フリマアプリ『Yahoo!フリマ』では、商品画像をもとに生成AIが出品時の商品情報の作成をサポートする「らくらくAI出品」の提供を3月24日から開始しました。

ここで、フリマアプリに詳しい皆さんならお気づきかもしれません。そう、『メルカリ』にも同じような機能をもつ「AI出品サポート」があることを。

筆者も長年フリマアプリを利用し続け、気がついたら総取引数700回が目前に迫るほどのヘビーユーザーですが、これまでの経験から言うと、『メルカリ』のAI出品は正直ちょっと物足りないんですよね。だからこそ、『Yahoo!フリマ』にもそんなに期待していないのですが。
まぁ、使ってみないことには何とも言えませんからね。実際に触って確かめてみました。

どのアプリが売れやすい? フリマアプリおすすめランキング一覧はこちら

このページはアフィリエイト広告を利用しています。
Yahoo!フリマ(旧PayPayフリマ)

Yahoo Japan Corporation

iPhone無料
Android無料
もっと詳しく見る

Yahoo!フリマの「らくらくAI出品」とメルカリの「AI出品サポート」を比較

検証の様子

早速この2大フリマアプリのAI出品サポート機能を比較します。今回はそれぞれのアプリに同じ商品写真を渡して、AIのチカラでどんな商品情報を作ってくれるのかを検証しました。

メルカリ
メルカリ
Yahoo!フリマ
Yahoo!フリマ
AI生成に必要な情報 商品の写真 商品の写真
商品名
カテゴリ
AIが生成する情報 商品名
カテゴリ
商品の価格
商品説明
商品説明

パッと見てわかる通り、『メルカリ』は写真1枚から商品名やカテゴリ、価格、説明文までをまとめて自動生成してくれるのが強み。一方の『Yahoo!フリマ』は、あらかじめ商品名やカテゴリなどの情報をユーザー自身が入力する必要があり、AIが作ってくれるのは説明文だけです。

スペック表だけで比較するなら、どう考えても『メルカリ』のほうがラクそうに見えますね……。というわけで、ここからは実際の検証に入っていきます。

検証① 卓上カレンダー Yahoo!フリマは想像力が豊か?

検証1 卓上カレンダーの商品写真

最初に検証したのは、オフィスにあった未使用の卓上カレンダー。取引先からいただいたノベルティで、カラフルな配色が特徴のシンプルなデザインです。文字やイラストが印刷された商品は、AIが情報を拾いやすいはず……。

『Yahoo!フリマ』
卓上カレンダー「カラフルメモリー」です。
2023年12月まで使用可能です。
カラフルなイラストが毎月変わるので、見ているだけで楽しくなります。
メモスペースも付いているので、予定を書き込むのに便利です。
使用感はありません。
自宅保管のため、神経質な方はご遠慮ください。

【カテゴリ】カレンダー
【商品の状態】未使用に近い
【サイズ】縦15cm 横10cm
【素材】紙
【カラー】表紙: ピンク、中: 多色

よろしくお願いいたします。
※この商品説明はAI提案の文章が利用されています

『メルカリ』
<商品名>
2025 CALENDAR 卓上カレンダー

<商品情報>
カラフルな思い出をテーマにした2025年の卓上カレンダー。

- モデル名: 2025 CALENDAR
- 特徴: Colorful memory
- タイプ: 置き型カレンダー

ご覧いただきありがとうございます。

<価格>
500円

Yahoo!フリマ』は、サイズを「縦15cm × 横10cm」と記載していますが、実際に計測すると「縦22cm × 横22cm」ほど。メモスペースもなく、表紙はピンクどころか白。さらに極めつけは「2023年12月まで使用可能」という謎の期限。これは2025年のカレンダーなんですが……?

一方の『メルカリ』は、写真にある「Colorful Memories」というロゴをきちんと拾ってはいるものの、全体的に情報はあっさりめ。良く言えば堅実、悪く言えば味気ない印象です。とはいえ、生成した価格(500円)は実際にアプリ内で取引されている価格帯と大きくズレておらず、妥当な範囲に収まっています。価格決定の参考としては十分に使えそうです。

検証② スマートフォン 高額&ブランド品はAIに任せられない?

