テキスト通話アプリ『Jiffcy(ジフシー)』。これまでiOS版のみの提供でしたが、2025年7月30日、待望のAndroid版がリリースされました。

今回のリリースにあわせ、編集部では株式会社穴熊代表である西村成城社長にもインタビューを実施。『Jiffcy』の基本解説やユーザーの生の声、アプリの使用レビューとともに、今後の展望についても詳しくお伝えします。

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Jiffcy ジフシー テキスト通話アプリ

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『Jiffcy』が生み出した新しいコミュニケーション「テキスト通話」とは

すでにZ世代のiPhoneユーザー間で広まっている『Jiffcy』。最大の特徴は、「テキスト通話」という独自のコミュニケーション方式です。音声通話のように相手を呼び出し、応答してもらった後は、お互いの文字入力がリアルタイムで画面に表示されます。

従来のメッセージアプリでは、相手の「入力中...」という表示が見えることがあっても、実際に何を打っているかは送信されるまでわかりません。しかし『Jiffcy』では、相手が1文字打つたびに、その文字が自分の画面にも同時に表示されるため、入力中に相づちを打つことも可能。まるで目の前で会話しているような臨場感あるやりとりができ、1通話で10分以上続くケースもあるといいます。

LINEや音声通話と『Jiffcy』の違い

既存のツールと異なる以下の点が『Jiffcy』の強みとなっており、こうした使いやすさから利用者が増えています。

音声通話との違い

  • 声を出す必要がないため、乗り物内や、深夜のような静かな時間帯でも使用できる
  • テキストなので、まわりが騒がしい場合も会話しやすい
  • 音声通話するほどではないが急ぎ返事が欲しいときに連絡を取りやすい
  • メッセージアプリ同様、画像も送れる

LINEなどのメッセージアプリとの違い

  • 相手の返信を待つ時間が不要
  • リアルタイムでやりとりできるため会話のテンポが良い
  • 通話のように相手を呼び出してから始まる
  • 直接応答して会話するので、未読が溜まらない

なぜ今『Jiffcy』が注目されているのか

『Jiffcy』が注目を集める背景には、現代のコミュニケーション環境の変化が大きく関係しています。

通話ができない日常シーンが増えた

コロナ禍を経て、公共の場所や交通機関での通話はこれまで以上に敬遠されています。また、実家暮らしの若者も多いため、家族の在宅中にプライベートな音声通話をすることの難しさも、テキスト通話が広がったきっかけとなっているようです。

「相手の時間を奪う」ことへの過度な配慮

Z世代・α世代を中心に、音声通話を「相手の時間を奪うもの」として避ける傾向があり、リアルタイムでやりとりのできる代替策が求められています。そのような中で電話ほど重くなく、でもリアルタイムにやりとりできる「絶妙な伝達手段」として『Jiffcy』のようなテキスト通話の需要が高まっているのです。

深刻な「未読ストレス」

さらに、LINEなどのメッセージアプリでよく見られる「未読ストレス」も背景のひとつ。返信タイミングに悩んだり、未読メッセージの蓄積にプレッシャーを感じたりするユーザーにとって、やりとりがその場で完結する『Jiffcy』のテキスト通話は理想的な選択肢といえるでしょう。

障害や環境の制約を超えたツールとしての利用

『Jiffcy』のテキスト通話は、聴覚障害を持つ方や発声が困難な方の有効な通話代替手段として活用され始めているそう。今後は、災害時の避難所のようにプライバシーが確保しにくい状況でも役立つツールとして期待されています。

Z世代は『Jiffcy』をどう使う?

編集部では、実際に『Jiffcy』を使っている10~20代の若者たちによるトークセッションを取材。活用の実態を探りました。

連絡手段の使い分け

LINE:家族や親しい友人との日常連絡やバイトの業務連絡
InstagramのDM:LINE交換するほどではない知人との連絡(ただし通知が埋もれやすい)
Jiffcy: 恋人や特に親しい友人と。電話と同じくらい気づきやすく、応答率が高い

相手への配慮から通話を敬遠する一方で、同期的なやりとり自体は若年層も求めています。そのため『Jiffcy』は、リアルタイムで会話したいときに選べる「ちょうどいいもの」という立ち位置となっており、LINEなどとも使い分けされているようです。

よく使うシーン

相手の状況を気にせず連絡したいとき(電話のような、出なかったときの気まずさがない)
感情を正確に伝えたいとき(対面のコミュニケーションに近い雰囲気を再現できる)

