情報をまとめてくれるため、研究やレポート作成の効率を大幅に向上させるツールとなるでしょう。
ただし、忘れてはいけないのは、「Deep Research」が参照する情報源はすべてネット上のWebサイトであるという点です。Webサイトの情報が100%正確とは限らず、誤情報が含まれている可能性も。そのため、出力されたレポートをそのまま鵜呑みにせず、重要な情報ほど自分で精査する意識を持つことが重要です。
それでも、短時間で質の高い情報を得られる「Deep Research」は、知識の整理や情報収集の強い味方になることは間違いありません。
(文・かがわまなみ)
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