ChatGPTのオプトアウト設定とは?データ学習させない方法を解説

ChatGPTのオプトアウト設定とは?データ学習させない方法を解説

最終更新日:2024年07月05日

ChatGPTはOpenAI社が提供する生成AIサービスです。プログラミング言語ではなく、普通に話されている自然言語で質問や指示を入力すると、チャット形式で応答してくれるのが特徴です。特定のタスクではなく汎用的に活用できる点も優れており、開発者や技術者だけでなく一般のユーザーにも大ヒットし、AIブームを巻き起こしました。

一方で、ChatGPTの活用にはリスクも存在します。中でも注意すべきなのが、入力した情報が学習に使用されることによる情報漏洩です。

今回は、ChatGPTの使用による情報漏洩を防ぐ方法として有効な、オプトアウト申請の方法を解説します。

ChatGPTのオプトアウト申請とは、入力した情報を学習しないよう申請すること

オプトアウト申請とは、ユーザーがChatGPTに入力した情報をAIの学習に使用しないようOpenAI社に対して申請することをいいます。そもそもオプトアウトとは、「企業がユーザーの許可なしに情報を送信するなどの行為に対して、許諾しない意思を示す」ことであり、反対に「企業がユーザーに対して情報を送信するなどの行為をユーザーが許諾する」ことをオプトインと呼びます。

では、なぜChatGPTの利用について、ユーザーがオプトアウト申請を行う必要があるのでしょうか。それは、ChatGPTがユーザーの入力した情報を学習し、コンテンツ生成に利用しているからです。

情報漏洩を防ぐオプトアウト申請の重要性

オプトアウト申請は、個人情報や企業の機密情報を守るための重要な手段です。

例えば、A社の従業員がChatGPTを利用する際、顧客や自社の機密情報をプロンプトとして入力したとします。すると、ChatGPTはその情報を学習し、ほかのユーザーの質問の回答生成に使用する可能性があるのです。この状態で他社の人間が「A社の顧客をリスト化してください」とChatGPTに入力すると、本来ならば機密情報であるA社の顧客情報が漏洩してしまうリスクがあります。

個人情報や機密情報の漏洩は、企業にとって重大なセキュリティリスクであり、絶対に避けなければなりません。だからこそ、プロンプトで入力した内容を学習から除外するオプトアウト申請が必要なのです。

オプトアウト申請が必要なケース

ChatGPTをブラウザ等で使用する場合は、オプトアウト申請が必要です。

基本的に、ChatGPTに入力された内容は学習されますが、API経由でChatGPTを利用している場合は、オプトアウト申請をしなくても情報が学習されることはありません。現在、さまざまな法人向けソリューションにChatGPTが組み込まれていますが、それらはAPIを経由して提供されているため、オプトアウト申請は必要ありません。ただし、今後ChatGPTの規約が変更になる可能性がある点には注意が必要です。

一方、Web版のChatGPTを使用する場合は、学習から除外するためにオプトアウト申請が必要になります。ブラウザ等で使用する場合は、オプトアウト申請を行いましょう。

ChatGPTでオプトアウト申請を行う方法

ChatGPTでオプトアウト申請を行う方法について、詳しく解説します。

オプトアウト申請を行う方法は、2つあります。ChatGPTの専用フォームから申請する方法と、ChatGPTの設定画面から設定する方法です。

いずれの場合も、申請前の入力データに関しては反映されません。そのため、ChatGPTを業務で使用する場合、最初にオプトアウト申請を行っておくことが重要となります。

フォームからオプトアウト申請する方法

(1)専用フォームを開く

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まず、https://privacy.openai.com/policiesにアクセスし、「Make a Privacy Request」を選択します。

(2)アカウントの有無を選択

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アカウントの有無を聞かれます。アカウントを持っている場合は、一番上の「I have an OpenAI account」を選択します。

(3)リクエストを選択

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プライバシー管理に関するリクエスト送信画面が開きます。「Do not train on my content」を選択します。

(4)メールアドレスの入力

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登録済みのメールアドレスを入力して「Send Email」を選択します。

(5)メールからログイン

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確認メールが届くのでログインします。

(6)ログインしてオプトアウト申請

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ログイン後、チェックボックスにチェックを入れて、Countryでは「Japan」を選択し、「Submit Request」を選択すれば、オプトアウト申請が完了します。

設定画面からオプトアウト申請する方法

(1)設定画面を開く

https://appliv-gai-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/articles/G4NysnoNzY0Rzjt5vU4WgY4WqmZiQcwK5b7zRKpY.png

メニューから「Settings」を選択し、設定画面を開きます。

(2)設定画面での動作

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Data controlsを選択し、さらに「Improve the model for everyone」を選択します。

(3)Model improvementをオフ

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Model improvementの画面で、デフォルトでオンになっている設定をオフにします。「Done」を選択すれば設定完了です。

