強力な変換機能などを備えたGoogleの多言語キーボードアプリ『Gboard(ジーボード)』。しかしキーボードアプリは他にもたくさんあり、またAndroidでは同じGoogleの『Google 日本語入力』があるため、どれを使うべきか迷うのが悩みの種。

結論から言うと『Gboard』は文字入力のしやすさだけでなく、幅広いカスタマイズ機能を備えた万能キーボードで、ぜひ一度試してもらいたいアプリです。

本記事では『Gboard』の機能、『Google 日本語入力』との違い、使い方を解説します。どうぞ参考にしてください。

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『Gboard』とはGoogleの多言語キーボード。日本語にも対応

『Gboard』はiOS、Androidの両OSでリリースされているGoogle謹製の多言語キーボードアプリ。価格は無料。リリースはAndroid版が2015年、iOS版が2016年。リリース当初は日本語に非対応でしたが、2017年に日本語入力に対応しました。

『Gboard』の起動画面

▲見た目はオーソドックスなキーボード。予測変換欄左に配置された「G」ボタンに秘密あり。

『Gboard』言語選択画面

▲日本語、英語、韓国語、アラビア語など数百もの言語に対応している。

『Gboard』の特長・メリット

強力な変換機能。有名人や難読地名も一発変換

『Gboard』などGoogle製キーボード最大の特長は、とにかく強力な変換機能。歴史上の人物、有名人、難読地名など様々な固有名詞を一発変換してくれます。

Google以外のキーボードの変換機能も進歩しているものの、Google製が一歩先を行っている印象です。

『Gboard』を使い、さいとう姓の有名人を列挙

▲微妙な漢字違いの多い「さいとう」姓の有名人を列挙するとこの通り。斉、斎、齊の漢字を正しく使い分けてくれる。

『Gboard』を使い、難読地名を列挙

▲難読地名も読み方そのままで変換可能。別の読み方を入力する必要なし。

豊富な機能と幅広いカスタマイズ性

『Gboard』ではオーソドックスな12キー配列、QWERTY配列のほか、キーボードをなぞって文字を入力するグライド入力(日本語は非対応)、手書き入力などさまざまな入力方式に対応しています。

また文字入力だけでなく、キーボードからのGoogle検索、テーマ(キーボードデザイン)の変更などの機能もあり、ユーザーを多方面からサポートしてくれます。

「グライド入力」のGIF

▲キーボードをなぞって英単語を入力する「グライド入力」。おおよそのなぞり方でもしっかり識別してくれる。

『Gboard』の検索機能

▲キーボード上でGoogle検索ができる。検索結果のURLの貼り付けや、ブラウザの起動も可能。

『Gboard』のテーマを変えた様子

▲デザイン重視派にも嬉しいテーマ変更機能。プリセットの画像のほか、手持ちの画像も使用可能。

iOS(iPadOS)・Androidの両対応

『Google 日本語入力』はAndroidのみですが、『Gboard』はiOS(iPadOS)にも対応しており、多くのスマホユーザーが利用できます。

Gboard - Google キーボード

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『Gboard』と『Google日本語入力』の違い

日本語入力に対応したことで、『Google 日本語入力』と同様の機能が実装された『Gboard』。ですが細かい機能を確認すると、『Gboard』では『Google 日本語入力』にはない機能がたくさんあります。

『Gboard』の方が多機能さと拡張性に優れ、Google日本語入力はシンプルに日本語入力にまとめられた印象。主な違いは以下の通りです。

●iOS版/Android版共通
・『Gboard』は多言語、『Google 日本語入力』は日本語のみ
・『Gboard』はiOS、Androidの両対応。『Google 日本語入力』はAndroidのみ
・12キー入力レイアウトの違い。『Gboard』ではフリック先の文字が表示されない
・『Gboard』は「グライド入力」が使える(日本語は非対応)
・『Gboard』はキーボード上でGoogle検索が可能
・『Gboard』はアプリ内に用意されたステッカーやGIFを貼り付けられる

●Android版『Gboard』限定の機能
・コピーしたテキストを保管する「クリップボード」機能がある
・手書き入力、モールス符号入力が使える
・キーボードの位置を自由に調整できる「フローティング」機能が使える
・テキストの同時翻訳機能が使える
・コピーや貼り付けに便利なテキスト編集機能が使える

『Gboard』のステッカー使用画像

▲『Gboard』にはアプリ内にステッカーやGIFが用意されており、LINEなど画像を挿入できるアプリで自由に使える。

『Gboard』と『Google 日本語入力』のキーボード比較

▲Android版『Gboard』と『Google 日本語入力』の比較。『Gboard』はフリック先の文字が表示されないが、『Google 日本語入力』は表示されている。

『Gboard』の使い方

『Gboard』の特長と『Google 日本語入力』との違いを把握したところで、『Gboard』の使い方を確認していきましょう。最初のインストール方法から便利な使い方まで、一個ずつ解説していきます。

