「妊娠妊活、出産、乳幼児の子育てを支援するスマートデバイスやITサービスのカテゴリ」を指すBabyTech(ベビーテック)。その市場において優れたIT商品、ネットサービス、家電を表彰するコンテスト「BabyTech® Awards 2024」の授賞式が2024年11月21日、東京都立産業貿易センター 浜松町館にて開催された「保育博2024」内にて執り行われました。
スマートフォンアプリを使った商品としては、3点が最優秀賞の「大賞」を受賞。各アプリの表彰の模様と今後の展望などについてお届けします。
BabyTech(R) Awards 2024発表! 今年度は2部門で3アプリが大賞受賞
BabyTech(R) Awards とは
2016年、CES(アメリカで開催される電子機器やテクノロジーの見本市)でベビーテックジャンルが取り上げられたのを皮切りに、日本でも認知度向上を目指す動きが生まれてきました。その一環として、2019年には株式会社パパスマイルが国内で初めてアワードを実施。ベビーテック市場の認知度向上に加え、優れた商品・サービスの普及を目的とした、国内最大級の育児系ICT専門アワードとなっています。
2024年は応募総数65点の中から部門別の最優秀賞である「大賞」が11商品、優秀賞が20商品、特別賞が1商品選出されました。
以下では、大賞を受賞したスマートフォンアプリをピックアップしてご紹介します。
【子どもの遊びと学び部門】大賞「at Claps」(株式会社シーイーシー)
紙のおもちゃで子供との温かいふれあいを育むきっかけを作りたいとの思いから生まれたアプリ。アプリを使えば手軽に紙のおもちゃをコンビニや自宅で印刷でき、その数はなんと500点以上。40を超える企業・団体が賛同、無償でコンテンツを提供。
受賞者コメント
株式会社シーイーシー at Clapsプロジェクト担当 橋本 涼子氏
この『at Claps』は私どもの社会貢献事業として立ち上げたものです。掲載されている紙のおもちゃは、企業、公共団体、博物館、動物園、大学など本当に多くの方々が賛同のうえ提供してくださっており、このような賞をいただけたのは、ご協力企業団体様のおかげだと心から感謝しております。
これからも、子育てに関わるすべての人と子供が温かな時間を過ごすきっかけづくりを目指し、より使いやすいアプリになるよう精進してまいります。
『at Claps』2025年の展望
受賞時点で500を超えるコンテンツがあった『at Claps』。利用者としては、追加がどうなるのかも気になるところです。そこで、今後の追加予定やアップデートなどについて伺ってみました。
【健康・毎日のお世話部門】大賞「オンラインこども診療」(MRT株式会社)
早朝や夜間帯など、小児科クリニックが開いていない時間帯に「子育て経験のある小児科専門医」が365日待機し、受診・相談できるサービス。オンライン診療アプリ『Door.(ドア)』を使用して、医師とつながることができる。
受賞者コメント
MRT株式会社 代表取締役 小川 智也氏
子育て中のお父様お母様が日々いろいろな悩みや不安を抱えて生活されていると思います。そのようなお悩みを解決するサービスとして立ち上げたのがこの「オンラインこども診療」です。
本サービスを使ってぜひとも楽しく、そして明るい子育てに専念していただければと思います。
『オンラインこども診療』2025年の展望
これまで約1万件の診療や相談のサポートを実施し、オンラインの大きな可能性とともに、その限界値も実感してきたと話す同社。それを踏まえてこだわってきたポイントや、今後のコンテンツ拡充についても語っていただきました。
医師は診断や治療の際、対面では五感とさまざまな検査などを活用する一方、オンラインでは視覚・聴覚と医師の経験値が頼りとなるため、小児科専門医の参画、医師監修の問診票、対面診療との連携といった医療サービスの品質にこだわってきました。
加えて、お子様の夜間帯の変調や日頃の生活、アレルギー、発育などに悩む保護者の皆様が安心して相談・受診できるよう、チャットやビデオ通話といったアプリの利便性向上や、子育て経験のある医師の参画、オペレーターの対応面など利用者に寄り添う環境作りにも力を入れています。
現在は、参画する医師の協力を得て医療コラムなどのコンテンツを制作中です。保護者の皆様にとって価値のある情報や機能をより一層充実させてまいります。
【紹介しているのはこのアプリ】
『オンラインこども診療』はこちらのアプリを通じて利用可能です。
場所を選ばず気軽に利用できるオンライン診療アプリ『Door.(ドア)』
【健康・毎日のお世話部門】大賞「みてねコールドクター」(株式会社コールドクター)
24時間365日、いつでも自宅で医師の診察が受けられるオンライン診療アプリ。子供だけでなく大人も対象となっているため、家族の病気や通院の悩みもサポートしてくれる。エリアによっては薬の配送も可能。
受賞者コメント
株式会社コールドクター 代表取締役 社長 合田 武広氏
