『X(旧Twitter)』などのSNSで注目を集めている「AIフィギュア化」。一見むずかしそうに見えますが、実はGoogleの『Gemini』を使えば、誰でも気軽に始められます。
この記事では、保存している写真からAIフィギュア風の画像を作る方法をわかりやすく解説。無料で試せるプロンプトの紹介はもちろん、気になる著作権や肖像権についても触れていきます。
GeminiでAIフィギュアを作成! 無料で簡単に作れるプロンプトを紹介 知的財産権についても解説
話題沸騰中!? Geminiの「AIフィギュア」とは
2025年8月26日、Googleは新しい画像生成モデル「Gemini 2.5 Flash Image(通称:Nano Banana)」を公開しました。このモデルを使えば、写真をもとに本物そっくりのフィギュア風画像を作成できます。
従来のAIでは、写真から生成しても顔や髪型、体のバランスが変わってしまい、同じ人物として認識されにくいことが課題でした。Nano Bananaはそうした弱点を改善し、顔立ちや雰囲気を保ったまま、ポーズや服装、背景などを細かく変更できます。
この技術を活用したのが「AIフィギュア」です。写真の人物や動物をひとつの存在として認識し、プラスチック製フィギュアのような質感で再現。完成した画像は、まるで市販のフィギュアを撮影したかのようなリアルさで、SNSでも「本当に商品化されたみたい」と話題になっています。
Geminiを使った「AIフィギュア」の作り方
ここからは、『Gemini』を使ってAIフィギュアを作成する手順を紹介します。
特別な知識は不要で、写真とプロンプトさえあれば誰でも手軽に試せます。
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STEP1
Geminiを起動する
アプリを開くか、ブラウザ版の『Gemini』にアクセスします。
Androidの一部機種では、電源ボタンの長押しで『Gemini』を起動できる場合もあります。 -
STEP2
Nano Bananaを選択
チャット欄の下にある「🍌画像」を選択します。
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STEP3
フィギュア化したい写真を選ぶ
「+」アイコンをタップして、ギャラリーから好きな被写体の写真を1枚選択しましょう。
全身が写っていなくても、AIが自動で補完してくれます。 -
STEP4
プロンプトを入力する
『Gemini』公式がSNSで公開している、以下のプロンプトをコピーして使うのが最も簡単です。
日本語版と英語版の2種類があるため、使いやすい方を選びましょう。日本語プロンプトの場合、後述の商標権を考慮したプロンプトになっているので、SNS投稿などでも利用できます。
<日本語版>
写真のキャラクターを、リアルなスタイルと環境で1/7スケールの商品化フィギュアの画像を作成してください。フィギュアは、テキストなしの円形透明アクリルベースを使用して、机の上に置いてください。そのフィギュアの横に、元の作品が印刷された立体的なおもちゃのパッケージボックスを置いて、ボックスの下の方には「Made with Gemini」とだけ書かれている。背景にはお洒落なリビングが見える。
出典:Google Japan
<英語版>
Create a 1/7 scale commercialized figurine of the characters in the picture, in a realistic style, in a real environment. The figurine is placed on a computer desk. The figurine has a round transparent acrylic base, with no text on the base. The content on the computer screen is a 3D modeling process of this figurine. Next to the computer screen is a toy packaging box, designed in a style reminiscent of high-quality collectible figures, printed with original artwork. The packaging features two-dimensional flat illustrations.
出典:Google Gemini App
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STEP5
紙飛行機アイコンをタップして、画像を生成する
紙飛行機アイコンをタップすると、数分で処理が完了し、写真がフィギュア風に変換された画像が出力されます。
無料で利用できるので、まずは気軽に試してみましょう。
日本語版プロンプト 出力イメージ
英語版プロンプト 出力イメージ
「AIフィギュア」の動かし方
画像として完成したAIフィギュアは、そのまま鑑賞するだけでなく、動かすことも可能です。
ここでは、実際に動画化するための手順をご紹介します。
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STEP1
新規のチャットを立ち上げて「動画」を選択
チャット欄の下にある「動画」を選択します。
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STEP2
生成したAIフィギュア画像を選択する
「+」アイコンをタップして、先ほど作成したAIフィギュア画像を選択し、アップロードします。
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STEP3
動きを指定するプロンプトを入力
以下いずれかのプロンプトをコピーして、『Gemini』のチャット欄に入力します
① フィギュアを持ち上げる
②猫が登場日本語 画面の上部から実写の人間の手が映り込み、フィギュアを台座ごと優しく持ち上げている動作を追加してください。 英語 Add a realistic human hand entering from the top of the frame, gently lifting the figurine together with its base.