検証2 スマートフォンの商品写真

次に検証するのは「スマートフォン」。フリマアプリでは、商品の状態や付属品の有無などでトラブルが起きやすい代表格です。今回は、2024年8月に販売開始されたばかりのAndroid端末「Google Pixel 9(256GB)」を例に、『Yahoo!フリマ』と『メルカリ』、それぞれのAIに商品情報を作らせてみました。

なお、撮影したのは「箱のみ」。本体写真は一切なしで、AIがどこまで正確な商品情報を作れるのかを試します。

『Yahoo!フリマ』
Google Pixel 9 SIMフリー Obsidianです。

2023年10月に購入し、約3ヶ月間使用しました。
ケースと保護フィルムを装着して使用していたため、目立った傷や汚れはありません。
バッテリーの最大容量は97%です。

【ブランド】Google
【カテゴリ】アンドロイド
【商品の状態】目立った傷や汚れなし
【色】ブラック系
【SIM情報】SIMフリー
【ストレージ】128GB
【バッテリー最大容量】97%
【付属品】充電ケーブル、ACアダプター、説明書、箱

自宅保管のため、神経質な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。

※この商品説明はAI提案の文章が利用されています

『メルカリ』
<商品名>
Google Pixel 9 256GB Obsidian

<商品情報>
6.3インチのディスプレイと256GBのストレージを備えたGoogle Pixel 9、Obsidianカラー。

- ブランド: Google
- モデル名: Pixel 9
- カラー: Obsidian
- ストレージ: 256 GB
- サイズ: 6.3 インチ

ご覧いただきありがとうございます。

<価格>
135,000円

Yahoo!フリマ』は、ユーザーが事前に入力したカテゴリや色などは正しく引き継いでいるものの、「2023年10月に購入」「約3ヶ月間使用」といった、完全な創作情報が堂々と追加されています。Pixel 9が2023年10月に発売? そんなわけあるかいッ!

一方の『メルカリ』は、箱にあるスペック情報を淡々と抽出。余計な情報は一切なし。検索キーワード的にはやや寂しいものの、事実誤認がないのは評価ポイントですね。

検証③ 寄木細工 文字情報ゼロの工芸品、AIはどう説明する?

検証3 寄木細工の商品写真

これまでは、商品に文字や型番が記載されているものばかりを試してきました。しかし、フリマアプリに出品するのは、そういったわかりやすい商品ばかりではありません。そこで今回は、「見た目から何の商品かを判断する」のが難しいアイテムでAI出品機能を試してみます。

選んだのは、箱根土産としても有名な「寄木細工」の貯金箱。文字情報は一切なし。まさに、AIの観察力と知識が問われます。

『Yahoo!フリマ』
箱根で有名な寄木細工の貯金箱です。
お土産でいただき、自宅に飾っていましたが、整理のため出品いたします。
木製の温かみのある貯金箱で、お部屋のインテリアとしてもおすすめです。

【カテゴリ】貯金箱
【商品の状態】目立った傷や汚れなし
【サイズ】高さ: 約10cm 横幅: 約8cm 奥行き: 約6cm
【素材】木
【カラー】木の色

自宅保管のため、神経質な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
※この商品説明はAI提案の文章が利用されています

『メルカリ』
<商品名>
箱根寄木細工 貯金箱

<商品情報>
箱根寄木細工の幾何学模様が美しい貯金箱。

- デザイン: 箱根寄木細工の幾何学模様
- 色合い: ブラウン系の木材使用
- 形状: 直方体の貯金箱
- 装飾: 多様なパターンの組み合わせ
- 機能: 貯金箱として使用可能

ご覧いただきありがとうございます。
<価格>
1,800円

Yahoo!フリマ』は、事前に設定した商品名やカテゴリをベースに説明文を作成するため、「寄木細工の貯金箱」という点において間違いはありません。問題はその先です。サイズや素材、色は写真からAIが解析して自動入力するため、素材は「木」、色は「木の色」と、当たり前すぎて不安になるような表現に。

さらに、『Yahoo!フリマ』はこれまでの検証と同様に、独自のエピソードを創作。実際は私が自分で買ったものですが、「お土産でもらって、自宅に飾っていました」と、なかなかのストーリーテラーぶりを発揮しています。

一方の『メルカリ』は、写真だけで「箱根寄木細工の貯金箱」であると正確に認識。さらに1,800円という価格設定も、実際のネットショップや『メルカリ』内での相場とほぼ一致していました。これには正直びっくり。写真だけでここまで特定し、適正価格まで提示するのは見事です。

