フリマアプリを利用して商品を出品する際、多くの人が気になるのは「どのアプリが一番売れやすいのか」という点ではないでしょうか。『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』といった主要アプリには、それぞれ特徴や強みがあり、売れやすさも異なることが考えられます。
そこで今回、同じ商品をこれら4つのアプリで出品し、どのアプリが最も早く売れるのかを徹底検証しました。一番売れやすかったのは一体どのアプリなのか、その結果を踏まえてアプリごとの特徴もご紹介します。自分に合ったフリマアプリ選びの参考にぜひお役立てください。
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フリマアプリ『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』を比較 実際に出品して売れやすさを調査してみた
アプリブ編集部 フリマアプリ担当
フリマアプリ歴10年。主にアニメ・ゲーム関連グッズや日用品を出品している。
これまでに取引したことのあるフリマアプリは『オタマート』『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』『ジモティー』『キャロット』『モバオク』『minne』など。各アプリの特性を活かした使い分けをして、年30万円程度の販売利益を出している。
【徹底検証】実際にフリマアプリで商品を売ってみたら何が最初に売れるのか
フリマアプリといえば利用者数の多さから『メルカリ』が注目されがちですが、『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』も根強い人気をもつフリマアプリです。それぞれ異なる特徴があるので、出品するものによって売れやすさも異なります。
そこで今回は、これら4つの有名フリマアプリで同じ商品を出品して、どのアプリで最も早く商品が売れるのかを検証しました。
実際に出品した商品を紹介
今回の検証に使ったのは、各フリマアプリで注目されている以下3つの商品です。
※今回の検証では、各フリマアプリのルールに従い出品しています
※商品写真はイメージです
ジェルネイルセット
仕入れ価格:330円
大手100円均一ショップと有名ファッションイベントがコラボしたジェルネイル。人気カラーは販売直後に売り切れが続出するほどの人気商品で、筆者はこれを仕入れるために都内の店舗をいくつもハシゴしました。
商品ページでは、ベースコートとトップコートをセットにして「届いたその日に使える便利さ」を強調。美容に興味をもつ女性ユーザーをターゲットにしました。
電卓+電子メモパッド
仕入れ価格:550円
電卓と電子メモが一体化した折り畳み式ガジェットです。ワンタッチでメモを削除できるシンプルな操作性が特徴で、現在各フリマアプリで注目を集めています。
コンパクトなデザインと多用途性を活かし、ガジェット好きの社会人や学生をターゲットにしました。
地域限定の洋風菓子
仕入れ価格:368円
ある地方の限られた店舗で数量限定販売されている洋風菓子です。SNSやインフルエンサーの間で話題となり、各フリマアプリでは仕入れ値の10〜20倍で取引されるほど。その希少価値の高さから、高めの価格設定でも売り切れが相次いでいます。
商品ページでは、おしゃれなパッケージデザインを強調した写真を掲載。トレンドに敏感なユーザーをターゲットにしました。
【結果発表】もっとも早く売れたのは『Yahoo!フリマ』
各商品が売れたフリマアプリと売れた時期は以下の通り。すべての商品が『Yahoo!フリマ』で購入されており、売れやすさにおいてほかのアプリを一歩リードする結果となりました。
商品名 | 1位 | 2位 |
---|---|---|
ジェルネイルセット | Yahoo!フリマ 購入日:出品1ヵ月後 |
楽天ラクマ 購入日:出品2ヵ月後 |
電卓+電子メモパッド | 楽天ラクマ 購入日:出品3日後 |
Yahoo!フリマ 購入日:出品2ヵ月後 |
地域限定の洋風菓子 | Yahoo!フリマ 購入日:出品当日 |
メルカリ 購入日:出品当日 |
【Point①:利用者数】利用者数が多い『メルカリ』と、同時出品ができる『Yahoo!フリマ』に注目
フリマアプリ選びで重要なポイントの1つは、利用者数の多さです。利用者数が多いほど、商品が多くの購入者の目に留まりやすく、売れるチャンスも増えます。以下は、主要フリマアプリの月間利用者数を比較した結果です。
