2025年3月4日、フリマアプリ大手の株式会社メルカリが新たなモバイルサービス「メルカリモバイル」を開始しました。本サービスは、申込みから管理まで『メルカリ』アプリ内で完結できるだけでなく、余ったデータ通信量(ギガ)をフリマ感覚で個人間売買できるのが最大の特徴です。

現在はiOS版『メルカリ』アプリのユーザーのみ利用可能で、Android版は順次対応予定とのこと。

本記事では、メルカリモバイルの仕組みや料金プラン、実際にギガを売買してみた結果などを詳しく解説します。

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メルカリモバイルとは? 仕組みやサービス開始の背景を解説

メルカリモバイルは、フリマアプリ『メルカリ』を通じて、申込みや利用料の支払い、データ管理などを完結できるMVNOサービスです。特に注目されているのが個人間でデータ通信量(ギガ)を売買できる日本初の仕組み。余ったギガを販売したり、足りない分を購入したりできるため、ギガを無駄なく利用できます。

なぜメルカリはMVNO事業を始めたのか?

メルカリモバイルとは

スマホの通信プランは多様化していますが、メルカリの調査によると、キャリアの乗り換え経験がない、または1回しかないユーザーは64.4%に上り(※1)、手続きの煩雑さが、乗り換えや変更のハードルになっていることが伺えます。

また、通信プランの調査では、75.0%のユーザーが余ったギガを活用できず、一方でデータ通信量が足りなくなるユーザーの45.2%が毎月追加でギガを購入しているという実態も明らかになりました(※2)。こうしたユーザーにとって、使い方に合わせてプランを自由にカスタマイズできる仕組みは魅力的といえるでしょう。

このような背景から、メルカリは「ギガを売買できる」仕組みを導入し、より柔軟にスマホを利用できるサービスを開始しました。

メルカリモバイルの概要とギガ売買

以下に、メルカリモバイルの基本的な仕様と、ギガの売買に関する仕組みをまとめました。

メルカリモバイルの概要

料金プラン 2GB:月額990円(税込)
20GB:月額2,390円(税込)
登録手数料 契約開始時3,300円
国内通話料 使った分だけ22円/30秒
サービス 音声/SMS/データ通信
SIMタイプ eSIM
※SIMカードは後日提供開始
回線 docomo(5G対応)
電話番号 今の番号を継続利用または新規発行
対応端末 eSIMが利用可能なiPhone/Android/タブレット
※3月4日時点ではiOSのみ
支払い手段 メルカード/メルペイスマート払い

データ通信量(ギガ)を売買に関する概要

販売できるギガ数 1GB~(1GB単位)
販売価格 200円~
※1GBの場合、200~500円で販売可能
支払方法 月額利用料に合算

メルカリモバイルはどのような方に向いている?

このような方におすすめ

  • 『メルカリ』を頻繁に利用している
  • ギガを毎月余らせがち、または不足させがち
  • フリマ感覚でギガを安く売り買いしたい
  • スマホ料金を柔軟に節約したい

このような方には不向き

  • 現在利用しているスマホの料金プランに不満がない
  • eSIM非対応の端末を使用している
  • かけ放題オプションが必要なほど電話をかける機会が多い
  • データ通信量を繰り越して使いたい

メルカリモバイルの最大のメリットはギガを売り買いできる機能にあります。これを活用しない場合、他のMVNOと大きな違いはありません。「メルカリ経済圏」を活用するかどうかが、利用するかどうかのポイントになりそうです。

メルカリモバイルを申し込む前に知っておきたい4つのポイント

メルカリモバイルに申し込む前に、一般的な格安SIMと比較して違いがあるかを確認しておきましょう。

【Point① 通信速度】docomo回線で5Gにも対応 速度に不安なし

Google スピードテストの結果画面

▲スピードテストの結果画面

メルカリモバイルはdocomo回線を利用しており、5Gにも対応しています。そのため、対応エリア内であれば安定した通信品質が期待できるでしょう。

実際に、ゴールデンタイムとされる19時以降に都内で回線速度を計測したところ、上り24.3Mbps、下り20.6Mbpsという結果になりました。一般的に5Mbps~30Mbpsの速度があれば、動画視聴やSNS、Web閲覧は快適に利用できるとされているため、標準的な水準といえます。