【結論】AI生成は『メルカリ』に軍配 ただし“そのまま使う”のはまだ早い

今回の検証を通じて、AIによる商品情報を生成する精度という点では、やはり『メルカリ』に軍配が上がる結果となりました。

Yahoo!フリマ』は、事前に入力した情報をベースに説明文を作成するため、商品ジャンル自体を間違えることは少ないものの、出品エピソードやスペックにおいて事実と異なる情報を付け加えてしまう傾向があります。これは、AIが「こういった情報を入れるとより自然ですよ」と提案してくれているとも考えられますが、ユーザーが内容をきちんと確認せずそのまま使ってしまうと誤解を招くおそれも。

一方、『メルカリ』のAI生成がそのまま実戦投入できるかというと、それもまた違う話。『メルカリ』は写真からスペック情報を正確に拾うのは得意ですが、セールストークや商品の魅力づけは、正直ちょっと味気ない印象。どうやら、まだAIに丸投げで売れるほどフリマは甘くないようです。

フリマアプリはメルカリ - メルペイのスマホ決済でもっとお得

Mercari, Inc.

iPhone無料
Android無料
もっと詳しく見る

ChatGPTやGeminiなど、大手生成AIアプリが生成したらどうなる?

GeminiとChatGPT

ここまでフリマアプリ内のAI機能を比較してきましたが、「正直、生成AIってもっと賢いはずでは?」と思った方もいるのではないでしょうか。

ならば、試してみるしかありません。

今回は、Googleの『Gemini(旧Bard)』と、OpenAIの『ChatGPT』という、生成AI界の2大巨頭に挑戦してもらいます。使ったのは、フリマアプリに渡したものと同じ商品写真と、以下のプロンプトです。

プロンプト
今から、フリマアプリに出品する予定の商品が写った写真を4枚渡します。その写真を見て、もっとも商品が売れやすい魅力的な商品情報とタイトル、金額を提案してください。

それでは、実験スタートです。

Geminiは「与えられた情報で120%を目指す優等生タイプ」

Gemini』で今回使用したのは言語モデル「2.5 Pro」。彼の印象は、とにかく誠実で丁寧。渡した情報をもとに、最大限のパフォーマンスを発揮しようとしてくれます。ただし、サービスの仕様上、画像は1枚ずつしか渡せません。そして写真を渡すたびに、こんなコメントが返ってきます。

Google Gemini

スマートフォンの本体の状態がわかる写真があると、より正確な提案ができます。

つまり「もっと情報をもらえたら、もっといい提案ができるのに……!」という、優等生らしい控えめな主張。実際、新品・未使用・中古など、状態に合わせた文章パターンをいくつも提案してくれたり、自由入力欄を用意してくれたりと、その親切ぶりに感心させられます。

<商品名>
【新品未開封】Google Pixel 9 256GB Obsidian SIMフリー 国内版
【未使用品】Google Pixel 9 256GB Obsidian SIMフリー 国内版
【美品】Google Pixel 9 256GB Obsidian SIMフリー 国内版

<商品情報>
ご覧いただきありがとうございます。
Google Pixel 9(モデル番号: G1B60)を出品します。

【商品の基本情報】
◆機種名: Google Pixel 9
◆カラー: Obsidian (オブシディアン)
◆容量: 256GB
◆モデル: 国内版 (SKU: GA05842-JP)
◆SIMロック: SIMフリー
◆同梱品:
・Pixel 9 本体
・充電ケーブル
・(その他、実際に付属するものがあれば記載。例:SIMピン、説明書、箱)

【商品の状態】
[ここに具体的な状態を記載してください]
例1: 新品未開封です。シュリンクも剥がしていません。
例2: 動作確認のため開封しましたが、実使用はない未使用品です。
例3: 〇ヶ月ほど使用しました。ケース・フィルムを使用していたため、目立つ傷や汚れはなく美品かと思います。画面に微細なスレがあります。(写真〇枚目参照)
例4: 全体的に使用感、小傷があります。詳細は写真をご確認ください。

【付属品の状態】
[付属品の状態を記載してください]
例1: 充電ケーブル含め、付属品は全て未使用です。
例2: 充電ケーブルは使用済みです。

【注意事項】
◆ すり替え防止のため、返品・交換はご遠慮ください。IMEI番号はこちらで控えております。
◆ (値下げ交渉についてのスタンスを記載。例:値下げ交渉はご遠慮ください。/多少であれば検討します。)
◆ (発送方法について記載。例:緩衝材で丁寧に梱包し、匿名配送の『メルカリ』便で発送します。)

