最近SNSで見かけるAIによるジブリ風イラスト。「同じようなイラストを自分も作りたい」「SNSでシェアしたい」と思っても、どのアプリを使ったらいいかわからなかったり、ネットで著作権に抵触しないか議論が巻き起こっているのを見ると、不安に感じたりしますよね。
この記事では、写真をジブリ風イラストに変えられるアプリや、著作権に関する注意点などをご紹介します。安心してSNSに投稿するために、チェックしておきましょう。

写真をジブリ風イラストに変えたい! おすすめのAIアプリ&著作権の注意点を解説
写真をジブリ風イラストに変換できるおすすめAIアプリ6選
写真をジブリ風イラストに変換できるアプリは多数あるので、迷ってしまいがち。無料で使えるのか、実際にどう作ったらいいのか、わからないことも多いですよね。
写真をジブリ風にするときは、ジブリ風のAIイラストフィルターが備わっている写真加工アプリを基本的に使用します。フィルターと加工したい写真を選択すると、AIが自動で作成してくれるので簡単ですよ。
写真からジブリ風イラストを作成できるおすすめのアプリは、以下のとおりです。
アプリ | 無料版 | ジブリ風加工 | 有料版の料金(税込) | AI加工後の修正 | 有料版の無料トライアル |
---|---|---|---|---|---|
ToonMe | あり | 完全無料 | 1,180円/週 4,420円/年 |
できない | 3日間 |
AI Mirror | あり | 有料 | 1,120円/週 4,040円/年 |
できる | なし |
ChatGPT | あり ※容量制限あり |
無料 | 22ドル/月~ | できる | なし |
Vivid AI | あり ※1週間で最大21回 |
無料 |
1,060円/週 4,540円/年 ※クレジットの購入も可能 (50クレジット1,520円~) |
できない | 7日間 |
Fotor | あり ※1日に画像は最大10回、 動画は最大1回 |
無料 |
7,500円/年 ※クレジットの購入も可能 (200クレジット2,720円~) |
できない | 7日間 |
BeautyPlus | あり ※1日最大5回 |
無料 |
1,000円/月 5,400円/年 ※クレジットの購入も可能 (50クレジット700円~) |
できる | 7日間 |
アプリによって、ジブリ風イラストのAIフィルターが無料であるか、作成したイラストを修正できるかといったことは異なります。
費用や修正機能の有無などに応じて、使いやすいアプリを選択しましょう。
無料で何度でも利用可能!『ToonMe』
▲一覧からジブリイラスト風のフィルターを探して作
無料版 | あり |
---|---|
ジブリ加工 | 完全無料 |
有料版の料金(税込) | 1,180円/週 4,420円/年 |
AI加工後の修正 | できない |
有料版の無料トライアル | 3日間 |
『ToonMe』には、明確に「ジブリ風」と名付けられたフィルターは用意されていませんが、ジブリに近い画風のものが利用できます。
無料で何度でも作成できるので、初めて作成する方や、多くの写真をジブリ風イラストに変えたい方におすすめです。
なお、人物写真専用となっており、動物や風景の写真加工はできません。
作成後のイラストを修正する機能はありませんが、フレームやカラーフィルターなどのエフェクトやテキストの追加は可能。ただし、使用には広告の視聴が必要なので、わずらわしいと感じる方は有料版を使用するといいでしょう。
複数のジブリ風フィルターがある『AI Mirror』
▲ジブリイラスト風のAIフィルターが多数用意されている
無料版 | あり |
---|---|
ジブリ加工 | 有料 |
有料版の料金(税込) | 1,120円/週 4,040円/年 |
AI加工後の修正 | できる |
有料版の無料トライアル | なし |
ジブリ風と一口にいっても、作品によってタッチは少しずつ異なります。詳しい方は、ジブリ作品の中でも希望の作風があるかもしれません。
『AI Mirror』には、複数のジブリ風フィルターが用意されており、作品ごとのタッチにこだわりたい方にぴったりです。
ただし、ジブリ風のAIフィルターはどれも有料となっています。
作成時は、ベースとなる写真の雰囲気や色味などの印象を、全体的にどの程度残すのか設定が可能。ジブリ風イラストでも写真の印象を強くするか、AIによる創作の程度を強くするか、好みに応じて調整できるのが魅力です。
しかも作成後に、同じ写真を基に肌の色や性別を変えたバージョンを再生成する機能もあります。
POLYVERSE ENTERTAINMENT INC.