アプリ名 | 月間利用者数(目安) |
---|---|
メルカリ | 約2,200万人 |
ヤフオク! | 1,500万~1,700万人 |
Yahoo!フリマ | 約800万人 |
楽天ラクマ | 約500万人 |
最も多いのは『メルカリ』で、約2,200万人という圧倒的な利用者数を誇ります。ただし、近年は返品詐欺が相次いでおり、その影響でほかのフリマアプリに移動するユーザーも増えているようです。
一方、『Yahoo!フリマ』は約800万人と利用者数では『メルカリ』に及ばないものの、『Yahoo!オークション』と同時出品ができるため、商品が多くの目に留まりやすいという特徴があります。また、後述するトラブル時のサポート体制も評価されており、今後さらなる利用者数の拡大が期待されています。
【Point②:商品の価格】手数料・送料が低く、価格交渉に有利なのは『Yahoo!フリマ』
日用品のように、購入者ができるだけ安く商品を購入したいと考えるジャンルでは、『Yahoo!フリマ』がおすすめです。フリマアプリで商品を販売する際、手数料や送料は価格設定に大きな影響を与えるため、販売時のコストが低ければ出品者は価格を下げやすくなり、購入者に魅力的な価格で商品を出品できます。
手数料の比較
主要フリマアプリの販売手数料は以下の通りです。
アプリ名 | 販売手数料 |
---|---|
メルカリ | 10% |
ヤフオク! | 10% (中古車など一部商品を除く) |
Yahoo!フリマ | 5% |
楽天ラクマ | 10%~4.5%の6段階 (販売実績により変動) |
『楽天ラクマ』は販売実績に応じて手数料が段階的に下がる仕組みを採用していますが、販売回数10回以上、かつ合計販売金額100,000円以上が条件となるため、初心者には少々ハードルが高いと言えます。一方、『Yahoo!フリマ』なら初めから5%の低い手数料で販売できるため、初心者にも最適です。
送料の比較
代表的な配送方法であるネコポスを例に送料を比較した結果がこちら。
アプリ名 | 送料(ネコポスの場合) |
---|---|
メルカリ | 210円 |
Yahoo!フリマ | 200円 |
楽天ラクマ | 200円 |
ヤフオク! | 出品者負担:170円 落札者負担:210円 |
出品者負担の場合、『Yahoo!オークション』が最も送料の安いフリマアプリです。ただし、『Yahoo!フリマ』や『楽天ラクマ』も『メルカリ』と比べて10円安く設定されています。一見すると小さな差ですが、例えば100件取引したら1,000円の利益差が生まれることを考えると、この差は無視できません。
出品価格の参考例
手数料や送料の比較だけでは判断が難しいかもしれません。そこで、仮に仕入れ値が500円の商品を900円で販売した場合の販売利益を比較してみましょう(送料は出品者負担とする)。
アプリ名 | 販売利益 | 内訳 |
---|---|---|
メルカリ | 600円 | 手数料:90円(10%) 送料 :210円 |
Yahoo!フリマ | 655円 | 手数料:45円(5%) 送料 :200円 |
楽天ラクマ | 610円 | 手数料:90円(10%) 送料 :200円 |
ヤフオク! | 640円 | 手数料:90円(10%) 送料 :170円 |
上記の比較からもわかるように、『Yahoo!フリマ』は手数料と送料の両面でコストが抑えられるため、ほかのフリマアプリよりも高い販売利益が得られます。販売利益が多ければ、その分、出品価格を下げても十分な利益を確保しやすくなるため、値下げ交渉に応じる際もほかのフリマアプリより余裕をもって対応できるでしょう。
【Point③:安全性】カスタマーサポート・トラブル時の補償はYahoo! JAPANサービスが強い
フリマアプリを安全に利用するためには、以下の3つのポイントが重要です。
- 匿名配送に対応しているか
- カスタマーサポートが充実しているか
- トラブル時の補償があるか
これらを総合的に見ると、Yahoo! JAPANが提供する『Yahoo!フリマ』と『Yahoo!オークション』が特におすすめです。
匿名配送は全フリマアプリで利用可能。ただし、手渡しや普通郵便による配送には注意が必要
匿名配送は『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』の全アプリで利用可能です。そのため、この点において大きな差はありません。
