好きな曲をギターやピアノで弾いてみたいけれど、楽譜が見つからない――そのようなときに有効な手段が、曲を聞いて音を拾い、自分で弾けるようにする耳コピです。

耳コピは、短いフレーズを繰り返し聞き、自分の楽器で音を鳴らして確かめながら進めるのが基本です。ただ、何度聞いても、どのコードを押さえればよいのか、ベースがどんな音を弾いているのかわからず、手が止まってしまうこともありますよね。

耳だけでは追えなかった音は、スマホアプリを使えばぐっと追いやすくなります。曲を読み込むだけでコードが表示されたり、パートごとの音を聞き取りやすくしたりできるので、止まっていた練習も先へ進められます。

この記事では、弾きたいものに合わせて、アプリを使った耳コピの進め方を2つ紹介します。

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耳コピの基本のやり方と、つまずきやすいポイント

耳コピは、メロディやベースなど1つのパートに絞ると進めやすくなります。進め方は次の4ステップです。

- 弾きたい部分を、ひと息で歌えるくらいの短いフレーズに区切る
- そのフレーズを繰り返し聞き、音の上がり下がりをつかむ
- 自分の楽器で音を鳴らし、同じ高さに聞こえる音を探す
- 見つけた音をつないで弾き、原曲と一緒に鳴らして確かめる

ただ、いくつもの音が重なっていると、追いたい音がほかの音に埋もれてしまうことがあります。また、伴奏の和音は複数の音が同時に鳴るため、この手順だけではどのコードなのかを判断しにくいものです。

伴奏を弾きたいのか、特定のパートを弾きたいのかによって、スマホで補う方法が変わります。

伴奏を弾きたい? 特定のパートを弾きたい?

紹介するアプリは2つです。どちらも万能ではなく、耳コピのどこを補ってくれるかが違います。

やりたいこと スマホでできること 紹介するアプリ
ギターやピアノで、歌の伴奏を弾きたい 曲を解析し、コード名と押さえ方を表示する Chord ai
ベースや歌など、特定のパートの音を追いたい 音をパートごとに分け、聞きたい音を目立たせる Moises

コードは、「C」や「Am」などの記号で表す和音のこと。コード進行がわかれば、伴奏を考える手がかりになります。ただし、コード名だけでは、原曲と同じ細かなフレーズやリズムまではわかりません。

一方、パート分離は、ボーカルやベースなどを聞き取りやすくする機能です。ここで紹介する使い方では、音を聞きながら、自分の楽器で同じ音を探す作業が残ります。

伴奏のコードがわからないときは、曲を解析して表示する『Chord ai』

ギターを持ったまま、最初のコードを探すだけで時間が過ぎてしまう。『Chord ai』を使えば、その時間を練習に回せます。

曲の音源を解析してコードを表示するアプリなので、YouTubeや手元の音声ファイルなどがあれば、そこからコードを調べられます。

Chord ai - AIで自動耳コピのアプリ

Nomad AI OU

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YouTubeや手元のファイルから曲を読み込む

YouTubeの動画や、スマホに保存した音声ファイルは、読み込んで解析できます。一方、SpotifyやApple Musicで聴いている曲は、そのまま読み込めるとは限りません。Apple Musicで配信されている曲はコピー保護がかかっているため、『Chord ai』では音声データを直接解析できないと公式に案内されています。

代わりに案内されているのが、スピーカーで流した曲をマイクで拾って解析する方法です。編集部がiPhone版で試したときも、ライブラリの曲を再生するとマイクでの解析になりました。ただ、公式もこの方法よりYouTubeなどをすすめています。

また、Android版の「URLリンク」にSpotifyの共有リンクを貼ってみたところ、「曲にアクセスできません」と表示され、解析できないということもありました。同じ曲がYouTubeにあるなら、そちらを利用するほうが確実です。

「音を探す」ところを、コード表示に任せる

基本のやり方で時間がかかりやすいのが、自分の楽器で音を探すところです。伴奏なら、その部分を『Chord ai』のコード表示に任せられます。

曲を読み込んだら、サビの出だしなど、よく知っている短い部分を再生して、表示されるコードを確認します。表示される押さえ方のとおりに弾き、原曲と一緒に鳴らして響きが合うかを確かめましょう。コードの切り替わりが速くて追いつかない部分は、再生速度を落として確かめることもできます。編集部が無料版で試したところ、Android版では元の速さの50%から120%まで、iPhone版では0.4倍から2倍まで変えられました。

曲を選ぶ画面と解析結果の画面は、iPhone版とAndroid版で見た目が異なります。

Chord aiのiPhone版。左が曲を選ぶ画面、右がコードを解析した結果の画面

▲左:iPhoneの『Chord ai』トップ画面/右:解析結果をギターコードで表示した例

Chord aiのAndroid版。左が曲を選ぶ画面、右がコードをピアノで表示した解析結果の画面

▲左:Androidの『Chord ai』トップ画面/右:解析結果の表示楽器をピアノにした例

解析結果は、デフォルトの場合ギターが選択され、iPhone版では小節ごとのマス目に、Android版では波形に沿って流れるようにコードが表示され、どちらもその下に押さえ方が出ます。

Chord aiのAndroid版で、コードの表示楽器をピアノやギターなどから選ぶ画面

コード表示では、ギターやピアノ以外に、ベースやウクレレなどでのコードの押さえ方も確認できます。コード名になじみがなくても、図を見ながら押さえる位置を確かめられます。