簡単な指示で無料作成!『ChatGPT』
▲プロンプトを入力すると、写真を加工してくれる
無料版 | あり |
---|---|
ジブリ加工 | 無料 ※容量制限あり |
有料版の料金(税込) | 22ドル/月~ |
AI加工後の修正 | できる |
有料版の無料トライアル | なし |
イラスト作成や画像加工に特化したアプリ以外でも、写真からジブリ風イラストへの変換が可能です。
自然言語処理モデルとして人気の『ChatGPT』なら、無料で写真をジブリ風イラストにできますよ。
イラストの作成は、写真をアップロードして「ジブリ風にして」などの簡単なプロンプト(命令文)を入力するだけ。特に、普段からChatGPTを使っている方におすすめです。
ただし、ほかのアプリではAIフィルターと写真を選択するだけで写真をジブリ風イラストに変換してくれるのに対し、プロンプトの入力が必要なChatGPTでは、入力作業を手間に感じる可能性もあるでしょう。
作成した画像は、プロンプトを続けて入力することで細かく修正していけます。思ったようなイラストにならなかったときに希望の雰囲気に自由に修正していける点は、ほかのアプリにあまりないメリットだといえます。
なお、3枚目を作成しようと写真をアップロードしようとしたところ、有料版へのアップグレードが必要だと表示されました。制限がかかるタイミングは写真の容量次第で変わると思われるものの、一度に多数の作成ができない点に留意しましょう。
無料で1日3作品作れる『Vivid AI』
▲アニメフィルターからジブリ風のものを選んで作成
無料版 | あり |
---|---|
ジブリ加工 | 無料 ※1週間で最大21回 |
有料版の料金(税込) |
1,060円/週 4,540円/年 ※クレジットの購入も可能 (50クレジット1,520円~) |
AI加工後の修正 | できない |
有料版の無料トライアル | 7日間 |
『Vivid AI』は、『ToonMe』同様、ジブリ作品に近いイラストフィルターが用意されており、それを使用すれば写真をジブリ風イラストに変換できます。
なお、AIを使った画像の作成には、アプリ内で使用できる独自トークンとして1クレジットが必要です。無料版の場合、ログインすると1週間の利用期限付きトークンとして1日あたり3クレジットが付与される仕組みです。
この範囲内での作成で済む方は無料版でも不便なく使用できますが、それ以上の写真をジブリ風イラストに変えたいなら、有料版もしくはクレジットの購入をおすすめします。
ジブリ風の動画も作成できる!『Fotor』
▲多数のジブリ風フィルターが用意されている。写真から動画の作成も可能
無料版 | あり |
---|---|
ジブリ加工 | 無料 ※1日に画像は最大10回、 動画は最大1回 |
有料版の料金(税込) |
7,500円/年 ※クレジットの購入も可能 (200クレジット 2,720円~) |
AI加工後の修正 | できない |
有料版の無料トライアル | 7日間 |
『Fotor』には、AIイラストフィルターとして「ジブリスタイル」が用意されています。
また、写真からジブリ風イラストの動画を作成する機能も搭載。
ジブリ風のイラストだけでなく、自分の写真を基にジブリ作品風の動画も作成したい方におすすめのアプリです。
写真1枚をイラストに変換するのに、トークンとして、1クレジットを消費する仕組みです。
初回起動時にトライアルクレジットとして10クレジットが付与されるため、最大10枚まで無料で作成が可能。一方、動画の作成には10クレジットが必要なので、一度の作成で付与されたクレジットを使い切ってしまう点に注意が必要です。
なお、トライアルクレジット使用後は、有料版の購入が必要です。ほかのアプリと比較して高額ではあるものの、使用できるジブリフィルターの数や動画機能などを考えると価格に見合った内容といえるでしょう。
Chengdu Everimaging Science and Technology Co., Ltd
作成後もさまざまな修正が可能! 『BeautyPlus』
▲アニメのフィルターが豊富。ジブリ風イラストも用意
無料版 | あり |
---|---|
ジブリ加工 | 無料 ※1日最大5回 |
有料版の料金(税込) |
1,000円/月 5,400円/年 ※クレジットの購入も可能 (50クレジット700円~) |
AI加工後の修正 | できる |
有料版の無料トライアル | 7日間 |
『BeautyPlus』では、ジブリ風のAIイラストフィルターを無料で使用可能です。
AIでの作成後に、色味や彩度、明度など細かな調整が続けて可能なほか、『BeautyPlus』自体がセルフィー系アプリとして多機能なので、スタンプ・テキストの追加なども自由に行えます。
ジブリ風の画像を気軽に作成しつつ、細部にこだわった仕上げを行いたい方におすすめのアプリです。
なお、ジブリ風も含めたAIイラストフィルターの無料利用は、1日5回までとなっており、それ以上の生成にはトークンであるクレジットの支払いや、有料版への加入が必要です。
写真をジブリ風イラストにうまく変えるコツは?