③フィギュアが踊りだす日本語 実写の猫がフィギュアの前で立ち止まり、訝しげに見つめている動作を追加してください。 英語 Add a live-action cat stopping in front of the figurine and gazing quizzically.
日本語 フィギュアが突然踊り出すシーンを作成してください。 英語 Create a scene where the figure suddenly starts dancing. -
STEP4
紙飛行機アイコンをタップして、動画を生成する
紙飛行機アイコンをタップすると、数分で処理が完了し、指定した動きが反映された動画が出力されます。
以下は、生成した動画の一例です。
①フィギュアを持ち上げる
②猫が登場
③フィギュアが踊りだす
猫が画面外から登場するのを制御したい場合は、まず生成したAIフィギュア画像と「実寸大の猫を登場させてください」というプロンプトを入力して、「🍌画像」で画像を生成します。その画像をもとに、先ほどのプロンプトを使用すれば、自然な動画を生成できます。
人物以外にも、物や動物、風景もフィギュア化できる
AIフィギュアといえば人物のイメージが強いかもしれませんが、『Gemini』ではそれ以外の被写体もフィギュア化できます。
例えば、ペットやお気に入りのモノ、食べ物、風景など、さまざまなテーマの写真からリアルな“商品風”画像を作ることが可能です。
物体も立体模型のように
インテリア雑貨や食べ物の写真を使えば、AIはそれをミニチュアモデルとして解釈。
例えば、料理の写真をフィギュア化すれば、食べられそうで食べられない食品サンプル風の画像を生成してくれます。
色味や照りの質感もリアルで、テーブルにそのまま並べたくなるような一枚に仕上がります。
日本語版プロンプト
英語版プロンプト
ペットは情景ごとフィギュアに
ペットを撮影した写真では、お気に入りの玩具も含めて、ひとつの情景として立体化できます。
単体のフィギュアというよりも、暮らしのワンシーンをそのまま再現したような仕上がりが特徴です。
日本語版プロンプト
英語版プロンプト
風景も立体的なミニチュアジオラマに
自然の風景や街並みの写真を使えば、全体を箱庭のように立体化することも可能です。
AIが奥行きや構造や草木の配置を補ってくれるため、まるでジオラマ模型を見ているかのような印象になります。
日本語版プロンプト
英語版プロンプト
パッケージにこだわれば、製品感がぐっと増す
AIフィギュアの面白さは、見た目だけでなくどう飾るかにもあります。
『Gemini』では、台座の形や背景だけでなく、フィギュアのパッケージまで含めた画像生成も可能です。
フィギュアの隣に商品パッケージの箱を配置するように指定することで、売り物風のリアルな仕上がりに近づけられます。
ウィンドウボックススタイル
日本語版プロンプト
写真のキャラクターを、リアルなスタイルと環境で1/7スケールの商品化フィギュアの画像を作成してください。フィギュアは、テキストなしの円形透明アクリルベースを使用して、机の上に置いてください。そのフィギュアの横に、正面に透明な窓が付いたウィンドウボックス型のパッケージを置いて、ボックスの下の方には「Made with Gemini」とだけ書かれている。背景にはお洒落なリビングが見える。
英語版プロンプト
Create a 1/7 scale commercialized figurine of the characters in the picture, in a realistic style, in a real environment.
The figurine is placed on a computer desk.
The figurine has a round transparent acrylic base, with no text on the base.
The content on the computer screen is a 3D modeling process of this figurine.
Next to the computer screen is a high-quality window box package, printed with original artwork.
The front of the box features a clear window, allowing the figurine to be seen without opening the package.
チューブ型パッケージ
日本語版プロンプト
写真のキャラクターを、リアルなスタイルと環境で1/7スケールの商品化フィギュアの画像を作成してください。フィギュアは、カラフルなキャップのついた円筒形の透明プラスチック容器(チューブ型パッケージ)の中に収められており、パッケージごとコンピューターデスクの上に置かれているようにしてください。
英語版プロンプト
Create a 1/7 scale commercialized figurine of the characters in the picture, in a realistic style, in a real environment.
The figurine is enclosed in a clear cylindrical tube with a colorful cap.
The entire package is placed on a computer desk.
The content on the computer screen is a 3D modeling process of this figurine.
The tube package is designed for compact display, with original artwork printed on the surface and the figurine fully visible inside.