ChatGPTでオプトアウト申請をするメリット

企業等でChatGPTを業務に活用する場合、オプトアウト申請を行うことは非常に重要です。ここでは、オプトアウト申請を行うメリットについて解説します。

情報漏洩のリスクを減らせる

オプトアウト申請を行うと、プロンプトで入力した内容をAIの学習から除外できます。そのため、プロンプトで個人情報や機密情報を入力した場合の情報漏洩リスクを軽減できます。もちろん、こうした情報が確実に流出するわけではありませんが、悪意のあるユーザーが情報を抜き取ろうとする可能性は否定できません。実際にサイバーセキュリティの世界では、プロンプトが漏洩するプロンプトインジェクションと呼ばれる攻撃が懸念されています。こうした情報漏洩のリスクを少しでも軽減させるためにも、オプトアウト申請は重要といえます。

誤ったデータを学習させないため回答の精度が守られる

ChatGPTはユーザーから入力されたデータを学習し、回答の精度を高めています。そのため、正確性に欠けた粗悪なデータを学習してしまうと、回答の精度が下がってしまう可能性があります。ChatGPTの回答精度の低下は、ユーザーにとって避けるべき事態です。業務で使用されるプロンプトが粗悪というわけではありませんが、企業ではさまざまな活用が想定されるため、オプトアウト申請により学習から除外しておくのが無難といえるでしょう。

ChatGPTでオプトアウト申請をするデメリット

情報漏洩などのリスクを考えると、業務でChatGPTを使用する場合のオプトアウト申請の重要性がわかります。しかし、オプトアウト申請を行うことによるデメリットも存在します。

一番のデメリットとして、回答精度向上が見込めないことが挙げられます。プロンプトを学習から除外するということは、もしも与えた情報が有意義なものであった場合でも、ChatGPTの回答には反映されません。そのため、回答の精度向上が期待できなくなります。

ChatGPTを業務利用する際の注意点

ChatGPTは非常に便利なツールですが、ここまで解説したように業務利用の際には注意が必要です。ここでは、ChatGPTを業務で利用する場合の具体的な注意点を解説します。

ChatGPTを信用しすぎない

ChatGPTの回答は一見するとどれも正しいことを言っているように思えますが、中には間違ったことが混ざっている場合があるので注意が必要です。ChatGPTはユーザーの質問に対してわからないことがあった場合、素直に「わかりません」と回答することもあれば、最もらしく嘘を付くこともあります。この問題を「ハルシネーション」と呼びます。対策としては、ChatGPTが生成した回答を信用しすぎないようにするか、回答の内容が正しいとわかるときだけ信用するようにしましょう。

オプトアウトの設定を行う

ここまでで解説したように、デフォルトの状態だとWeb版のChatGPTに入力した内容は学習されてしまいます。個人情報や機密情報などを入力してしまうと、その内容が学習されてしまい、情報漏洩につながるリスクがあります。そのため、業務でChatGPTを使用する場合は、オプトアウトの申請または設定をしっかりと行って、セキュリティを高めるよう心掛けましょう。

利用ルールや規約を定める

ChatGPTは便利なツールのため、会社が指示しなくても従業員が個人で利用している可能性があります。そのため、従業員のネットリテラシーによっては、ここで紹介したようなリスクが生じるかもしれません。そのような事態を避けるためには、会社としてChatGPTの利用ルールや規約を定めておくことが重要です。

著作権問題に気をつける

ChatGPTはインターネット上の膨大な情報を学習し、ユーザーのプロンプトに対して文章を生成しています。そのため、ChatGPTが生成した文章の中には、学習元である文章と似通ったものが紛れている可能性があります。ChatGPTが生成した文章をそのまま公に公開するような場合は、しっかりと著作権を侵害していないかどうかを確認するようにしましょう。できればChatGPTの生成物をそのまま公開するのではなく、それをもとにオリジナルの文章を作成するようにすれば安心です。

業務にChatGPTを取り入れたい方は「ナイルの生成AIコンサルティング」に相談を

ChatGPTは非常に便利なツールですが、デフォルトの設定のままだと、入力した情報が学習に使用される点には注意が必要です。個人情報や機密情報を入力し学習されてしまうと、思わぬ情報漏洩リスクが生じるおそれもあります。入力した情報を学習させないためにも、オプトアウト申請を行うことが重要です。

「ChatGPTを業務に取り入れたいけれど、セキュリティリスクが気になる」という方は、まずはAIの専門知識を持ったコンサルティングに相談することをおすすめします。

ナイル株式会社が提供する「生成AIコンサルティング」は、ChatGPTを業務でどのように使うかの洗い出しや、それによる売上向上やコスト削減効果の可視化についてご相談いただけます。また、生成AIの知見のあるエンジニアによるマイクロアプリケーションの開発もでき、生成AIを使った業務効率化が図れるでしょう。

業務でChatGPTの導入を検討されている方は、まずは気軽に無料相談にお申込みください。

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