ただし、『メルカリ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』では、手渡し取引が禁止されていないため、万が一応じてしまうと居住エリアや顔が相手に知られるリスクがあります。また、普通郵便による配送も利用できるため、相手に住所や氏名を知られる可能性があり、そこからトラブルに発展する可能性もゼロではありません。
その点、『Yahoo!フリマ』では手渡し取引が禁止されており、かつすべての取引で匿名配送が必須となっています。トラブルが心配な方は『Yahoo!フリマ』を使うとよいでしょう。
カスタマーサポートも全フリマアプリで完備。ただし、対応には差がある
『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』のすべてでカスタマーサポートが利用可能ですが、トラブル時の対応にはアプリごとに違いがあります。
たとえば、2024年に『メルカリ』で発生した返品詐欺問題では、購入者が「偽物だ」と苦情を申し立てたうえで、返品に応じた出品者に対して全く別の商品を送り返す手口が使われました。この際、カスタマーサポートの対応が出品者に不利益を与えたとして、SNSで炎上する事態となりました。
それと比べて、『Yahoo!オークション』は長年の運営実績に基づく丁寧で適切な対応が特徴です。トラブル時の補償が完備されており、被害を受けた利用者に返金対応が行われた事例がいくつもあります。『Yahoo!フリマ』も同じ運営会社のサービスであり、同様の安心感が期待できるでしょう。
また、『楽天ラクマ』は24時間365日対応しており、緊急時の問い合わせが可能です。これに対し、『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『Yahoo!オークション』では、大型連休や年末年始に問い合わせを停止することがあります。土日祝日でも取引を行うのであれば重要視したいポイントと言えるでしょう。
トラブル時に補償があるのは『Yahoo!フリマ』『Yahoo!オークション』の2つ
フリマアプリでは、配送事故や購入者からのクレームなどのトラブルが発生することがあるため、これらに対応する仕組みがあると安心です。『Yahoo!フリマ』と『Yahoo!オークション』には、以下の補償制度が整備されています。
- おてがる配送お見舞い制度:配送中の事故や紛失時、購入者に返金が行われる制度
- 商品満足サポート:購入者が商品に満足できなかった場合に返金が行われる制度
補償の適用は運営の調査を経て判断されるため、返金が保証されているわけではありませんが、こうしたサービスがあれば購入者とのトラブルを最小限に抑え、安心して取引を進めることができます。出品者にとって、こうした補償は非常に心強い存在と言えるでしょう。
【Point④:出品方法】商品を効率的に出品するなら『メルカリ』『Yahoo!フリマ』がおすすめ
商品を効率的に出品できれば、その分売れるチャンスも広がります。多くの商品をスムーズに出品するなら『メルカリ』『Yahoo!フリマ』がおすすめです。
『メルカリ』『Yahoo!フリマ』は写真を撮影するだけで出品できる
『メルカリ』では、2024年3月に「かんたん出品」機能が導入され、商品写真の撮影とタイトルなどの基本的な情報を入力するだけで出品できるようになりました。また『Yahoo!フリマ』には「AIからの提案」機能があり、商品名やカテゴリに設定した情報から売れやすい文章を自動で生成してくれます。
ほかのフリマアプリは写真+タイトルや説明文が必要
『楽天ラクマ』と『Yahoo!オークション』では、商品説明の入力が必要です。簡潔な説明でも出品はできますが、複数の商品を一度に出品する場合、商品ごとに文章を作成する手間と時間がかかります。効率的に出品数を増やせないため、利益を手軽に上げたい方には不利と言えるでしょう。
より高い利益を出すなら、公式ショップの運用も検討すべし
公式ショップの利点 | 公式ショップの欠点 |
---|---|
●商品の露出向上 ●信頼性の向上 |
●費用がかかる ●運用の手間 |
フリマアプリでの販売を本格的に拡大したい場合、公式ショップの運用を検討することも選択肢のひとつです。公式ショップを活用することで商品の露出を増やせるだけでなく、フリマアプリに認定された事業者として、購入者からの信頼を得やすくなります。
ただし、公式ショップの出店には初期費用や月額費用がかかる場合があり、在庫管理や発送管理、利益率の管理なども個人出品より厳密に行う必要があります。こうした管理を十分に行うことができ、かつ利益につながる見込みがあれば収益向上につなげられるでしょう。
