さまざまな分野で社会に貢献する“プロフェッショナル”たち。しかし、その仕事が専門的になればなるほど、遠い存在のように感じてしまいますよね。でも、どこかしら私たちと共通点があるはず……。たとえば、日常的に使っているスマートフォンアプリとか。
彼・彼女らは、一体どんなアプリを使っているのでしょうか。それを確かめるために、気象予報士・防災士の穂川果音さんを直撃。気象予報士・防災士さんが普段から使っているお天気アプリって何? そもそも穂川さんはどうして気象予報士・防災士になったの? さまざまな質問にご回答いただきました。
プロってどんなアプリを使っているの? 「コスプレお天気お姉さん」穂川果音さんの場合
――本日はこの後、生放送の天気予報コーナーに出演されますよね。
はい! インターネット放送局・AbemaTVのニュース番組『Abema Prime』で、月〜金曜日のお天気コーナーを担当させていただいています。
――“ほかのん”という愛称と、コスプレをする姿が人気ですよね。いつも拝見しています!
ありがとうございます! 恐縮です!
――穂川さんは、そもそも、どうして気象予報士になったんですか?
私は10代の頃からファッション誌でモデルをしていました。その当時、撮影中に、カメラマンさんが「雲があと何秒で流れまーす!」と教えてくれるのが、ずっと気になっていたんです。「あの特殊能力、何なんだろう?」って(笑)。それがきっかけですね。
このように、ちょうど空への興味が湧いてきた頃、『めざましTV』にとてもかわいいお天気お姉さんが登場したのも、「気象予報士になろう」という思いを後押ししてくれました。それが、あの皆藤愛子さんだったんですけど。
――すごい人気でしたよね。
そうなんです! その時に、私も言葉で何かを伝えられる職業に就きたいなと思って、さっきのカメラマンさんの特殊能力と結びついて、「私もお天気お姉さんになりたい」と思うようになりました。調べてみたら、どうやらお天気お姉さんのように天気の情報を伝える人の中には、気象予報士の資格を持っている人がいるらしい、と。じゃあ、まずはその資格を取ろう! って感じで、21歳くらいから勉強を始めて、無事取得することができました!
――とはいえ、簡単な試験ではありませんよね?
えーっと、そうですね。正直にお話すると、私が受けたのは合格率が3〜4%と、かなり難しい時期だったんです。でも、そこで2回で合格できました。実は合格しただけでは気象予報士の仕事はできなくて、国に登録をしなければいけません。それが完了したのが2009年の3月ですね。うれしいな、ラッキーだなと思う反面、やっぱりあの時期は、蕁麻疹ができるくらい勉強しました(苦笑)。
――やっぱり、大変だったのですね……。
その当時、私は週5日でOLさんみたいな仕事をしていたんですね。だから、朝早くからカフェに行ったり、夜も仕事終わりにどこかで場所を確保したりして、黙々と勉強していました。おかげで、すごく健康的な生活リズムになったんですよ!(笑)
――その苦労が今につながっているわけですよね……。その後、晴れて “お天気お姉さん”に?
それがですね、私、すごく波乱万丈なことをしていまして。23〜24歳のときは、気象予報士の資格を持って、「どうやったら“お天気お姉さん”、つまり気象予報士の資格を持ったフリーのアナウンサーになれるんだろう」と、日々もがいていたんです。
――「お天気お姉さん なる方法」って、検索しても情報がなさそうですもんね。
そうなんです(笑)。でも本当に当時、検索して、「気象業務会社に就職する」とか「タレントさんになる」とか、いくつかありそうだけど、よくわからないな、と。そこで、アナウンススクールに通ってみて、そこでレッスンを受けながら、先生に「どうしたらお天気お姉さんになれますか?」って相談してみたんですよ。そうしたら、気象業務会社に登録しなさいと言われて、とりあえず登録したんですけど、気象予報士もやっぱり、競争が激しいんですよね。
――テレビに出たい人は、たくさんいるわけですもんね。
そうなんです。気象予報士って、日本全国に1万人くらいいるんですよ。気象予報士の資格を持って何をするかっていうのが、すごく大事で。アナウンサーになりたい場合、全国ネットからローカルまでさまざまな番組がありますが、その絶対数は限られてしまうんです。
そこで私は何を思ったか、レースクイーンを始めてしまって。アナウンサーの登竜門ではなく、グラビアアイドルの登竜門ですよね(苦笑)。でも、お天気お姉さんになりたいのなら、何かしらの活動をしなきゃダメだとも思っていて。その結果、ありがたいことにですが、グラビアの仕事の方が多くなってしまって。
――(笑)。でも、DVDも何作か発売されていますよね。そこはやはり、穂川さんご自身に魅力があった、と。
恐縮です! そこからは、“気象予報士の資格を持ったグラビアアイドル”という肩書きでしばらく活動していたのですが、グラビアアイドルのイメージが強くなりすぎてしまったのか、アナウンサーのお仕事がなかなか来なくて苦労しました。
それでも少しずつ(アナウンサーの仕事を)いただけるようになって、昨年、東京MXさんの開局20周年特別番組のオーディションに通り、アニバーサリー気象予報士として採用いただきました。そこで、“コスプレをしながら天気予報をする”という試みをしてみたんです。
――おっ、今のスタイルの原型ですね!
そうなんです。その時はバニーちゃんの格好をしたり、ナースの格好をしたりして。それをOKしてくれるのは、さすが東京MXさんって感じですよね(笑)。そういう、ちょっとポップな、バラエティ要素のある天気予報がAbema Primeのスタッフさんの目に留まって今がある、という感じですね。
――ありがとうございます。さて、ここからがメインテーマでもあるのですが、穂川さんは普段、どんなお天気アプリを使っていますか?
私、かなり多くのお天気アプリを使っているんですよ。主に使うのは気象庁さんのサイトだったり、その中の“高層天気図”という専門的なページだったりします。その上で、例えばウェザーニュースさんのアプリで、雨雲レーダーチャンネルや天気図チャンネルを確認し、いつ頃雨が降りそうか、あるいはこれから寒くなるのか暖かくなるのかなど、常に頭に入れておくようにしています。お天気アプリは一日中、事あるごとに使っているかもしれないですね。
他にもおもしろいアプリがあります。例えば。この『Go雨!探知機』(2021年、サービス提供終了)。これ、AR機能があって、雨の日に雲に向かってカメラを動かすと、上空に雨量情報を表示してくれたり、最寄りの雨雲までの距離がわかったりするんです。
あとは、過去の同じ日がどんな天気だったのかがわかるアプリをチェックしたり、気圧の変化で頭痛が発生しやすいタイミングをお知らせしてくれるアプリを使ってみたり。一般的な天気アプリであっても、昨日と今日のデータの差に注目するようにしています。
というのも、天気予報のアドバイスって、どうしてもどこも似たり寄ったりになってしまうじゃないですか。できるだけ、天気予報番組を観てくださる方々の役に立つ、そしておもしろい情報を提供するために、アプリを使って情報収集をしています。
――さすがプロですね。モデル時代に思い描いた “お天気お姉さん”になられたわけですが、この先の目標はありますか?
私は、他のどんな気象予報士さんよりも個性的な気象予報士になりたいんです。そのためには、他の人がやらないようなことでも、どんどん取り組んでいこうと思っています。
私、石原良純さんに憧れているんです。これからの目標は、女版の石原良純さんですね(笑)。
(朽木誠一郎/ノオト)