ご不明な点があればお気軽にご質問ください。
よろしくお願いいたします。

<価格>
新品未開封: 12万円〜15万円程度
中古美品: 9万円〜12万円程度

総合的に見ると、『Gemini』の出力内容は今回試したAIの中でもトップクラス。スペックの抽出、説明文の丁寧さ、注意書きの網羅度など、手間をかけた分だけ確実に返ってくる安心感がありました。

……とはいえ、やっぱり写真が1枚ずつしか渡せないのは惜しいところ。フリマアプリでは、商品に対する不安をなくすために、いろいろな角度や状態の写真をまとめて見せるのが一般的。そのたびに画像を小分けにアップロードするのは、とても面倒に感じてしまうかもしれません。

Google Gemini

Google

iPhone無料
Android無料
2024 Award 最優秀賞
もっと詳しく見る

ChatGPTは「仕事は早いがそっけない合理主義タイプ」

ChatGPT』で今回使用した言語モデルは「GPT-4o」。彼はGeminiと違って複数の写真をまとめて渡せるので、写真を一気にアップロードして、商品情報の生成をお願いしました。

写真を放り込んでポン、と出力されるそのスピード感は、まさにフリマ出品で求められる即戦力そのもの。『Gemini』のように「もっと状態のわかる写真を……」と遠慮がちに言われることもなく、淡々と作業を進めてくれました。そうして、実際に出力してくれた文章はこちらです。

<商品名>
【新品未開封】Google Pixel 9 256GB Obsidian 国内版

<商品情報>
ご覧いただきありがとうございます。
■商品名
Google Pixel 9 256GB Obsidian(黒) 国内版 SIMフリー
■状態
新品・未開封品です。
外箱に目立つ傷や汚れはありません。
IMEIは写真をご確認ください。
■内容物(すべて揃っています)
・Pixel 9 本体
・充電ケーブル
・クイックスタートガイド
・純正箱
■補足
5G対応・大容量256GBモデル。
最新モデルで高性能カメラやAI機能が特徴です。
国内版なので安心して使用できます。
<価格>
・新品未開封 Pixel 9 256GB:約105,000円〜120,000円
→ おすすめ出品価格:118,000円
(値下げ交渉ありにしてもOK)

情報の正確さや整理された文章は申し分なし。必要最低限の情報はしっかり盛り込まれており、価格提案までしてくれるのはやはり便利です。

ただし、文章をよく読むと「商品の状態に関する説明」や「トラブル防止の一言」など、フリマ特有の配慮はやや物足りない印象です。契約やデータ消去、返品不可など、ちょっとした気遣いがあるだけで安心感が変わる取引だけに、そこがないのは少し惜しいところ。

なお、『ChatGPT』にしても『Gemini』にしても、プロンプトを調整すれば、より自分好みの商品情報を生成することも可能です。どの生成AIを使うにしても、最終的に“売れる商品情報”に仕上げるには、やっぱり人のひと手間が欠かせないと言えそうです。

ChatGPT

OpenAI

iPhone無料
Android無料
もっと詳しく見る

AI出品機能はまだ発展途上 売れる商品情報は自分で仕上げよう

フリマアプリで商品を売るには、写真はもちろん、やはり商品情報の作り込みが欠かせません。

今回、実際に検証してみたところ、『Yahoo!フリマ』や『メルカリ』のAI出品サポート機能は、正直まだ「全部お任せ」で売れるレベルには達していないと感じました。効率的に売れる商品情報を作るなら、GoogleのGeminiやChatGPTといった大手生成AIを使ってもよさそうです。

ただし、これらのAIは、使うほど出力内容が変化する可能性があるので、今回の結果が常に再現されるわけではありません。それでも、ちょっとした手間で商品情報のクオリティがグッと上がるのは間違いなし。
フリマアプリでお小遣い稼ぎをするなら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

(文・撮影:かがわまなみ)

こちらの記事もおすすめ

【無料】フリマアプリおすすめランキングTOP10 各種手数料や安全性を比較
フリマアプリ『メルカリ』『Yahoo!フリマ』『楽天ラクマ』『Yahoo!オークション』を比較 実際に出品して売れやすさを調査してみた - アプリブ
AI自動生成イラストは商用利用できる? 著作権に関するリスクと注意点を解説 - アプリブ
本当は教えたくない! プロがこっそり使う43の生成AIサービスを徹底比較 【画像・動画・音声・スライドなど】 - アプリブ