※本記事では主にiOS版を使い、必要に応じてAndroid版を使います。

『Gboard』のインストール、初期設定

まずはApp Store(iOS)、もしくはGoogle Play ストア(Android)から『Gboard』のアプリをインストールしましょう。

Gboard - Google キーボード

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アプリをインストールすれば自動的にキーボードが使えるようになりますが、『Gboard』の検索機能を使用可能にするためには、フルアクセスの有効化が必要です。特に難しいことはなく、『Gboard』を開いて画面の指示どおりに操作すればOKです。

『Gboard』設定画面

▲『Gboard』のアプリを起動。[フルアクセスの有効化]をタップ。

『Gboard』フルアクセスの有効化の案内画面

▲画面の指示通りに、[使ってみる]→[キーボード]→[フルアクセスを許可]の順にタップ。

『Gboard』設定完了画面

▲これで初回設定が完了。

Android版『Gboard』の初回設定画面

▲AndroidではiOSとは画面デザインが異なるが、画面の指示に従えばいいという点は同じ。

設定画面の起動方法

言語の追加やテーマの変更などは設定画面から行います。設定画面は『Gboard』のアプリアイコンをタップすればすぐ起動します。

iOSの場合

『Gboard』設定画面の起動方法

▲アプリ一覧から『Gboard』のアイコンをタップすれば、すぐ設定画面が開く。

またキーボードから設定画面を呼び出す方法もあります。iOSの場合はキーボード左下の地球儀のボタンを長押し→「設定」まで指をスライドすれば設定画面が開きます。

地球儀のボタンを長押し

▲キーボード左下の地球儀(切り替えボタン)を長押し。

「設定」までスライド

▲画面を押したまま、「設定まで」指を移動させて離す。

Androidの場合

Androidでキーボードから設定を呼び出す場合は、地球儀ではなくキーボード左下の「あa1(設定によっては「あa」)」ボタンを長押し→歯車のアイコンまで指をスライドすると設定画面が開きます。

Android版ではアプリ一覧画面に『Gboard』が表示されないことがあるので、この方法はぜひ覚えておきましょう。

Android版『Gboard』画面

▲キーボード左下の切り替えボタン(あa1)を長押し→歯車のアイコンまでスライドすれば設定画面を開ける。

『Gboard』の言語追加方法

『Gboard』は数百もの言語に対応した多言語キーボード。iOS版は日本語、Android版は英語のキーボードが設定されていますが、設定で言語の追加が可能です(iOS版は3言語まで)。

『Gboard』設定画面ホーム

▲『Gboard』のアプリを開き、[言語]をタップ。

『Gboard』言語追加画面

▲[言語を追加]をタップし、追加したいキーボードの言語を選択すればOK。

各種設定

キーボードの配列(レイアウト)を変える

デフォルトではテンキー状にボタンが配置された「12キー」配列になっていますが、PC(パソコン)のようなQWERTY配列などに切り替えができます。

[言語]をタップ

▲設定画面で[言語]をタップ。

配列を変えたいキーボードをタップ

▲配列を変えたいキーボードをタップ。

使いたい配列を選択

▲使いたい配列を選択すれば変更完了。同じ12キーでもフリックのみなど、細かく分類されている。

Android版『Gboard』のキーボードレイアウト画面

▲Android版の場合は設定を開き、「言語」→「レイアウトを変えたいキーボード」の順にタップし、好きなレイアウトを選択。

テーマを変える

テーマ(キーボードの背景)の変更は、設定画面を開き「テーマ」をタップ→使いたいテーマを選択するとできます。

「テーマ」をタップ

▲設定画面の「テーマ」をタップ。

テーマ選択画面

▲使いたいテーマを選択。「カスタム」で手持ちの画像を使用可能。

便利機能

単語リスト(辞書登録)

『Gboard』には元から優秀な変換機能を備えていますが、自分で単語リスト(辞書)の作成もできます。

iOSの場合はスマホの本体設定の辞書と連動しています。辞書を登録したい時は、『設定』→「一般」→「キーボード」→「ユーザ辞書」の順にタップしていき、辞書画面を起動。そのあとは下記画像の手順で単語を登録しましょう。

iOSのユーザー辞書画面

▲ユーザ辞書画面右上の「+」をタップ。

ユーザ辞書登録画面

▲登録したい単語と読み方を入力して、「保存」をタップすれば登録完了。

Androidの場合は『Gboard』の設定画面に「単語リスト」があるので、そこから登録を行えます。

Android版『Gboard』の設定画面

▲設定画面から「単語リスト」を選択。

Android版『Gboard』単語登録画面

▲「単語リスト」→単語を登録したい言語を選択して登録画面を起動。登録する単語と読み方を入力すれば完了。

スマホのユーザー辞書を活用して入力時間を短縮! 便利な登録例 - Appliv TOPICS

検索機能

『Gboard』の大きな特長として、キーボード上で検索が行えます。使い方は簡単で、予測変換欄左の「G」ボタンをタップして検索したいワードを入力するだけです。

またiOS版ではGoogle検索のほか、YouTube検索やマップ検索にも対応しています。

「G」ボタンをタップ

▲予測変換欄左の「G」ボタンをタップ。

検索したいワードを入力

▲ブラウザと同様に、検索したいワードを入力。

検索結果画面

▲すると検索結果が表示される。左下の「共有」ボタンでページのタイトルとURLのコピー、右下のアイコンからブラウザを起動できる。

グライド入力

日本語には非対応ですが、『Gboard』ではタップではなく、スライドで単語を入力できる「グライド入力」が使用可能です。長い単語でも認識してくれるため、精度は良好。外国語を入力する際はぜひ活用したい機能です。