弊社は(写真共有アプリの)『みてね』のブランドで子育てをするお父さまお母さま方の医療面を支えるサービスを展開しております。24時間365日対応し、「夜間や休日など病院が閉まっているけれど診察を受けたい」「お薬が欲しいけれど病院に行く時間がない」など、お困りの際に使っていただけるサービスにもなっております。
これからも子育てをするお父様お母様方のお役に立てるよう、日々努力を重ねてまいりたいと思います。
『みてねコールドクター』2025年の展望
「24時間365日いつでも」という対応に心強さを感じる本アプリ。子供だけでなく、ママやパパ、おじいちゃんおばあちゃんなど、家族みんなをお守りするサービスでありたいとの思いや、これからの展開について教えていただきました。
体調が悪いときの患者さんやママ・パパの皆さんの負担を少しでも軽くするため、アプリ上の問診を直感的かつ迅速に入力できるようにするなど、日々アップデートを続けています。
また、いつでも医師と繋がることができる安心感を提供し、お子さまの体調不良時だけでなく、ママやパパなど大人が抱えるさまざまなお悩みにも応えていけるよう、診察の対応範囲を広げていきたいとも考えております。
24時間365日、診察も薬の受取り(※)も自宅で完結できます。移動や待ち時間なく、いつでも医師とつながれる安心感を是非ご体験ください。
【紹介しているのはこのアプリ】
往診予約や薬の手配もできるオンライン診療アプリ『みてねコールドクター』の詳細はこちらから!
その他の受賞商品
授乳と食事部門
大賞:milkmagic(株式会社BetterDays)
子どもの学びと遊び部門
大賞:「at Claps」(株式会社シーイーシー)
優秀賞:ePICO たいけん100エディション(株式会社セガフェイブ)
優秀賞:動く絵本プロジェクター ドリームスイッチ シリーズ(株式会社セガフェイブ)
優秀賞:ポップウォール(株式会社TREE Digital Studio)
安全対策と見守り部門
大賞:乳児用体動センサ ベビーアラーム E-202(シースター株式会社)
優秀賞:CuboAi 赤ちゃんねんね見守りセット(雲云テクノロジー株式会社)
健康・毎日のお世話部門
大賞:オンラインこども診療(MRT株式会社)
大賞:「みてねコールドクター」(株式会社コールドクター)
優秀賞:子育てアプリ「こぺ」(江崎グリコ株式会社)
優秀賞:頭蓋形状矯正ヘルメット 「ベビーバンド」(株式会社Berry)
記念・記録・思い出部門
大賞:おもいでばこ(株式会社バッファロー)
優秀賞:家族カメラ せーの!(イーノ株式会社)
優秀賞:コトル(スタンスドット合同会社)
保護者支援サービス部門
保護者支援サービス 一般
大賞:Share Buggy (シェアバギー)(Babydoor株式会社)
優秀賞:ベビーのいる生活 ~迷える子育て応援Podcast~ (株式会社TBSラジオ)
優秀賞:famitasu community(ファミタス コミュニティ) (株式会社ママクオリア)
保護者支援サービス キャリア支援
大賞:マミット(スタンスドット合同会社)
優秀賞:ママ向け在宅ワーク支援スクールskimama(スキママ) (株式会社グロースバリュ)
保育ICT部門
保育ICT 一般
大賞:集金業務支援サービスenpay(エンペイ)(株式会社エンペイ)
優秀賞:園支援システム+バスキャッチ(VISH株式会社)
優秀賞:保育・教育・療育施設向け 職員育成ICTシステム KatagrMa (株式会社カタグルマ)
優秀賞:ChildCareWeb (ChildCareWeb 株式会社)
保育ICT 保育中の事故防止
大賞:AI午睡見守りサービスhana-an(R)(リケナリシス株式会社)
優秀賞:園児置き去り防止ソリューション「こっちこっち」 (株式会社フォーカスシステムズ)
優秀賞:子どもの送迎課題を解決するサービス『送迎バスクラウド by NAVITIME』 (株式会社ナビタイムジャパン)
優秀賞:Brain beacon (株式会社MJ)
育児・家事向け家電部門
大賞:CERAPHIC(セラフィック)デスクライト(京セラ株式会社)
優秀賞:airluv.4(エアラブ4)(コマースメディア株式会社)
優秀賞:子育てにちょうどいいミシン/子育てにちょうどいいミシン+plus(株式会社アックスヤマザキ)
優秀賞:ピジョン電動つめやすり(ピジョン株式会社)
アカチャンホンポ賞
自動開閉ウエットティッシュケース「Smartru」(合同会社ROUNDS)
ベビーテック業界でアプリは増えている? 応募傾向や今後の予測について主催者に聞いてみた
BabyTech(R) Awardsの対象となる商品はアプリだけにとどまらず、育児中の家事やライフスタイルを助ける電化製品なども対象です。
6回目を迎えた本年の傾向などを、アワード実行委員長・審査委員長である株式会社パパスマイル 代表取締役の永田哲也さんに伺いました。
――3つのアプリが大賞を受賞しましたが、今年の傾向はいかがでしたか?