特に印象的だったのは「Jiffcyを使うとケンカにならない」という声でした。
従来のLINEなどでは、文章に句点をつけるか迷ったり、絵文字の選択に神経を使ったりと、誤解を与えないためのコミュニケーションに疲弊していましたが、『Jiffcy』ではリアルタイムによる「入力の『間』」により対面会話のように感情が伝わりやすく、誤解が生まれにくいそう。そのため、通話がしにくい日常シーンで使うのはもちろん、上記のようなシチュエーションでも『Jiffcy』がツールとして選ばれているようです。

とはいえ、入力が遅いと相手を待たせたり、打っている間に会話が流れたりするという懸念も。また、テキスト通話のメリットも感じる反面、「声でしか表せない感情」は伝わりにくいこともあると、忌憚のない意見が聞かれました。

『Jiffcy』の使い方と設定手順

待ちに待ったAndroid版の登場で、『Jiffcy』はさらに多くのユーザーに使われそうですよね。まずはアプリを設定して、使い方を見ていきましょう。

※以下、画像キャプチャは特筆がない限りAndroid版を使用しています

アプリの初期設定方法

  • STEP1

    ストアからダウンロード

    まずはアプリをインストール。Android、iOSともにこのページからダウンロード可能です。

  • STEP2

    本人確認手続き

    『Jiffcy』本人確認手続き画面

    初回起動時は、AndroidもiOSも電話番号認証による本人確認が必要です(画像はAndroidの例)。SMS認証コードが送られてきたら、番号を入力します。

  • STEP3

    プロフィール設定

    『Jiffcy』プロフィール設定画面

    続いて、プロフィール設定画面に移行したら、名前を入力。あとは画面指示に従いマイク使用や通知の許可、性別や職業、誕生日などを設定しましょう。最後に出てきた人型の+マークをタップしてアイコン画像を設定すれば『Jiffcy』を使い始めることができます。

テキスト通話の流れ

  • STEP1

    友達を登録する

    『Jiffcy』友だち登録の流れ

    ▲Android版の流れ

    プロフィール登録後のTOP画面にある「友達を追加」もしくは右上の「人型+」マークをタップしましょう。LINE、Instagram、Xを使って自分のidを誰かに送りたい場合は、それぞれのアイコンをタップすると送ることができます。メール等で送りたい場合は右の矢印の付いたアイコンから送りましょう。
    iPhoneの場合は連絡先と同期できる画面が出てくるので、そこからも送ることができます。

    また、登録したい相手のidを知っている場合は、画像のように虫眼鏡マークをタップすると、id入力画面が出てくるので、そこから登録が可能です。相手には通知が行くので、承認を待ちましょう。

  • STEP2

    通話相手を選ぶ

    『Jiffcy』通話の流れ

    テキスト通話を開始する際は、TOP画面から通話したい相手のアイコンを真ん中の○に移動させ、下部の受話器マークのボタンをタップ。相手が応答すると、すぐにテキスト入力画面に切り替わります。

  • STEP3

    テキストを入力して会話

    『Jiffcy』テキスト通話入力画面

    ▲左:ローマ字入力の途中経過もよくわかる 右:画像中央に文字が表示された例。ちなみにキーボードを非表示にするとメッセージエリアは上下に広がる

    画面上に相手の入力エリア、下に自分のエリアが分かれて表示されます。誤字脱字があってもリアルタイムで訂正している様子が見え、なんだかほっこりしてしまう場面も。
    また、画像も添付でき、文字は画像の上に入力できます。相手の画像はタップすれば拡大表示されますが、ダウンロードすることはできません。

  • STEP4

    通話終了

    最後はスマホのバックボタンか、画面左上の「←」をタップすれば通話は終了です。

Android版ではまだグループ通話はできない

iPhone版Jiffcyのグループ通話作成画面

▲iPhone版Jiffcyでグループ通話を設定しようとしたが、友達がいないと表示された

これまで見てきたように、Android版もiOS版も、設定方法や基本機能はほぼ同じです。ただし、グループ通話は2025年7月30日のリリース時点ではAndroid版には未実装のため、iPhoneからグループを作成しようとしても、上の画像のように、Androidユーザーのアカウントは表示されません。
なお、グループ通話機能はAndroid版でも2025年中に追加される予定です。

西村成城社長インタビュー「Android版リリースの舞台裏と今後の展望」

Android版リリースを記念して、『Jiffcy』を手掛ける株式会社穴熊の西村成城社長に、開発の舞台裏や今後の展望について詳しくお話を伺いました。前回のインタビューから約8ヵ月が経ち、『Jiffcy』はどのような進化を遂げているのでしょうか。

株式会社穴熊 代表取締役CEO 西村成城氏

株式会社穴熊 代表取締役CEO 西村成城氏

――Android版開発で最も苦労した点は何でしたか?