ただし、通信速度は地域や環境によって変動します。エリアによってはdocomo回線の電波が届きにくい場所もあるため、現在の通信環境と合わないと感じる場合は、今後予定されているau回線の追加対応を待ちましょう。

【Point② 料金プラン】価格帯は一般的 使い方次第で節約可能

メルカリモバイルの料金プランは、2GB:月額990円(税込)、20GB:月額2,390円(税込)の2種類のみと、シンプルな構成です。競合他社と比較しても、一般的な水準といえるでしょう。

データ容量 2GB 3GB 5GB 10GB 15GB 20GB 25GB 30GB
メルカリ 990円 - - - - 2,390円 - -
iijmio 850円 - 950円 1,400円 1,800円 - 2,000円 -
mineo - - 1,518円 1,958円 - 2,178円 - -
楽天モバイル - 1,078円 - - - 2,178円 - -
LINEMO - 990円 - 1,900円 - 2,900円 - 2,970円
ahamo - - - - - - - 2,970円
ワイモバイル - - - - - - - 4,015円

※料金は税込
※2025年3月、アプリブ調べ

料金プランのシンプルさは魅力ではあるものの、選択肢が少ないことで使いにくさを感じる場面もあります。

例えば、メルカリモバイルはデータの繰り越しに対応していないため、追加で購入したギガも翌月に持ち越せず、当月中に消費する必要があります。ギガを販売せずに余らせてしまったり、買いすぎてしまったりすると割高になってしまうでしょう。

また、現在提供されているのは音声通話・SMS対応プランのみで、データ専用SIMは利用できません。データSIMは音声SIMよりも低価格で提供されることが一般的なため、電話番号を必要としない端末で利用する場合はコストパフォーマンスが悪く感じるかもしれません。今後、SIMカードやデータSIMの提供が予定されているため、選択肢の拡充に期待したいところです。

【Point③ オプション】かけ放題なし、最低限の機能が使える

メルカリモバイルはサービス開始直後のため、提供されている機能は最低限にとどまっています。そのため、一般的な格安SIMで提供されているオプションは現時点では利用できません。

今後、以下のオプションが順次拡充される予定のため、現在の機能では不便に感じる場合は、必要なサービスが追加されるまで契約を見送るのもひとつの選択肢でしょう。

今後導入が予定されている機能・オプション

  • 通話定額オプションの導入
  • メルカリならではのおトクなプログラム

【Point④ 管理方法】メルカリモバイルの通信残高はアプリで確認できる

メルカリモバイルのデータ通信残高は、『メルカリ』アプリ内の「マイページ」から簡単に確認できます。別途アプリをインストールする必要がないので、普段からメルカリを利用しているユーザーには直感的に使いやすい仕様です。

メルカリモバイルアクセス方法

また、データ通信量の売買もすべてアプリ内で完結するため、追加の手続きも必要ありません。売買の詳しい手順は、「メルカリモバイルの申し込み~販売・購入方法」で解説しています。

ギガ売買は本当にお得? 調査してみた。

メルカリモバイルの大きな特徴である「ギガの売買」。実際にこの仕組みがどれほどお得なのか、販売・購入それぞれの視点から調査しました。

【販売する側の視点】どれくらいの利益が出る?

メルカリモバイルの公式販売価格は1GBあたり550円。ユーザーが出品できる価格は1GBあたり200~500円の範囲で設定できます。

ただし、実際の取引を見ると、1GB200円で売れ残っているものが多い状況でした。つまり、確実に売るためには、ある程度まとまったギガをできるだけ低価格で販売する必要があるということです。特に、月の前半は買い手が少なく、後半に需要が集中しがちな傾向があります。

例えば、20GBプラン(月額2,390円)を契約し、15GBを3,000円(1GB200円相当)で販売すると、理論上は通信費を大きく抑えられます。しかし、売れる保証はなく、価格競争の影響も大きいため、確実に利益を出すのは難しいです。実際、筆者が確認したところ、10GBの最高値は1,000円、最安値は500円でした。

  • 月額2,390円(20GB) -  売上1,000円✕手数料10% =  実質1,490円(残り10GB)
  • 月額2,390円(20GB) -  売上500円✕手数料10% =  実質1,940円(残り10GB)