今年はどちらかというとフィジカルなものが多かったですね。その時の流行もありますし、オープンベータ版での応募も可能なので、アプリが多い年もあるんですが。
――商品化されていなくても応募できるんですね。
そうなんです。だから、ノーコードで試作してみたとか、テストサイトで公開してみた結果、利用者に喜んでもらえたから正式なアプリにした、みたいなケースもあるんです。
――アプリの応募は増加傾向にあるのでしょうか。
最初はもっと、スマホがずらっと並ぶようなコンテストだったんですよ。年々増えてるかどうかについては、そもそも応募母数が増えているので、その意味ではスマートフォンアプリも増えていると思いますよ。
――技術は変わらず進歩し続ける一方、少子化という問題も控えています。それに伴い、フィジカル製品の開発が頭打ちになる危惧や、代わりにアプリ開発が増えるなどの予測はありますか?
目的を達成するための手段として、単機能でわかりやすく使いやすいフィジカル製品を選択することも、さまざまなセンサーや通信機能があらかじめ搭載されているスマートフォン向けにアプリを開発することも、どちらもあるでしょう。また、アプリには、スマートフォンやPCで使用するという「器の制約」があると見ることもあります。とはいえ、ハードの入手性やアプリストアなどでの展開のしやすさ、データの扱いやすさから、スマートフォンアプリでの展開は今後も多く選択されていくと思います。
――今のベビーテック業界で注目されている分野や技術などがありましたらお聞かせください。
知育・教育はこれまでも、これからも注目され続ける分野です。また、外出時の迷子防止のようなユースケースがわかりやすいものをはじめ、食物アレルギー対策、発達障がいをお持ちのお子さんへのケアなど今まで手が届きにくかったところをカバーできるものも注目されています。包摂(インクルーシブ)の文脈で、子供たちとその保護者・保育者の皆さんが少しでも気持ちに余裕が持てるようなものがこれからも出てくるでしょう。
――実際の利用者である妊産婦の方や育児家庭に向けて、ひと言お願いいたします。
出産、育児はワクワクや楽しみ、喜びがありながら、日常には多数のタスクが増え、責任感や不安感も伴うものです。例えば「赤ちゃんの様子を見守り記録する」「育児の様子を家族と共有する」「離乳食の献立を考える」「自分の食事を作る」といった日々の中で、「これはアプリでやると簡単そう!」「家族と使えそう!」とご自身が感じるものから少しずつ取り入れ、小さなストレスを解消していくことで、大きな重荷を家族で分け合いながら育児を楽しんでいただけたらと思います。
写真・かがわまなみ/文・辻美紀子
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現在、掲載しているコンテンツ数は約650となりました。月によってコンテンツの増加数に幅がありますが、今後、より安定してコンテンツ数を追加できるよう、アプリの改修も検討中です。
また、ご協力企業/団体数は100を目標に、今後も増やしていく予定です。企業や団体の皆様とのつながりをさらに深め、多様なコンテンツを提供していきたいと考えています。
『at Claps』は、全国約5万店舗のコンビニや自宅プリンターでコンテンツを印刷できます。おうち時間はもちろん、外出先で急におもちゃが必要になった際にも、ぜひご利用ください!