携帯の電波が届かない山の中でも地図と位置情報を確認できる、登山・アウトドア向けアプリ『YAMAP(ヤマップ)』。高価なGPS機器を持ち歩かなくても、スマホに無料でアプリをダウンロードして手軽に使うことができ、登山者の間で人気を集めています。
夏休みを利用してアウトドアを楽しもうと計画している人も多いのでは?そこで今回は『YAMAP』代表取締役・春山慶彦氏にインタビューを実施。アプリを開発した経緯や、サービスに対する想いなどお話を伺ってきました。
登山 No.1 アプリ『YAMAP』代表取締役・春山氏インタビュー。都市で暮らす人と自然を繋げたい
登山・アウトドアを楽しむ人へ、ツールとコミュニケーションの場を提供する『YAMAP』の魅力
ーサービスの特徴を教えてください。
『YAMAP(ヤマップ)』はスマートフォンのGPS機能を利用し、電波の届かない山の中でも使える「登山地図」と、登山・アウトドアに関する情報交換を行う「コミュニティ機能」を提供しています。
地図上に自分の歩いたルートや写真等、活動記録を残すことができ、たくさんの山好き・アウトドア好きの方に使っていただいています。
ーアプリのユーザー層について教えてください。
男性が7割、女性が3割で、40代から60代のユーザーが6割を占めています。通常のアプリサービスと比べると珍しい年齢属性だと思いますが、これは『YAMAP』というサービスが、登山の年齢層に引っ張られているからですね。最近、20代30代のユーザーも増えてきています。
ーダウンロード数はどのくらいですか?
約95万ダウンロードです(2018年7月現在)。これまで広告はほとんどやっていなくて、ユーザーの口コミがメインです。アプリのリリース当初から登山者同士のコミュニケーションの中でここまで広がってきました。
山の中でスマートフォンを使って地図を確認するという事自体が珍しいので、ユーザーが山で『YAMAP』を使用中、他の登山者から道を聞かれて実際にアプリの画面を見せるといった機会を通して、人から人へ伝わっています。
都市化の流れに見つけた、自然のなかで過ごしたい人々のニーズ
ーこのサービスを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
現在の日本社会における最大の課題は、体を使っていないことにあると考えています。
農業や漁業、林業といった自然のなかで体を使って仕事をしている人の割合は、日本の就労人口の約3%と言われていて、見方を変えると、日本に暮らすほとんどの人が自然のなかで体を動かせていないんですよね。これは、生物としてバランスが悪い状態とも言えるんです。
都市と自然を繋げるサービスを作りたい、ただ単に体を動かそうではなく、「楽しい」や「ワクワク」といったポジティブな気持ちを介してそれが実現できないかと考えた時、登山にすごく可能性があると感じました。
今後も都市化の流れは進んでいくと思いますが、その反動として「大切な人と大切な時間を自然のなかでゆっくり過ごしたい」というニーズが振り子のように大きくなってくるだろうと思っています。
『YAMAP』が繋げてくれる、山好き同士のコミュニティ
ー登山用のツールとしてだけではなく、コミュニティ機能を入れたのにはどんな理由がありますか?
日本はこれだけ自然が豊かな国で暮らしているのに、登山人口が人口の1割にも満たないんですよね。
『YAMAP』で登山する人達を増やしたい、それもヒマラヤのような何千メートルの山を登る価値観ではなく、自分の生活の身近にある自然に触れて欲しいという想いがありました。
そう考えた時に、ツールだけに特化したサービスを作ったとしても社会にインパクトが出せないと思ったからです。コミュニティ機能の役目は、山の楽しみを広げるだけではなく、情報共有によって事故を防ぐことにも繋がっています。
―ユーザーさん同士のコミュニケーションが活発な印象を受けました。
同じ趣味の仲間を見つけるって大変ですよね。『YAMAP』の場合は、山好き・登山好きしか居ないので、アプリのユーザー同士で誘い合って山を登ったり、運営側が主催するイベント以外に自主的な集まりも頻繁に開催されていて、サービスを通じてネットとリアルをうまく循環できているなと感じています。
―最後に、これから登山を始めようと考えている人へメッセージをお願いします。
日本はすごく豊かな国で、その豊かさに気づかせてくれるアクティビティの1つが登山でありアウトドアだと思います。
仕事で悩みがあったり、大事なものを見つめ直したい時、僕は山に行って無心になって歩いてみるんです。みなさんにも、自分の街の近くにある自然に触れ、登山を通じて生きる喜びを感じてもらえたら嬉しいです。
グラニフとのコラボ!登頂した山をプリントできるスタンプラリー型Tシャツ が発売!
2018年7月25日より『YAMAP』とグラニフのコラボTシャツが発売開始。オリジナルのステンシルカードで様々な柄をTシャツにプリントすることが可能です。
各Tシャツの背面には、全国の有名な山の名前が入っていて、自分が登頂した山にステンシルでチェックをつけるなど、スタンプラリーを楽しめるかのような遊び心のあるデザインになっています。気になる人はぜひチェックしてみては?
(文・lucy)