『Gboard』のキーボードの設定画面

▲設定画面を開き、「キーボードの設定」をタップ。「グライド入力」のトグルをONに。

グライド入力のGIF

▲英語などの対応キーボードでグライド入力が使用可能に。

Android版『Gboard』の設定画面

▲Android版では設定画面のトップに「グライド入力」があるので、そこから有効化すればOK。

手書き入力(Android限定)

Android版限定ですが、手書き入力が搭載されています。こちらは日本語にも対応。読めない漢字を入力したい時に便利な機能です。

手書き入力は、『設定』→「日本語」とタップしてキーボードの設定画面を開き、「手書き」を追加すれば使用可能になります。

Android版『Gboard』のキーボード設定画面

▲キーボードの設定画面で、「手書き」を追加。

『Gboard』で手書き中の画面

▲手書き入力キーボードを開き、文字を手書きすればOK。ちなみに画像中の漢字は篁(たかむら)。

クリップボード(Android版のみ)

過去にコピーや切り取りをしたテキストが、『Gboard』のクリップボード内に記録されており、振り返ってペーストができます。過去の履歴を参照したい時に便利な機能。クリップボード開き方は以下の画像の通りで、「G」ボタンをタップ→クリップボードのアイコンをタップです。

「G」ボタンをタップ

▲予測変換欄左の「G」ボタンをタップ。

クリップボードのアイコンをタップ

▲ボタンクリップボード型のアイコンをタップ。

クリップボード起動中の画面

▲クリップボードが起動され、過去にコピーしたテキストが表示される。必要であればテキストの固定化も可能。

フローティング(Android限定)

フローティングは、キーボードの位置や大きさを自由に調節できる機能。入力した文字がキーボードで隠れてしまう時に便利な機能です。フローティングの起動は検索やクリップボードと同様に「G」ボタンから。「G」ボタン→…(三点リーダー)→「フローティング」の順番にタップすればOKです。

…(三点リーダー)をタップ

▲「G」ボタンをタップし「…」をタップ。

「フローティング」をタップ

▲「フローティング」をタップ。

フローティング中のキーボード

▲キーボードがフローティング状態になり、位置と大きさを自由に変えられるように。

横画面時のフローティング

▲フローティングは横画面の時にも便利。横持ちで片手入力が可能。

同時翻訳(Androidのみ)

多言語キーボードの『Gboard』では、テキストを入力しながら同時に翻訳もできます。たとえば「こんにちは」と入力すると自動的に「Hello」と翻訳されるのです。

同時翻訳は「G」ボタン→…(三点リーダー)→「翻訳」の順番にタップすると利用可能です。

三点リーダーをタップ→「翻訳」をタップ

▲「G」ボタン→…(三点リーダー)→「翻訳」の順番にタップ。

実際に『Gboard』で自動翻訳を使った様子

▲日本語で打ったテキストが、自動的に英語翻訳される。逆も可能。

テキストの編集機能(Androidのみ)

画面の小さいスマホだと、文字入力カーソルの移動やコピー&ペーストする際の範囲指定がちょっと大変。『Gboard』にはそれを補助してくれる編集機能が付いており、矢印キーを使って正確にテキストのコピーやペーストが行えます。

やり方は「G」ボタン→…(三点リーダー)→「翻訳」の順番にタップです。

三点リーダーをタップ→「テキスト編集」をタップ

▲「G」ボタン→…(三点リーダー)→「テキスト編集」の順番にタップ。

実際にテキスト編集機能を使った様子

▲キーボードがテキスト選択の専用ボタンに変わり、細かい範囲指定やコピー&ペーストが可能に。

『Gboard』の削除(アンインストール)

もし『Gboard』を削除したい場合は、アプリをアンインストールするだけでOKです。ただしGoogle Pixel 3など、デフォルトで『Gboard』が用意されているスマホでは削除が不可能となっています。

iPhoneで『Gboard』アンインストールを試みた画面

▲アプリをアンインストールすれば、自動的にキーボードも削除される。

Google Pixel 3で『Gboard』アンインストールを試みた画面

▲デフォルトで『Gboard』が搭載されているスマホの場合、アンインストールしようとしてもアップデートが削除されるだけ。

シンプルだけど奥が深い万能キーボード『Gboard』

単純に日本語入力をするだけであれば、iOSならデフォルトのキーボード、Androidなら『Google 日本語入力』で十分事足ります。

ですが『Gboard』は『Google 日本語入力』のほぼ全ての機能を内包しつつ、多言語対応、検索機能、Android限定ですがフローティングなど使いこなすと便利な機能が盛りだくさん。シンプルな中にも確かな可能性を秘めているのです。

今使っているキーボードに物足りなさを感じたら、ぜひ一度試してみてください。

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