『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』の機能や特徴を比較
改めて、各フリマアプリの機能を比較しましょう。
メルカリ | Yahoo!フリマ | 楽天ラクマ | Yahoo!オークション | |
---|---|---|---|---|
販売手数料 | 10% | 5% | 10%~4.5%の6段階 (販売実績により変動) |
10% (中古車など一部商品を除く) |
利用できるQRコード決済 | メルペイ | PayPay | 楽天Pay | PayPay |
配送料(ネコポス) | 210円 | 200円 | 200円 | 170円 |
匿名配送 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
カスタマーサポート | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
発送後の補償 | - | おてがる配送お見舞い制度 商品満足サポート |
- | おてがる配送お見舞い制度 商品満足サポート |
支払い方法 | クレジットカード・コンビニ払い・ATM・キャリア決済・メルペイ残高・メルペイのあと払い・Apple Pay・FamiPay | PayPay残高・PayPayクレジット・クレジットカード | クレジットカード・コンビニ払い・ATM・キャリア決済・d払い・LINE Pay・FamiPay・Paidy・楽天ポイント | クレジットカード・コンビニ払い・ATM・銀行振込・PayPay残高・PayPayクレジット |
月間利用者数 | 約2,200万人 | 約800万人 | 約500万人 | 1,500万~1,700万人 |
『メルカリ』はこんな人におすすめ
- 日用品やファッションアイテムを手軽に売買したい人
- 複数の商品を出品するため、効率的に出品できるアプリを探している人
- メルペイを利用したい人
- 利用者数の多さを活かして商品を幅広いユーザーに見てもらいたい人
『メルカリ』は、出品のしやすさと利用者の多さから、初心者や頻繁に取引をする人に最適です。
『Yahoo!フリマ』はこんな人におすすめ
- ガジェットやトレカ、食品など幅広いジャンルの商品を売りたい人
- 手数料を抑えて利益を最大化したい人
- Yahoo!アカウントやPayPayを日常的に利用している人
- 『Yahoo!オークション』と連携してより多くの購入者にアプローチしたい人
『Yahoo!フリマ』は、低い手数料や幅広いジャンルの取引を行いたい人におすすめです。
『楽天ラクマ』はこんな人におすすめ
- 化粧品やファッションアイテムなど、女性向けの商品を中心に売りたい人
- 匿名配送を低コストで利用したい人
- 楽天キャッシュや楽天ポイントなど、楽天サービスをよく利用している人
『楽天ラクマ』は、楽天サービスをよく利用する人にぴったりです。
『Yahoo!オークション』はこんな人におすすめ
- レアアイテムやコレクターズグッズを高値で売りたい人
- オークション形式で利益を追求したい人
- 取引に時間をかけても良いので、納得の価格で売買したい人
- PayPayを利用して決済を行いたい人
『Yahoo!オークション』は、マニアやコレクターと呼ばれる特定の購入層を狙った商品や、オークションでの取引を重視する人に適しています。
『Yahoo!フリマ』が売れやすさでトップ。ただし、商品や目的に応じた選択を
今回の検証から、売れやすさの面で最も優れていたのは『Yahoo!フリマ』でした。低い手数料や配送料、『Yahoo!オークション』への同時出品による高い商品露出度が、購入に結びつきやすい要因だと考えられます。筆者はこの検証を始める前、『メルカリ』が圧倒的な強さを誇るのではないかと思っていただけに、意外な結果となり驚きました。
ただし、『メルカリ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』でも、商品によって購入されやすさは異なります。1つのフリマアプリで出品しても買い手がつかない場合は、ほかのフリマアプリに出品してみるなど、商品に応じた調査や試行が重要です。
自分の販売スタイルや目的に合った方法を見つけ、効率的で効果的な取引を目指しましょう。
(文・かがわまなみ)
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