この価格帯なら、イオンモバイルやHISモバイルなど格安SIMプランとほぼ同水準です。ただし、ギガを売るには毎月の取引価格をチェックしたり、売れるタイミングを見計らったりする手間がかかるため、手軽に節約できる仕組みとは言い難いでしょう。

【購入する側の視点】タイミング次第ではお得に使える

ギガを購入する側にとっては、最安値で調達できれば非常にお得です。

例えば、2GBプラン(月額990円)に加入し、10GB=500円でギガを購入した場合の合計コストは以下の通りです。

  • 月額990円(2GB)+ 購入費用500円(10GB)= 実質1,490円(12GB分の利用料金)

これは格安SIMの中でも最安クラスの料金といえます。ただし、毎回この価格で購入できる保証はなく、希望する容量の出品がない可能性もあるため、安定してこの料金で利用できるとは断言できません。

結局のところ、ギガ売買を積極的に活用できる人にとっては魅力的な仕組みですが、毎月のやりくりが面倒だと感じるなら、最初から自分に合った格安SIMを選ぶ方が手軽かもしれません。

メルカリモバイルの申し込み~販売・購入方法

メルカリモバイルは、『メルカリ』アプリ内で申込みから利用開始まで完結するのが特徴です。筆者も実際に登録し、ギガの売買まで試してみました。ここでは、申込み方法や販売・購入の手順を解説します。

なお、申込みにあたって、利用できる方の条件があるため、事前に確認しておきましょう。

メルカリモバイルに申し込める方の条件

  • メルカリ会員
  • 18歳以上(保護者名義での未成年者契約は不可)
  • 日本国籍(外国籍の方へのサービス提供は順次拡大予定)
  • 個人の名義で利用する方(法人や個人事業主名義では契約不可)

また、申込みの際に以下のものを用意しておきましょう。

新規・乗り換え(MNP)共通

  • eSIMが利用できる端末
  • NFC機能が利用できる端末
  • マイナンバーカード
  • Wi-Fi(インターネット)環境
  • アプリ『メルカリ』にログインしている端末

乗り換え(MNP)の場合

  • MNP予約番号(契約中の携帯電話会社へ利用者自身が問い合わせて発行が必要)

実際の登録手順は以下の通りです。

申込みの手順

メルカリモバイルの申込みは、『メルカリ』アプリから数分で完了します。

  • メルカリモバイル」のページを開く
  • 「申し込み」→「申し込みする」の順にボタンをタップし、案内に従って必要事項を入力
  • プランを選択する
  • 本人確認(マイナンバーカードのNFC読み取り)
  • 支払い方法を選択(メルカード・メルペイスマート払い)
  • 「タイトル:【要対応】【ステップ1】eSIM発行手続きに進んでください」メールが届いたら、メール内にある「eSIM発行手続きを開く」をタップ
  • eSIMの発行手続きを行う(※)
  • eSIM発行まで10~20分ほど待つ
  • 端末の通信設定を行う

※ EIDの確認方法
iPhoneの場合、『設定』アプリのなかにある「情報」を開いて、EIDを長押しすればコピーできます

「7. eSIMの発行手続き」~「9. 端末の通信設定」の設定方法は以下の通りです。

申込みの手順

申込み完了後、すぐに通信が利用可能になります(MNP転入の場合は、さらに切り替え手続きが必要です)。

ギガの販売・購入する手順

メルカリモバイルで使うギガは『メルカリ』アプリで販売・購入が可能です。

ギガの販売方法

ギガの販売手順
  • マイページで今月のギガ残量を「見る」のボタンをタップ
  • 「売る」ボタンをタップ
  • 販売するデータ容量(GB)と価格を設定
  • 出品を確定すると、他のユーザーが購入できます

ギガの購入方法

ギガの購入手順
  • マイページで今月のギガ残量を「見る」のボタンをタップ
  • 「買う」ボタンをタップ
  • 一覧から希望の容量・価格の出品を選択し、購入を確定

メルカリモバイルに申し込めないときの原因と対処法

メルカリモバイルは、対応していない端末で操作したり設定に誤りがあったりすると申込みを完了できません。ここでは、申込み時につまずきやすいポイントと、それぞれの解決策について解説します。