アプリで写真をジブリ風イラストに変換しても、崩れたり、ジブリの雰囲気にならなかったりすることがありますよね。
実は、AIによる写真のイラスト化や、ジブリの雰囲気を出すにはポイントがあります。
写真をジブリ風イラストにうまく変換する方法を、あらかじめチェックしておきましょう。
正面向きで明るめの画像を選ぶ
写真をジブリ風イラストに変換するときは、AIに読み込ませる写真の「向き」と「明るさ」が重要です。なるべく明るい場所で、正面向きの写真を選ぶことをおすすめします。
この理由は、人物が正面を向いていて、顔がはっきり見える画像のほうが、AIが認識しやすく、きれいに仕上がる傾向があるため。反対に、暗かったり顔が斜めになったりしている写真は、顔のバランスが崩れて不自然になりがちです。
表情やポーズがナチュラルな写真を使う
ジブリ作品の登場人物たちは、派手な表情やポーズよりも、日常の自然な仕草や落ち着いた表情が多いといえます。
AIに読み込ませる写真も、にっこり笑った自然な表情や、リラックスした姿勢のものを選ぶと、よりジブリっぽい印象のイラストに仕上がりますよ。
逆に、大げさな驚き顔やウインク、変顔などの誇張された表情、ピースサインや決めポーズなどの写真では、ジブリの雰囲気が薄まってしまいやすいでしょう。
AIでの作成後も色味などを調整してみる
ジブリ作品の多くは、派手すぎない優しい色合いが特徴的ですよね。AIで生成したジブリ風イラストをさらにそれっぽく仕上げたいときは、少しセピア調にしたり、彩度を下げて落ち着いた雰囲気にするだけで、一気に「ジブリっぽさ」がアップしますよ。
イラスト生成後の調整機能があるアプリなら、一括で手早く行えて便利です。機能がないときは、一度ダウンロードしてイラスト加工アプリなどで編集するのも手です。
著作権に注意! ジブリ風イラストでトラブルを避けるための知識
ジブリ風も含めたアニメイラストなどのAIフィルターに関して、著作権が話題になっているのを見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。
この機会に、ジブリ風イラストへの加工に関する著作権上の扱いを確認し、トラブルにならない使い方を知っておきましょう。
著作権について初耳という方も、利用前にチェックしておくことをおすすめします。
著作権とは? イラスト作成前に最低限知っておきたいこと
AIを使って写真をジブリ風イラストに変換するときは、「著作権」を侵害しないよう注意が必要です。著作権とは、絵や音楽、小説などの著作物をほかの人が勝手に使ったり、それによって利益を得たりしないよう、定められているルールです。
時間をかけて作った作品が勝手に使われてしまえば、作り手が正当な評価や利益を得ることができません。
そのため、特定の作品やキャラクターによく似た作品を自分のオリジナルだと偽ってSNSに投稿したり、スタジオジブリの公式イラストだと誤解を招くような作品を公開したりすると、著作権侵害として訴えられるリスクがあります。
AIイラストの著作権について詳しく知りたい方はこちら
自分が持っている写真をジブリ風イラストにするリスクは?
2025年4月現在、画風やタッチは著作権の保護対象とされていません。そのため、自分の持っている写真をジブリ風イラストに変換する行為自体は、個人で楽しむ範囲であればほとんど問題にならないでしょう。
文部科学省も「著作権法は創作的な表現に至らない作風やアイデアを保護するものではない」「AIで生成されたコンテンツに、既存の著作物との類似性や依拠性が認められれば、著作権侵害となり得る」という見解を示しており、特定のキャラクターなど、ジブリそのものといえるレベルでなければ、違法とみなされる可能性は低いといえます。
とはいえ、どのようなケースでも絶対に安全とは言えません。以下の点に、必ず注意しましょう。
写真をジブリ風イラストに変換するときの注意
- 作品やキャラクターが特定できるような背景や構図、特徴的なポーズにしない
- SNSでシェアする際は「AIによる加工作品」であることがわかるようにする
- 商用利用をしない
法律は今後変わる可能性も十分考えられます。既存の作品やそれに関する情報を利用するときは、著作権に抵触しないか、常に確認することが重要です。
また、AIやツールで簡単に表現ができる時代だからこそ、元になった作品や、それを生み出したクリエイターへのリスペクトを忘れないようにしたいですね。
(文:ばんしょうふみえ)
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