SNS市場が騒がしい。
2024年も世間を騒がせてはいましたが、今年になっても全然収まる気配がありません。
本日、私のニュースサイト画面もこんな感じです。
2025年、Xはどうなる? SNS市場の現在と未来
この記事ではアプリ専門サイトアプリブの編集者として、SNSアプリ市場がどのように騒がしいのか、また、今後、どのような状態になっていくのかをまとめていきます。
※記事に登場するアプリの詳しい機能説明は割愛しています。名称がリンクになっているので、ぜひそちらでご確認ください。
SNSといっても幅広い。騒がしいのは特にテキスト配信系SNS
まずSNS市場を語るにあたって前提を整理しておきます。
SNSとは人々がインターネット上でつながり、双方向に情報やコンテンツを共有できるサービスです。
そして、このSNSを利用者の主目的で分けると以下のようになるのではないでしょうか。
この中で、1番騒がしいのは『X』を中心としたテキスト配信型SNSで、続いて『TikTok』の動画配信型SNSという感じでしょう。
ここではテキスト配信型SNSについての話をしていこうと思います。
Xの乱? テキスト配信型SNSに何が起こっているのか
さて、長くなりましたが、本題です。騒ぎを起こしている中心のアプリの名前から「Xの乱」と名付けてみました。
では、Xは実際、どのような騒ぎを起こしているのか。
Xの騒ぎは大きく「X自身がこれまでのXから変わろうとする脱X」と「社長の動向やプライバシーポリシーの変更などに影響を受けた人たちのX離れ」の2つに分けられるのではないでしょうか。
X社の向かう先は必ずしもすべての人にポジではない
Xは2024年に動画サービス『X TV』をリリース。また、今年の元日には金融サービスの『
X Money』の年内リリースを発表。もはやX社はテキスト配信のSNSから、生活に密着したサービスに変わろうとしているように感じます。
そして、もちろん、既存のテキスト投稿機能についても有料で長文が書けるようになったり、プライバシー保護の一環で全ユーザーの「いいね」タブが非公開になったり、ほかにもメディアタブや投稿ソート機能のコミュニティ面などで、次々にアップデートを行いました。
その中でも特に大きい変化は生成AI『Grok』の搭載です。2023年後半に開発を発表し、その1年後にはポストする際にテキストやそれに紐づく画像の生成が可能になるまでに進化を遂げました。
このように話題に事欠かないXの変化にワクワクする一方で、大きな波紋となったのが11月に打ち出したプライバシーポリシーの変更です。特に取り沙汰されているものの一つが、「投稿された画像がAIの学習に使われるのではないか」という懸念でした。
実際にはすでにこのAI学習は行われていたのですが、今回改めて明記されたことでこの事実を知り、Xの方針に疑念を持った人がいるようです。
その証拠にこのプライバシーポリシーが打ち出された直後、Xの代替SNSとも言われる『BlueSky』が数十万のユーザー増加を報告しています。
さらに、ここにきてヨーロッパの自治体や大学などがXの姿勢や価値観に懸念を持ち「ヘイトスピーチや偽情報をあおっている」といったことを理由にXの利用を停止することを表明しています。
これらのことからX離れは現実に起きているといえるでしょう。
X離れは身近な話なのか?
