Appliv編集部が気になる開発企業さんへインタビュー。今回はARとAIによるリアルタイム雨情報で防災に役立つ気象アプリ『アメミル』を開発する株式会社島津ビジネスシステムズさんにお話を伺いました。
開発会社:株式会社島津ビジネスシステムズ(有本 淳吾様、片岡央志様)
【インタビュー】気象のプロが開発、ARで天気を体験できるアプリ『アメミル』
ー「アメミル」について教えてください。
「アメミル」は、ゲリラ豪雨を予測しリアルタイムで降雨情報を通知するアプリです。
いま、地球温暖化でゲリラ豪雨の頻度がどんどん高まっていて、気象庁が発表する情報によると、1980年頃と比較してゲリラ豪雨が2倍近く増加し、今後もさらに増加するだろうと予測されているんです。
そうした状況なので、降雨情報に対する需要も今後高まっていくだろうと思い、「アメミル」を提供しています。
また、開発と企画に関わっているメンバーのほとんどが、気象予報士の資格を持っていて、気象に関する専門的知識を活かし、このアプリ開発にあたっています。
ー気象のプロが開発したアプリなんですね。一番の特徴は何ですか?
天気をAR(拡張現実)で表現しているところです。他のアプリですと、地図上で雨雲レーダーを見ることが多いと思いますが、ARにすることで、どの方角からどんな雨が迫っているのかを感覚的に捉えやすくなっています。
マップのレーダーも情報としては完結しているんですが、「アメミル」ではデータを可視化することでユーザーさんがリアルに体験できるところを目指しています。
また、イメージだけではなく、AIを活用してテキストでの情報も同時に提供しています。このAIは実際の気象予報士の知見を学習させ、予報士による解説とほぼ同等のレベルで伝えられるクオリティのものになります。
ーユーザーさんはどのようにアプリを使っていますか?
普段バイク・自転車に乗る方やアウトドアを楽しむ方が多いですね。移動中や外にいる時間帯で、いつ雨が降ってくるのかを知りたいニーズが強いからだと思います。
使い方としては、ゲリラ豪雨の通知を受け取り、アプリを起動して、マップやARで雨の様子を見るのが一般的です。この通知機能が便利で、精度が高いとユーザーさんからは高評価を頂いています。
都心でゲリラ豪雨が降ったときには、一斉に通知が飛び、同時に何万人ものユーザーさんがアクセスするので、通知直後にサーバーが落ちないようにするため気を付けているんです。
他にも、出かける前に1日の天気の様子を早送りで見て、その日の予定を変更するなどの使い方をされている方が多いですね。
ー「アメミル」の開発でこだわった機能があれば教えてください。
iOSの「ライブアクティビティ(Live Activity)」ですね。iPhoneのロック画面上に、アプリで現在進行中のイベントやタスクが表示できる機能のことです。
この機能を活用し、「アメミル」では現在地周辺の雨や雷の情報が1分ごとに見られるようになりました。アプリを一度起動すれば、ロック画面からリアルタイムで状況やこの先の雨・落雷予想をチェックすることが可能です。
開発チームでは、OSのアップデートで新しく追加される機能を常にキャッチアップしていて、新しい技術はどんどん取り入れ、いち早く対応しようと動いているんです。
ライブアクティビティ以外にも、ウィジェット機能など、ユーザーさんにとって便利になるものはなるべく早く対応できるよう心がけています。
ー常に新しい技術にチャレンジしているのですね。他にも便利な機能があれば教えてください。
気象庁が発表している「キキクル」という大雨による災害の危険度を知らせる通知を配信しています。
大雨による災害の危険度を示した重要な情報なので、マナーモードにしていたとしても、危険が迫った時には強制的にお知らせが来る仕様です。
ー「アメミル」の無料と有料版ではどのような違いがありますか?
iOSの有料版を購入頂けると36時間先までの雨の予想がマップとARで確認できるようになります。
また、GPS追跡モードという機能が利用でき、自分の現在地に雨が近づいたら通知が届くサービスになります。
無料の場合は、予め地点を設定しておき、指定の地点に雨が近づいた時にのみ通知されるのですが、外での移動が多いiPhoneユーザーさんには有料版がおすすめです。無料トライアル期間を用意していて、最初の2週間は無料で使えるのでぜひ試してみてください。
Androidの有料版は内容が少し異なり、15時間先までの情報が確認でき、GPS追従モードはございません。(各OSの機能について、詳しくは公式サイトにてご確認ください。)
ー「アメミル」の今後の展望を教えてください。
一番の特徴であるARを改善していこうと計画中です。現在の「アメミル」で表現しているのは雨と雷ですが、台風や風、浸水などもビジュアル化して再現できるようにしたいと考えているんですよね。
これからもユーザーさんにとって分かりやすい・伝わりやすい気象情報を届けられるよう、3Dで表現するのが難しい情報にチャレンジしていきたいと思います。
また、私たちは「アメミル」以外にもアプリを開発していて、最近「はれほす」という地球温暖化を防ぐために私たちができることを考え、SDGsに貢献できることをコンセプトに、毎日の洗濯で地球環境に貢献できるアプリを開発しました。
こちらもぜひみなさんに使ってみて頂きたいですね。