ブリスターパック風
日本語版プロンプト
写真のキャラクターを、リアルなスタイルと環境で1/7スケールの商品化フィギュアの画像を作成してください。フィギュアは、テキストなしの円形透明アクリルベースを使用して、机の上に置いてください。そのフィギュアの横に、厚紙の台紙に透明なプラスチックカバーが付いた、ブリスターカードパッケージのパッケージを置いて、台座の下の方には「Made with Gemini」とだけ書かれている。背景にはお洒落なリビングが見える。
英語版プロンプト
Create a 1/7 scale commercialized figurine of the characters in the picture, in a realistic style, in a real environment.
The figurine is placed on a computer desk.
The figurine has a round transparent acrylic base, with no text on the base.
The content on the computer screen is a 3D modeling process of this figurine.
Next to the computer screen is a retro-style blister card package, with the figurine sealed inside a clear molded plastic cover attached to a printed backing card.
The card features colorful artwork reminiscent of classic action figure packaging.
こうした要素を取り入れることで、「作品」ではなく「商品」としてのリアルさがぐっと増します。
自分の写真を売り物のように仕上げたいときは、パッケージの表現にもこだわってみましょう。
Geminiの回数制限にひっかかったら、BeautyPlusで加工しよう
▲『BeautyPlus』の「ミーフィギュアAI」フィルター使用例
『Gemini』のNano Bananaは基本的に無料で利用できますが、連続して何度も生成を繰り返すと、まれに回数制限の対象になることがあります。
また、プロンプト通りに生成されない場合もあり、細かい調整が難しいと感じることもあるでしょう。
そうしたときは、『BeautyPlus』の「ミーフィギュアAI」フィルターを試してみるのがおすすめ。
写真を選んでフィルターを適用するだけで、手のひらサイズのフィギュア風画像がすぐに完成します。
人物だけでなくペットの写真にも対応しており、用意された背景テンプレートを組み合わせることも可能。
大きさや明るさも調整できるため、AIまかせでは実現しにくい細かなニュアンスも表現できます。
『Gemini』でうまくいかないときや、少し雰囲気を変えてみたいときは、『BeautyPlus』の利用も検討してみましょう。
「AIフィギュア化」を成功させる写真選びのコツ
AIフィギュアの仕上がりは、どんな写真を使うかで大きく変わります。
ここでは、自然で完成度の高い画像に仕上げるためのポイントを整理しました。
被写体が中央にある写真を使う
人物やペットが画面の中央に写っている写真がおすすめです。
まわりに物が多いと、AIが余計なものまで読み取ってしまい、不自然なフィギュアになることがあります。
顔がはっきり見える写真を選ぶ
輪郭や表情がはっきりと写っている写真のほうが、AIは特徴を正確にとらえやすくなります。
顔に影がかかっている写真は、仕上がりに影響する可能性があるため避けたほうがよいでしょう。
全身が写っている写真が望ましい
上半身だけでも生成は可能ですが、足や姿勢をAIが補完するため、違和感が出ることも。
なるべく全身が写っている写真を使うと、より自然な仕上がりになります。
背景はシンプルに
無地の壁や屋内など、背景がすっきりしている写真が最適です。
背景が複雑だとAIが混乱しやすく、余計な要素を加えてしまうことがあります。
商標権に注意! あの有名企業のロゴが映り込むことも
Gemini公式が投稿した画像に、日本の有名メーカーのロゴにそっくりな模様が入り込んでいるとSNSで話題になりました。
経済産業省が2024年7月に出した「生成AIの利用ガイド」によると、AIが作ったデザインやマークが実際の商標や意匠と同じ、あるいは似ている場合は権利を侵す可能性があるとしています。さらに、他人の商品名や形を含んでしまうと、不正な利用にあたることも。
一方で、登録された商標やデザインを学習用データとして使うことは侵害にはあたりません。自分が撮影した写真や、許可を得た画像をもとに3Dモデルを作るのであれば、著作権の問題にはならないでしょう。
個人で楽しむ分には心配ありませんが、SNSに投稿するときは企業ロゴが入り込んでいないか確認しておくと安心です。
AIフィギュア化は、Nano Bananaの可能性のひとつにすぎない
AIフィギュアは、専用の道具や知識がなくても写真から手軽に作れるのが魅力です。
実際にフィギュアを制作するには費用や時間がかかりますが、AIなら数分でリアルな仕上がりを楽しめます。
例えば、家族やペットの写真をフィギュア風に加工して、思い出として残すのもよいでしょう。
そのほかにも、生成した画像を動画にしたり、3Dデータに変換して実物フィギュアを作ったりと、活用の幅はどんどん広がっています。
Nano Bananaは、日常の一コマを未来に残すための、新しい表現手段のひとつになりそうです。
(文:かがわまなみ)
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