Android版開発で最も苦労した点は大きく2つありました。
1つめは、デザインの一貫性を保つこと。AndroidはiOSと違い、デバイス間のデザインが大きく異なります。「Jiffcyである」という一貫性を保ちつつ、各デバイスで自然なデザインとなるよう調整しました。

2つめはテキスト通話機能の実装です。これは新しい概念の機能なので、Androidで実現できるかどうかは不確かだったのですが、今回、Android版開発をするため調査を入念に行い、開発に全力で取り組んだことで、無事テキスト通話機能を実現することができました。

――Androidユーザーを取り巻く状況で、印象的だったことはありますか?

家族や友人グループの中に1人でもAndroidユーザーがいると、iPhoneユーザーも『Jiffcy』を使わないケースが多いのは印象的でした。iPhoneユーザー同士だけで使うこともできるはずですが、実際には「みんなが使える状態」でなければ、利用を始めない傾向があるようです。

『Jiffcy』は親しい人とのコミュニケーションに向いているからこそ、「仲間はずれにしたくない」「使うならみんなで」という感覚が自然と生まれるのだと思います。Androidユーザーからは「早く仲間と使いたいからAndroid版を急いで出してほしい」という声を数多くいただいていたので、ようやく期待に応えられました。

――Android版リリースにより、海外での展開も変わってきそうですね。

そうですね、海外は日本と比べてAndroidユーザー比率が高いため、海外でいっそう広がりやすくなると考えています。
Androidのアプリ配信プラットフォームであるGoogle Playは、iOSのアプリ配信プラットフォームであるApp Storeより多くの言語に対応していますから、『Jiffcy』もそれに合わせ、より多くの国・言語に配信を開始する予定です。

――2025年下期、あるいは2026年度に予定されている新機能はありますか?

2025年下期には、Android版のグループ通話機能をまずリリースします。その後は、テキスト入力時の感情表現を補助できるスタンプ機能や、画像や動画を用いた革新的な機能も準備しています。
また、2026年には音声通話機能にも踏み込み、音声通話とテキスト通話のクロスコミュニケーション機能も予定していますので、ご期待ください。

『Jiffcy』を使って気づいたこと

『Jiffcy』は非常に完成度の高いアプリですが、実際に使ってみるといくつか気になるポイントがありました。

トーク履歴は便利だが、時系列のズレが生じることも

『Jiffcy』トーク履歴画面

会話した内容が残らない仕様だった時期もありましたが、現在はトーク履歴が保存されるようになっており、TOP画面右上の吹き出しマークから確認ができます。画像は履歴に残りませんが、買い物リストや待ち合わせのやりとりを後から確認できるのは便利ですね。

ただ、履歴の中で実際の会話と履歴の会話の時系列が入れ替わっている箇所がありました。画像の会話の上から3つめ「おまえガナー」は、相手が「誕生日おめでとう」と入力しているのを見て、返事として打ったものでしたが、履歴では「誕生日おめでとう」より上に記録されています。
これはおそらく、入力エリア右下のくるくる矢印(リロードボタン)を押した順に会話が記録されたからと思われます。ちょっと会話を見返したい程度ならこのくらいのズレは問題なさそうですが、正確なログとして使いたい場合は注意しましょう。

なお、相手に電話をかけなくても、このトーク画面をメッセージアプリのように使うことも可能でした。ただ、通話中ではないため、相手が通知に気づくまでは未読状態となります。

意図せず通話が切れることがある

テキストを送っても相手の反応がなくなる──そのようなときは、通話が切れている可能性があります。音声通話と違って途切れたことに気づきにくく、バックボタン操作や他アプリへの切り替えなどで通話が終了してしまうケースもありました。

通話が切れている間に送ったテキストは履歴に残らないため、再接続後に内容を再送する必要があります。切断時に通知があればより便利だと感じました。

『Jiffcy』が切り開く新しい会話のカタチ

西村社長へのインタビューからもわかるとおり、『Jiffcy』はさらに魅力的なアプリになる可能性を秘めています。Androidユーザーも利用可能になった今後、「声を出さない通話」という新しいコミュニケーションスタイルがさらにどのように社会に浸透していくのか、その動向に引き続き注目ですね。

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