申し込みページにアクセスできない

メルカリモバイルの申し込みページで「申し込み」ボタンをタップした際に「このページは表示できません」と表示された場合、以下の2点を確認してください。

  • アプリ『メルカリ』が端末にインストールされているか
  • アプリ『メルカリ』にログインしているか

上記を確認したうえで、再度「申し込み」ボタンをタップすると、手続きを進められます。それでも解決しない場合は、アプリの最新バージョンへのアップデートを試してみましょう。

NFC機能でマイナンバーカードが読み取れない

メルカリモバイルの申し込みには、マイナンバーカードを使った本人確認が必要です。iPhoneではNFC機能が自動でONになっているため、手動でON/OFFを切り替えることはできません。

NFCセンサーは、iPhone本体の上部(カメラ付近)に配置されています。カードを正しい位置に当て、動かさずにしばらく保持すると、正常に読み取れるでしょう。それでも認識されない場合は、以下の対策を試してみてください。

  • iPhoneのケースやカバーを外す
  • 机の上に置くなど、端末を安定させた状態で操作する
  • アプリを再起動して、もう一度試す

それでも読み取れない場合は、時間をおいて試してみましょう。

持っている端末がeSIM対応かわからない

メルカリモバイルを利用するには、eSIM対応の端末が必要です。iPhoneの場合、2018年9月21日に発売されたiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降の機種であれば、eSIMに対応しています。

Android端末は機種ごとに対応状況が異なるため、端末の仕様を確認するか、キャリアの公式情報をチェックするとよいでしょう。

また、iPhoneがeSIM対応かどうかを簡単に確認する方法として、以下の手順があります。

簡単なEID確認方法
  • 電話アプリを開く
  • 「*#06#」と入力し、通話ボタンを押す
  • 表示される情報に EID(eSIM Identifier) の項目があれば、eSIM対応端末

上記の方法でEIDが表示されない場合、その端末はeSIMに対応していない可能性があります。

Androidで申し込む方法は?

2025年3月4日現在、Android端末ではメルカリモバイルの申し込みページにアクセスできません。 また、iPhoneで契約したeSIMをAndroidに移行することもできません。

ただし、公式発表ではAndroid対応は順次開始予定とされています。対応が開始されるまで、しばらく待ちましょう。

毎月のデータ通信量の傾向から、お得かどうかを判断したほうがよさそう

これまで、テザリングを利用して家族や知人とデータ通信量を共有することは一般的でしたが、メルカリモバイルでは、面識のない個人同士でギガを売買できる仕組みが提供されています。これは画期的なサービスではあるものの、どれだけの方が実際に利用するかは未知数です。

実際、通信料金の節約を考える場合、必ずしも「ギガを売買できること」が最適とは限りません。例えば、iijmioでは2GBが月額850円(税込)で利用でき、1GBあたり220円で追加購入も可能です。さらに、データの繰り越しにも対応しているため、リモートワーク中心でWi-Fi環境を活用するライフスタイルなら、このプランで十分という方もいるでしょう。

一方で、外出が多く、毎月20GB以上のデータ通信が必要な場合はどうでしょうか。iijmioの35GB SMS付きプランは、メルカリモバイルの20GBプランとほぼ同価格の月額2,380円(税込)で利用可能です。そのため、ギガを売買する手間をかけるよりも、最初から自分に合ったプランを選ぶ方が合理的な場合もあります。

もちろん、メルカリモバイルの「ギガを売買できる仕組み」には新たな可能性があり、今後の成長も期待されます。しかし、「ギガが余ったときに売ればお得」という前提で契約するのは慎重に考えたほうがよいでしょう。毎月のデータ使用量を把握し、適切なプランを選ぶことが、結果的に手間を減らし、コストを抑える最善策となるかもしれません。

(文・かがわまなみ)

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※1:調査期間:2024年7月26日~7月29日、調査方法:外部機関によるインターネットリサーチ、回答者:18~69歳の男女 522人
※2:調査期間:2025年2月12日~2月14日、調査方法:外部機関によるインターネットリサーチ、回答数:18~69歳の男女 1,242人/毎月ご自身のデータ使用量を把握している人への質問

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