しかし、日本のX利用者でこのX離れが起きている事象を身近に感じている人はどのくらいいるのでしょうか。
確かに、ニュース報道などを目にして「あれ?廃れていくのかな?」「このまま使ってていいのかな」という空気くらいは感じているかもしれません。
しかし、多くの人があまりX上で実感を得ていないのではないでしょうか。
もう少し対象を絞ってみましょう。
2024年の仕様変更で少しは減ったけれど、まだまだ存在するインプレゾンビのせいで有益情報が得にくいし、ポストに嘘も多い。燃えている情報が目に付きすぎて気分が萎えるという声も耳にします。
だからといって、それを理由にXをやめて他のSNSに移動している人が多いかというとそうでもない感じなのです。一部は動いたが、まだ、Xに大半の人はいるといった印象があります。
ただ、その中でも動きを感じるのはクリエイターの方。知人に聞いたところ、実際にXで投稿をやめて他のSNSで始めたクリエイターはおり、その移動先の選択肢に挙がりやすいのがBlueSkyなのだそう。
Xに投稿した自分の作品を学習され、誰かが模倣しやすくなってることに対し、それはちょっと待ってくれよというのはわからなくもありません。かといってBlueSkyが安心かというと、決してそうではないのですが、運営が大っぴらに学習に使いますよと言い出だしちゃうと、ちょっとここにはいられないよというところでしょうか。
クリエイターは動いたがやはり大移動は起きてない。クリエイターのファンも動かないその理由
昨今の推し文化でクリエイターのアカウントをフォローし、その発信を楽しみにしているファンは少なくありません。
もちろんそのクリエイターがBlueSkyに行くのであれば、一緒に行くのが当然です。でも、そのファンはまだ、Xからは離れていないのです。
しっかり表現するなら、XにもBlueSkyにもいる、のです。
というのも、ゲーム、マンガ、アニメ、ドラマなどの公式アカウント(企業アカウント)はXから動いていません。多くのファンがフォロワーとして存在している状況で、Xをわざわざやめる理由がないからです。
ファンからすれば、作品を作るクリエイターの発信も重要ですが、作品の公式による発信も重要な情報。だからXから離れるわけにはいかないのです。
公式の情報はXで確認、その作品に紐づくクリエイターの情報はBlueSkyで確認。ファンにとっては面倒くさい状況かもしれません。
Xの代わりになるアプリはあるのか?今後の予想
現状をまとめながらテキスト配信型SNSの今後について予想してみようと思います。
Xからの大移動が起きるかどうかは、企業アカウント次第
前述した推しがいるファンのようにXは見る専にして、自分の投稿頻度を下げている人を度々目にします。その人達にとっては、フォローしているアカウントが動いたらXにいる必要はなくなります。
ですので、Xの今後を握っているのは企業アカウントやノウハウ投稿などをメインとしてる一部の個人です。
今のところ、見る専でも見てくれる人はいるから発信側も動かないし、発信側がいるから見る側も動かない。
もしかしたら、この両極端な状況はさらに進み、見る専はリアクションもしない本当の見るだけになってしまったら、SNSの良さがなくなり、Xがテレビや新聞のような一方向的なメディアになるかもしれません。というのは大胆すぎる予想。
しかし、ヨーロッパのようにどこかの日本企業がX離脱を宣言し、右に倣えと次々に移動が始まり、それなら見る選もという雪崩式で大移動が起きること…も万が一TikTokのように禁止令でも出ようものなら動くかもですが、それもあまり現実的ではない予想。
やはり、Xは基本的に見る専で、いいねやたまに返信くらいはするくらいの使い方で、日常の投稿は他のSNSで行う。という人が今より増えるといった安牌すぎる予想が落とし所ではないでしょうか。
日常の投稿としての利用先
では、日常を投稿するSNSはどれになるのか。
海外も含めれば、多くのテキスト配信型SNSが候補にはなりますが、日本なら『Threads』や『BlueSky』を筆頭にTwitterの共同創業者が立ち上げた『Mozi』や先月のリリースで40代を喜ばせた『mixi2』などがあがってくるでしょう。
この中では、移行しやすさからThreads、そしてプロフィールにほかのSNSへの導線が置けたり、ユーザーアカウントを複数作成出来たりといった競合優位性のあるmixi2での投稿が今は活発のように感じますが、mixi2はまだリリースして1ヵ月なのでこの後どうなることか…。『Clubhouse』や『Mastodon』といった一瞬流行りましたがその地位を守れなかったものもあるので今はなんとも言えません。
私が注目しているのは『LINE』の配信機能「VOOM」です。LINEのメイン機能であるチャットではなく、テキスト配信型SNSのように使用できる機能なのですが、これが来るのではないかと思うのです。
というのも、LINEのVOOMは年齢制限やら家族の理解やらで若い人にとって初めて触れる配信型SNSになる可能性が高い。そうすると、今後、LINEで日常の投稿をし始めた人がそのまま歳を重ねれば、わざわざ別のテキスト配信型SNSに移動する事も起きずに、気づけばシェアが増えている、といった未来も描けそうというわけです。
ちなみにmixi2は個人的には最大文字数がミクシィを逆読みした149.3文字に設定されているというダジャレが好きなので応援しています。逆から読むで言うと『タイッツー』も名前が好きなので応援しています。
かく言う私は『Facebook』や『Instagram』、『TikTok』も見なければならないし、これ以上、Xから移動してまでSNSを増やさなくても良いかなぁ。と言った感じでこのムーブにあえてのっていません。
といいながらも、複数のSNSのタイムラインをまとめて見られるアプリが気になったりしているから、それを利用して複数をうまく使う可能性もあり…。
自分の未来さえ予想できないので、ここまで記した予想もそのくらいの確度です。
2025年は上記の答え合わせをしていく年になりそうです。
(文・伊藤真二)