無料で使える範囲と、有料になる機能

『Chord ai』は、基本的なコード解析などを無料で利用できます。より高度な認識機能はProプランの対象です。

例えば「C/E」のように低音を指定するコードや、複雑な和音の認識には、有料機能が関わります。最初から課金するより、まず無料の範囲で曲を読み込み、コード表示を見ながら練習を始められそうか確認するとよいでしょう。

Chord ai - AIで自動耳コピのアプリ

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ベースや歌が聞き取れないときは、ほかの音を小さくする『Moises』

ベースの動きを追いたいのに、ほかの楽器やボーカルに埋もれて聞き取れない。『Moises』を使えば、聞きたいパートだけを目立たせて聞けます。

音源をAIでパートごとに分け、それぞれの音量を調整できるアプリなので、ボーカルやドラムなどを小さくすれば、ベースに耳を向けやすくなります。

Moises:ミュージシャンアプリ

Moises Systems, Inc

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手元の音声ファイルを読み込む

Moisesで「+追加」をタップし、曲を追加する方法を選ぶ画面(Android版)

▲「+追加」をタップし、手元の音声ファイルなどから曲を取り込む(Androidの例)

『Moises』は、YouTubeなどのサービスからの取り込みはできません。自分で録音した演奏や、利用許可のある音声ファイルなど、読み込める音源を先に用意しておきましょう。

Moisesにリンクを入れると、Spotify(左)もYouTube(右)もエラーが表示される画面

▲Spotify(左)やYouTube(右)の共有リンクを入れても、エラーとなる

『Chord ai』のようにYouTubeの動画から選ぶことはできないので、手元に音声ファイルがある曲で試しましょう。

聞きたいパートだけを繰り返し聞く

基本のやり方で、音が重なっていると苦労するのが、フレーズを繰り返し聞くところです。『Moises』でほかのパートの音量を下げれば、追いたい音だけを繰り返し聞けます。

曲を読み込んだら、「基本的な分離」から「ボーカル、ドラム、ベース、その他」を選びます。分離が終わったら、ベース以外の音量を下げて、知りたいフレーズを再生しましょう。

Moisesで「ボーカル、ドラム、ベース、その他」を選び、4トラックに分離される流れの画面

▲「ボーカル、ドラム、ベース、その他」を選ぶと、4トラックに分離される

音を探すときは、まず短いフレーズの最初の1音に注目。楽器で音を鳴らし、聞こえた音より高いか低いかを比べながら、近い高さの音を探します。最初の音が見つかったら、次の音がそれより上がるか、下がるか、同じかを聞き、少しずつつなげていくと取り組みやすいでしょう。

『Moises』には再生速度の変更機能もあります。音の動きが速くて追いにくい場合は、速度を落として聞けます。編集部が無料プランで試したところ、iPhone版・Android版とも、元の速さの4分の1から2倍まで変えられました。

音が見つかったら、ほかのパートの音量を戻し、曲の中で合っているかを確かめます。

分離された音は、元々別々に録音されたトラックそのものではなく、AIが元の音源から推定したものです。聞こえ方に違和感がある箇所は、分離前の音源と聞き比べると判断しやすくなります。

ベースやボーカルの分離は無料。月5ファイルまで試せる

『Moises』の無料プランでは、ボーカルと伴奏の2つ、またはボーカル・ドラム・ベース・その他の4つに音源を分けられます。この記事で紹介した、ベースやボーカルを目立たせて聞く方法は、無料で試せる範囲です。

アップロードできるのは月5ファイルまでで、1ファイルの長さは5分までです。アップロード後にファイルを削除しても、その月に使った回数は戻りません。

ギターやピアノは、無料プランでは「その他」に含まれます。それぞれを個別に取り出したい場合は、有料のPremiumまたはProプランが必要です。

Moises:ミュージシャンアプリ

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解析結果と原曲が合わないと感じたら

コードの解析結果は、いつも正しいとは限りません。表示どおりに弾いて違和感があるときは、次の順で確かめていきましょう。

音源のバージョンと、再生の設定を確認する

まず、同じ曲の別バージョンを解析していないかを確認します。練習したいのがCD版なのに、解析したのはキーの違うライブ版、という場合は、そのまま合わせられません。

アプリでピッチ(キー)の設定を変えていたり、楽器のチューニングが合っていなかったりしても、響きはずれます。コードの認識結果を疑う前に、再生する音と楽器の条件をそろえましょう。

わからない箇所を残して、練習できる部分から進める

同じ条件で弾いても合わない場合は、解析結果の誤りや、和音の細かな違いが考えられます。判断できない箇所は、無理に正解として覚えず、再生位置と表示されたコードをメモしておきましょう。

後から別の譜面や演奏解説と照らし合わせたり、楽器に詳しい人にその部分だけ聞いたりできます。耳で正誤を判断できないときまで、自分だけで答え合わせをする必要はありません。

まずは、弾きたい曲の1フレーズで試してみよう

伴奏のコードがわからないなら、『Chord ai』でコード表示を見ながら音を出す。ベースや歌がほかの音に埋もれているなら、『Moises』でパートを分けて聞く。自分が困っているほうから、1つ試せば十分です。

最初の目標は、サビの出だしや好きなベースフレーズなど、短い部分でかまいません。耳だけでは追いきれなかった曲も、スマホを使えば、弾けるところから形にしていけます。

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